採用コストの平均、新卒・中途一人当たりの単価は?8つの費用削減例

採用コスト削減方法

通年採用が普及している中、人材を採用するために、年間数百万円のコストをかけている企業は少なくありません。できることなら採用コストを抑えたいという採用担当の方も多いのではないでしょうか。

今回は、採用コストの算出方法や、見直し方、削減ポイントについてご紹介します。

採用コストとは

採用コストとは、企業が人材を採用する際に発生するすべての費用を指します。求人広告の掲載費や人材紹介の手数料といった「外部コスト」に加え、採用担当者の人件費や面接対応などの「内部コスト」も含まれます。

ただし、企業規模や採用手法によって大きく差があり、大企業では数百万円規模になるケースもあります。そのため、全体の平均値だけでなく、自社の体制や採用方法と照らし合わせて把握することが重要です。

内部コストと外部コスト

また、採用コストは外部コストと内部コストの2つの分類することができます。

その構成の比率は、キャリアマートで採用支援しているクライアントを例に見ると、外部コスト7:内部コスト3という割合になっています。

外部コストと内部コストの内訳

キャリアマートセミナー資料より

内部コストとは、採用コストの中で社内で消化されるもののことを指し、外部コストとは、採用コストの中で社外に対して支払うもののことを指します。

採用コストとは

内部コストの一例

  • 採用担当者に対する人件費・教育費
  • 面接官などの採用担当者以外が採用に関わった際に発生する人件費
  • リファラル採用へのインセンティブ
  • 採用面接・選考時に発生するの交通費
  • 内定者懇親会の費用

外部コストの一例

  • 求人広告サイトなどの掲載費
  • 人材紹介会社への紹介決定費用
  • ダイレクトスカウトサービスのスカウト利用料
  • 採用サイトや会社案内資料の制作費
  • 就職・転職フェアの参加費
  • 採用アウトソーシングや採用代行などの外注費
  • 面接選考をオンラインで行った場合のツール利用費

採用コストは高騰している?推移と現状

採用コストの推移と現状を見ていきましょう。

近年の新卒採用において、採用コストは高騰傾向にあります。2021年卒にかけてはコロナ禍の影響により、一時的にコストが減少したものの、以降はオンライン採用の普及や広報手段の多様化、採用競争の激化などを背景に、再びコストが上昇しています。

とくに母集団形成に課題を抱える企業では、複数の手法を併用する必要があり、広告費や説明会運営費など外部コストが膨らむ傾向にあります。

このように、採用活動を取り巻く環境は年々複雑化しており、コストをただ削減するのではなく、戦略的に「最適化」することが求められています。自社の採用費の内訳を可視化し、どこに費用対効果があるのかを見極めることが重要です。

採用単価とは?採用コストの平均相場

新卒採用と中途採用、また新卒紹介では採用にかかる期間が異なるため、採用コストにおいても変わってきます。では1人あたりにかかる採用コスト(採用単価)はいくらほどになってくるのでしょうか。

新卒採用における採用コスト平均相場

マイナビが発表した「2024年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」によると、新卒1人あたりの採用コストの平均は56.8万円という結果が出ています。

さらに同調査では、企業の規模や業種によっても採用コストに大きな差があることが明らかになりました。

たとえば、上場企業の採用コスト総額は平均917.6万円で、1人あたりでは49.0万円。一方、非上場企業は総額233.1万円に対して、1人あたりのコストは57.5万円と、非上場企業の方が1人あたりにかかる費用が高い傾向にあることが分かります。

また、業種別で見ても差は大きく、製造業では1人あたり50.0万円、非製造業では57.5万円と、非製造業のほうがやや高い傾向にあります。

このように、「上場・非上場」や「製造業・非製造業」といった属性によって、採用にかかるコストの構造や投資のかけ方が異なることがうかがえます。
採用戦略を見直す際には、同業他社とのコスト感の違いを意識することも大切です。

企業カテゴリ 採用コスト総額の平均(万円) 一人あたりの採用コストの平均(万円)
上場企業 917.6 49.0
非上場企業 233.1 57.5
製造業 585.1 50.0
非製造業 317.6 57.5

