大学院生の就活事情とは?理系文系別採用するメリット・人気企業ご紹介

大学院生の就活事情 理系文系別採用するメリット

毎年就活シーズンに差し掛かると、大学院生の採用活動に関して課題を抱えている採用担当者も多くいるのではないでしょうか?

就活シーズンになると、基本的に学部生をターゲットに採用活動を行う企業が多い一方で、大学院生の採用も積極的に行っている企業も多くあります。ただ大学院生の採用活動は、通常の学部生の採用方法や人気の企業、採用後のメリットも大きく異なるため、事前に把握しておく必要があります。

そこで本記事では、「理系文系別の大学院生を採用するメリットやスケジュール、院生から人気の高い企業などの詳細」を解説していきます。

大学院生の生態

まず最初に抑えておきたいのが、大学院生の生態です。

そもそも何割の学部生が大学院に進み、その後就活をするのか、文系と理系の割合はどれくらいかなど、基本的な大学院生の生態を把握しておくことは必須となるでしょう。そこでこの章では、大学院生の基本的な生態について詳しく解説します。

何割くらいの学生が院へ進むのか

文科省が行っている2020年度版学校基本調査によると、大学院に進学する学部生の割合は11.3%です。

大学院への進学率は、ピークであった2010年から比較すると10年連続で下降しており、その原因の一つとして、就活市場における売り手市場があげられます。

参照:文部科学省「令和2年度学校基本調査」

2020年にコロナウィルスが流行する以前は、売り手市場と言われ、就活生の数が圧倒的に人材を必要とする企業よりも多い市場でした。そのため、学部生にとっては比較的内定を獲得しやすい状況にあり、大学院に進学せず企業へ就職する選択肢の方が好まれた傾向にあります。

逆に2010年はリーマンショックの影響が大きく、就職氷河期とも呼ばれる時代でした。そのため、就職先企業が見つからず大学院への進学を選択する学部生が多かったとも言えます。

現在はコロナウィルスの影響で多くの企業が新卒採用を抑えており、2021年卒の内定率は例年と比較して下がっているため、大学院への進学率が上昇する可能性が非常に高いです。

文系と理系の割合

文科省の発表によると大学院全体の割合として、理学、工学などをまとめた理系が約62%、人文学などの文系が約17%、残り21%が教育やその他の分野を専攻していることがわかりました。そのため約半分以上の大学院生は理系だと言えます。

参照:文部科学省「大学院の現状を示す基本的なデータ」

基本的に学ぶ分野の深さや範囲の広さから、理系の学部生の方が4年間では学びきれなかったと感じ、大学院へ進学する傾向が強いのが現状です。また一般的に理系の大学院を卒業している場合、就活の際武器になるとの見解が強いのも理系の大学院生が多くなっている原因の一つと言えます。

院生の就活率

文科省の調査によると、2018年3月卒の大学院生の約8割弱は卒業後に就職をしています。人数で表すと約5.6万人にあたり、この数値は学部卒の就職者人数である43.6万人と比較するとたったの1割強にしかいません。

そもそもの絶対数が少ないため、大学院生の採用が学部卒生に比べて圧倒的に難しいことがわかります。そのため大学院生の採用を考えている企業は、事前に大学院生のスケジュールなどをしっかりと把握し、事前に対策を行うようにしましょう!

大学院生の就活スケジュール

次に大学院生の就活スケジュールについて解説を行います。基本的には文系と理系で大きな違いはなく、以下のようなスケジュールで進みます。

修士1年目7月~2月  インターンシップ・自己分析・業界企業研究
修士1年目3月     企業説明会・ES提出・選考開始
修士2年目4月~    内定

上記のように基本的なスケジュールは学部生と大きく違いはありません。ただ気をつけなければ行けないのが、文系と理系によって、就活へ臨むスタイルに違いがある点です。

文系の場合

文系の場合多くの大学院生が営業職やバックオフィスへ就職をします。そこで文系の場合選択肢が多い分、一人がいくつもの企業に応募をします。

つまり文系の大学院生は7月~2月の間で、より多くの企業のインターンシップへの参加や企業研究を行い、多くの企業から内定を獲得する傾向が強いです。そのため4月以降に内定を出しても、内定辞退をする確率が高いです。

