2023年度の新入社員は「AIチャットボットタイプ」その理由と特徴は?

今年の新入社員

2023年度卒業の新入社員は新型コロナウイルスの影響を受けながら就職活動を行ってきた人たちです。

そんな彼・彼女たちがどういったタイプの社員なのか、気になりますよね。今回は「新入社員のタイプについて」詳しくみていきましょう。

今年の新入社員は何世代か?

さとり世代

今年の新入社員は「さとり世代」と呼ばれる、欲がない世代です。特徴としては、「恋愛に興味がない」、「旅行に行かない」、「無駄遣いをしない」「熱くならない現実派」などが挙げられます。この世代はバブル崩壊の前後に生まれ、不況の日本しか知りません。

そしてデジタルネイティブなので情報収集が得意で、携帯電話(スマートフォンやiPhone)、パソコン、タブレット、その他WEBサービスなどITに関する商品への興味関心が高い傾向にあります。1996年~2005年生まれの人たちがさとり世代に該当するとされており、まさに2023年度卒業の新入社員はその年代なのです。

「さとり世代」の特徴を紹介します。

過剰な物欲がない

お金を稼ぐために必死に働くくらいなら、残業をせずに給料が少なくてもしっかりと休める仕事をしたいと望んでいます。

自分のライフスタイルを尊重し、仕事とプライベートのバランスをとりたい、という思いが強いのです。そのため、物を欲しがりすぎず、贅沢品にあまり関心を持ちません。

外より自宅派

YouTubeやネットフリックス、Amazonプライムなど、たくさんのコンテンツが楽しめる現代では、外にでなくても家で十分に楽しむことができます。インターネットが身近なさとり世代はこうした過ごし方を好む傾向があります。

興味のあることには妥協しない

過剰な物欲がないと前述しました。しかし、プライベートでまったくお金を使わない、ということではありません。

ゲームや音楽など、自分の興味・関心が強い分野にはむしろ投資をし、見栄を張るための贅沢品(ブランド品・高級車)ではなく充実した生活を送るためにお金を使います。

ゆとり世代との違いは?

ゆとり世代との違い

「ゆとり世代」は、いわゆる「ゆとり教育」を受けた世代のことです。さとり世代とゆとり世代は年代が隣接しているので、世代間に大きな違いはありません。

しかし、ゆとり世代は文部科学省の学習指導要領の変更による影響で発生したと言われていますが、さとり世代はその上の世代の独立や転職などの失敗を見て「悟った世代」という違いがあります。

ゆとり世代に比べ、さとり世代のほうがジェンダーロール(性役割)に関する意識が自由という指摘されています。さとり世代では「男性が外で仕事をし、女性は家で家事と育児をするべき」という価値観を持つ人が少なく、男女平等な考え方を持っている人たちが多いといえるでしょう。

さとり世代とゆとり世代の違いについては、こちらの記事で詳しく紹介していますので、合わせてご覧ください!

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さとり世代とは

令和5年(2023年度)新入社員はなにタイプ?

令和5年の新人さんは「可能性は∞(無限大) AIチャットボットタイプ」だと、人事労務分野の情報機関である産労総合研究所が発表しました。

なぜ、AIチャットボットタイプ?

産労総合研究所では、今年の新入社員を「可能性は∞(無限大) AIチャットボットタイプ」とした理由を以下のように述べています。

新型コロナウイルス感染症の猛威のなか、大学生活のほとんどをオンラインのカリキュラムで過ごした今年の新入社員。インターンシップや就職活動もオンラインでの選考がごく自然に盛り込まれ、むしろ対面での機会を増やそうという流れの中で入社を迎えた彼らは、対面でのコミュニケーション不足から、こちらに特別意図のない発言やしぐさでも、ストレスに感じてしまうことがある。一方で、知らないことがあればその場でごく自然に検索を始めるデジタルネイティブ世代である彼らは、さまざまなツールを扱い答えを導き出すことにかけては、すでに高いスキルをもっている。
先輩社員は、彼らの未熟な面や不安をこれまで以上に汲み取りながらコミュニケーションを取ってほしい。AIチャットボットが適切なデータを取得することで進化していくように、彼らは適切なアドバイスを受けることで、想定を超える成果を発揮する可能性に満ちている。 引用:産労総合研究所

今年の新入社員は、大学1年の春休み頃に新型コロナウイルスの感染が拡大し始め、大学2年になった頃、1度目の緊急事態宣言が発出され、以降コロナ禍の学生生活を送ってきました。

就活においてはオンラインを併用する手法が定着しつつある中で、やはりコミュニケーション不足を感じている学生も少なくないそうです。

23卒学生の育成ヒント

入社後は、「イメージしていた仕事や社風、社会人像とは違った!」というギャップに加え、対面での、特に目上や距離の遠い相手とのコミュニケーションの経験不足から、「先輩の当たりがキツい」と感じてしまうことが、例年に増して多くなる可能性がある。コミュニティにおける立ち位置の認識や発言の受け止め方に、双方ともにギャップがあることを自覚し、受け入れ側が意識的に導いていかないと組織やビジネス社会にうまくなじめないかもしれない。そのため、先輩社員たちは、これまで以上に経験不足・情報不足の部分を汲み取った接し方に注力してほしい。
一方で予想だにしない発想やスキルを保持している可能性も十分にある世代と言えるだろう。彼らの可能性を広げるためにも、受け入れ側が意図を明確にし、何を求めているかを彼らに伝えることが大切だ。
「これぐらいはできるだろう、わかるだろう」と思考停止せず、一人ひとりの可能性を見極めて、モチベーションをあげる教育、配属、赴任地を提供できれば、的確なデータを入力することで成果を発揮する「AIチャットボット」のように、受け入れ側が予想しなかったような成果を発揮するだろう。 引用:産労総合研究所

今年の新入社員は、ひどい?やばい?

