「候補者が選考途中で辞退してしまい、内定承諾率が上がらない…」そんな悩みを抱えていませんか?
選考辞退の原因が特定できず、効果的な対策が立てられない企業は少なくありません。本記事では、中途採用における選考辞退が発生する具体的な理由や応募者心理を解説し、辞退を防ぐための実践的な対策や成功事例を紹介します。
選考辞退率の低下、採用フローの効率化、内定承諾率の向上を目指し、自社の採用力を強化しましょう。
・選考辞退を防ぐために企業が取るべき具体的な対策
・採用成功につながった企業の事例と実践ポイント
なぜ選考辞退が増えているのか?
近年、多くの企業が「選考辞退」に悩まされています。その背景には、売り手市場の継続やオンライン採用の普及、求職者の価値観の変化などが関係しています。この傾向を踏まえ、企業は採用プロセスの改善を求められています。
売り手市場の影響
日本の労働市場は、長期的な売り手市場が続いています。厚生労働省のデータによると、2024年の有効求人倍率は1.25倍で、前年の1.31倍から0.06ポイント低下しています。これは、求職者1人に対して1.25件の求人がある状況を示しています。特にITや専門職では人材不足が顕著であり、求職者が複数の企業から内定を得るケースが増えています。
また、dodaの調査では、60.3%の人の応募社数は11社以上に応募しているというデータもあり、企業側はより魅力的な条件を提示しなければ選ばれにくい状況になっています。
画像引用:doda 転職成功者の「平均応募社数」
オンライン選考の普及
オンライン選考の普及により、求職者がより多くの企業へ気軽に応募できるようになりました。しかし、対面でのやり取りが減ったことで、応募者が企業に親近感や信頼感を持ちにくくなり、途中辞退のリスクが高まっていると言われています。
面接を受けても企業の社風や働き方がイメージしづらく、「思っていた雰囲気と違った」と感じるケースが増えているのです。
求人件数の増加
コロナ禍で採用を抑えていた企業が一斉に採用活動を再開したことで、求人件数が急増しています。その結果、求職者にとって選択肢が広がり、複数の企業を比較しながら内定を選ぶ傾向が強まっています。選考が長引いたり、企業側からの情報提供が不足したりすると、求職者の関心が薄れ、選考辞退につながるケースも少なくありません。
このような採用市場の変化を踏まえ、企業は選考プロセスの迅速化や、求職者に対する魅力的な情報提供を強化することが求められています。特に、応募者が「この会社で働きたい」と感じられるような面接対応や、選考中のフォローが重要になるでしょう。
選考辞退が発生する主な原因
選考辞退は、企業の採用活動において避けて通れない課題の一つです。特に近年は、求職者が複数の企業に応募することが当たり前となり、辞退のタイミングや理由も多様化しています。
ここでは、面接前・面接直前・面接後における選考辞退の主な理由と、それぞれに潜む応募者心理を解説します。
面接前に辞退される理由
面接前の辞退は、応募者が企業に対して関心を失ったり、別の選択肢を選んだりした結果として発生します。
応募後に再考し希望と異なると判断した
求職者は求人を「ひとまず応募しておこう」という軽い気持ちで選ぶことも多く、応募後に冷静に考え直し、条件や仕事内容が合わないと感じると辞退に至ります。特に、求人情報が曖昧だったり魅力が十分に伝わらない場合、再考後に「合わない」と判断される可能性が高くなります。
希望に反するスカウトメールだった
スカウトメールに魅力を感じて応募したものの、内容を再確認した際に「希望と違う」と感じるケースがあります。特に、大量送信型のスカウトメールだと気づかれた場合、応募者の意欲は大きく低下します。
ネット上での悪い評判や噂を見た
応募者の約89%が企業クチコミサイトを確認しており、ネガティブな評判を見つけると面接を辞退することがあります。企業側が意識していない噂や過去の悪評が、選考辞退の原因になることもあります。