参照:2024年卒マイナビ企業新卒内定状況調査

中途採用における採用コストの平均相場

マイナビが発表した「中途採用状況調査2025年度版」によると、企業が1年間にかける中途採用の予算は平均565.3万円で、前年より205.1万円の減少となりました。一方で、実際にかかった採用コストの平均は650.6万円と、前年より20.9万円の増加。結果として、実績が予算を85.3万円上回るというギャップが生じています。

特に、従業員数301名以上の中堅〜大手企業では、実績が予算を上回る傾向が顕著であり、採用難や人材単価の高騰などにより、想定以上の費用が発生していることが推察されます。

新卒採用と比べて、中途採用では1人あたりの採用コストが高くなる傾向があります。その主な理由は、採用手法として人材紹介サービスを利用する企業が多く、紹介手数料の負担が大きいことが挙げられます。

実際の採用手法としては以下のようなものが一般的です。

  • 求人広告(求人サイト)
  • 中途人材紹介(紹介手数料:年収の35~45%が相場)
  • ダイレクトリクルーティング(スカウト型)
  • 採用代行(RPO)

これらの手法はそれぞれ費用構造や成果の出方に違いがあり、企業規模や採用ターゲットによって最適な手法も異なります。とくに中途採用では「急募」「即戦力」「専門性」などのニーズに応じて、柔軟な施策設計が求められるため、採用コストを“最適化”する視点が重要です。

新卒紹介における採用コスト平均相場

新卒紹介の相場も、年々上昇傾向にあります。売り手市場故、紹介会社を利用する学生層も変わりつつあり、ここ1~2年で価格が上がったように見受けられます。下記は実際にある、紹介会社の成功報酬費用です。

■A社
・文系:80万
・理系:110万
(以前は文系70万、理系90万)

■B社
・体育会系学生:90万

■C社
・文系:90万円
・理系:100万円

■D社
・一律:70万円

多額な採用予算を確保している業種

最新の調査によると、中途採用において高額な予算を確保している業種トップ3は以下のとおりです。

上位3業種(実績ベースの平均採用費)

  • 1位:メーカー … 853.8万円
  • 2位:IT・通信・インターネット … 694.9万円
  • 3位:流通・小売・フードサービス … 413.8万円

特にメーカーでは、一部の大手企業を中心に1000万円以上のコストを投じるケースも見られ、堅調な業績や専門人材の確保ニーズが予算に反映されていると考えられます。

採用にコストをかけていない業界

一方で、中途採用にかける費用が比較的抑えられている業種もあります。

採用費が低めの業種(実績ベース)

  • 医療・福祉・介護:590.8万円
  • サービス・レジャー:413.8万円
  • 公的機関:430.0万円

医療・福祉・介護業界では人手不足が慢性化していますが、収益構造上、潤沢な採用予算を確保しにくいという課題もあると推察されます。

参照:中途採用状況調査2025年度版

エリア別のコスト平均

中途採用にかかるコストは、企業規模や業種だけでなく「採用エリア」ごとにも大きな差があることが明らかになっています。

株式会社マイナビが公表した「中途採用状況調査2025年度版」によると、中途採用費用の実績が最も高かったエリアは「北関東」で平均1465.9万円。続いて、「東京(1035.8万円)」「南関東(725.4万円)」と、首都圏の各地域が上位を占めています。

一方、コストが比較的抑えられているのは「甲信越・北陸(293.2万円)」「九州・沖縄(318.4万円)」「中国・四国(350.3万円)」といった地方圏。地域によって数倍の開きがある点は見逃せません。

このような差が生じる背景には、エリアごとの人材需給バランスや、利用される採用手法(人材紹介やダイレクトリクルーティングなど)の違いが影響していると考えられます。「どこで・誰を・どう採用するか」によって、必要なコストも大きく変動するのが中途採用の実態です。

採用エリア 中途採用費用の平均(万円)
北海道 236.3
東北 312.3
北関東 1465.9
東京 1035.8
南関東 725.4
甲信越・北陸 293.2
東海 408.3
近畿 556.9
中国・四国 350.3
九州・沖縄 318.4

