1on1とは?目的・進め方・失敗事例などをおさえて導入成功へ

1on1とは

「若手がなかなか育たない」「離職が続いて人手不足」といった悩みを抱えていませんか?

このような問題解決の手立てとして、1on1の導入があります。近年1on1を導入する企業が増えていることから、耳にしたことがあるかもしれません。

この記事では、1on1の概要や目的、進め方のポイントなどを紹介し、よくある失敗例と、その対策方法をまとめまています。1on1の導入を検討している方はもちろん、新入社員の育成や離職防止の手立てを考えている人事担当者の方は、ぜひ見逃さず、最後までお読みください!

1on1とは?

1on1とはまずは、1on1(または1on1ミーティング)とはどういったものか、紐解いていきましょう。

1on1とは、上司と部下が行うマンツーマンの面談を指します。1on1は1回きりで終了するのではなく、定期的に実施して回数を重ねていきます。

上司と部下の面談と聞くと「上司が部下の評価をするのでは?」とイメージするかもしれません。しかし、1on1は部下が上司に仕事の悩みや課題を相談する場です。上司は部下の話に耳を傾け、改善に向けてサポートします。

このように、1on1は上司と部下が双方向で関わり合う「対話型のコミュニケーション」が大きな特徴です。

人事面談との違い

1on1と混同しやすいのが、人事面談でしょう。しかし、1on1と人事面談は似て非なるものです。1on1を導入する前に、人事面談との違いと目的をしっかり把握しておきましょう。

人事面談は、上司が部下を評価し、目標などを確認する目的で行われます。そのため、上司がメインで話を進め、評価のフィードバックや目標達成までの進捗状況の確認といった内容になります。実施頻度は、4ヵ月から半年に1回というケースが多いでしょう。
一方、部下が抱えている仕事の悩みや考えていることを、上司が傾聴するのが1on1です。仕事のみならずプライベートな話をしてもOKです。こうした比較的フランクな話し合いを、週に1回から月に1回の頻度で重ねていきます。

1on1を実施する目的

1on1は、ただ単に上司と部下の円滑なコミュニケーションを図るためだけに導入するのではありません。1on1を実施することには、次の3つの目的があります。

上司と部下の信頼関係の構築

1on1が上司と部下がお互いに理解し合う機会となり、信頼関係の構築を目指せます。上司が「最近調子はどう?」「苦労している問題はある?」と親身に話を聞くことで、部下は些細な悩みでも相談しやすくなるでしょう。
こまめにコミュニケーションが図れていれば「このくらい知っているだろう」といった、思い違いも防げるはずです。

部下の成長を促す

1on1の大きな目的は、部下の成長を促す点にあります。
普段の業務で仕事のやり方は教わっても、振り返って改善していく方法まではなかなか教わりません。そこで、1on1で部下が日頃の仕事の成果を振り返り、上司が話を傾聴します。振り返りの習慣が身に付くのはもちろん、部下は上司が持つ豊富な経験・知識に触れることで、新たな視点や解決法を見出せ、仕事のパフォーマンスや生産性の向上につながるでしょう。

さらに、振り返りは部下が自らの才能やスキルに気付ける機会となります。上司が部下の才能を引き出すきっかけになるケースもあるでしょう。自分の長所に気付くことによって、より専門性を高める・スキルアップするといった成長への足掛かりとなります。

組織力の向上・離職の防止

1on1で部下の成長を促せれば、個人の生産性が高まり、会社自体の組織力強化が目指せます。また、部下が悩みや困りごとを相談しやすい環境を整えることで、予想外の離職を防げるでしょう。

人材不足が叫ばれている昨今、部下の離職を防止しつつ組織力を向上させる目的で1on1が導入されています。

1on1のスムーズな進め方とポイント

では、1on1の具体的な進め方を解説します。スムーズに進めるためのポイントもまとめました。

1.1on1の周知・目的の共有

まず、社内で1on1の周知をしましょう。しかし、ただ「1on1を行います」と知らせるだけでは、社員は何のために行うのか分かりません。しっかり1on1の目的を共有してください。

ポイントは「部下の成長のために1on1を実施する」と伝えること。上司との面談と言われると気乗りしない部下もいるでしょう。そこで「部下の成長のため」という目的を伝えれば、ネガティブな印象が和らげられます。

2.実施日時・場所の決定

次に、1on1を実施する日時と場所を決めます。日時と場所は、上司と部下の都合をすり合わせて決めてください。ここでは、部下の都合をきちんと考慮するのがポイントです。

上司の都合で一方的に日時が決定されると、部下は「忙しいのに考慮してくれなかった」と不信感を抱く可能性があります。
場所も、リラックスできるラウンジ、会話を聞かれない個室など、部下の話したい内容に合わせて決めてください。

3.1on1で話す内容を検討

日時と場所が決まったら、1on1で話す内容を考えます。特に上司は部下に聞きたい話の整理が必要です。例えば、次のような質問が挙げられます。

  • 業務で困っていることや問題はないか?
  • 人間関係にトラブルが起きていないか?
  • この先どのようなキャリアを目指したいか? など

1on1を密度の濃い時間にするには、事前準備がキーポイントです。テーマを決めていないと、何を話したらいいか分からず、ただ時間ばかりが過ぎてしまいます。また、アジェンダ(予定している内容をまとめたもの)を部下にも共有し、話す内容を考えてもらうようにしましょう。

4.1on1の実施

日時が来たら、1on1を実施します。上司は聞き役に徹し、部下の話が終わってからフィードバックやコーチングを行います。1on1の間で部下の話している時間が7~8割になるのが目安です。

