万年ルーキーとは?ずっと下っ端社員、放っておくとどうなる?

自分の部署に万年ルーキーと呼ばれる社員はいるでしょうか。万年ルーキーとは、所属する部署になかなか後輩が入らず、いつまでたっても新人のような仕事をし続けている30代前後の社員のことです。

万年ルーキーと呼ばれる社員がいる場合、企業や部署に何らかの原因があると考えられます。

今回は、万年ルーキーと呼ばれる社員が発生してしまう原因とともに、若手社員が定着しない部署をそのままにしておくことで起こりうるリスクを紹介します。

また、採用現場においてできる対策も紹介するので、自社の採用方法を見直してみてください。

万年ルーキーとは

万年ルーキー

万年ルーキーとは、所属している部署内に後輩がいない20代半ばから30代の社員のことで、部署の中で一番若く新人社員のような仕事を行っている人のことです。

2008年に発生したリーマンショックの影響で、企業が新卒の採用を控えた結果増加しています。

さらに日本は人口減少が続いており、理想的な採用ができない状況が続いています。

そのため、今後さらに採用難が厳しくなる可能性があり、万年ルーキーと呼ばれる人はそのまま30代~40代を迎える可能性もあるのです。

万年ルーキーが生まれてしまう原因

万年ルーキーと呼ばれる人がいるということは、つまり新卒や若手の社員がいないということです。なぜ新卒者や若手社員がいない状況になってしまうのか見てみましょう。

正社員採用をしていない

ひとつめの原因は、リーマンショック以降、企業が新卒採用を控えていることです。

帝国データバンクが実施している調査によると、リーマンショックが起きた2008年度以降の数年間、40~47%の企業で正社員の採用が控えられてきていました。

2012年度以降はその割合が減少していきますが、2023年度も全体の約63%にとどまっています。

ここ数年、徐々に正社員の採用は増加しする傾向にありますが、まだまだ採用が控えられているのが現状です。

万年ルーキー

 

万年ルーキー

画像引用:2023年度の雇用動向に関する企業の意識調査

特に採用を控えているのは、不動産業や卸売業、小売業などで、採用予定があるとしているのは41~56%にとどまりました。

正社員採用をしない結果、下っ端社員である万年ルーキーが生まれてしまうのです。

労働人口の減少

労働人口の減少も、正社員の採用難、ひいては万年ルーキーが生まれてしまう原因のひとつになります。

厚生労働省が発表しているデータによると、2023年の平均労働力人口は6,925万人でした。2020年の6,902万人より増加していますが、少子高齢化の影響を受け長期的に見ると労働力人口は減少傾向にあり、2040年に労働力人口は6,195万人まで減少する見込みです。

そのため、今後も採用難が続く可能性が考えられるでしょう。

万年ルーキー

画像引用:労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)平均結果の要約

若手社員の定着率が低い

新卒で入ってきた社員の定着率の低さも、原因として挙げられます。

厚生労働省が発表しているデータによると、令和2年3月卒業者の大卒新入社員の離職率は32.3%、高卒新入社員の離職率は37.0%でした。

最近の求職者には、給与面だけでなく仕事に対するやりがいや福利厚生の充実を重要視する傾向があります。働く環境が整わない企業に就職した社員は、より働きやすい企業へと転職してしまうのです。

若手社員が定着しない結果、万年ルーキーと呼ばれる社員が発生してしまいます。

万年ルーキー

画像引用元:厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況

企業と求職者でのミスマッチの発生

企業と求職者のミスマッチも、新たな社員の採用につながらず、万年ルーキーを生み出してしまう原因になります。

これまでは多くの企業で新卒者を採用し、必要な人材を育てていました。

しかし、新型コロナウイルスの影響などにより、経営状況の悪化から人材育成にかける余力がなくなり、既にスキルを備えた人材を求める企業が増加しています。

またスキルを持つ人材は、成果に応じて報酬が増える賃金形態の企業を希望する傾向があるため、年功序列制度を取り入れている企業への就職を避ける傾向にあります。

このようなミスマッチは採用難を引き起こし、新卒者の入らない企業や職場では、万年ルーキーが生まれてしまうのです。

万年ルーキーを放っておくとどうなる?

万年ルーキー

それでは、万年ルーキーをそのままにしておくとどんな影響が生じるのか見てみましょう。

企業の高齢化が進む

万年ルーキーを放っておくということは、新入社員が入ってこないということです。新入社員が入ってくると、職場に新しい風が吹き込まれ、新たな考え方や視点が得られやすくなります。

しかし新入社員が入ってこず高齢化が進んだ職場は、風通しも悪くなり、よい変化も起きにくくなってしまうでしょう。

企業を支える人材が不足する

万年ルーキーは、いつまでも後輩が入ってこないため、ずっと新人の仕事をしなければならないだけでなく、後輩を指導したり教育したりする機会がありません。

また大きな仕事を任されたり、新しいことに挑戦したりする機会も少ないため、スキルアップするのが難しい環境にあります。さらには、下っ端扱いに慣れてしまい主体的に考えたり行動したりする習慣が身につかないこともあります。

その結果、積極性が養われず与えられた仕事だけをこなす、指示待ち社員になってしまう可能性もあるでしょう。その結果、企業にとって必要な人材が育ちにくくなり、企業にとってもマイナスの影響が発生してしまいます。

関連記事

やる気のないゾンビ社員は、どの会社にも発生する可能性があります。そのような社員が1人でもいると他の社員にも悪影響を及ぼし、会社全体の業績にも関わってくるでしょう。 そこで今回は、ゾンビ社員の特徴や無気力化してしまう原因、会社に与える影[…]