参照:中途採用状況調査2025年度版

採用コストの算出方法

採用コストの算出方法は、先ほどご紹介した外部コスト+内部コストで計算ができます。

外部コストは、求人広告の掲載費から採用ホームページの制作費、ATSの月額利用費などを合計して計算します。内部コストは、採用にかかわった担当者の業務時間に、採用担当者の人件費を照らして算出しましょう。

また、採用コストを割り出すときに、採用単価もあわせて計算をします。

<1人あたりの採用コストの計算方法>
採用単価の計算方法は「採用単価 = 採用コストの総額 ÷ 採用人数」
例えば、新卒採用で、中小企業の採用総コストが400万円で5名の採用ができた場合、1人あたりの採用コストは80万円ということになります。
採用単価が80万円以上になってしまっている場合には、もしかすると成功報酬型の新卒紹介を利用したほうがコスパが良いかもしれません。新卒紹介サービスも会社によって料金形態はまちまちですので、検討する場合にはしっかりと何社か比較することをお勧めします。
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内部コスト「採用担当者の人件費」は計算しづらい

外部コストは、採用にまつわるサービス利用費などを指すので、毎月・毎年いくら使っているか計算がしやすいですが、内部コストは採用担当者の人件費がメインになるので外部コストに比べて把握が難しくなります。

内部コスト算出の手段として、採用担当者の給料(年収)を把握するという手があります。

マイナビAGENTによると人事職の平均年収は478万円となっています。

しかし、会社が負担する金額は年収とイコールではなく、一般的に、給与×130~150%が実質の負担金額となるため実際は478万×140 %=約670万円のコストがかかっていることになります。

採用担当者が採用以外の業務に従事している場合は、採用業務に費やした時間数を割り出して、時給換算しておくことをおすすめします。

採用コストを削減するための見直し方

採用コストの見直し方

採用コストを見直したい場合は、まず現時点での採用コストを正確に計算するのが大切です。とくに、中小企業では総務担当や社長が、片手間で採用業務を行っているケースがあります。

また、現場の部長や課長などに面接だけをお願いするケースもあるため、「誰が何時間、採用業務に対応したか」が明確でない企業が多いでしょう。

採用にかかわった人は誰なのか、採用業務に何時間費やしたのか、担当した人の人件費は時給換算でいくらだったのかと、詳細にわたり確認することから始めてください。

採用コスト削減の手法・具体的な施策例8つ

ここからは、より具体的な採用コスト削減手法を7つご紹介します。

内定辞退・早期離職対策(ミスマッチ防止)

採用コストを考えるとき、多くの人が母集団形成にかかわるコスト削減に目がいってしまいがちです。しかし内定辞退や早期離職が多いと、せっかく集めた人材をまたゼロベースで募集しなければならず、採用コストが倍増します。

もし内定辞退や定着部分に懸念点があるのであれば、一度新規の募集をストップして、内定辞退対策などを行ったほうが良いでしょう。

掲載の求人広告を見直す

採用コストの削減のためには、求人広告を見直すのも重要ポイントです。求人広告はシーズンによってキャンペーンや特別値引きが適用され、費用が上下しやすいです。

また、基本的には数十万円~百万円単位で大きな金額が動くため、あれこれ手を広げて適当に掲載するとコスト増につながります。広告媒体ごとに費用対効果を算出し、冷静に見直すことをおすすめします。

選考フローを見直す

選考フローを見直して、採用担当者の無駄な業務を削ることも採用コスト削減に直結します。

たとえば、無駄に面接回数が多かったり、毎回候補者に来社いただいて面接をしていたりすると、どうしても時間がかかって内部コストが膨らみます。最初の会社説明会はオンラインで複数名まとめて実施する、面接回数を極力減らすなど、工夫をほどこしてみましょう。

SNSを活用する(ソーシャルリクルーティング)

SNSを活用して、自力の集客スキルを強化するのも採用コスト削減につながります。

求人広告や、人材紹介のように大きな費用がかからないため、SNS活用は必須といえます。ただし、SNSのフォロワーが増えてエンゲージメントが高まるまでに一定のマンパワーがかかるため、やみくもに手をつけるのは避けた方がいいでしょう。

リファラル採用を行う(社員紹介)

リファラル採用を強化できれば、採用コストの外部コスト削減につながります。社員に紹介してもらいやすいように、紹介カードをつくったり、紹介してくれた社員にインセンティブを渡すなど検討してみましょう。