文系大学院生を採用する場合は、4月以降のフォローやケアなども重要になり内定を出した後も企業側は比較的忙しくなりやすいと言えます。

理系の場合

理系大学院生の場合、より専門的な研究を行っている人が多く、技術職やメーカーの開発、研究職に就職する割合が多いです。

また理系の場合、1つの分野を深く研究する傾向が強いため、様々な企業へ応募するよりも、狙いを数社程度に絞って応募する人が多いのが特徴です。そのため文系のように何人からも応募が入ることはあまりないため、7月以降インターンシップ始める前に、事前に企業の情報の公開や、興味を引くための動線などを作って先手を打つ方が良いでしょう。

大学院生から人気の就職先ランキングTOP5

では、実際に大学院生が卒業後・就職したいと思っている企業は、どのような企業なのでしょうか。今回はランキング形式で、上位5社を解説していきたいと思います。

第5位 野村総合研究所

第5位は野村総合研究所です。

野村総合研究所は新卒採用で、特にシステムエンジニアの採用に力を入れています。さらに大学院卒であれば転勤なしのエリア限定職でも24万円以上と高水準な点も魅力と言えます。

また野村総合研究所は日本最大手のシンクタンク企業のため、大学院で多くの研究を重ねた大学院生たちが、今後の自分の成長などを求め志望するため、毎年上位にランクインしています。

第4位 日立製作所

前年度から1つ順位を上げ、日立製作所が4位となりました。

日立製作所では現在グローバル展開など、規模を広げているため、人気企業として常に上位にランクインしています。

また募集学科に関しても、理系の募集が非常に多く、明らかに理系大学院生の採用を強化しており、しっかりとした採用ブランディングも行っています。そのためここ最近では、日立製作所への就職を希望する理系大学院生が増えてきています。

第3位 パナソニック

パナソニックは一つ順位を落としながらも、3位にランクインしています。

パナソニックは従来の就活スケジュールに縛られることなく、学業や研究に集中してほしいとの思いで、2021年4月以降の入社を対象に、通年採用制度を始めることを発表しました。特に大学院生の場合、日々の研究などが忙しく中々就活に集中できないケースも多々あります。

そんな中パナソニックの通年採用は、大学院生にとって柔軟性が高く、就活のスケジュールに追われることなく、就活に挑めるとして非常に相性が良いものとなっています。

第2位 トヨタ自動車

今年は意外にもトップから順位を落としたのがトヨタです。

第2位とは言え、日本の時価総額ランキングで常に1位に君臨するトヨタは依然として大学院生からの人気が高いです。学歴別で見ると、大学院卒の社員の平均が1,100万円と年収面でも優遇されていることも、大学院生が就職先を探す際、トヨタを候補の一つに入れる理由となっています。

第1位 ソニー

そしてトップに輝いたのが、ソニーです。

ソニーは音楽やゲームはもちろん、映画や金融、エレクトロニクスなど、多くの事業を展開しているため、理系文系問わず大学院生からの人気が非常に高いです。加えて大学院卒の場合、月給が28万円スタートです。

大学院卒の場合の平均が約23万円とされていることを考慮すると、非常に水準が高いため大学院生にとっては魅力的に映っているのでしょう。

参照:キャリタス就活【就職希望企業ランキング】2021年卒大学院生の就活生が選ぶ人気企業とは?

大学院生を採用するメリット

実際に学部生と大学院生の採用する際、どのような違いやメリットがあるのでしょうか。今回は理系、文系それぞれに分けて大学院生を採用するメリットについて解説していきます。

文系の場合

文系の場合、知識の量や見解、情報量の多さがメリットと言えます。

文系の研究の場合、1つの研究を行う際にもあらゆる方面からの情報を集めなければいけないため、自然と見解が広がります。そのため、文系出身者は多くの情報や社会情勢に精通している学生が多い傾向にあり、営業職や企画職として採用する際に、非常に大きなメリットとなります。

理系の場合

逆に理系の場合は、1つの分野に関し精通しているため、専門職としての力を発揮させやすいメリットがあります。

そのため、自社の専門職で明確に補強したい部署があれば、理系大学院生のスキルや知識は学部生と比べ即戦力として採用しやすく、入社後すぐに重要なポジションを任せられるメリットがあります。

まとめ

前述通り、年々大学院に進学する学部生は減っていますが、採用後に選らえるメリットは非常に大きいものです。

一方で絶対数が少ないため、優秀な大学院生の採用を目指すのであれば、しっかりと就活スケジュールなどを把握し、事前の対策も必要になってきます。今後大学院生の採用を検討している企業の人事部の人は、是非この記事を参考にして優秀な大学院生の採用を成功させてください。

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