採用活動で「なぜ優秀な人材に出会えないのか」と悩む企業は少なくありません。面接を繰り返しても自社に合う人材が見つからない場合、採用コスト増や組織成長の停滞に直結します。
本記事では、採用率を高めるための具体的な工夫を紹介します。面接で候補者の強みを引き出す質問設計、会社の魅力を伝える方法、自社が求める人材像を明確化するポイント等について、わかりやすく記載しています。
プロセスを整えることで応募者とのミスマッチを減らし、「ここで働きたい!」と思われる企業へと成長できます。
– 採用率が低い原因とその改善策をプロセスごとに理解できる
– 実際に採用率を改善した中小企業の事例や、すぐ使えるチェックリストが手に入る
– 求人や選考プロセスを見直したいが、どこから改善すべきか分からず困っている担当者
– 実際に成果が出た中小企業の具体事例を参考に、自社でも再現したいと考えている方
採用率とは
「採用率」と「内定承諾率」はともに採用活動を評価する重要指標ですが意味は異なります。採用率は、応募者のうち最終的に採用に至った割合で、企業が欲しい人材を効率的に獲得できたかを示します。
一方、内定承諾率は出した内定を候補者が承諾した割合で、自社がどれだけ魅力的に映ったかを測る指標です。
前者は「企業が選びきれるか」、後者は「候補者に選ばれるか」を表しており、それぞれを分けて分析することで、採用プロセス改善の課題がより明確になります。
採用率と内定承諾率の違い
採用率とは、応募者のうち最終的に採用に至った人数の割合を指します。一方で内定承諾率は、企業が提示した内定に対して、候補者がどの程度「入社したい」と思い実際に承諾したかを示す指標です。
採用率が企業の選抜の厳しさを映し出すのに対し、内定承諾率は候補者から見た企業の魅力度を測るものといえます。
採用率は「企業がどれだけ選んでいるか」を表し、内定承諾率は「候補者からどれだけ選ばれているか」を示します。両者は採用活動の成果を評価する上で、視点が対照的な指標となっています。
採用率の計算方法
採用率の計算方法は「採用人数 ÷ 応募人数 × 100」で算出します。例えば、100人応募して5人を採用した場合は「5÷100×100=5%」となります。
採用率は選考プロセスの厳しさや母集団形成の効果を確認するのに有効であり、求人の魅力や採用活動の効率を把握するための基本的な指標として活用されます。
採用率の平均
| 年度 | 採用率 | 総応募者数の平均(人) | 総採用数の平均(人) |
| 2022年 | 29% | 66.2 | 19.2 |
| 2023年 | 28% | 77.9 | 21.8 |
| 2024年 | 26% | 79.5 | 20.8 |
参考:マイナビ 中途採用状況調査2025年版(2024年実績)
応募者数の増え方に対して、採用数の伸びはあまりないため、採用率は若干下がってきています。
2022年から2024年にかけて応募者数は増加(66.2人→79.5人)している一方、採用者数は横ばい(19.2人→20.8人)で、採用率は29%から26%へ低下しています。これは応募の母集団拡大に比べて採用の歩留まりが悪化していることを示しています。
人事としては「応募数を増やす」施策から「応募者の質とマッチング精度を高める」方向へ戦略を転換すべき段階です。
具体的には、ターゲット層の明確化、求人媒体や訴求内容の見直し、選考プロセスの効率化が必要です。採用率低下の要因分析を行い、効率的かつ戦略的に質の高い人材を確保する体制づくりが求められます。
業種別の採用率一覧
| 業種 | 採用率 | 総応募者数の平均(人) | 総採用数の平均(人) |
| IT・通信・インターネット | 26% | 67.4 | 17.7 |
| メーカー | 22% | 103.7 | 23.7 |
| 商社 | 35% | 46.1 | 16.2 |
| サービス・レジャー | 18% | 135.6 | 25.3 |
| 医療・福祉・介護 | 46% | 49.8 | 23.3 |
| 流通・小売・フードサービス | 35% | 46.3 | 16.6 |
| マスコミ・広告・デザイン | 19% | 22.4 | 4.3 |
| 金融・保険・コンサルティング | 27% | 111.6 | 30.4 |
| 不動産・建設・設備・住宅関連 | 31% | 38.7 | 12.2 |
| 運輸・交通・物流・倉庫 | 24% | 66.0 | 16.1 |
