パルスサーベイとは?メリット・デメリットや実施方法を紹介

パルスサーベイ

社員の仕事に対する意識や精神状況など、社内でどのようなことが起こっているか把握できれば、早急な対応や改善策を講じることができます。パルスサーベイは、タイムリーな社内の状況をこまめにチェックできフィードバックまでを迅速に行える調査方法です。

本記事では、パルスサーベイの概要や進め方について紹介します。社内の活性化や仕事の生産性、効率性の向上を目指す人事担当者の方はぜひご覧ください。

パルスサーベイとは

パルスサーベイ

パルスサーベイとは、企業から自社の社員に向けた意識調査の手法の1つです。簡単な質問を数問用意し、週1回から月1回ほどの短いスパンで行われます。

パルスサーベイの「パルス(plus)」は、日本語で「脈拍」という意味です。脈拍をチェックするように、定期的にこまめにチェックすることからパルスサーベイと呼ばれています。

パルスサーベイの目的

パルスサーベイの目的は、短いスパンでPDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルを回し、社員の満足度をより高めることにあります。

社員の意識や仕事状況、満足度などをリアルタイムに知ることで、スピーディーな対応が可能です。また、こまめな調査は問題の早期発見につながり、問題が大きくなる前に解決できます。

パルスサーベイを取り入れるメリット・デメリット

メリット・デメリット

どんな事柄にも、メリットがあれば、デメリットもあるでしょう。パルスサーベイとは、どのようなメリット・デメリットをもっているのでしょうか。早速確認していきましょう。

メリット

パルスサーベイには多くのメリットがありますが、今回は2つ紹介します。

社員満足度がリアルタイムで把握できる

パルスサーベイは週1〜月1回と、短いサイクルで継続して実施するため、社員や社内に関する最新の情報をタイムリーに知ることが可能です。社内で起きている問題を早急に発見でき、迅速な対応で大きな問題になることを防ぎます。

また、社員間のトラブルや仕事のミス、プライベートでの悩み、健康面などで心理状態が不安定になる社員もいるでしょう。人の心理状況は常に変化しているため、時として仕事のパフォーマンスに関わることもあります。

こまめな調査を行い、悩みを抱えた社員に的確なフォローを施すことでモチベーションアップにつながるでしょう。

社員エンゲージメントを向上させる

ビジネスシーンでのエンゲージメントの意味は「会社への愛着心」と考えられます。

パルスサーベイは、トラブルを抱えていたり問題を定義したりした人物を特定せずに、現場へと調査の報告ができます。つまり、個人を特定し非難される心配もなく、現場の問題改善を行うことができるのです。

パルスサーベイは、社員が抱える思いや問題を知り、企業側がフォローする姿勢を見せることで、社員の会社への愛着心が芽生えるきっかけになります。社員のモチベーションも上がり、離職対策にもつながります。

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デメリット

メリットが多いパルスサーベイとはいえ、少なからずデメリットも存在します。パルスサーベイのデメリットを2つ紹介します。

サイクルが短期間すぎる

パルスサーベイは、短期間で回答が行われるため、実施する側も活用するまでに短期間での対応が求められることを理解しておきましょう。社員がしっかりと回答してくれたのに、企業側は忙しさを理由に問題に向き合えないというケースは、パルスサーベイ導入時によく見られます。

これでは、逆に社員にストレスを与えてしまいます。導入するのであれば、短期間で結果を活用できるよう努めることが大切です。

マンネリ化する可能性がある

短いスパンの中、高頻度で行うことで社員の状況をタイムリーにチェックできるパルスサーベイですが、頻度が多いことでマンネリ化する可能性があります。回答することに社員が負担を感じて、回答を疎かにする場合も考えられるでしょう。

また、繰り返し行ううちに、パルスサーベイを実施することのみに注力してしまい、本質的な意味が不鮮明になることもあります。社員満足度をあげるというパルスサーベイの本来の目的を企業側が理解して実施することが大切です。

どういう場面でパルスサーベイを活用すべきか

パルスサーベイとは、どういう時に活用するべきなのでしょうか。パルスサーベイが役立つ場面を3つ紹介します。

部内に新しい人材が入った時

パルスサーベイは、新入社員や部署移動で部内に新しい人材が入った時に有効活用できます。配属されたばかりの頃は、職場環境に慣れないことからストレスを感じてしまう人もいるでしょう。パルスサーベイを活用し、新しい環境での悩みを聞き出すことで早期対策が可能です。

また、新しい人材が入ると、その職場の雰囲気や人間関係にも変化が起こるでしょう。パルスサーベイには、先輩社員による新人へのフォローの仕方などをフィードバックする役割もあります。

定期的な満足度・心理状況チェックとして

パルスサーベイは社員に向けた簡単なストレスチェックでもあります。短いサイクルで繰り返し調査を行い、社員の精神状況をこまめにチェックします。定期的な調査は、社員の精神的不調の早期発見・改善が可能です。

また部署全体の不満が高まっている状態は、部内に何かしらのトラブルが起こっている可能性があるため、トラブルの早期発見にもつながります。

新しい制度の導入時

新しい制度を導入した時、パルスサーベイを活用すれば現場の社員がどう思っているのか本音を知ることができます。

満足度が上がっていれば、新しい制度の導入は成功といえるでしょう。逆に、満足度が下がっていた場合は新しい制度の見直しが必要だと判断でき、問題点の発見や改善策を考える材料にもなります。

