レディネスとは?意味や注目される背景&人材育成のためのポイントを解説

人事領域におけるレディネスとは?人材育成のためのポイントを解説

社員に同じカリキュラムの研修を実施しても同じ成果は出ることはなく、人によって差があり呑み込みが悪い社員も出てきてしまうというケースがあります。ここで要因として考えられるのが、レディネスの低さです。

レディネスとは、心理学用語で「準備性」です。レディネスの意味・活用方法を知ることで、より質の高い人材育成に繋げることができます。

今回は、ディネスの意味からメリット、レディネス導入のポイントまでを紹介していきます。

レディネスとは

レディネスとは

レディネスとは、新しい知識やスキルを学ぶために必要な経験や環境が整っている状態です。

例えばレディネスがない人はそもそも学習する内容に興味関心がなく、どれだけ研修を充実させても効果を出すことは困難です。

逆に、レディネスがある人は自ら学ぶ意味と興味を持っているため、率先して学ぶことができ、効果を上げやすくなります。

レディネステストとは

レディネステストとは、イメージや動機に関して受講者がどれだけ理解をしてるかを図り、仕事に対する興味関心、自身などのパーソナリティを確認するものです。

職業レディネステストを用いて将来の職業に対するレディネスを把握することになります。またレディネスに関してテストを行なった事例として、「ゲゼルのテスト」があります。これは一卵性双生児の双子に対して行なった実験です。

双子の一方には早い段階で階段登りを訓練させました。もう一方の双子には、先に訓練を開始した双子が登れるようになってから、階段登りの訓練を開始しました。そうすると先に訓練を開始した双子よりも、後に訓練を始めた双子の方が階段を登りきる時間が早いという結果になりました。

レディネスレベルとは

今や上司の仕事は部下を「会社に引き留めること」や「育てる」と幅広くなってきています。その中でレディネスレベルとは部下を能力と意欲の2つの視点から4つに分類されたレベルに応じて接する方法です。

レディネスレベル

  1. 能力:低い 意欲:低い
  2. 能力:低い 意欲:高い
  3. 能力:高い 意欲:低い
  4. 能力:高い 意欲:高い

この4つのレベルに応じた接し方を行うことにより部下は戦力をあげることができ、結果として組織に貢献してくれる社員になります。

なぜレディネスが注目される?レディネスのメリット

レディネスを高めることにより、企業にとっては多くのメリットがあります。ここではレディネスが注目されている背景とメリットに関して、3点紹介していきます。

  • 新社会人の育成・戦力化
  • 早期退職者の防止
  • ミスマッチを防止する

新社会人の育成・戦力化

企業にとって新社会人の育成を行い、1日でも早く戦力になってもらうことは重要です。

2006年に経済産業省がこれから人生100年時代を迎える中で、3つの社会人基礎力が重要であると提唱しています。

3つの社会人基礎力

画像引用:ANAビジネスソリューション株式会社「新入社員・若手社員研修」

  • 考え抜く力
  • チームで働く力
  • 前に踏み出す力

レディネスを高めることで、これら3つの「社会人基礎力」が高まり、企業の売上に貢献できる戦力の社員を育成できます。

早期退職者の防止

レディネスの低下は社員の企業内の変化に対応できないことで、モチベーションの低下・早期退職に繋がってしまいます。そうならないためにもレディネスを高めることで、社員が長期的に働き続けられる環境づくりが重要です。

レディネスが高ければ、社員も自分の仕事に対しての理解が深まり、やりがいを見失ったりモチベーションの低下も防げるでしょう。

ミスマッチを防止する

よくあることとして、入社して思っていたのと違うと感じてしまい早期に退職してしまうケースです。新卒労働市場において入社3年目の離職率は、2000年以降約3割とほぼ横ばいで推移しています。

新卒労働市場において入社3年目の離職率

画像引用:厚生労働省「学歴別就職後3年以内離職率の推移」

予算をかけて採用してもミスマッチが起きてしまい退職してしまうと、企業にとっても損失になります。もしもレディネスが高ければ、新卒入社をした社員も理想と現実のギャップを感じづらくなるでしょう。

結果的に入社前に思い描いていたイメージの通り働くことができ、離職率を下げることも可能です。そのようなミスマッチを防ぐためにも、レディネスを高めることが重要です。

レディネスを高める要素

レディネスを高めるためには、レディネスレベルで解説した「能力」と「意欲」の2つの視点に対して適切な対応を行うことが重要です。

能力が高く、意欲も高い部下

能力も高く意欲も高いので、特別な指導やモチベーション管理は必要としません。しかし能力と意欲の高さ故、誤った方向に行ってしまうことがあります。結果として能力と意欲の高さという才能を無駄にしてしまう可能性もあるでしょう。

