大学訪問のメリットとは?注意点や成功させるためのポイントを紹介!

大学訪問

就職サイトでの採用活動が一般化していますが売り手市場の影響もあり、「就職サイトの利用だけでは母集団形成が上手くいかない」とお困りの採用担当者も多いのではないでしょうか。

現在、母集団形成の手段として、大学訪問が改めて注目されています。大学訪問は、掲載して待つだけのPull型の採用ではなく、採用ターゲットの学生に向けて積極的にアプローチすることも可能です。

また、採用コストの削減にも繋がるので、採用費をあまりかけられない企業にもおすすめです。

本記事では、大学訪問の基本的な流れから、成功させるためのポイント、大学の担当者へのアポイントメールの書き方まで詳しく紹介します。

大学訪問とは

大学訪問とは

大学訪問とは、企業の採用担当者が実際に大学のキャリアセンター・就職支援課へ出向き、自社の魅力から求人情報の紹介まで行うことを指します。

アポイント先は、キャリアセンター・就職支援課または、理系学生であれば担当教授の場合もあります。大学との信頼関係を構築することができれば、求人票の紹介・大学内の合同説明会の参加を通して、多くの学生に認知してもらえます。

また、次の代の学生にも紹介してもらえる可能性があるため、自社のターゲット学生と定期的に接触することができます。

訪問の目的

大学訪問の目的は、学生の母集団形成の質の向上、企業の知名度の向上、学校との関係性の強化などが挙げられます。ターゲット学生に対して、早期に直接アプローチすることができるので、質の高い母集団形成が可能です。

また、学校と良い関係を築くことができれば、次年度以降も学内説明会へ参加できる可能性もあり、安定的なプラットフォームの形成ができるようになります。

訪問すべき時期とは?

実施するべき時期に特に決まりはありません。大学毎のスケジュールによりますが、大学内での大まかな就活関連のイベントのスケジュールに合わせることができれば動きやすいのではないでしょうか。

8月~9月 就活ガイダンス
10月~1月 業界セミナー
3月~学内の合同説明会

一般的な大学での就活関連イベントは上記のようになっていますが、大学ごとに様々なので、自社のターゲット学生が多く所属している大学のスケジュールを把握し、逆算して動くことがおすすめです。柔軟にスケジュールを検討しながら進めていきましょう。

大学訪問の基本的な流れ

大学訪問を始める際はまず、ターゲット層を定めて、大学を選定しましょう。大学の就職関連イベントのスケジュールを把握してからアポイントを取る流れがおすすめです。飛び込み訪問は印象が悪くなってしまうため、必ず事前にアポイントを取ってから実際に大学へ訪問しましょう。

では、以下に大学訪問の具体的な流れを解説していきます。

自社の採用ターゲットを設定する

採用ターゲット層の設定は、過去の面接の評価や自社で働いている社員の活動状況をピックアップし分析することがおすすめです。大学訪問で出会える学生の像は、学科や学部だけでなく、サークル活動やアルバイト経験などを踏まえて具体的に落とし込んでいきます。

難しい場合は、社員への性格診断(適性検査など)を用いて、活躍している社員の性格や社内に多くいるタイプを分析し、雰囲気を交えてターゲット層を設定する事もおすすめです。

採用ターゲットに合う大学を選定する

採用したいターゲット層が固まったら、大学を選定しましょう。大学選定のやり方としては、社内での役職者や活躍している社員、内定者の出身大学などを具体的に挙げてみると分かりやすいかもしれません。

また、採用実績のある学校は、活躍できるフィールドがあることが分かるため、キャリアセンターからの印象が良くなります。2〜5校程度に絞ると効果検証ができるのでおすすめです。

アポイントを取る

大学訪問の実施には、大学の協力と許可をもらうことが必要です。飛び込み訪問は印象が悪くなってしまうため、必ず事前にアポイントを取ってから実際に大学へ訪問しましょう。

アポイントを取る担当者は、文系学生の場合、大学のキャリアセンター・就職課の担当者となります。また、理系学生の場合は、研究室にいる教授か学部・学科ごとの担当教授が対象となることもあります。

