エンジニア採用において、開発スキルは必須条件です。しかし、履歴書や職務経歴書だけで人材の開発スキルを判断するのは想像以上に難しいでしょう。
そこでおすすめなのが、GitHubというWebサービスを用いた採用活動です。GitHubでの採用は、一般的なエンジニアの採用よりも効率的であるとされており、昨今では多くのユーザー数がいます。
エンジニア採用にお困りの人事担当者はぜひこの記事を参考に、より効率的な採用を目指しましょう。
GitHub採用とは
GitHub(ギットハブ)採用とは、開発者に焦点を当てたSNSの機能を用いて個人のアカウントを閲覧し、履歴書や職務経歴書などと同じように公開されている開発実績から開発スキルを見て採用する方法です。
中には、エントリー時に履歴書や職務経歴書などの提出は求めず、GitHubのアカウントのみの提出を求める企業もあります。
そもそもGitHubとは何か?
そもそもGitHubとは、分散型バージョン管理の仕組みを利用し、世界中の人々が自分の作品であるソースコードやデザインデータなどを保存・公開できるWebサービスです。
また、エンジニア同士でのコミュニケーションが取れるSNSとしての機能もあり、昨今では、400万人以上の登録者数を抱えるほど認知度が高まっています。
GitHubで採用活動を行うメリット
GitHubで採用活動を行うと、どのようなメリットが得られるのでしょうか。以下では、GitHub採用のメリットを紹介していきます。
エンジニアとしての指向性や貢献度が把握できる
GitHubでは、ソースコードの編集履歴を元に個人の行動がわかります。そのため、履歴書や職務経歴書だけでは把握しきれない個人の貢献度や、詳細な行動がわかるというメリットがあります。
学歴に左右されない採用ができる
GitHubアカウントには、個人の年齢・性別・学歴などの情報は記載されていません。そのため、学歴に左右されず、個人の技術をメインに採用を進めることができます。
人材が応募しやすくエントリー数が増える
GitHub採用では、履歴書や職務経歴書などの提出を要求せずに、GitHubアカウントのみで採用活動する場合もあります。そのような場合、求職者が用意するものはGitHubアカウントのみになるため、応募のハードルが下がり、エントリー数が増えるというのもメリットの1つです。
GitHubで採用活動を行うデメリット
GitHub採用にはメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあります。以下では、GitHub採用のデメリットについて紹介していきましょう。
個人のプロジェクトはオリジナルと判断しにくい
GitHubのアカウントに掲載されているプロジェクトは言語・ライブラリ・フレームワークなど多様なうえに、必ずしも候補者のオリジナル作品とは限りません。
また、掲載されているプロジェクトは、個人で作成したものか、複数人のエンジニアが作成したものかも判断がつかない場合があります。
現場エンジニアへ負担がかかる
GitHubを用いた採用は、エントリーのための工数が減る求職者にとって魅力的なサービスといえるでしょう。しかし一方で、現場エンジニアへ負担がかかるというデメリットがあります。
GitHub採用では、GitHubアカウントから技術個性を見極める必要があり、現場エンジニアの協力が必要不可欠です。
公平性がない
GitHubの利用率は年々上がり世の中に浸透しつつありますが、必ずしもすべてのエンジニアがGitHubを利用しているとは限りません。
そもそもGitHubを利用していない求職者は、エンジニア採用の土俵にも立てず、すべての候補者に対しての公平性に欠けるといえるでしょう。
GitHub採用するなら知っておくべき専門ワード
GitHubを用いた採用を行ううえで、知っておきたい専門ワードがいくつかあります。以下では専門ワードの意味とともに、どのよう場面で使用するのかなどもお伝えしていきましょう。
リポジトリ
「リポジトリ」とは、ファイルを保存できるフォルダのようなものを指します。リポジトリの中でも、個人のパソコンで管理するものを「ローカルリポジトリ」、ネットワーク上のものを「リモートリポジトリ」といいます。
普段の作業はローカルリポジトリで行い、複数のエンジニアで作業する際はリモートリポジトリが便利です。
プルリクエスト
「プルリクスト」とは、他人のリポジトリに対し行ったコメントや記述のことです。ローカルリポジトリでの機能追加や改修などを他の開発者に通知します。
コントリビューション
「コントリビューション」とは、プルリクエストなどの活動を行った回数のことです。例えば、プルリクエストを5回行ったとすると、「5コントリビューション」と表現されます。
スター
「スター」とは、他のエンジニアに対して送る「いいね」のようなものです。スターをつけると、後でリポジトリやトピックが見つけやすくなります。
コミットとプッシュ
「コミット」とは、追加や変更したファイルをリポジトリに保存することです。コミットはいくつも保存できます。