もしも間違った方向に進んでしまうと、上層部と社員との信頼関係が崩れることにも繋がりかねません。そのようなことにならないように、信頼関係を築き正しい方向性を示し続ける必要があります。

能力が低く、意欲が高い部下

入社したてで意欲は高いが、経験で能力が高くない新入社員がこの枠に入ります。

意欲が高いというとは、モチベーション自体は高いということです。そのため周りの環境次第で、高い意欲のもと能力を伸ばしていける可能性を秘めています。このような部下は意欲を保ちつつ、丁寧に指導することで自主的に能力を高めていってくれます。

能力が高く、意欲が低い部下

意欲は低いですが能力は高いので、意欲を持たせることができれば即戦力になります。

そのため業務指導ではなく、意欲を高めることに注力することが重要です。具体的にはロールモデルとなるメンターを配属したり、仕事に対する理解が深い社員と接点をもたせるようにしましょう。自分がなぜ働いているのか、何を成し遂げたいのかなど中長期的なキャリア形成に付いて話をすることで、意欲を向上させられます。

能力が低く、意欲が低い部下

最も指導や意欲管理に時間がかかります。

しかしその分指導者側の成長にも繋がります。いきなり能力をあげようとしても、一朝一夕では身につかないでしょう。

またマインドセットが整った状態と、そうでない状態では教えたことに対する吸収力にもばらつきが生じます。まずは働くことの楽しさや意味などといった、マインドセットから教育を始めることを推奨します。

レディネスはどう場面で活用すべきか

レディネスはどう場面で活用すべきか

レディネスを活用すべき場面に関して3つ紹介します。主に企業内外での研修、インターンシップで有効活用できます。

企業内研修

企業内研修ではただ業務のことに関して研修を行うのではなく、より企業の成長につながるような経営体質の強化につながる研修が必要です。

経営の本質を社員が理解することで、同じ業務に対しての生産性も上がるでしょう。

外部研修の活用

現在の職場とは異なる環境に身を置くことで、新しい気づきを得る方法です。

職場内では気づくことのできなかった「自身の当たり前」を見直すきっかけになります。このように視野を広げ外部との接点を作ることは、レディネスにおいて一定の効果が期待できます。

インターンシップ

インターンシップは、学生が就職する前に希望する会社にて就業体験を実施することです。インターンシップに参加することで、事前にその会社の実態を把握することができ、レディネスを高めることにも繋がります。

どんなインターンシップを実施するればよいか迷っている企業は下記の記事をご参照ください。

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海外留学

今後、グローバル人材の確保は重要です。

海外留学を行うことで、そこで得た経験を今後のキャリア形成に繋げることができます。また海外留学で得た経験を社内で共有することでプラスの影響が働き、レディネスの向上にも繋げることができます。

レディネス導入で気を付けるポイントは

レディネスを導入する上で気を付けるポイントに関して2点紹介します。

  • 適度にコミュニケーションをとる
  • 風通しの良い職場環境づくり

どちらも社員との接し方に対する内容なので、下記を参考にして下さい。

適度にコミュニケーションをとる

社員1人ひとりのキャリアプランや働き方に関してコミュニケーションが普段から取れている企業は、できていない企業と比較すると離職率が減少する傾向にあります。そのため定期的に社員1人ひとりとコミュニケーションを行う環境づくりが重要です。

風通しの良い職場環境づくり

社員が悩みや相談事を話せそうな企業風土や環境づくりは重要です。社員が働きやすさを感じ、レディネスが高まることにも繋がります。

レディネスの導入事例

ライフイズテック

レディネスの導入事例としてライフイズテックの「DXレディネス研修」を紹介します。

一般的なDX研修とはDX人材となるために必要なテクニックの習得を目的としたものから始まります。しかし、ライフイズテックの「DXレディネス研修」では、テクニックよりも先に重要な全社員向けのマインド・ベーススキルの習得に重点を置いています。

まとめ

レディネスとは新しい知識・スキルを習得する上で重要な経験や環境を整えた状態です。レディネスを高めることで、人材の定着化や早期の社員戦力化に繋げることができます。人生100年時代・変化が著しくある中で、レディネスを高めることは重要度を増してきています。

レディネスを高めるためには能力と意欲の2つの視点で社員を4つのレベルに分け、レベルごとに対応していくことが重要です。

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