【2026年】労働基準法改正で何が変わる?人事が今から押さえるべき基本と対策

  • 田上 ゆうき
    • 2026-04-17
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    人事・労務の実務で土台となるのが「労働基準法」です。労働時間・休日・休憩・残業代など、日々の運用ルールの多くは労基法を前提に決まります。

    一方で、制度を体系的に理解できていなかったり、就業規則や勤怠管理が適切か不安を感じたりする担当者も少なくありません。テレワークや副業の広がりで、従来の運用ではトラブルが起きやすい状況です。

    さらに2026年には労基法の見直しが予定されており、今後は“なんとなく運用”では対応が難しくなる可能性があります。本記事では労基法の基本を整理したうえで、改正の動きと人事が押さえるべきポイントを解説します。

    ・労働基準法の「基本」と、会社が守るべきルールの全体像がわかります。
    ・よくあるトラブル(労働時間・休み・残業代)を防ぐために、まず何を見直すべきかがわかります。
    ・2026年の見直しに向けて、社内だけで抱えずに「外部の支援(採用代行・アウトソーシング)」を使う考え方がわかります。

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    2026年の労基法改正:変わるポイントを一覧で整理

    2026年に向けた労働基準法の見直しは、「働き方が変わったのに、法律の前提が昔のまま」というズレを埋める動きとして注目されています。テレワーク、副業・兼業、スマホやチャットでの業務連絡などが当たり前になり、これまで“運用で何とかしていた”部分が限界にきているからです。

    1,連続勤務の上限と「休む時間」の確保(勤務間インターバル)

    まず大きいのが、働きすぎを防ぐためのルール強化です。

    具体的には、連続勤務が長くなりすぎないように上限を設けることや、終業から次の始業までの間に一定の休息時間を確保する「勤務間インターバル」を整える方向で検討が進んでいます。もし制度化が進むと、シフト制の職場や繁忙期の運用では、勤務表の組み方や勤怠チェックの方法を見直す必要が出てきます。

    2,休日の考え方の明確化(法定休日の扱い)

    次に論点となっているのが、休日のルールをわかりやすくすることです。現場では「休みは取れているはず」と思っていても、法定休日の考え方があいまいなままだと、割増賃金の計算やシフト運用でトラブルにつながりやすくなります。

    今後は、法定休日の位置づけや運用が、より明確になる方向で整理される可能性があります。

    3,労働時間の特例の見直し(週44時間の特例など)

    一部の業種や小規模事業場で認められてきた「週44時間」の特例についても、見直しが論点になっています。もし特例が整理されると、これまでの勤務体系を前提にしていた企業では、シフトの再設計や人員配置の見直しが必要になる可能性があります。

    4,賃金の計算ルールの整理(有休・割増など)

    賃金計算は、会社ごとの差が出やすく、ミスや問い合わせが起きやすい領域です。有給休暇を取った日の賃金の考え方や、割増賃金の扱いなどを、よりわかりやすく整理する方向で議論が進む可能性があります。

    制度が変わると、給与計算の設定変更だけでなく、勤怠データの取り方や締め処理の流れまで見直しが必要になることがあります。

    5,副業・兼業が広がる前提でのルール整備

    副業・兼業が増える中で、「複数の仕事をしている人の労働時間をどう考えるか」も論点です。企業側としては、副業人材を受け入れやすくする仕組みづくりと同時に、働きすぎにならないように健康面の配慮をどう行うかが課題になります。

    6,「つながらない権利」(勤務時間外の連絡)への対応

    業務時間外でも、チャットやメールで連絡が来ることが当たり前になり、対応が“暗黙の仕事”になってしまうケースがあります。この負担を減らすために、勤務時間外の連絡対応の考え方を整理し、ルール化する動きが論点の一つです。

    会社としては「どこまでが仕事か」「勤務時間外の対応をどう扱うか」を、就業規則や運用ルールに落とす必要が出てきます。

    7,働き方の多様化への対応(雇用に近い働き方)

    フリーランスや業務委託、プラットフォームを通じた働き方など、雇用と似た形で働く人が増えています。そのため、労働者として扱うべき範囲や、保護の考え方をどう整理するかも議論されています。

    ここは企業側にとって、契約書の作り方や業務の指示の出し方に影響が出やすいポイントです。

    労働基準法とは

    労働基準法とは、働く人が安心して働くために、会社が必ず守らなければならない最低限のルールを定めた法律です。給料、労働時間、休み、休憩、残業など、日々の人事・労務の運用に深く関わっています。

