出戻り社員のメリット・デメリット、再雇用すべきではない人物の特徴

出戻り社員のメリットデメリット

転職活動が当たり前になり、終身雇用制度がなくなりつつある最近では、一度は離職した会社に再び入り直す出戻り社員が増えています。

出戻り社員がなぜ注目されているのか、出戻り社員を受け入れるメリット・デメリットはどういった点にあるか、ご紹介します。

出戻り社員とは

出戻り社員とは、その名の通りもともと在籍していた会社に出戻って再入社した社員を指します。転職して他の会社で働いてから戻ってきたり、家庭の都合で数年間働いていなかったり、一度ご自身で独立を経験してから戻ってくる人などさまざまです。

出戻り社員は一度は職場から離れたものの、会社独自のルールや仕事の進め方を理解しており、社内に人脈も形成されているため、採用後の受入れがしやすい点が特徴です。

出戻り社員の再雇用実情

大手人材会社エン・ジャパンの調査によると、出戻り社員を受入れ、再雇用したことがあると答えた企業は、回答企業の72となりました。受入れはしているものの、一度退職した社員を再雇用するための制度を必ずしも設けているわけではなく、再雇用制度がある企業は全体の9%でした。

画像引用:エン・ジャパン

また、昨今では出戻り社員を受入れやすくするために、退職者とつながりを持ち続けるための「アルムナイ」という概念も広がっています。アルムナイとは人事領域で、会社の退職者を指す言葉で、会社と退職者が良好な関係性を保つことで新たな市場が生まれているようです。

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なぜ出戻り社員を受け入れたのか

先ほどのエン・ジャパンの調査で、出戻り社員を再雇用したことがある会社に、再雇用理由を聞いてみたところ、「即戦力を求めていた」「人となりがすでにわかっていて安心」という回答が多く集まりました。

画像引用:エン・ジャパン

一度は辞めてしまった人材も、採用ターゲットになり得ると理解していれば、採用や教育コストをおさえてスピード感をもって採用することも可能です。これらのメリットが、再雇用を進める背景となっています。

出戻り社員を再雇用するメリット

出戻り社員を再雇用するメリットを、もう少し具体的に確認していきましょう。

再雇用は、その社員の人となりやスキルレベルがわかっていることで、スピーディな即戦力採用につながる点が最大のメリットです。実際、入社した後もすぐに環境に馴染むことができて、中途者向け研修を省いたり、社内ルールや実務内容の説明といった教育時間を短縮できる点も魅力です。

また、一度辞めて戻ってくるということは、会社の嫌なところも良いところも受入れているとう意味になります。本人も辞めてしまった事実に対して、多かれ少なかれ「申し訳ない」「反省している」「後悔している」といった負の感情を持っている場合もあります。この負の要素があるからこそ、逆に再雇用時のモチベーションが高い傾向もあり、結果として再雇用後は既存社員への刺激にもなりメリットが大きいのです。

出戻り社員デメリット・再雇用時の注意点

再雇用時のデメリットとしては、金銭的な評価、昇進・昇格の制度に関するものが多いです。

出戻り社員の受入れ実績は多いものの、出戻り社員専用の人事制度を完璧に整備している会社はまだまだ少ない印象です。出戻り社員の採用は個別対応となるため、既存社員とのバランスや、再雇用時のポジション、役職、給与や待遇面をどのように決定すればいいか悩むという声もみられます。

また、一度辞めている社員が再び離職となってしまった場合、既存社員との関係性や職場環境に、悪影響を与えるのでは?という懸念もあるようです。出戻り社員を特別扱いしすぎず、かつ離職期間のせいで昇進・昇格の流れが途絶えてしまっていることに対し、人事制度を整えて対応しなければならないでしょう。

絶対に出戻りさせてはいけない社員の特徴

以前に働いていた際に、自社に対してどのくらい功績があったかは見ておく必要があります。営業職であれば、再雇用検討の人物がどのくらい売り上げをあげていたかなどです。

また、過去の退職時、どんな理由で退職することになったのかも把握しておきましょう。もしトラブルなどが原因で辞めていった場合は、再雇用しても同じ未来が見えてくるだけかもしれません。

過去の業績もさることながら、その人物が周囲に与える影響も考える必要があります。再雇用することで現場の士気を上げてくれるような雰囲気を持っているのかどうか、以前に一緒に関係性のあった社員がまだ社内にいる場合には、そういったこともヒアリングしておくことをお勧めします。

  • 過去の雇用時に売り上げをあげていない
  • トラブルを起こしたことがある
  • 周囲にとってマイナスになるような存在だった

このような人物は、絶対に再雇用すべきではないので注意してみてください!

