コロナウィルスが猛威を振るう中、多くの企業が2020年卒の新卒採用に苦労をしたことは記憶に新しいでしょう。
従来通り新卒の採用イベントが開催できなかったり、遠方から来る学生との対面面接が行えなかったりと、様々な規制の中であらゆる工夫を凝らしてきました。
そこで現在注目されているのが、オンラインで開催される採用イベントです。採用フロー自体のオンライン化はすでに浸透しつつありますが、オンラインでの採用イベントとなると、どのように行って良いか頭を抱える人事の方もいるのではないでしょうか?
そこで本記事では、「2020年にアメリカがリリースしたSNS、clubhouseを活用したオンライン採用イベント」に関して、徹底解説を行っていきます。
Clubhouse(クラブハウス)とは
読者の中には、そもそもclubhouseとは何なのかと疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。そこでまずは、clubhouseについて、概要をまとめていきます。
画像引用:App Store「Clubhouse」
clubhouseは、2020年にアメリカの2人の元Google社員によって創業され、同年4月からアメリカでリリースされた音声特化型SNSです。最大の特徴は、映像が流れず音声のみでユーザー通しが繋がれる点です。
そのため採用イベントに応用する際は、企業案内用のスライドショーやその他資料などを制作する必要がなく、比較的少ない工数で開催することができます。
また1つのトークルームで発言できる人数が3人と決められているため、複数の社員が対話形式で企業紹介を行えることも魅力の一つでしょう。さらにこの3名の発言権は随時交換することができるため、質問などがある学生がトークルーム内で挙手をすれば、その場で質問が行えることもclubhouseのメリットの一つです。
以下にclubhouseの細かい特徴をまとめたので、利用を検討している人事の方はぜひ目を通してみてください。
- 招待制SNSのため、利用者から招待されないとアカウント作成不可(1人2名まで招待可能)
- 電話番号登録必須の実名制SNS
- バックグラウンド再生が可能
- 現在はiPhone版のみのリリース
- 全ての説明が英語
企業がClubhouseを始める手順
それでは次に、具体的なclubhouseの開始手順を解説していきます。
Clubhouseの始め方
1 clubhouseアプリのインストール
まず初めに行うことは、clubhouseアプリをインストールするところからです。
2 アカウントを登録する
アカウントの登録方法は、大きく分けて2つに分かれます。
1.既存のclubhouseユーザーから招待してもらう方法
1人が持てる招待枠は2名のため、なかなか招待してもらうのが難しいのですが、これが最もオーソドックスな始め方です。そのため社内で流行に敏感な方や、人脈が広い方に頼み、招待枠を手に入れてもらう必要があります。
下記のようにSMS宛に招待URLが届くので、そこから必要事項を入力することで登録完了です。
2.waitリストに登録して待つ方法
このwaitリストは、電話番号を交換したユーザーがclubuhouseを始めた際に、自分もclubuhouseを始めることができるという、いわば順番待ちリストのようなものです。電話番号・リアルネームを登録後、下記の画面が表示されると、あとは承認を待つのみです。
この場合、相手の招待枠も減らないため、「誰かに招待を頼むのは気が引ける」と感じている場合、こちらの始め方をおすすめします。
clubhouseでの学生の集め方
では実際にclubhouseを開始した後、どのように学生へ周知すればよいのでしょうか。
この宣伝に関しては、従来の採用イベントと同じ方法で問題ありません。企業ページや各採用広告、企業用SNSなど各媒体でclubhouseを開始したことを記載しておくようにしましょう。
またclubhouseは配信内容をアーカイブに残せないため、リアルタイムでの参加が必須になります。そのため、各媒体で宣伝をする際、開催日時はしっかりと記載するよう注意してください。
clubhouse企業アカウント活用事例
ここでは、実際にclubhouseを使用して、どのように採用活動を行えば良いか、様々な事例を元に解説をしていきます。
ファン(学生)によるクラブ
まず初めに、clubhouseを利用している学生同士のクラブです。
近年TwitterやLINEのオープンチャットでは、趣味の話だけではなく、互いの就活情報を交換する場としても利用されています。
そのため現在就活をしている学生たちが、それぞれの情報交換の場としてclubhouseを使用しています。人事の方でclubhouseのアカウントを持っている方がいれば、就活生を装い、そのクラブに潜入してみるのも良いでしょう。
現役学生の「生の声」が聴けるため、今後の採用活動において、非常に有益な情報を得られることが期待できます。