ここでのポイントは、1on1の内容を記録に残すこと。1on1は1回で終わるのではなく、継続して実施します。そこで話したことを記録し、次回までに忘れないよう振り返れるようにしておくのです。話す内容やフィードバックなどを書き留められる、1on1専用の記録シートを作成しておくのもおすすめです。

5.次回の実施日時を検討

1on1の終了時に、次回の実施日時と場所を検討します。次回の予定を組むことによって、1on1に継続性を持たせるのがポイントです。次回の実施日は、1~3週間後程度に設定し、少なくとも月1回の実施を定着させましょう。

1on1でありがちな失敗と有意義な時間に導くカギ

ここからは、1on1でありがちな失敗を紹介します。どうすれば失敗を防げるのか、実りある時間にできるのか、その対策まで深堀りしていきましょう。

NGその1:上司が一方的に話してしまう

上司が一方的に話してしまう1on1は、残念ながら失敗です。

1on1は、上司が意見やアドバイスばかり話す面談ではありません。部下は自ら話すことで客観的な振り返りができ、問題解決に向けて行動する力を培っていけるのです。

上司は聞き役であると意識し、部下の話を引き出すスキルが必要になります。

対策術:1on1に必要なスキルを身に付けられる研修を実施する

とはいえ、聞き役に徹するのは難易度が高く、ついつい口を挟みたくなってしまう方もいるでしょう。そのため、1on1を実施するには上司のスキル習得が必須です。1on1で必要なスキルには、以下があります。

  • コーチング:話を傾聴し、適度に質問を投げかけて相手の価値観や考えを引き出す
  • フィードバック:考え方の違いや問題点に対し、改善策を伝える

コーチングやフィードバックが的確にできれば、1on1がより充実した時間となります。上司向けにスキルが習得できる研修を実施し、成功を目指しましょう。

NGその2:上司に威圧感があって部下が話しにくい

上司に威圧感があると、どうしても部下は話しにくいもの。せっかく1on1を実施しても部下が思うように話せなければ、きちんと振り返りができず不完全燃焼で終わってしまいます。また、上司と部下の信頼関係が築けていなければ、なかなか本心を話せません

対策術:話しやすい雰囲気や信頼関係をつくる

部下に緊張せずに話してもらうには、雰囲気づくりや信頼関係の構築が重要です。そこで、次の方法を試してみてください。

【上司】
・穏やかな声で話す
・寛容な態度で部下に接する
・失敗談やプライベートの話などを交え、部下が親しみを持ちやすくする など
【場所・準備物】
・公園やテラスなど開放的な空間で1on1を行う
・お菓子・飲み物を準備して堅苦しくない雰囲気にする など

NGその3:優先順位が低く後回しにしている

日々業務に追われていると、1on1がなかなか実施できないケースがあります。特に一人の上司が複数の部下の1on1を担当していると、都合が合わせにくくなるでしょう。

上司に「この日は都合が悪くなったからまた今度」と繰り返されると、部下は「自分のことは後回しにされている」と感じてしまいます。こういった状態が続くと、部下の意識の中でも1on1は優先すべきことではないと根づいてしまいかねません。

対策術:社内で1on1の目的や重要性を再確認する

1on1の優先順位を下げないようにするには、社内にしっかりと1on1の目的を周知させる必要があります。併せて、1on1による人材育成の重要性もアピールしましょう。

  • どうして会社が1on1を導入したのか
  • どんな目的で行うのか
  • どのような効果が期待できるのか

などが分かれば、1on1に取り組む姿勢が積極的になるはずです。

NGその4:前回の1on1の内容を忘れてしまう

1on1は何度も実施するため、前回の内容を忘れてしまうと話がかみ合わなくなります。そればかりか、「話をしっかり聞いていなかったのでは?」「適当な態度で接しているのでは?」と、信頼関係が揺らぐ原因となりかねません。

対策術:上司・部下の双方が確認できる記録を残す

1on1で話した内容は、記録を残すのがポイントとお伝えしました。各々がメモをとる方法もありますが、上司と部下の双方が確認できるようにクラウドツールなどを活用するのがおすすめです。

クラウドツールなら管理やログの検索がしやすく、1on1の担当が変わっても引き継ぎやすいメリットもあります。

NGその5:実施しても会社の問題が見えてこない

1on1を行っても「なぜ若手が定着しないのか分からない」「どこにつまずきやすいのか見えてこない」といった状況であれば、導入成功とは言えないでしょう。1on1を行う現場に任せっきりでは、会社の問題や課題は把握できないでしょう。

対策術:経営側や人事担当者が1on1の実施状況を分析する

1on1で会社の問題を発見するには、経営側や人事担当者の関わりが必要です。経営側や人事担当者は、1on1の実施状況を分析し、課題を見つけて対応します。分析する際は、次の観点に注目してみてください。

  • 1on1の質
  • トピックの傾向
  • 頻度
  • 進捗状況
  • 上司と部下の関係性

など、さまざまな角度からの情報を基に、どこに会社の課題があるのか見つけます。情報が多く、整理が困難な場合は、1on1分析ツールを導入すると効率が上がるでしょう。

まとめ

1on1は、上司と部下の対話によるコミュニケーションです。部下が日頃の振り返りを話し、上司が丁寧に聞いて適切にフィードバックすることで、部下の成長、ひいては組織力の向上や離職の防止につながります。

しかし、社内に1on1の目的が周知されていなかったり、上司にスキルがなかったりすると、失敗になりかねません。闇雲に1on1を導入するのではなく、目的や進め方、失敗例などもしっかり踏まえ、自社に取り入れるか検討してみてください。

また、新入社員には「フォローアップ面談」が有効的です。以下の記事で詳しく説明してますので、ぜひ合わせてご覧ください。

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