一般的に、大学のHPに就職担当者の電話番号、または担当教授の連絡先の記載があります。そこからアポイントの連絡を取りましょう。

また、メールでアポイントを取る際の文面を紹介しますので、参考にしてみてください。

件名:【キャリアセンター(研究室)ご訪問のお願い】株式会社○○ 採用担当◇◇

⚫︎⚫︎大学
キャリアセンター ◆◆様
(先方の名前が分かる場合は記載しましょう)

大変お世話になります。
株式会社○○ 採用担当の◇◇と申します。

突然のご連絡、失礼いたします。

この度、貴学へ所属する学生の皆様へ向けて、当社の求人をご紹介させて頂きたく、ご連絡をいたしました。

よろしければ、キャリアセンターのご担当者様へ一度ご挨拶に伺わせて頂けませんでしょうか。

当社では貴学出身の内定学生様及び、入社△年目、△年目の社員が活躍しております。

両者ともリーダーシップが強く、今年もぜひ貴学より学生さんを採用させて頂きたく存じます。

まずは就職活動に関わる情報交換としてお時間を頂けますと幸いです。

下記日程のいずれかで、30分程度お時間を頂きたく、ご都合はいかがでしょうか。

【訪問希望日時】
○月○日(月)〇時~〇時
○月○日(火)〇時~〇時
○月○日(水)〇時~〇時

上記以外で、◆◆様のご希望日程がございましたら、調整させて頂くことも可能ですので、候補日をご教示頂けますと幸いです。

お忙しいところ大変恐縮ではございますが、ご検討の程、宜しくお願いいたします。

(署名)

実際に訪問する

アポイントを獲得できたら、事前準備として訪問先となる大学の下調べが必須です。所属する学生数、就活関連イベントのスケジュールや学校内の合同説明会の実施などを事前に頭に入れておくことで、会話がスムーズに進み、良好な関係性を築くことができるでしょう。

また、名刺や企業パンフレット、求人票は必須です。

大学へ訪問する際は、自社の紹介が主な内容になります。自社のアピールポイントとして、事業内容や採用したいターゲット層を説明できるようにしておきましょう。

お礼メールを送る

大学への訪問後には、メールや電話で担当者へご協力いただいたことへの感謝を伝えましょう。自社へ対する要望や疑問点を頂いた際は迅速に対応し、些細なことでもコミュニケーションを心がけることが大切です。

また、その年の採用が終了した際は、報告を兼ねたお礼を行うと次年度以降も良好な関係を築くことができます。

訪問後に送るお礼メールの例を記載しているので、参考にしてみてください。

件名:【本日の御礼】貴重なお時間を頂きありがとうございました 株式会社○○ ◇◇

⚫︎⚫︎大学
キャリアセンター ◆◆様

いつも大変お世話になっております。
株式会社○○ 採用担当の◇◇でございます。

本日はご多忙のところお時間を頂き誠にありがとうございました。

貴学の就職活動に関わる情報交換としてお時間を頂き、大変嬉しく存じます。

今年もぜひ貴学より学生さんを採用させて頂けますと幸いです。

弊社の事業内容や採用情報に関しまして、疑問点・ご不明点等がございましたら、些細なことでもご連絡を頂けますと幸いでございます。

お忙しいところ大変恐縮ではございますが、何卒、宜しくお願いいたします。

(署名)

関係性を深めるため定期的に訪問する

正直、1回の訪問で自社について深く理解してもらうのは難しく、何度か定期的に訪問する必要性があります。顔を覚えてもらう意味もかねて、できるだけ同じ採用担当者が訪問することをおすすめします。

定期的な訪問で大学との接点を持つことで、関係性構築と会社への理解を深めてもらえます。

大学訪問のメリット・デメリット

大学訪問 メリット デメリット

大学訪問には多くのメリットが存在します。デメリットも含めて、それぞれ3つご紹介します。

メリット

メリットから先に紹介していきます。

母集団形成の質の向上

大学訪問を実施する際に採用ターゲット層を「採用実績のある学校」「自社で活躍している社員がいる」「内定者がいる」といったような形で絞ることで、自社にマッチしている学生が多く在籍する大学にアプローチが可能です。

