人材要件フレームとは?設定するときの3つの重要項目や作成方法を紹介

新卒採用を行う際、多くの企業で「求める人物像」や「人材要件フレーム」を設定しています。確かに採用活動において、事前に人材要件フレームを設定することは重要と言えるでしょう。

しかし人事担当者の中には、具体的にどうやって人材要件フレームを設定すれば良いのか悩んでいる方も多いのではないのでしょうか?

そこで今回は、新卒採用で優秀な学生を取り逃さないための、人材要件フレームや求める人物像の重要項目や、設定の際のポイントを解説していきます。

人材要件・求める人物像とは

そもそも人材要件とは、自社にどのような人が欲しいかを明確にするフレームワークのことです。具体的には、以下の3つに大きく分類されます。

個人と企業の価値観の一致

まず最初に上げられるのが、その学生の目指す先と自社の目指す先が一致しているかどうかです。

どんなに優秀な能力やスキルがある学生でも、向く方向が違うと最終的に採用しても良い結果には繋がらないでしょう。自社が定めている理念や今後のビジョンに対して、学生が賛同しているか、納得して同じ考えを持っているかどうかは、人材要件の中で重要度が高いものです。

そのため人材要件フレームを設定する際は、自社で掲げている価値観と学生の考えが一致しているかを組み込む企業が非常に多くあります。

能力・スキル

次に求める人物像を設定する際の要件として、能力やスキルがあげられます。

これは出身校や学部、その他の経験なども含めて現在どのような能力があるかを見定めるものです。採用活動において、多くの企業がまずは理想の組織編成をもとに採用計画の設定を行います。

その際に、今回の新卒採用では、どこの部署に、どのような人が何人欲しいか具体的に落とし込みます。そして、実際にどのような能力を持った学生が欲しいのかが具体的にし、人材要件として設定することで採用活動をよりスムーズに行うことができます。

人物の属性

人物の属性も人材要件を設定する際は注意する必要があります。

人物の属性とは、どのような幼少期を過ごして育ったか、現在どのような考え方を持っているかなど、入社前に完成されている部分のことを表します。これは学生各個人に依存するもので、入社後の研修や育成でどうにかできるものではありません。

そのため求める人物像などを設定する際に、マインド面での要件設定を多く行っている企業も多いでしょう。これは育成前提の新卒採用だからこそ、今後の育成で順調に成長できるかどうかを判断するために非常に重要な要件となります。

「人材要件」を設定する重要性

人材要件の設定は工数がかかり、非常に時間の取られる業務となります。しかし多くの企業が人材要件フレームを設定して採用活動を行っているのには、以下のような重要性があるからです。

離職・ミスマッチの防止

あらかじめ人材要件フレームを設定しておくことで、早期の離職やミスマッチを防止することができます。

特に新卒採用の場合、学生自身が自分のスキルや社会のことをよく把握していないケースがほとんどです。このような状況下で安易に入社をしてしまうと、入社後に「思っていた会社と違った」といった理想と現実のギャップに直面します。

最悪の場合1年経たずで退職してしまうなど、早期の離職にもつながります。

そのため、事前に求める人物像を設定して公開し、学生自身がその要件と自分を照らし合わせながら就活を行うことで、入社後のミスマッチや離職を防ぐことができます。

採用戦略の具体化

優秀な学生を採用したいのであれば、マーケティングやペルソナの設定は必須項目になります。

そこで新卒採用の際に、どのような人物が欲しいのか、具体的に人材要件フレームを設定することでターゲットとなる学生を具体化することが可能になります。このようにペルソナの設定を行えば、そのターゲットに対してどのようにアプローチするか、その学生たちはどのような企業に惹かれるかなどのマーケティングを行うことができます。

そのため結果として、企業側も採用戦略を具体的に立てることができ、新卒採用の成功に直結すると言えるでしょう。

採用活動の再現化

一度人材要件を設定し、成功した新卒採用においては、次年度でも再度活用することができます。

ここ最近ではコロナウィルスの影響など、突発的な例外もありますが、そうでない限りは前年度で成功した人材要件を有効に活用するべきです。前回設定した人材要件に加えて、前年度の反省点や改善点を織り交ぜて採用活動をすることで、より成功率の高い新卒採用が行えます。

そのため、人材要件フレームの設定は工数が多く時間のかかる業務ですが、一度設定することで数年間は有効に再現ができます。

人材要件設定に必要となる重要項目

人材要件の設定とひとことで言っても、取り入れるべき項目が多く、上手く項目の設定ができない人事の方も多いのではないでしょうか。もしも項目の設定に困っているのであれば、以下の重要項目を参考にしてください。

志向性・価値観

先述でも触れましたが、企業と学生の価値観などと言った志向性は、要件設定の重要項目です。

企業と学生の目指す先が違う方向では、いくら優秀な学生でも力を発揮できなかったり、最悪の場合、力を発揮する気にならないこともあります。

企業が要件を設定する際には、どのような考え方やマインドを持っている学生を求めているか、将来的に企業がどうなるのかを学生に伝えるようにしましょう。そうすることで、学生側も入社後のシミュレーションができ、採用後に価値観の相違などが起こらず、力を最大限発揮できます。