「プッシュ」とは、追加や変更したファイルをローカルリポジトリからリモートリポジトリに送るために行う操作のことを指しています。
ブランチ
「ブランチ」とは、履歴の流れを1つのプロジェクトから分岐させることによって、プロジェクト全体に影響を与えることなく、それぞれの開発を進めていける機能のことです。
ソフトウェア開発では、1つのプロジェクトに対し複数人で機能追加やバグの修正などを行うことがよくあります。そのような並行して作業が行われる場合にとても便利でしょう。
GitHubで採用を行う流れ
GitHubで採用を行う流れは企業によってさまざまです。ここでは、一般的なGitHub採用の流れについて解説していきましょう。
まずは、履歴書や職務経歴書と一緒に、GitHubアカウントのURLとメールアドレスを記入した状態で応募を受け付けます。採用担当者は応募があった個人のGitHubアカウントを閲覧し、選考の判断材料として活用するのです。
もう1つの流れとして、人事担当者が先に個人のGitHubアカウントを閲覧してスカウトメールを送る場合もあります。この場合は、エンジニアのアカウントからプロフィールや得意な技術領域、活動量などを細かくチェックすることが大切です。
GitHub採用で優秀なエンジニアを見つけ出すポイント
GitHub採用において、優秀なエンジニアを見つけ出し、採用するポイントについて紹介していきます。ぜひ、GitHub採用を行う際に意識してみてください。
フォロワー数の確認
GitHub採用において、優秀なエンジニアを見つけ出すには、アカウントのフォロワー数を確認するのがポイントです。GitHubはSNSとしての機能も持っているため、他のエンジニアとのコミュニケーションが取れます。
ただし、相互フォローのような文化がないため、実力を持ったエンジニアに多くのフォロワーが集まる傾向にあるのです。目安として50人以上のフォロワーがいるエンジニアを対象に絞っていけば、優秀な人材にたどり着く可能性があるでしょう。
コントリビューションの確認
優秀なエンジニアを見つけ出すにはコントリビューションを確認するのもポイントの1つです。
前述したように、コントリビューションとは、なんらかの活動回数を示す指標です。コントリビューションが多いほど活発に活動していることになるため、開発意欲の高さに期待できます。
採用フローの評価の一部として活用する
GitHubを採用フローの評価の一部として活用するのもポイントです。
GitHubは、エンジニア採用において、個人のスキルを基準に判断できる有効な手段ではありますが、GitHubのみに頼った採用活動はおすすめできません。なぜなら、企業が求めている採用条件を満たすためだけに、GitHubアカウントを作成する求職者が出てくると予想できるからです。
GitHub採用の導入事例
ここからはGitHubを導入した採用事例について紹介していきます。
株式会社メルカリ
株式会社メルカリは、フリマアプリサービスを展開している会社です。2015年の新卒採用の際に、書類選考をGitHubアカウントのみで対応したことで、業界内では一躍有名となりました。
この時応募があったエンジニアの数は40人で、GitHub選考の通過者は9人、その中で採用が決まったのが5.6人だったようです。
職種によって違いはありますが、現在では氏名・メールアドレスなどの基本情報に加え、GitHubアカウントの提出を必須としています。
株式会社アカツキ
株式会社アカツキは、ゲーム事業やコミック事業を展開している会社です。アカツキの応募ページにも、GitHubアカウントのURLを入力する欄が用意されています。
国内エンジニアの応募ページにもGitHubアカウントのURLを入力する項目がありますが、海外エンジニアの場合は入力が必須条件となっているようです。
株式会社ソニックムーブ
株式会社ソニックムーブは、Platform事業やSolution事業を展開する会社です。ソニックムーブでは、通常選考とGitHub選考を併用して行っており、GitHub選考ではアカウントと自身のアピールポイントを入力して応募します。
通常選考では面接が2回あるのに対し、GitHub選考では面接が1回しか設けられていません。
株式会社サイバーエージェント
株式会社サイバーエージェントは、メディア事業やインターネット広告事業を展開している企業です。
現在ではGitHubアカウントのURLを入力する項目を設けていませんが、過去にはGitHub採用を行い、通常4〜5回行う面接を1〜2回に減らせていたようです。
まとめ
専門職であるエンジニアの採用は決して簡単ではありません。しかし、GitHubを利用することで、スキル重視の採用ができる可能性が高まります。求職者も、自分のスキルを活かせる環境へ転職したいというのが本望でしょう。
ぜひ、新しいエンジニア採用の手段として、GitHub採用を取り入れてみてはいかがでしょうか。
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