    この法律の大きな特徴は、「会社と社員の話し合いで決めた内容」であっても、労働基準法より条件が悪い場合は認められない点です。つまり、労働基準法は会社のルールよりも優先される基準として位置づけられています。

    たとえば、
    「忙しい時期だから残業代は出さない」
    「本人が納得しているので休日は後回しにする」
    といった運用は、たとえ本人の同意があっても、労働基準法に反する可能性があります。

    人事担当者にとって、労働基準法はトラブルが起きたときに確認する法律ではありません。就業規則の作成、勤怠管理の仕組みづくり、給料計算の考え方など、すべての土台になる法律です。

    最近では、テレワークや副業・兼業など、働き方が多様になっています。その結果、これまで問題にならなかった運用が、知らないうちに労働基準法に合わなくなっているケースも増えています。

    労働基準法の目的

    労働基準法の目的は、働く人の生活と健康を守ることにあります。長時間労働や休みのない働き方を防ぎ、最低限の労働条件を国が定めることで、安心して働ける環境をつくるための法律です。

    もし法律がなければ、会社ごとに条件がバラバラになり、立場の弱い働く人が不利な条件を受け入れざるを得ない状況が生まれてしまいます。そのため労働基準法では、「これ以下の条件はダメ」という最低ラインを明確にしています。

    この考え方は、人事・労務の実務においてとても重要です。なぜなら、業務が忙しくなったときほど、

    「今回は特別だから」
    「現場が回らないから仕方ない」

    と、ルールがあいまいになりやすいからです。

    労働基準法は、そうした状況でも判断のよりどころになる基準です。人事担当者は、現場と会社の間に立つ立場として、この目的を理解したうえで運用を考える必要があります。

    労働基準法が適用される人

    労働基準法は、「労働者」に対して適用されます。ここでいう労働者とは、会社と雇用関係があり、指示を受けて働いている人を指します。

    そのため、

    • 正社員
    • 契約社員
    • パート
    • アルバイト

    といった雇用形態に関係なく、条件を満たせば労働基準法の対象になります。「パートだから」「短時間だから」という理由で、労基法の対象外になるわけではありません。

    一方で注意が必要なのが、業務委託やフリーランスです。契約上は業務委託でも、

    • 勤務時間や場所を細かく指定されている
    • 業務の進め方について強い指示を受けている

    といった場合、実態として「労働者」と判断されるケースもあります。この判断を誤ると、「労基法の対象外だと思っていたが、実は違反だった」というトラブルにつながりやすくなります。

    人事・労務の現場では、誰が労基法の対象なのかを正しく整理することが、すべての対応の出発点になります。自社だけで判断が難しい場合は、外部の専門家やアウトソーシングを活用することも、有効な選択肢の一つです。

    労基法で特にトラブルになりやすい4領域

    労働基準法に関するトラブルは、すべての項目で均等に起きるわけではありません。実際には、特定のポイントに集中して発生しています。

    特に人事・労務の現場で相談や指摘が多いのが、「労働時間」「休み」「残業」「給料」の4つです。ここでは、それぞれの領域で起こりやすいトラブルを見ていきます。

    労働時間(法定と所定の違い)

    労働時間に関するトラブルで多いのが、法定労働時間と所定労働時間の混同です。

    法定労働時間とは、法律で定められた労働時間で、原則として「1日8時間・週40時間」とされています。一方、所定労働時間は、会社が就業規則などで定めている勤務時間です。

    この2つを正しく理解していないと、「会社の定時内だから残業ではない」「所定時間を超えていないから問題ない」といった誤った判断につながりやすくなります。

    特に、テレワークや直行直帰など、働く場所や時間が柔軟になるほど、実際の労働時間を正しく把握できていないケースが増えています。

    休憩・休日(法定休日と所定休日)

    休みの考え方も、トラブルが起きやすいポイントです。中でも多いのが、法定休日と所定休日の違いが整理できていないケースです。

    労働基準法では、原則として「週に1日以上の休日」を与える必要があります。これが法定休日です。一方で、会社独自に設定している休みは所定休日と呼ばれます。この違いを理解していないと、どの休日に働いた場合に、どの割増が必要なのか判断できなくなってしまいます。

