突然ですが、「VUCA」という単語をご存知ですが?
VUCAとは簡単に言うと、社会やビジネスの場面で将来の予測が難しい状態になっていることを表す単語です。そしてこのVUCAは採用市場においても大きく影響を及ぼしています。
そこで今回は、新時代に対応すべくVUCAとは何なのか、企業に何が求められているのか解説をしていきます。
VUCA(ブーカ)とは?
VUCAとは以下の4つの単語のイニシャルを集めた造語であり、その起源は1990年代に冷戦が集結した後、軍事用語として使用されていた時代まで遡ります。そして2010年代に移り変わり、成長や変化が激しい市場をVUCAという言葉で表されるようになりました。
Volatility(変動性)
まずはVUCAのVですが、これは変動性を意味します。
特に現代ではITの成長が著しく、採用市場においても様々なHRTechなどの発達によりわずか数年で市場が激変します。そのため、去年まで通用していた採用戦略や人材要件が、次年度では通用しないことも当たり前のようにあります。
このように、成長速度が早い現代社会において、常に市場が変動していることから、各企業で変動性への対応力が求められています。
Uncertainty(不確実性)
つぎにUですが、これは不確実性を表します。
ビジネスを展開する上で、基本的には確実性の高い戦略、再現性のある戦略を取るのは定石です。しかし前述で触れたように、現代の市場は常に変動し続けています。そのため、従来の方法が通用せず予測不可能な事態に陥ることも常に懸念され、多くの企業はこの不確実な事態に以下に対応できるかが求められます。
近年の例でいうと、コロナウィルスの影響で有効求人倍率はリーマンショック以来最低の倍率を記録しことも記憶に新しいでしょう。
そして、この様な事態を誰が予想できたでしょうか?このように、経済や市場や常に外的要因により不確実な状況になっており、事前にたてた経営戦略において、大幅な修正を求められることも少なくありません。
Complexity(複雑性)
Cは複雑性を表しており、グローバル化や少子高齢化などにより、ビジネスそのものが従来よりもより複雑になっています。そのため、どこか一つの企業で成功したビジネスモデルを参考にし、自社に取り入れたとしてもそう簡単に同様の結果を残せないということです。
採用の市場に置き換えてみると、採用システムなどのHRTechが良い例です。現在では多くのHRTechサービスが市場に出回っており、多くの企業でそれらのサービスが扱われています。
結果として、採用KPIを達成できたり、内定辞退を防いだりと多くの企業が良い結果を残しています。
一方で、採用ターゲットが違う企業や、そもそもITシステムに精通していな人事がいる企業などでは、HRTechを取り入れても同様の結果が得られていません。このように、一つのモデルの成功例がどの企業にも当てはまることが非常に少なくなっており、ビジネスモデル全体が複雑化しています。
Ambiguity(曖昧性)
Aの曖昧性に関しては、先述の複雑性が大きく関係しています。
社会情勢が急速に変動する現代では、ビジネスが複雑化し、それらの問題や課題に対してのこれと言った一つの正解を導き出すことが非常に困難です。そのため、複雑性の解説で例に出したHRtechでも同じことが言えますが、成功した企業のモデルを取り入れても、同じ様な結果が出るかというと、その答えは曖昧です。
このように、VUCAの変動性、不確実性、複雑性、の全てを考えると、絶対的な正解を導き出すこと事態はほぼ不可能といっても良いでしょう。そのため、VUCA時代と呼ばれている現代では、ビジネス全体が曖昧であるため、この不確実な中で事業を拡大させていく力が企業には求められています。
VUCA(ブーカ)時代とは?