| 環境・エネルギー | 48% | 75.6 | 36.8 |
| 公的機関 | 17% | 89.9 | 15.3 |
参考:マイナビ 中途採用状況調査2025年版(2024年実績)
採用率が上がらないよくある原因
採用率が上がらない原因として想定されるパターンが、5つ挙げられます。
求人票が魅力的でなく応募が集まらない
採用率が伸び悩む要因の一つとして、求人票における情報発信力・訴求力の不足が挙げられます。 求職者は仕事内容や待遇だけでなく、企業の雰囲気や将来性、自身の成長につながる要素を重視しています。
しかし求人票にその魅力が十分に伝わらないと、応募への動機づけが弱まり、結果的に応募数が減少します。
魅力的な情報を的確に打ち出し、求職者の共感を得られる求人票づくりが採用成功の鍵となります。
応募後の対応が遅く辞退されてしまう
採用率が上がらない要因として、応募後の対応が遅れることが挙げられます。求職者は応募後の連絡スピードを重視しており、返答が遅いと「この会社は自分に関心がないのでは」と不安や不信感を抱きやすくなります。
その結果、他社で先に内定が決まる 場合や、自ら辞退してしまうケースが増えます。迅速かつ丁寧な対応を行うことで応募者の熱意を維持し、辞退を防ぐことが採用率向上に直結します。
面接の印象が悪く、評価がバラついている
採用率が上がらない要因の一つに、面接時の印象の悪さや評価のばらつきがあります。
面接官によって質問内容や評価基準が異なると、応募者に一貫性がないという印象を与え、不信感を招くことがあります。
また、応募者への対応や雰囲気が悪ければ「働きたい職場ではない」と判断され、辞退につながります。面接官の間で基準を統一し、応募者に好印象を与える面接を行うことが、採用率改善の重要なポイントとなります。
内定後フォローが弱く承諾率が低い
採用率が上がらない原因として、内定後のフォロー不足により承諾率が低下するケースがあります。
内定を出しても、その後の連絡や情報提供が乏しいと、求職者は不安を抱きやすく、他社へ気持ちが傾いてしまいます。
特に入社後の働き方やキャリアビジョンについて十分に説明がないと、将来像を描けず辞退につながることも少なくありません。
内定後も継続的にコミュニケーションを取り、安心感と期待感を高める対応が承諾率向上には必要です。
選考フローが長すぎて途中離脱が多い
採用率が上がらない原因として、選考フローが長すぎることで応募者の途中離脱が増えるケースがあります。
書類選考から面接、適性検査や面談などのプロセスが過剰に多いと、求職者は時間的負担やストレスを感じやすくなります。
その間に他社から内定を得てしまえば、そちらへ流れてしまう可能性も高まります。
スピーディーかつ効率的な選考設計を行い、応募者のモチベーションを維持できる環境を整えることが、採用率向上に繋がります。
採用率を上げるには?中小企業が改善すべきポイント
中小企業の採用率向上は、求人票など入口設計の改善から着手し、その後プロセス中の離脱要因を潰していく流れが最も効果的です。
採用チャネルを見直す【原因:応募が集まらない 】
採用チャネルの見直しは、応募が思うように集まらない場合に有効な改善策です。多くの中小企業は大手求人媒体に依存しがちですが、自社の求める人材層と応募者層がずれていると効果が薄くなります。
例えば若手を採用したいならSNSやスカウト型媒体、経験者を求めるなら専門職向け媒体や人材紹介を検討するなど、ターゲットに応じたチャネル選択が重要です。
また、自社ホームページや社員紹介(リファラル)を強化することも有効です。応募者の目に触れる接点を広げ、複数チャネルを組み合わせることで母集団を安定的に形成できるようになります。
求人票や募集内容を見直して応募率を改善する【原因:応募が集まらない 】
応募が集まらない場合、まずは求人票や募集内容を見直すことが重要です。求職者は仕事内容や待遇だけでなく、自分が働くイメージを持てるかどうかで応募を判断します。
そのため、業務内容をわかりやすく具体的に記載し、求める人物像も抽象的な表現ではなく「どのような経験やスキルが活かせるか」を明確に示しましょう。
また、給与や休日、福利厚生といった条件面は他社と比較されやすいため、安心感を与える工夫が必要です。さらに写真や職場の雰囲気紹介を加えることで、より応募意欲を高められます。
選考スピードを上げて辞退を防ぐ【原因:対応が遅い】