やる気のないゾンビ社員

働いている人のモチベーションが下がる

いつまでも新人のような仕事を続けていると、仕事内容に不満や不安が溜まってきてしまいます。

同世代で管理職として活躍している人がいたり、何年も働いているのに成長している実感を得られなかったりすると、モチベーションをキープするのが難しく、場合によっては退職に至ってしまうケースもあります。

働いている人のモチベーションをアップさせるには、社外の同世代との交流の場を設けたり、責任ある仕事を任せたりするなど、対策を立てる必要があるでしょう。

万年ルーキーが抱える悩み

万年ルーキー自身も、実はいろいろな悩みを抱えています。万年ルーキーは、ずっと新人の仕事をこなしているため、大きな仕事をする経験がほとんどなく、周りの社員からも新人扱いされ、甘やかされてしまう傾向にあります。

「もっとスキルを身に付けたい」「新しいことにも取り組みたい」と思う社員は、不安や焦りを感じているでしょう。

また、何年も電話対応や会議の議事録作成、飲み会の幹事やお花見の場所取りといった新人業務だけでは、仕事内容に不満を抱えることも少なくありません。、

同じ年代でもどんどんキャリアアップしている企業や部署もあるため、同期と比較してキャリアで劣っていると感じたり、経験値が低いと感じたりすることもあるでしょう。

不安や不満は、自信の喪失にもつながります。なかには「この会社にいて大丈夫かな」と転職を考える方も出てくるでしょう。

関連記事

現在の会社で働く理由が個々の社員によって異なるように、「仕事を辞めたい」と思うのにもさまざまな理由があります。職場の人間関係をはじめ、仕事内容や働き方が合わない、仕事にやりがいを感じられないなど、実に多様です。 しかし、突然の退職を防[…]

仕事辞める人の兆候

万年ルーキーを発生させないためにすべきこと

万年ルーキー

万年ルーキーを発生させないためには、企業としてどんなことに取り組んでいったらよいでしょうか。

ジョブローテーションを行う

ジョブローテーションは、社員の成長を促すことを目的として、意図的に部署や職務を異動させることです。さまざまな部署を経験することで、業務や職種への理解が深まるため、組織の一員という自覚が芽生えます。

さらに、社員自身のやりがいや適性を見極める機会にもなるため、自ら今後どんなキャリアをたどっていきたいか考え、毎日の業務にも積極的に取り組めるようになるでしょう。

  • 特に、チャレンジ精神がある社員や向上心のある社員の場合は、ジョブローテーションを行うことでモチベーションアップが見込めます。

新卒採用が難しい場合でも、可能性のある社員を万年ルーキーにしないために、ジョブローテーションを取り入れてみましょう。

新入社員入社後の丁寧なフォロー

新入社員を定着させるためには、入社後のフォロー体制を整えることも大切です。気軽に相談できる職場環境をつくることで、社員が不安や悩みを抱え込みにくくなります。

企業によっては面談の機会を増やして定着率がアップした事例もあり、何度も面談を重ねることで、それまでは話せなかった個人的な相談もできるようになる場合もあります。

業務以外の相談も打ち明けられるようになると、会社に対し安心感を得やすくなるでしょう。

ターゲット人材を見直し、ミスマッチをなくす

各部署でどんな人材が必要か把握し、採用時にミスマッチを起こしていないかどうかも確認しましょう。

万が一必要としている人材と求職者に相違があれば、求職者に求めるスキルや経験値、性格、年齢や性別、勤務条件などを整理する必要があります。

ターゲット人材が正しく設定されると募集要項などで提示しやすくなり、求職者側も企業が求める人材を把握しやすくなります。その結果、ミスマッチも起こりにくくなるでしょう。

また、インターンシップの導入もミスマッチ防止につながります。

インターンシップとは、職場体験を受けさせることで企業の魅力を伝えることです。就職する前に企業の雰囲気や仕事内容を伝えられるだけではなく、入社後の教育期間の短縮にもつながります。

採用計画の見直し

採用計画とは、採用に関する目標を設計した採用活動のガイドラインのことです。

採用計画は、企業の事業計画や経営方針に基づいて立てます。採用計画を立てる際には、採用する時期や部署、採用人数、求める人材、採用方法を無理なく設定することが大切です。

採用計画は求める人材を効率よく採用するために重要なので、採用が上手くいかずに万年ルーキーを生み出してしまっているのであれば、見直してみましょう。

採用手法の見直し

そもそも適した方法で採用活動を行っているでしょうか。採用方法には、SNSを利用した方法や社員に紹介してもらうリファラル採用、人事担当者が求職者にアプローチするダイレクトソーシングなどいくつかの方法があります。

なかなか採用に結びつかない場合は、採用手法を見直してみることも必要です。採用代行や採用アウトソーシングを検討してみるのもよいでしょう。

関連記事

採用活動が一筋縄ではいかない昨今、どのような採用手法を取り入れようかお悩みの人事担当者も少なくないでしょう。採用手法は近年多様化し、トレンドもあるため把握しなくてはならない情報が多岐にわたるのも難点です。 そこで今回は、15種類の採用手法[…]

採用手法

まとめ

万年ルーキーの存在をそのままにしておくのは、本人にも企業にもよいことではありません。

現時点で採用に対して積極的に取り組める状況でないとしても、先々を見越して計画的に採用を続けていく必要があると考えられます。

万年ルーキーを生み出さないためにも、採用計画を明確に立て、適した人材の確保につなげていきましょう。

関連記事

このようなお悩みをお持ちの方におすすめの記事です。 採用活動がうまくいっていない 採用業務を外注に依頼したい 採用アウトソーシングを導入したいが費用相場がわからない 本記事では、「採用代行(RPO)・採用アウトソ[…]

採用代行会社、採用アウトソーシングサービス料金費用相場まとめ

OSCTA

フォローして毎日記事をチェック!