【離職トラブル事例から学ぶ】早期離職を防ぐ策

こんな会社は嫌だ!離職トラブル事例
  • せっかく内定承諾をしてもらえたのに、入社直前で内定辞退
  • なんとか入社はしたものの3年以内に若手社員が早期離職

どうしたら内定辞退や早期離職を防げるのか、多くの企業が頭を悩ませています。

内定辞退や早期離職の原因の大半は、企業と応募者のコミュニケーション・人間関係と言われています。本記事では実際に起きた人間関係の離職トラブルをお伝えしつつ、離職を引き留める内定者フォローの方法をご紹介します。

早期離職の理由をおさらい

そもそもなぜ早期退職してしまうのでしょうか。

新卒社員の早期退職者の割合は全体の3割をキープ

厚生労働省で2023年10月20日に発表されたデータによると、就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が37.0%(前年度と比較して1.1ポイント上昇)、新規大学卒就職者が32.3%(同0.8ポイント上昇)となっています。

リクルートの「新人・若手の早期離職に関する実態調査」によると、新卒社員が早期離職してしまう理由は以下の通りです。

【新卒社員が早期離職をする理由の上位】
「労働環境・条件がよくない(労働時間、休日のとりやすさなど)」(25.0%)
「給与水準に満足できない」(18.4%)
「職場の人間関係がよくない、合わない」(14.5%)

新入社員の早期離職者向けに実施した労働政策研究・研修機構の離職理由ランキングでも、「肉体的・精神的に健康を損ねた」「労働時間・休日休暇の条件が良くなかった」「人間関係が良くなかった」という3つが若者の早期離職の理由でもっとも多くなっています。

  • 肉体的要因…長時間労働、極端に多い仕事量、有給休暇や休み取得の難しさ
  • 精神的要因…人間関係

この2つに関して、学生の内定時からしっかりフォローをしていくことが重要と言えます。

若手社員の半数が早期離職の予備軍!

ディスコ社が社会人1~3年目の若手社員を対象に、現在の勤務状況を調査したところ、せっかく入社したにも関わらず、3年以内で約3割の新卒社員が離職をしている事実の中、若手社員の大半は「ゆくゆく仕事を辞めたい」と考えていることが分かりました。

新卒3割の離職者は氷山の一角であり、非常に多くの若手社員が転職を考えている事実を受け止めなければなりません。

【転職予備軍調査】

若手社員のキャリア満足度調査(2019年3月ディスコ キャリタスリサーチ)

  • 転職活動をしている 4.3%
  • 転職活動はしていないが検討中 46%
  • 転職は考えていない 49.7%

転職検討中の社員と、転職活動中の社員を合わせると過半数を超えているという驚きの結果となっています。
また、入社1年目の社員が転職活動を考え始めた時期は、入社3ヶ月以内がおよそ半数を占めています。

この現実を受け止め、入社前にギャップが生まれないように内定者フォローをより丁寧に、計画的に実施していくことが重要となります。

実際の早期退職の事例

退職のきっかけになる一般的な理由はわかったかと思います。しかし退職する理由は千差万別です。ここでは実際の早期退職されてしまった事例を紹介したいと思います。(参考:マネーポスト2022年4月24日)

聞いていたことと違う!入社1ヶ月で退職した事例

面接では地方勤務はないと聞かされていたAさんですが、入社してすぐに地方での工場研修を言い渡されます。さらに研修の期間が当初は1ヶ月と聞いていたにも関わらず1年に延長されたのです。研修期間は人によって異なり、違和感を覚えたAさんは入社後1ヶ月経たずして退職したと言います。

社風が合わなくて退職した事例

コロナ禍でオンライン設備が進む中で、入社してみたら完全対面主義の会社だったBさん。営業職にも関わらず直行直帰はNGで、一度会社に立ち寄ってから対面で上司に報告しなければならないという会社だったそうです。毎朝社員全員で朝礼を行い、何かミスして怒られる際は、フロア全体に聞こえるような大きな声で怒鳴られるというまさに昭和感たっぷりの雰囲気で、入社して2週間で退職したようです。

先輩社員と折り合いが悪くて4日で退職した事例

会社の雰囲気は悪くはなかったけれど、指導役となった先輩社員と折り合いが悪かったため退職したというCさん。細かな態度を指摘されてイヤになり、たったの4日で退職を決意し、そのまま退職代行サービスを使って退職に至ったとのことです。

配属ガチャが外れて入社初日で退職

観光業界の大手企業に入社したDさん。3月から本社で研修を受けており、その際、「本社は活気があってやる気がある」と感じたそうです。しかし、4月になり、いざ配属が決まった先は本社ではなく、「先輩に活気がなく、そのギャップに戸惑い」を感じ、入社初日、つまり4月1日に退職の意思を申し出たとのことです。

実際にあった離職トラブル!を事例で確認

 どのような入社後のギャップやトラブルが要因となり、新入社員の早期離職に繋がったのか、もう少し具体的に確認していきましょう。

労働条件が聞いていたものと異なる

離職者と勤続している方の新卒での体験を比較すると、次のような労働条件に関するトラブルが離職要因となっています。

  • 長時間労働だった(採用時に聞いていた労働時間と異なる)
  • 残業代の不払い
  • 人手不足だった
  • 希望した日に有給休暇を取得させてくれなかった

人間関係・言葉の暴力

男女ともに人間関係におけるコミュニケーショントラブルで離職に繋がっています。

女性の場合は、「結婚・出産」といったライフイベントと、「育児・介護」などの家庭環境との両立を理由に周囲から辞めるように言われたり、否定的な言葉を浴びせられたことが離職に繋がっています。