株式会社学情が2022年卒の学生に対し実施した、就職活動に関するインターネットアンケートの調査では、大学のキャリアセンターを利用したことがある学生は全体の約55.0%という結果が出ています(※)。

就活生の半数以上はキャリアセンターを利用しているため、大学訪問は母集団形成の質の向上にとても有効です。

※参照:HRzine

また、自社の求人票を置いてもらうことで、学生から応募が来る可能性もあります。一度大学との関係性を築くことができれば、次年度以降も自社にマッチする学生と会える確率が高まります。

現在の新卒採用は売り手市場なので、就職サイトのほかに新たな母集団形成の場所として利用することが可能です。

採用コストの削減が期待できる

就職サイトや人材紹介などを介さずに実施できる施策のため、コストをかけず採用活動が可能です。近年はZoomやMicrosoft Teamsなどオンラインでの大学訪問に対応している場合があるため、交通費等もかからず低コストで始められます。

学生の動向、市況など生の情報を把握できる

大学のキャリアセンターでの情報交換で、現在の学生の動きや現状を生の声で得ることができます。普段から学生と接している担当者と話すことで、学生の今の様子を聞くことができます。

就職活動をしている学生の悩みやトレンドを把握することで、採用の方針に役立てることができます。

デメリット

続いては、デメリットを紹介していきます。

人的コストや採用工数がかかる

大学訪問は、他の施策に比べて人的コストや採用工数がかかる点がデメリットと言えます。

オンラインでの大学訪問もありますが、直接訪問した方が短期間での関係性構築に繋がります。

上智大学の杉谷陽子氏によると、対面コミュニケーションの方が「非対面の時よりも相手に情報が伝わった」「理解してくれたと感じやすい」という結果(※)から、誠実な信頼を得られるので、可能であれば直接訪問するのが望ましいでしょう。

参照:リクルートマネジメントソリューションズ

採用担当者の時間だけでなく、移動費や場合によっては宿泊費などがかかってしまうのもデメリットです。

定期的な訪問が必要になるので、膨大な時間がかかる

キャリアセンターの担当者と関係性を築くため、定期的な接触が望ましいですが、どうしても採用担当者の時間として負担が出てきます。

新卒採用担当者の中には、採用だけでなく管理部やそのほかの仕事と兼任されている場合も多いのではないでしょうか。限られた時間の中で、大学への訪問は負担になってしまうかもしれません。

直ぐに効果が得られるとは限らない

信頼関係の構築には1年目だけでなく、2~3年と時間がかかります。確実に特定の大学からの採用を試みたり、大学訪問だけで採用活動を終えたりするのは難しいと言えるでしょう。

大学訪問をおすすめする企業、しない企業

大学訪問はメリット・デメリットがはっきりしているので、実施をおすすめする企業としない企業の特徴をそれぞれご紹介します。

おすすめする企業の特徴

大学訪問は、質の高い母集団形成が可能なので、小規模採用の企業におすすめです。また、採用コストに限りがある企業は、就職サイトや人材紹介などを介さずに実施できる施策のため、低コストで質の高い母集団形成が可能です。

おすすめしない企業の特徴

大学訪問は、膨大な時間がかかる施策となるため、時間がない企業や長期的にアプローチすることが難しい企業は違う手法を試した方がいいでしょう。「今すぐ新卒が欲しい!」といった場合は難しくなってしまいます。

大学訪問を成功させるポイント6つ

大学訪問は、長期的に大学との信頼関係を築いていかなければなりません。そこで、大学訪問から新卒採用を成功させるポイントを6つご紹介します。

大学訪問のゴールを明確にしておく

1回で信頼関係を築いたり、自社の魅力を全て伝えたりするのは難しいため、大学訪問をスタートされる際は、明確な目的とゴールを設定することが必要です。

「ターゲット層の学生と会うためには?」「そこから入社してもらうには?」というように、どのような採用活動を進めていきたいかを考え、大学訪問を行うことが大切です。

例えば、学生へ周知ができ1〜2名内定学生が確保できたらいいのか、それとも学校内の合同会社説明会へ参加し、直接話す機会が持てればいいかは、自社の採用方針に沿ったもので設定すると良いでしょう。