clubhouseでの採用イベント事例
上記の活用方法はやや特殊な方法ですが、次は企業がclubhouseを通して採用イベントを行った事例をいくつか解説していきます。
株式会社ヌーラボ
福岡県に本社を構えるヌーラボは、2021年1月にclubhouseを活用した採用イベントを開催しています。
今回の採用イベントでは、人事担当と広報担当の募集を行ったため、現役の人事部と広報部の社員に加え、社長の計3人でトークセッションを開催していました。
またその場で質疑応答ができるclubhouseのメリットも活かし、上記の2職種以外に興味のある学生とも積極的にコミュニケーションを図り、多くの学生と接点を持つことに成功しています。
株式会社LayerX
経理関連の作業をデジタル化するプロダクトを開発しているLayerXも、clubhouseの流行に目をつけ、すぐにclubhouseを通して採用イベントを行いました。
採用イベントを開催したLayerXの執行役員である石黒氏の報告によると、結果としては以下の通りとのことでした。トーク開始時で120名ほど学生が集まっており、最大時には300名を超える学生が集まり、黒田氏の説明を聞いていました。
その後参加した学生のツイートによると、LayerXメンバーの雑談が面白い、社長の理念や考え方に共感できるなどと言った、音声SNSならではの反響も多くありました。
株式会社猿
webマーケティング事業をメインとしている株式会社猿も、clubhouseを通した採用イベント実施しています。
株式会社猿の特徴として、今回のセミナーをclubhouse限定で行っており、他では聞けないトークなどをメインに組み立て、より学生からの興味を引き立てる手法を取っています。
実際のトーク内容も企業説明やなどは少なく、社員同士のクロストークや、社長が語る未来像など、こちらも音声SNSに特化したコンテンツでイベントを実施しています。
また3人の発言権を交換できる制度も活かし、イベントの終盤には学生たちからの質問タイムも設けていました。
人事同士の交流会
学生同士がclubhouseで情報を交換するのと同じく、人事部同士の情報交換ツールとしてもclubhouseは非常に優秀です。
特にこの時期は、様々な情報を集めたいと思っている人事の方も多いと思いますが、コロナウィルスの影響でなかなか交流会などは開催できないのが現状です。
そこで採用情報を交換したい人事部同士でクラブを立ち上げ、最近の市場や学生の動向などの情報交換を行うケースも増えてきています。
ウェビナー(WEB説明会)
clubhouseには、社員同士のクロストークができる魅力がある一方で、Web上での会社説明会の場としても応用することができます。
しかしclubhouseは音声SNSのため、従来のように詳細に作りこんだ資料やスライドショーを展開することができないため、口頭でわかりやすく企業説明を行う必要があります。
そのため、話す内容を音声のみで学生に伝えらえるよう、要点を絞り込むなど、入念な事前準備を忘れないよう注意してください。
clubhouseは今、始めるべきか?
clubhouseは最新のSNSのため、すぐに導入すべきか迷う企業も多いかと思いますが、企業によっては今から始めることで、メリットを得られる場合があります。
こんな企業はclubhouseを導入すべき!
SNSやwebマーケティングに強い企業は、clubhouseを導入すべきと言えます。clubhouseを運用する際、学生へのアプローチは必須となります。
そのため、普段からSNSの運用に強い企業や、マーケティング力のある企業であれば、効率よく運用することができるでしょう。
今はclubhouse導入を「見送るべき」企業の特徴
新たな採用手法として導入をおすすめしているclubhouseですが、現段階ではweb回りに弱い企業とは、相性があまりいいとは言えません。
上記で述べた通り、clubhouseを運用する際、学生の集客は最大のポイントであり同時に難点でもあります。
誰もが知る超大手企業であれば、黙っていても学生が集まりますが、マーケティングやSNS運用を苦手としている中小企業はすぐにはclubuhouseを始めず、周りの企業の実績や出方を見て、参考材料が増えてから運用することをおすすめします。
まとめ
ここまで解説した通り、すでに多くの企業や学生がclubhouseを採用、就職活動の際に利用を始めています。特に流行に敏感な大学生たちの間では、すでに爆発的に流行しているため、clubhouseを利用した採用活動は、正しい選択と言えるでしょう。
しかし一方で、まだ情報が少ないため、この段階で導入をおすすめできる企業とそうでない企業があるのも事実です。
そのためclubhouseの導入を検討している人事の方は、この記事を参考に今後の採用イベントの開催方法を考えてみてはいかがでしょうか。
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