男性の場合、「暴言・暴力」といった攻撃的な人間関係トラブル、「いじめ・いやがらせ」といった陰湿な要因が多くみられます。

周囲からのフォローが不足

入社したばかりなのに上司からの指示がない、分からないことを相談しづらいという理由で離職するケースも多いです。

  • 分からないことを自分から相談、質問した
  • 希望の仕事内容や働き方を伝えた
  • 自分の働きぶりに意見や感想を上司に求めた

このように、新卒社員から先輩上司に能動的にアクションを求めたときほど、離職に繋がっているというデータも見受けられました。つまり、上司側から新卒社員への積極的なコミュニケーションが不足してしまうと早期離職に繋がることがわかります。

早期退職を防止するための対策

早期退職を少しでも減らすために・・・!主にどのような対策が実施されているのでしょうか。

【1】コミュニケーションの向上

上司や同僚とのコミュニケーションを活発にすることを一人一人が意識することで、働きやすく居やすい環境を作りとなり、コミュニケーションが苦手な若手社員の心の定着を目指します。

(例)
・ありがとうを伝える。
・相手の話を否定しない。
・ポジティブな言い回しで安心感や余裕をもたせる。
「あの件どうなった?」→ 「あの件、どれぐらい進んでる?」
「不明点はないか?」→ 「何かあればサポートするよ!」

【2】本人の能力・適性に合った配置

若手社員にストレスがかからない、且つモチベーションにもつながる適材適所な仕事を割り振ることで、同時にチャレンジ精神も高めていきます。しかしこれは、「●●な理由から、~な仕事をしてもらうんだよ」と相手にしっかりと伝わらなければ、“出来ないから外された・・・”と思わせてしまうことも・・・いかに高いモチベーションを保ちつつ、生産性のある適性を見極めていくかが最難関です。

【3】入社前の詳細な説明と情報提供

何と2013年時点では52.1%と、最も急上昇した対策です。その理由は、「実際に入社してみると、面接で聞いてた話と違う・・・」という理由で早期退職が増えだしたことにありそうです。

そのため、面接時に正確な仕事の情報提供をし、少しでも不安なことや疑問点を解消しようといった対策が多くの企業で実施されています。企業側の地道な努力が垣間見える対策ですね。

【4】メンター制度、OJT制度の導入

メンター制度とは、所属する部署の上司や先輩とは別に、年の近い先輩社員をメンターとして配置し、新入社員の職場での悩みや不安を相談しやすい環境を作る制度です。一方OJT制度は、配属された部署で実際に仕事をしながら指導を受け経験を積んでいくという方法のため、OJT担当者は同じ部署の先輩社員が担当することになります。

実際の業務を支えるOJTと職場での悩みを聞き相談に乗るメンターを置くことで、「悩みを気軽に相談できる」「アラートを出しやすい」環境を作ることができます。また、このような制度を利用し違う世代や他部署との関わりを持つことで、入社したものの気軽に話をできる先輩社員がおらず、孤立してしまうという状況を未然に防ぐこともできるのです!

【5】定期的な面談をおこなう

入社してしばらくは研修などで学ぶことがほとんどのため、「会社の利益のために」という感覚を持つことが難しく、自分はなんのために仕事を頑張るべきなのか、とわからなくなってしまいがちです。そこで、まずは比較的すぐに達成が可能な目標をいくつか設定し、課題として与えることで、職務上での「達成感」を覚えることができます。

また、その目標をもとに週に一度上長との面談を設け、現在の状況や次の目標設定をしたり、業務内での成功や失敗を振り返ることで、新入社員の具体的な進捗状況、業務を通して感じていることを把握することができます。週に一度というと高頻度のようにも思えますが、自席で片手間に会話をするだけでなく、場所を設け、「面談」という時間をとることで、「新入社員の話を聞く姿勢」を見せることが重要です。

実際にヤフー社では「1on1」という週次ミーティングを行っており、週に1度30分、その1週間での成功や失敗について、その要因を深く考え、そこで得た教訓から次へどう活かすのか、を上司と部下の2人で話し合う時間を設けています。

結果的に社員には内省をする習慣がつき、上司と部下の間の認識のズレが生じることも減ったそうです。

こまめにコミュニケーションを取ることで信頼関係を構築することができ、新入社員にとっても「理解してくれる上司がいる」という安心感が生まれ、モチベーションアップにもつながるのではないでしょうか。

他社が行う効果的な内定者フォロー事例【資料DL】

内定者フォローを丁寧に行うことで、内定辞退を減らし、入社後の早期離職も防ぐことが可能です。キャリアマートでは、内定者フォロー事例集を公開しています!

他社が、どのような施策を実施しているか、次の資料でぜひご確認ください。

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まとめ

以上、『新入社員の早期離職の対策』についてお届けしました。

やはり人間関係、コミュニケーションがいかに大事か分かりますね。貴社では、どういった取り組みをされていますか?仲が良く、和気藹々と見えていても、1人上手く話の輪に入れない新入社員はいないでしょうか。

  • 「いつもありがとう。」
  • 「頑張ってくれてるのちゃんと見てるよ。」

そんな日々の何気ない言葉でも、時として彼らの数年先のモチベーションをも向上させられるかもしれません。私自身も、「よく頑張ってるね」といったあの時の上司の言葉が今を支えてくれていると思うことも度々あるほどです!

そして、新入社員にとって人事担当者は、後に入社する会社の「最初の支え」でもあります。ぜひ採用期間だけでなく、入社後も彼らをサポートし、成長を見守っていってほしいと思います!