ただし、インセンティブの金額をつりあげてリファラル促進をすると、けっきょく内部コストが膨らんでしまい本末転倒です。社員が紹介してくれる会社にするために、従業員エンゲージメントを高めるなど、社内の見直しが必須といえます。

内部コストを見直す

「人材紹介を使わない」など、外部コストは明確に削減しやすい一方、内部コストは意識をしなければ削減が難しいものです。

先ほどお伝えした通り、まずは採用にかかわる人を洗い出し、どんな業務に、誰が何時間費やしているのか可視化するといいでしょう。

採用HP(自社サイト)の運用を強化する

外部コストを減らすためには、自社の採用HP経由での応募を集める工夫が必要です。自社サイトから集客ができれば、求人広告費や就活イベントの出展費、紹介費用を大幅に削減できます。

採用HPがない企業は、まずは無料の採用HPビルダーを試してみるのはいかがでしょうか。

採用代行を導入する(業務委託・外注)

採用コストの削減のために、思い切って採用業務を代行者に依頼する方法もあります。社内に採用の専任がいない、ノウハウがたまっていないのであれば、プロに外注する方がスムーズです。

採用代行のメリットは以下の通りです。

  • 採用担当が不在でも質の高い採用業務を行える
  • コア業務に集中できる
  • 採用コストを削減できる など

代行といっても、採用すべてを外注する必要はありません。コア業務(面接やオファー面談の実施など)のみを自社で行って、ノンコア業務(日程調整やスカウト作業、会社説明会会場のセッティングなど)を代行会社に依頼する方法もあります。もちろん、コア業務を採用代行に依頼しても問題ありません。
なお、採用代行(RPO)導入費用は、月額20万円~30万円ほどが相場です。

新卒採用を依頼するのか、中途採用で依頼するのか、スポットで頼むのか…。採用代行サービス会社によってもそれぞれサービス内容が異なってきますので、依頼する前にしっかりと比較検討することをお勧めします!

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・ 媒体運用・入札最適化/原稿・クリエイティブ改善

・ スカウト設計・文面作成・配信代行(新卒・中途対応)

・ KPI可視化とPDCAで応募数と採用単価のバランスを最適化

「何にいくらかけて、どれだけの成果が出ているのか」を見える化したい方は、まずはお気軽にご相談ください。

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※ 新卒・中途どちらのご相談も可能です。まずは課題整理だけでもOK。

採用コスト削減の成功事例

採用コストの成功事例として、当社クライアントの事例を紹介します。こちらのクライアントは、実に1,200万円ものコスト削減に成功しました。しかし、対策・改善した点はたったの3つです。

  1. エージェントの紹介フィー
  2. 求人広告費
  3. 求職者対応/選考・面談対応

採用コスト削減の成功事例

キャリアマート無料ノウハウセミナー(2020年10月14日)より

実際に、どのような対策を実施したのか細かく見ていきましょう。

エージェントの紹介フィー

人材要件の見直し

難易度を低くし、資料化(求人票)で社内展開しやすくする。

業者再選定

全国のエージェントデータベース保有企業へ選定を依頼する。

紹介フィーの見直し

未経験OKの職種は紹介フィーを見直しする。(例:理論年収×○○%⇒一律80万円)

求人広告費

発注ロットの見直し

掲載の都度発注していた求人媒体をチケット購入に変更する。

利用媒体の変更

人材要件の見直しに伴い、ターゲット像に近い登録者が集まっている媒体に変更する。

求職者対応/選考・面談対応

業務対応者の変更

下記のような業務(ノンコア業務)を採用アウトソーシング・採用代行(RPO)会社に委託する。

  1. 日程調整/合否連絡    
  2. Web面接URL作成・送付  
  3. 適正受験連絡・結果PDFの格納 
  4. エージェントへの推薦促進連絡 
  5. 書類選考の1次スクリーニング(RPA自動化)

まとめ

今回は採用コストの内部コスト、外部コストの内訳や、採用コストの平均額、コスト削減方法をお伝えしました。

ご紹介した削減ポイントを意識しながら、ぜひ自社の採用コストの見直しを進めてみて下さい。

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