    シフト制や変形労働時間制を採用している企業では、「気づかないうちに法定休日が確保できていなかった」という事態も起こりやすいため、注意が必要です。

    時間外労働(残業)と36協定

    残業に関するトラブルで欠かせないのが、36協定(サブロク協定)です。法定労働時間を超えて働かせる場合、原則として36協定の締結と届け出が必要になります。

    「忙しい時期だけだから」
    「本人が納得しているから」
    といった理由では、残業をさせることはできません。

    36協定がないまま残業をさせていた場合、残業代を支払っていても、労働基準法違反となる可能性があります。

    特に、管理職扱いや裁量労働制など、制度を正しく理解しないまま運用しているケースでは、知らないうちに違反状態になっていることも少なくありません。

    賃金(残業代・割増賃金)

    給料に関するトラブルで多いのが、残業代や割増賃金の計算ミスです。割増が必要になる条件を正しく理解していないことが原因になるケースが多く見られます。たとえば、以下のこれらには、それぞれ割増賃金の支払いが必要です。

    • 時間外労働
    • 深夜の労働
    • 法定休日の労働

    「固定残業代を入れているから大丈夫」「年俸制だから残業代は出ない」といった思い込みも、トラブルにつながりやすいポイントです。賃金の計算は、勤怠管理や就業規則とも強く関係しています。そのため、人事だけでなく、現場や給与担当も含めた運用の見直しが欠かせません。

    人事担当が最初にやるべき社内チェックリスト

    労働基準法の内容を理解しても、「結局、どこから見直せばいいのかわからない」と感じる人事担当者は少なくありません。特に、2026年の見直しを見据えると、すべてを一気に対応するのは現実的ではないケースも多いでしょう。

    そこでまずは、トラブルにつながりやすいポイントを中心に、社内の状況を整理することが重要です。ここでは、人事担当が最初に確認しておきたい項目を3つに分けて紹介します。

    就業規則で確認すること

    最初に見直したいのが、就業規則です。就業規則は、労働基準法の考え方を会社のルールとして落とし込む役割があります。

    まず確認したいのは、以下の基本的な部分です。

    • 労働時間や休みの考え方があいまいになっていないか
    • 法定休日と所定休日の区別がついているか
    • 残業や割増賃金のルールが正しく書かれているか

    「昔つくったまま内容を見直していない」「実際の運用とズレがある」という場合、知らないうちに労基法に合わない状態になっていることもあります。

    勤怠の運用で確認すること

    次に確認したいのが、日々の勤怠管理です。労働基準法では、実際に働いた時間をもとに判断が行われます。そのため、以下の点をチェックする必要があります。

    • 打刻漏れや修正が常態化していないか
    • テレワーク時の労働時間を把握できているか
    • 連続勤務や長時間労働になっていないか

    勤怠の記録があいまいなままでは、残業代や休みの管理も正しく行うことができません。結果として、会社にとって大きなリスクになる可能性もあります。

    給与計算で確認すること

    最後に確認したいのが、給料の計算方法です。特に残業代や割増賃金は、トラブルになりやすいポイントです。

    • 残業時間が正しく集計されているか
    • 法定休日・深夜の割増が正しく反映されているか
    • 固定残業代の扱いが明確になっているか

    といった点は、必ず確認しておきたいところです。給与計算は、就業規則や勤怠の運用と強く結びついています。どこか一つでもズレていると、全体に影響が出てしまいます。

    社内だけで抱え込まないという選択

    ここまで確認してみて、「見直す点が多すぎて手が回らない」「判断に自信が持てない」と感じることもあるかもしれません。

    労働基準法への対応は、人事だけで完結するものではなく、専門的な知識や実務経験が求められる場面も多くあります。そのため、採用代行や人事アウトソーシングなど、外部の支援を活用することも、有効な選択肢の一つです。

    採用活動の改善に限界を感じている方へ

    応募単価やスカウト運用に課題を感じている場合、採用活動全体を見直すことで改善できるケースも少なくありません。

    キャリアマートでは、スカウト代行を含む採用アウトソーシング(RPO)の知見を活かし、採用戦略の整理から施策設計・改善までを支援しています。

    ・ 採用戦略・KPI設計/媒体・施策の最適化

    ・スカウト・選考プロセスの設計/運用改善

    ・ 数値に基づく改善PDCAで応募単価と応募数を両立

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    まとめ

    2026年に向けた労働基準法の見直しは、これまでの「なんとなく運用」を見直すきっかけになります。就業規則・勤怠・給与計算は、規程と仕組み、現場の理解がそろってはじめてトラブルを防げます。

    一方で、採用や現場対応と並行して準備を進めるのが難しい企業も少なくありません。必要に応じて、採用代行や人事アウトソーシングを活用し、負担を減らしながら早めに整えることが大切です。

    制度対応に追われる前に、まずは今の人事体制でどこまで対応できるかを整理してみましょう。