自社の強みを整理する

大学訪問では、自社の紹介が主な内容になります。自社のアピールポイントとして、事業内容はもちろん、入社した社員が自社に入社した理由から学生へ魅力が伝わるように分析をするといいでしょう。

さらに、弱みの理解も重要です。内定を辞退した学生が他社へ決定した理由や選考途中で離脱を決めた学生の特徴を分析することで、アピールポイントを絞ることができます。

大学の下調べは事前に行う

所属する学生数、就活関連イベントのスケジュールや学校内の合同説明会の実施などは、大学の公式HPに記載されていることが多いので、事前に把握しておきましょう。

事前に頭に入れておくことで、会話がスムーズに進み、良好な関係性を築くことができます。キャリアセンターの担当者と限られた時間の中で、情報交換の場として密な時間を取るため大切です。

求人票を準備しておく

キャリアセンターへ訪問する際は、求人票が重要です。就職サイトが一般化している今、求人票など、学生は見ないのでは?と考える方も少なくないかもしれません。

しかし、2022年卒の大学生の約半数はコロナ禍に入った今でもキャリアセンターを利用しているため、提出して損はありません(※)。

※参照:HRzine

常に同じ担当者が訪問するようにする

大学訪問は、定期的にまた長期的に訪問する必要性がある大学訪問ですが、できるだけ同じ担当者が訪問することをおすすめします。顔を覚えてもらう事や、自社の印象を持ってもらい、関係性を構築することでより会社への信頼・理解を深めてもらうことができるためです。

大学側のメリットも意識する

大学訪問は、採用活動において大きなメリットがありますが、大学とのより良い信頼関係を構築するために、大学側のメリットも考える必要があります。

キャリアセンターは学生の相談に乗り、会社を紹介する場合もあります。そのため、自社の選考情報や実際の会社見学などを実施していたらお伝えすると良いでしょう。

また、近年ではインターンシップの需要も伸びているので、インターンシップの実施の有無、OB・OG訪問の可否なども情報として用意しておくと良いでしょう。

大学訪問で抑えておくべき注意点3つ

大学訪問 注意点

最後に、大学訪問を実施する際、抑えておくべき注意点を3つご紹介します。

不自然な手土産は控える

国立大学・私立大学・研究室によって様々ですが、高価なものを渡したり、手土産を毎回の訪問時に持参したりすると、かえって印象が悪くなってしまう可能性があります。

また、国立大学の場合は、手土産を渡すと賄賂となってしまう危険性があるため、企業のノベルティや企業パンフレットにとどめましょう。数千円程度のお菓子など不自然でない範囲を心がけましょう。

急な対応を求めない

大学との信頼関係を構築するため、連絡を滞らせてしまったり、急な日程を提示したりすることは控えましょう。自社に合わせてもらうのではなく、大学の動きに合わせて動くことで、コミュニケーションを円滑に進めることができます。

訪問後のケアを怠らない

大学への訪問後は、必ずメールや電話で担当者へご協力いただいたことへのお礼の連絡を入れましょう。

また、次回の訪問まで、自社へ対する要望や疑問点をキャリアセンターから頂いた際は、迅速に対応することを心がけて進めてください。

また、その年の採用が終了した際は、報告を兼ねたお礼を行うと次年度以降も良好な関係を築くことができます。

まとめ

大学訪問は質の高い母集団形成が可能な施策ですが、大学と信頼関係を構築するため、多くの時間が必要で、就職サイトにプラスして母集団形成を行う企業にとっては有効な手段です。

しかし「今すぐ新卒が欲しい」「時間が足りない」「工数不足で実施が難しい」と感じる場合は、こちらの記事で他にも母集団形成の確保に効果的な方法を紹介しているので、あわせて参考にしてみてください。

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