いつの時代にも、モンスター新入社員と呼ばれてしまうような新入社員は存在しますが、時代の変化と共にその「やばさ」も変化しています。思わず、「え?うそ?そんな新入社員いるの?」と耳を疑ってしまうようなエピソードをこちらの記事にまとめましたので、ぜひご覧いただければと思います。

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モンスター新入社員実録まとめ

これまでの新社会人のタイプ

新入社員が「AIチャットボットタイプ」だとすると、今までの社員は何タイプなのでしょうか。これまでの新入社員のタイプを年度別にみていきましょう。

2022年度 「新感覚の二刀流タイプ」

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、大学・後半期にさまざまな活動制限を受けた今年の新入社員。インターンシップや就職活動を、対面とオンラインの2つのスタイルで二刀流のようにこなして、入社式を迎えた。しかし、就活中に職場の雰囲気や仕事に関する情報が得にくかったこともあり、入社後は、思い描いていたイメージと実際とのギャップにとまどいそうだ。先輩社員は、これまでの新入社員とは異なる新感覚(オンライン慣れ、対面コミュニケーションの不慣れ、配属・勤務地へのこだわり、SDGsへの興味、タイムパフォーマンス志向等)や未熟にみえる言動を受け止めたうえで温かく交流し、1人ひとりをみつめた育成支援をしてほしい。そうすれば、才能が開花し、環境変化にも適応できる「リアル二刀流」になっていくだろう。 引用:産労総合研究所

2021年度 「仲間が恋しいソロキャンプタイプ」

新型コロナウイルスの影響で、2021年卒業の就活生は従来と異なる方法で内定獲得に向け活動することとなりました。合同説明会はオンラインに切り替わり、ネット上でつながってはいるものの、先が見えない不安や孤独を抱えながら、彼ら・彼女らは手探り状態で就活を行ってきたのです。

つまり、2021年の就職活動は、「頼れる人がそばにいなくて戸惑いながらも、徐々にコツをつかみ、工夫していく中で強くなっていき、最終的には自由さと気楽さに気づくような初めてのソロキャンプ」状態だったのです。ソロキャンプを通じてたくましくなったけれど、好きでソロだったわけではありません。

「仲間が恋しい」には、ソロで孤独と戦ってきた新入社員を積極的にフォローしてあげてほしいという意味が込められています。

2020年度 「結果が出せる?!厚底シューズタイプ」

衝撃を吸収し体に優しい厚底シューズは、最新テクノロジーが組み込まれ、駅伝やマラソンなどの記録を更新し続けており、世界的に注目を集めています。ITの進展とともに育ち、ノウハウをうまく活かして就活を乗り切った2019年度の新入社員と厚底シューズには共通点があるのです。

2019年度 「呼びかけ次第のAIスピーカータイプ」

AIスピーカーは多機能ではあるものの、十分に活用していくためには細かい設定(丁寧に育成をすること)や環境の整備が必要です。最初の呼びかけは「ヘイ、〇〇」や「オッケー〇〇」など、少し恥ずかしいけれど、呼びかけないことには始まらないAIスピーカーと受け身で意思を表面に出さない新入会員を重ね、2019年度は「AIスピーカータイプ」と表現されました。

他社人事はどんなタイプの新入社員を求めているか?

新入社員に期待する条件として、2020年にグロービス経営大学院が行った「内定者・新入社員に関する意識調査」の結果をみてみましょう。

  • 自律型人材(自分で考えて自分で行動する人材)の必要性が増える
  • テレワークが主体となり「コミュニケーション能力」が上位に
  • 「コミュニケーション能力」を重視する企業は「論理的思考」を重視する傾向

このような結果がでています。

少子化により年々、人手不足がひっ迫している状況下では、指示待ちの社員ではなく「自分で考え行動する人材」が事業をスムーズに進めるために必要となります。そのため、自律型人材の育成に注目が集まっているのです。

また、テレワークが主体となってきたため、雑談をする機会や食事をともにすることも減り、先輩社員や同期とのコミュニケーションが取りづらくなっています。今まで以上に、コミュニケーション能力が新入社員には求められるでしょう。

どう付き合えば今年の新入社員を早期離職させないで済むか

新入社員を無事に迎え入れたら、やはり早期離職を防ぐことが大きな課題といえるでしょう。

例年は就活中に社会人としてのルールを身に付け、学生たちは社会にでます。しかし、今年の新入社員はオンラインでの活動だったため、社会のルールを身に付けられていない可能性が指摘されています。

そのため入社後は、先輩や上司、新人の就活背景が大きく違うというギャップを理解した上で、信頼関係を築くためにより丁寧にコミュニケーションをとり、仕事の教え方にも工夫が必要となるでしょう。テレワークでコミュニケーションが取りづらくなっていることも考慮し、指導・フォローしていかなくてはなりません。

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まとめ

すべての新入社員をタイプ化して当てはめることはできません。一人ひとりの個性を大切にしながら育成していくことが、会社には求められるのです。

その上で、「今年の新入社員のタイプ」を活用し、コミュニケーションが取りやすい環境づくりをしていけば、お互いが働きやすくなるでしょう。

自分たちが新入社員だったころはこうだった、という葛藤がある人もいるかもしれませんが、時代の変化に合わせて新入社員の価値観も変わっていきます。この変化を踏まえた上で、柔軟に接していくことが良好な関係を築く足がかりになるのです。

人生の先輩として、上手に後輩を導いていくために、今年の新入社員のタイプを参考にしてみてください。

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