勤務条件

意外と見落としがちですが、勤務条件も重要な項目の一つです。

特に現在では、ワークライフバランスの重要性やプライベートの充実尊重する風潮が強く、勤務条件を気にしている学生も多くいます。

そのため若いうちは仕事第一で成長ができる労働環境を求めているのか、もしくはプライベートや将来的に家庭を大事にしたいのかなど、事前に学生の考えを知ったうえで設定しておくことが重要です。

このように勤務条件を明確にしないまま学生を採用してしまうと、後々双方の条件が合わず、せっかく入社してしまった学生が退職してしまうことにもつながります。

能力・スキル

上記の2つが設定出来た後、最後に求める能力やスキルを設定することをおすすめします。価値観や勤務条件はもちろんですが、今後企業の成長を目指すのであれば、能力のある学生を採用する必要があります。

いきなり完璧な学生は滅多にいないので、教育前提でスキル要件を設定するようにしましょう!
最低これだけのスキルが卒業時にあれば教育できる、これだけの能力があれば欲しい人材に成長できるなど、現在の能力にプラスしてポテンシャルの評価も加えることが新卒採用で成功するカギとなります。

人材要件フレームの設定方法

実際に人材要件のフレームを設定する際、具体的にはどのように設定すればよいのでしょうか。現在設定で悩んでいる人事の方は、ぜひ以下の3つを参考にしてください。

自社組織の把握

最初に取り組む内容として、自社の現状を把握することは必須と言えます。

現在の組織でどれだけの利益が生み出せているのか、今後どこまで成長したいのかをまずは設計してみてください。

そしてそこから逆算し、その成長を実現させるためには、どのような人材が何人必要なのかを導き出します。そうすることで、具体的な採用戦略を立てることができ、人材要件フレームを具体的に設定することができます。

その結果、新卒採用を通して、将来的に会社がどの様に成長できるか、具体的なビジョンが見えてきます。

MUSTとWANTの区別

新卒採用の際に切り分けが難しいのがMUSTとWANTの区別です。

もちろん人材を採用する上で求める条件は様々あると思います。できることなら即戦力となり、長く会社で活躍できる人材を求めるのは当然のことでしょう。

しかし、新卒採用の場合はWANTばかりに目を向けてはなりません。あくまで学生ですので多くのWANTを実現することは難しいでしょう。

そのため教育を前提にして、将来的に成長できるかどうかを判断するため、MUSTをボーダーラインとして設定する必要があります。そうすることで、中長期的に見た際、最終的に良い人材の採用へ繋がる可能性が高くなります。

将来性の確認

先述でも触れましたが、いきなり多くのことを学生に求めた採用活動は失敗する傾向にあります。

そこで学生を採用する際は、現在能力に加えて将来性やポテンシャルなど、今後の成長性を考えて人材要件フレームを設定する必要があります。

そのため採用後の自社のビジョンや予算の設定などは、学生が入社した数年後どのようになっているかを含めて行い、中長期的にみて将来戦力になるかを考えてください。その際に、将来的に見て戦力になる学生を選べるような人材要件を設定することで、よりミスマッチなどを防ぎ長期的に活躍してくれる学生を採用することができます。

人材要件フレームを作成するときのポイント

企業によって様々なフレームを作成すると思いますが、共通して重要になるポイントがいくつかあります。

自社の理念との一致しているか

まずは設定するフレームが自社の理念と一致しているかを確認してみてください。

欲しい人材ばかりを追い求め、目先の必要条件に寄せたフレームを設定することはあまりお勧めしません。たとえ獲得できても、単発的な成功となり長期的に見て自社にもたらすメリットは少ないので注意が必要です。

学生目線でメリットがあるか

逆に自社の理想だけを詰め込んだ人材要件の設定でも、採用活動はうまくいきません。学生が見た時に自分にメリットがあるのか、賛同できるかも合わせて重要になります。

そのため、ここのバランスはやや難しいですが、自社の要件と学生のメリットの中間を上手く保った人材要件フレームを設定することがポイントです。

人材要件定義の範囲が狭すぎないか

上記2つと合わせて、範囲が狭すぎるピンポイントな人材要件も、採用の失敗に繋がります。

確かに企業ごとに求める人物像はあると思いますが、最初からあまりにも狭い要件を設定してしまうと、そもそも応募が集まらないこともあり得ます。

まとめ

このように、教育前提での新卒採用においては、事前の人材要件フレームの設定は非常に重要な役割を持ちます。

しかし工数も多く、自社と学生の双方が求める中間地点で要件を設定する必要があるため、人材要件フレームの設定はなかなか難しいでしょう。

読者の中で、現在求める人物像などが定まっていなく悩んでいる人事の方がいたら、ぜひこの記事を参考にして、自社と学生の双方にとってメリットのある人材要件を設定してください。

「学生見極め」関連記事

「採用活動を行なっても、なかなか求める人材からの応募がない」「採用しても、すぐに会社を辞めてしまう」と頭を抱えている人事担当の方もいるのではないでしょうか。これは、自社の採用ペルソナが定まっていないことが原因かもしれません。 採用ペル[…]

採用ペルソナ

OSCTA

フォローして毎日記事をチェック!