他社での選考が通過・内定が決まった
複数社に応募している求職者は、より早く内定を出してくれる企業に流れがちです。特に志望度が同程度の企業同士では、スピード感が選考結果を左右する要因になります。
面接日程が合わなかった
在職中の転職活動や遠方在住の求職者の場合、柔軟な面接日程の調整ができないと辞退に繋がります。特に、候補日が少ない場合や日程調整に時間がかかる場合は注意が必要です。
面接直前・当日に辞退される理由
面接直前や当日に辞退される、いわゆる「ドタキャン」は企業にとって大きな損失となります。
体調不良や不測の事態
当日の辞退理由として最も多いのが、体調不良や家庭の事情などの予測不可能な事態です。これは防ぎようがないものの、柔軟な日程再調整の体制があると印象が良くなります。
ネット上での悪評を再確認した
面接直前に企業の評判を再確認し、不安を感じてドタキャンに至るケースがあります。特に、求職者は面接前日に再度クチコミを確認する傾向があるため、企業の評判管理は重要です。
他社から内定を受けた
面接当日に他社からの内定連絡を受け、急遽辞退するケースもあります。選考スピードの速い企業が有利になる傾向が強いため、迅速な対応が必要です。
連絡の遅れや企業側の応対が悪いと感じた
面接前の連絡が遅かったり、事務的な対応をされた場合、応募者は「この企業は本気で自分を採用したいと思っていない」と感じ、辞退に繋がります。迅速で丁寧なコミュニケーションが重要です。
面接後に辞退される理由
面接後の辞退は、応募者が企業への期待値と実際のギャップを感じた場合に発生します。
仕事内容・勤務地・給与の不一致
面接で詳細を聞いた結果、応募時のイメージと実態が異なることに気づき、辞退するケースが多いです。特に、勤務地や給与などの条件が希望とずれると、辞退率が高くなります。
求人情報と面接時の説明に齟齬があった
求人情報と実際の業務内容や待遇に違いがあると、企業への不信感が生まれます。人事と現場担当者の認識のズレが齟齬の原因となることも多く、事前に情報を統一しておく必要があります。
面接官や社内の雰囲気に不満を感じた
面接官の態度や社内の雰囲気が悪いと、応募者は「この環境では働きたくない」と感じます。エン・ジャパンの調査では、約80%の応募者が面接官の印象で志望度が変わると回答しており、面接官の対応は非常に重要です。
企業文化や価値観が合わないと感じた
面接を通じて企業文化や社風を知り、自分と合わないと感じることで辞退を選ぶケースもあります。特に、企業理念や業務スタイルへの共感を重視する求職者は、ミスマッチを避ける傾向があります。
選考辞退を防ぐための具体的な対策
選考辞退は採用活動における大きな課題ですが、企業側の工夫次第でそのリスクを軽減することが可能です。応募者が選考を辞退する主な理由は「情報不足」「選考スピードの遅さ」「企業とのミスマッチ」「コミュニケーション不足」などが挙げられます。
ここでは、選考辞退を防ぐための具体的な対策を紹介します。
求人情報を見直し、ミスマッチを防ぐ
求人情報は応募者にとって企業を知る最初の接点です。不十分な情報や誤解を招く表現は、応募者とのミスマッチを引き起こし、選考辞退の原因となります。
勤務地、給与、福利厚生、キャリアパスなど、応募者が知りたい情報を漏れなく記載しましょう。特に「働き方」「企業文化」「評価制度」なども具体的に説明すると、応募者が入社後のイメージを持ちやすくなります。
2、「衛生要因」と「動機づけ要因」を両立
給与や福利厚生といった「衛生要因」だけでなく、仕事のやりがいや成長環境など「動機づけ要因」を明確に示すことで、応募者の志望度を高めます。
3、企業のリアルな姿を伝える
求職者は企業の「実態」を知りたがっています。社内の雰囲気や社員インタビュー、1日のスケジュールなど、応募者が働く姿を想像できるような情報を盛り込みましょう。
スピーディーな選考プロセスを実施する