選考における対応が遅いと、求職者は「自分は重視されていないのでは」と不安を抱き、他社へ流れてしまう可能性があります。
そのため辞退を防ぐには、スピード感を持った対応が不可欠です。応募から面接日程の案内まではできる限り即日、遅くとも2~3日以内に連絡することが望まれます。
また、面接後の結果通知も迅速に行い、合否に関わらずフィードバックを伝えることで誠実さを示せます。さらに社内の選考プロセスを見直し、意思決定のフローを簡素化することも有効です。
応募者が「スムーズに進んでいる」と感じられる環境を整えることが、辞退防止と採用成功につながります。
面接官の対応品質を統一・強化する【原因:面接印象が悪い】
面接での印象は応募者の志望度を大きく左右します。面接官ごとに対応が異なり、不快感や不信感を与えてしまうと、せっかくの応募も辞退につながりかねません。
そのため、面接官の対応品質を統一・強化することが重要です。まずは質問内容や評価基準をあらかじめ整理し、誰が担当しても一貫した評価ができるように仕組み化します。
また、応募者に敬意を持って接し、傾聴姿勢を意識するなど基本的なマナーを徹底することも欠かせません。
さらに面接官向けの研修やロールプレイを行い、スキル向上を図ることで質を高められます。応募者が「ここで働きたい」と思える前向きな体験を提供することが採用成功の鍵となります。
内定後のフォローで承諾率を高める【原因:内定フォロー不足】
内定を出した後のフォローが不十分だと、応募者は不安を抱えたまま他社へ流れてしまう可能性があります。
承諾率を高めるためには、内定通知後から入社までの期間にしっかりとしたサポートを行うことが重要です。例えば、入社までのスケジュールや準備物を明確に伝えることで安心感を与えられます。
また、定期的な連絡や面談を通じて不安や疑問を解消し、入社後の働き方やキャリアビジョンについて具体的に共有すると効果的です。
さらに、職場見学や社員との交流機会を設けることで入社後のイメージを持ちやすくなります。応募者が「この会社に迎えられている」と感じられるフォロー体制が承諾率向上につながります。
求職者とのコミュニケーション頻度を最適化する【原因:選考フローが長い】
選考フローが長期化すると、求職者は不安や焦りを感じやすく、途中で他社へ流れてしまうリスクが高まります。そのため、承諾率や応募維持率を高めるには、選考中のコミュニケーション頻度を最適化することが重要です。
面接間の期間が空く場合でも、進捗状況や次のステップの目安をこまめに伝えることで安心感を与えられます。
また、感謝のメッセージや選考意欲を高める情報提供を挟むことで「大切にされている」と感じてもらえます。加えて、メールや電話だけでなくオンラインツールを活用することで、柔軟かつ迅速なやり取りが可能になります。
適切な頻度で途切れないコミュニケーションを維持することが、辞退防止と採用成功に直結します。
採用代行サービスを活用する【原因:すべての課題に横断的に対応】
採用活動では「応募が集まらない」「内定辞退が多い」「面接調整に時間がかかる」など、複数の課題が同時に発生します。
これらは個別に解決できるものではなく、採用全体を横断的に見直す必要があります。
採用代行サービスは、母集団形成から面接調整、内定承諾フォローまで一貫して支援し、歩留まり改善や入社後の定着率向上までカバー可能です。
自社の負担を軽減しつつ、成果につながる仕組みを整えることで、採用力を飛躍的に高められます。
自社の採用活動を改善するチェックリスト
今すぐ取り組める!採用改善チェックリスト
- 求人票に仕事内容・条件を具体的に記載している
- 応募から面接日程の連絡までを2~3日以内に行っている
- 面接官ごとの対応や質問内容にばらつきがない
- 面接結果をできる限り迅速に通知している
- 内定後、入社までに定期的なフォローを実施している
- 求職者に対して「感謝」を伝えるコミュニケーションを意識している
- 選考プロセスを簡潔にし、長期化を防いでいる
- 社内で選考基準を共有し、判断のスピードを上げている
- 入社後のキャリアパスや働き方を明確に提示できている
- 職場見学や社員交流など、入社前に職場を体感できる機会を提供している
7つ以上チェックできた方
現状の採用プロセスは一定の水準にあります。さらに改善できる項目を選び、継続的な見直しで採用力を強化しましょう。
チェック数が7つ未満だった方は要注意!