元社員を再雇用したい時の採用手段は?

出戻り社員をスムーズに再雇用するには、次のような採用方法が考えられます。

1.再雇用制度を構築する

1つ目の方法は、再雇用制度を社内で構築することです。いくら出戻り社員から応募があっても、適切な人事制度のもと評価を行い、採用選考し、入社後の人事配置を進めていかなければどこかでトラブルが起きてしまうでしょう。

出戻り社員の役職、仕事内容はどうするのか、中途採用時の教育研修はどこまで簡素化すべきなのか、既存社員との交流機会は設けるべきか、出戻り社員向けのオンボーディングプログラムを作るべきかなど、検討ポイントは複数あります。

場合によっては就業規則の変更も必要になるため、専門家に相談しながら、人事制度全般の見直しを進めてください。

2.採用サイトに出戻り社員専用ページを作成する

出戻り社員を採用する手法として、自社の採用サイトに出戻り社員専用の採用ページを作る方法もあります。採用サイトに、明確に「過去に働いていた方はこちら」と導線をわけることで、採用活動時の対応もスムーズになりますし、対外的に出戻り社員がOKであると発信することが可能です。

なかには「本当は出戻りたいけど、再応募していいかわからない」と悩む方もいるはずです。出戻り社員向けに、募集ポジションや働き方、再雇用時の待遇面など情報を整理しておくと、応募促進につながるでしょう。

3.アルムナイ制度を活用する

出戻り社員を再雇用する3つ目の方法は、アルムナイネットワークを構築し活用することです。アルムナイネットワークは、退職者と会社がつながるコミュニティや取り組みを指します。再雇用にすぐつながらなかったとしても、退職した先輩社員と既存社員の交流イベントや、意見交換を行うことで、社内に良い刺激を与えることができるでしょう。

アルムナイネットワークを活用すれば、「万が一辞めても、会社と良い関係性を保てそうだ」という安心感を与えたり、「先輩社員は退職後も活躍しているので、自分もこの会社でもっと頑張ろう」と前向きになれたりする効果もあります。

また、正式な雇用につながらなくても、退職者と会社が仕事の取り引きをするケースも多くみられます。会社にとっても、優秀な外注先、副業人材を簡単に見つけられる手段として、アルムナイネットワークはメリットが大きいのです。

導入企業事例

最後に、出戻り社員の受入れ実績がある会社や、アルムナイネットワークに力を入れている会社をご紹介します。

アクセンチュア

アクセンチュアは、退職者を「卒業した社員も大切な家族であり仲間です」と発信し、アクセンチュア退職者30万人以上の集まるアルムナイネットワークを保有しています。この巨大ネットワークは日本だけでなく、79ヵ国の全世界で共通のプログラムとなっています。

アルムナイネットワークを築くことで、アクセンチュアに復職をしている実績も多数あるようです。

ニトリホールディングス

ニトリホールディングス、ニトリ、ホームロジスティクスでは、総合職の社員とエリア限定総合職社員を対象に「ジョブ・リターン(再雇用)制度」を設けています。

ニトリは働き方の多様化に適応するため、結婚や出産、育児や介護というやむを得ない事情や、転職・留学といったキャリアアップを理由に退職した社員に向けて、再雇用を促しています。

再雇用の際は、退職前に2年以上勤務していることや、退職理由が結婚、出産、育児や介護などのやむを得ない事情もしくは、転職、留学によるキャリアアップによるものに限定されます。また退職から15年以内であること、という制限や心身ともに健康状態であることなど、制限を設けている点も特徴的です。

まとめ

出戻り社員が色眼鏡で見られていたのは、ひと昔前のできごとです。働き方改革のなかで、働き方の多様化が注目されている昨今では、出戻り社員の再雇用も、積極的に取り入れるべき人事施策の1つとなっています。

とはいえ、受入れ前には既存社員とのバランスを考え、人事制度の見直しが必要になるでしょう。出戻り社員と既存社員、そして会社全体が成長できるような、制度作りを検討してみてください。

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