結論から言うとVUCA時代とは、予測不能で変動的な社会情勢のことを指します。さらに、企業にはこの様な状況で常にリスクヘッジをし、事業を成功させるため様々な能力が求められています。
企業に求められているもの
では実際に、具体的にどの様なことが企業に求められているのでしょうか。
大きく分けて、企業には以下の3つのことが求められます。
- 明確なビジョン
- 最新の情報のインプット
- スピードある判断
明確なビジョン
まず最初に必要なのが、明確なビジョン設定です。短期的な話ではなく、中長期的に見て会社がどの方向へ進むのか、経営戦略を具体的にたてる必要があります。事前に明確なビジョンをたてておくことで、急な市場の変化や不測の事態に対応する準備ができ、もしも経営が傾いたとしてもそのダメージを最小限に食い止めることができます。
最新の情報のインプット
そして次に必要なのことが、最新の市場の動きなどの情報をインプットすることです。常に変化している経済市場では、昨日まで当たり前だったことが、明日の朝にはもう当たり前ではなくなっているケースも少なくありません。そのため、常に経済の動向や市場の変化にはアンテナを張り、その動きに合わせて柔軟に経営戦略を修正する力も求められます。
スピードある判断
そして最後にスピードのある決断力も企業には必要とされています。
例えば、今回のコロナウィルスのような影響が出たときに、市場には多くの優秀な人材が職場を探しているにも関わらず、採用をする企業は多くありませんでした。この様な状況で、早期の回復を見越して採用を拡大するのか、今は採用を控えるのかなど、素早い決断を迫られるシーンも多くあります。
結果として上記の3つのことは、VUCA時代を切り抜けるために、企業側が備えていなければならない能力と言えるでしょう。
なぜVUCAが注目されているのか?
ではそもそも、なぜ現代のビジネスにおいてVUCAが注目されているのでしょうか。
結論としては、各企業やITの急速な発達によりヒト・モノ・カネの流動が高速化され、従来どおりの戦略ではビジネスが成功できない環境に変わったからです。さらに、現代では数十年前に比べて、個人が取得できる情報量が非常に多くなっており常に最新の情報をアップデートする必要があります。
加えて各企業でのグローバル化なども影響し、より一層社会情勢の変動が激しくなってきました。
このように、現代社会が著しい成長を遂げた反面、その成長スピードに企業が取り残されずついていくために、VUNCAへの意識が高まりVUCA時代に突入したと言えます。
VUCA(ブーカ)時代の重要思考「OODAループ」
VUCA時代に合わせて重要とされているOODAループと言う言葉を知っていますか?OODAループとは、VUCA時代における意思決定のモデルで、詳しくは以下の頭文字から成り立つ造語です。
- Observe(観察)
- Orient(適応)
- Decide(決断)
- Act(行動)
つまり、常に変化が起こる市場でまずは経済の動きを観察し、最適な道筋を見つける必要があります。そしてその道筋を見つけた後、実際に収集した情報をベースにそれらの出来事に適応しなければなりません。
更に机上での設計が完了した後は、実際に行動へ起こすための選択肢を決断し、最後に行動を起こします。この様な流れをOODAループといい、VUCA時代には重要な考え方として認知されています。
VUCA(ブーカ)時代に採用すべき人材とは?
実際に企業がVUCA時代で成功を収めるには、企業のあり方に加えてVUCAに適応できる人材を採用する必要があります。そして、具体的にVUCA時代に採用べき人材は、以下のような人材があげられます。
- ゼロからイノベーションを起こす人材
- 環境の変化にスピーディに対応できる人材
- 常に課題を見つけ解決に導ける人材
大きく分けると上記の3つです。
大前提として、VUCAは常に安定せず、市場が不確実なままスピーディに変化し続けます。
そのため、基本的にはこのVUCAに対応できるスピードや情報収集力、能動的なマインドが求められるため、上記の3つを持ち合わせた人材を採用することが、VUCA時代で成功を収める鍵を握っていると言えるでしょう。
まとめ
ITの成長とともに、各企業が躍進的な成長を続けている一方で、それらの成長についていけない企業は時代とともに遅れを取ってしまいます。
そのため、時代の成長に合わせて企業も成長する必要があり、実際に企業がVUCA時代で成功を収めるには、企業のあり方に加えてVUCAに適応できる人材を採用する必要があります。
現在VUCA時代を切り抜けるべく、経営戦略や人事組織の再編成に取り組んでいる企業の方は、この記事を参考にどのようにVUCAと向き合うか、どの様な人材が必要なのかなど、突破口を見つける参考にしてください。
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