チェック数が7つ未満だった方は要注意です。採用プロセスのどこかに見落としや、改善余地が存在する可能性があります。まずは取り組みやすい項目から改善を始めることが重要ですが、自社だけで解決が難しい場合もあります。
その際は、採用課題の洗い出しから改善施策の立案・実行までをサポートする企業に相談するのも一つの手段といえます。
採用率改善の成功事例
採用率を改善することに成功した3社をご紹介いたします。
福祉サービス業界 H社
<導入前の課題>
内定者の歩留まりが悪い
<施策内容>
・インターンシップは従来のグループ一括運営から自社単独で集客・運営する形へ移行
・ダイレクトリクルーティングサイトやWEB合同企業説明会を活用し、プロモーションを見直し
・入社後5年間のキャリアプランを再構築し、採用サイトや自社HPを刷新
<導入後の成果>
結果としてエントリー数は前年比230%、内定承諾数は前年比172.2%と 採用数の向上に繋がった。
情報通信業界 K社
<導入前の課題>
売り手市場で年々ナビからの母集団形成に課題を感じていた。
<施策内容>
スカウト配信代行の依頼
<導入後の成果>
導入初年度は3月からスカウト配信を依頼し、1ヶ月で約100名のエントリーが集まった。その後もエントリー数は伸びていき、総エントリー数は前年比234%まで伸びた。選考進捗率も改善され、順調に成果が上がってきている。
ソフトウェア業界 P社
<導入前の課題>
母集団形成ができず、内定を出すことができない
<施策内容>
採用コンサルティングの導入
<導入後の成果>
母集団形成のための改善プランを採用コンサルティングにて行った。結果、昨年の内定承諾者0名に対して8名内定承諾を獲得、総エントリー数は昨対比594%となった。
【FAQ】採用率アップに関するよくある質問
採用率を上げたい企業からよくいただくご質問をいくつかご紹介いたします。
アルバイト・パート採用の採用率の目安は?
アルバイト・パート採用の採用率は20〜30%程度が目安です。応募者10人に対し2〜3人が採用に至るイメージで、業種や地域によって変動します。
求人票の改善と内定者フォロー、どちらを優先すべきですか?
まずは求人票の改善を優先すべきです。求人票は応募数を左右する入口であり、応募がなければ内定者フォローに進めません。
十分な母集団を確保したうえで、内定者フォローを強化することで承諾率を高めるのが効果的です
採用率を高めるためにAIやツールは活用できますか?
AIや採用支援ツールを活用することで採用率向上は可能です。
例えば、求人票の自動最適化や応募者対応のチャットボット化により応募率を改善できます。
また、面接日程調整ツールや適性検査システムを用いれば選考スピードやマッチング精度が上がり、辞退防止にもつながります。
まとめ
採用率を上げるには、まず求人票の改善や採用チャネルの見直しといった入口設計から始めることが重要です。
そのうえで、応募後の迅速な対応、面接官の品質統一、内定後フォローの強化といったプロセス改善を重ねることで、辞退を防ぎ承諾率を高められます。
また、AIや採用ツールを活用すれば、求人票の最適化や面接日程調整の効率化が可能となり、採用活動全体の精度とスピードを向上させられます。
チェックリストや成功事例を参考に、自社の課題を明確にし、優先度の高い改善から着実に取り組むことで、応募者に「選ばれる企業」へと成長できます。
なお、求人媒体に掲載する時期によっても応募効果は大きく変わります。採用率改善をさらに進めたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