パルスサーベイの進め方

パルスサーベイは4つの段階を踏んで進めていきます。ここでは、パルスサーベイの流れを確認していきましょう。

質問内容の選択

まずは、調査に使用するアンケートを作成します。目的に合わせた質問項目を選択することが大切です。「社員の幸福度」や「仕事に対する意識」など、さまざまな視点から社員のリアルな本音を引き出せる質問を用意しましょう。

回答する側の負担や集計時の手間を考え、段階評価式や「はい/いいえ」で回答できる質問を、多くても15問程度で用意するのがおすすめです。

アンケートを元に調査を行う

アンケート内容が決まったら、社員に配布し回答してもらいます。

配布方法は、回答期日を記載し、メールや社内チャットツールを活用しましょう。メールをチェックする朝や夕方、休憩時に送るなど回答率が上がるよう工夫も必要です。

調査結果を集計・分析

実施後は、回答期限までに回収した結果を確認します。すぐに集計作業を行い、過去の回答内容と比較、大きい変化のあった社員には迅速な対応を心がけましょう。同じ現場内の複数の社員に変化があった場合は、その現場に何か問題が起きている可能性もあります。

調査から分析までを短期間で行うことがパルスサーベイのメリットであるため、分析後はなるべく早めにフィードバックできるよう進めましょう。

問題の対策法を検討し実行

問題が発覚した場合、その問題に関係する社員に面談を行い、問題解決に向けたフォローをしましょう。

フォロー後のパルスサーベイで、フォローの有効性を確認する作業まで忘れずに行います。問題がない社員に対しては、引き続き公正な評価を行い、エンゲージメントの向上やモチベーションアップに努めましょう。

パルスサーベイで効果を出す質問項目

パルスサーベイで効果を出す質問項目

続いては、パルスサーベイの効果を引き出すための質問項目を3つ紹介します。

社員幸福度について

この項目で効果を出すには、次のような質問例があります。

  • 「社内で信頼のおける人や仲のよい人はいますか?」
  • 「この会社で働くことで。学びや成長は感じられていますか?」

社員幸福度は、仕事を通して社員が感じているやりがいや楽しさ、喜びを主観的に評価した指標です。社員幸福度を調べることで、社員がもつ企業への評価も確認できるのです。

社員がどんなことにやりがいや喜びを感じているのか、逆に不満なことを知る機会にもなり、改善点を見つけやすくなります。

企業理念の浸透度について

この項目では、次のような質問を参考にするとよいでしょう。

  • 「会社や現場の方向性を理解できていますか?」
  • 「理念や方針について、経営陣は健全な意思決定をしていると思いますか?」

社員に企業の目指す方向性が浸透していない場合は、企業理念や社員への浸透方法を見直す必要があるでしょう。浸透度が高い状態は、仕事の生産性や効率性の高まり、会社全体の成長が期待できます。

業務について

この項目では、次のような例が挙げられます。

  • 「現在の仕事量は、プライベートとの両立に支障をきたしていませんか?」
  • 「与えられている役割は適切だと感じますか?」

現場の正確な状況を把握するために、業務についての質問項目は必須です。この項目で、社員1人1人に与えられている仕事量や役割が適切であるかをチェックすることができます。不適切な状況であると、社員のモチベーションの低下につながり、生産性も下がるでしょう。

また、役割分担の適切さなど現場全体にも着目し、確認することが大切です。

パルスサーベイを行う時の注意点

パルスサーベイを導入する時は、意図や目的を明確にしてから実施することが大切です。目的が不明確だと、問題を発見できず対策を立てることが難しくなります。

なぜパルスサーベイを行うのか、どんな問題を改善したいのかなど目的をはっきりとさせると、アンケートの作成もしやすくなり、問題の対策についての材料も見つけやすくなるでしょう。

パルスサーベイの事例2選

日本でも、多くの企業がパルスサーベイを導入しています。パルスサーベイを有効活用している2社の事例を紹介するので、導入を検討している人事担当の方はぜひ参考にしてください。

ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社

ソフトバンクでは元々、年1回の社員満足度調査を実施していましたが、より細やかな分析を行うためにパルスサーベイを人事本部が開発し、2019年10月から導入されました。13個の質問は、満足度や仕事に関すること以外にプライベートや健康についてなど幅広く設定しています。

社員と上司のコミュニケーションの活性化も目的とされており、回答者の同意があれば、上司も調査結果を閲覧でき、部下のリアルタイムな状況を把握することが可能です。

アディダス株式会社

アディダス株式会社

アディダスでは月1回、モバイル配信で行うパルスサーベイを導入しています。社員は回答後、集計の結果をチェックすることが可能です。

また、役職者も結果をすぐに確認できるので、問題を抱えた社員や現場に対しての迅速なフォローができる環境が実現できています。

まとめ

パルスサーベイは社員の抱える悩みや社内の状況をタイムリーに把握し、問題が発覚した時に早急に対応し改善できる調査方法です。

目的を明確にして導入することで、社員の満足度が上がり、企業へのイメージアップにもなります。今回紹介した実施方法や注意点を参考に、パルスサーベイを取り入れてみてください。

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