選考が長引くことで、応募者のモチベーションは低下し、他社に流れてしまうリスクが高まります。スピード感のある選考プロセスが辞退防止に直結します。
エン・ジャパンの調査によると、内定までの期間が2週間以内の企業は辞退率が低い傾向にあります。面接回数の削減や一次選考の簡略化など、スムーズな選考を心掛けましょう。
2、面接日程は柔軟に設定
応募者のスケジュールに合わせて、平日夜や土日など多様な選択肢を用意しましょう。また、オンライン面接を導入することで、地方在住者や在職中の求職者への配慮も可能です。
3、面接前日にリマインド連絡を送る
面接忘れや直前辞退を防ぐため、前日にメールやSMSでリマインドを行いましょう。合わせて「お会いできるのを楽しみにしています」といった温かいメッセージを添えることで、企業への印象を高められます。
応募者との丁寧なコミュニケーションを強化
応募者は選考中の企業対応を通じて、その企業の文化や価値観を感じ取ります。コミュニケーション不足や事務的な対応は、選考辞退の要因となります。
応募後の初回連絡が遅れると、応募者の熱意が冷めてしまいます。応募から24時間以内の返信を目標とし、迅速な対応を徹底しましょう。
2、応募者ごとにパーソナライズした対応を
テンプレート文ではなく、応募者一人ひとりに合わせた文面を意識しましょう。たとえば「〇〇さんのご経歴に非常に興味を持ちました」といった一言を添えるだけで、応募者の印象は大きく変わります。
3、面接以外の場でも接点を持つ
カジュアル面談やオンライン座談会など、応募者が気軽に企業について知る機会を提供することで、安心感や信頼感を醸成できます。
面接で企業の魅力を最大限伝える工夫
面接は応募者にとって企業を知る大きな機会です。単なる「選考の場」ではなく、「魅力づけの場」として活用しましょう。
「良い部分」だけでなく「課題」も正直に伝えることで、応募者からの信頼を得られます。この手法はRJP(リアリスティック・ジョブ・プレビュー)として知られ、入社後のミスマッチ防止にも効果的です。
2、面接官の印象を重視
エン・ジャパンの調査では、約80%の応募者が面接官の印象で入社意欲が変わると回答しています。面接官には応募者への共感や傾聴姿勢を意識させ、対等な立場でコミュニケーションを図りましょう。
3、既存社員との交流機会を設ける
面接の一環として、応募職種の社員と話せる時間を作ることで、職場環境や人間関係に対する安心感を与えられます。特に、応募者と近い立場の社員との交流は効果的です。
採用管理ツールを活用し、効率的にフォローする
採用活動において、多数の応募者を管理しながら迅速で丁寧な対応を行うのは簡単ではありません。そこで、採用管理ツールの活用が効率化に大きく寄与します。
面接日程の調整、リマインドメールの自動送信、進捗状況の可視化など、採用管理ツールを活用すれば、対応漏れや連絡の遅延を防ぐことができます。
2、応募者への適切なタイミングでのアプローチ
ツールを使えば、応募者の選考状況に応じて最適なタイミングでのフォローが可能になります。たとえば、選考が長引きそうな場合には定期的なフォローアップメールを送ることで、応募者の興味を維持できます。
3、データ分析で課題を可視化
選考辞退率が高いポイントや、内定までの平均日数など、データを基に採用活動を見直すことが可能です。改善点を洗い出し、より効果的な施策を立案できます。
まとめ
選考辞退を防ぐには、求人情報の透明化、選考プロセスの迅速化、応募者との丁寧なコミュニケーションが不可欠ですが、これらをすべて自社で対応するのは多大な工数とリソースを要します。
そこで有効なのが採用アウトソーシング(RPO)の活用です。専門のプロが選考フローの最適化や応募者対応を代行し、選考辞退のリスクを大幅に軽減されるため、限られたリソースでも効率的な採用活動が実現可能になります。
「選ばれる企業」を目指すなら、プロの力を活用して採用力を強化していきましょう。