人材を中途採用するには、ハローワークや転職サイト、人材紹介などさまざまな手法があります。ただ、業界・業種、目的によって、もっとも効果的と思われるツールは異なるもの。
今回は、特に企業が活用することが多い、ハローワークと転職サイトを中心に、業界別の効果的な利用方法についてご紹介します。
ハローワークの実施効果
2021年時、マイナビ『中途採用状況調査2020年実績』によると実際に実施した手法のトップ3は上から、「転職サイト」「ハローワーク・職業安定所」「人材紹介会社」でした。
ですが、2023年調査(2022年実績)の「中途社員採用に結びついた利用サービス・手法と採用者数」を見てみると、1位は転職サイト、2位人材紹介会社、3位に企業ホームページ、4位ダイレクトリクルーティング、そして5位に職業安定所(ハローワーク)という結果となっており、これまで王道だと思っていた前述の3手法以外の手法の利用率が増加していることがわかります。
データ引用:マイナビ中途採用状況調査2023
しかしながらここで注目してもらいたいのが、職業安定所(ハローワーク)の実施率と効果実績の伸び率です!
転職サイトでの平均採用人数は、2021年は5.1人だったのに対し2022年は4,4人と人数が減少しているのに対し、ハローワークは1.1人から2.5人と採用者数が伸びているのです。
転職サイトの特徴とメリット・デメリット
中途採用において、全体の約7割が利用しているという「転職サイトへの求人掲載」。
転職サイトに求人を掲載することは、デフォルトとして考えた方が良いことが上記データからお分かりいただけたと思いますので、その特徴とメリットデメリットを分析していきます。
転職サイトの特徴
転職サイトは、求職者が転職する際に最も活用しやすくベーシックな手段と言えます。
幅広い業種・職種、地域などの求人広告を扱っており、様々なキーワードから条件に合った求人を検索できるようになっており、求職者が転職を考えたとき、まず初めにアクションを起こすのが転職サイトへの登録ではないでしょうか。
転職サイトと一口に言っても様々な種類があり、求めるターゲット像に応じて掲載する求人媒体は選別していく必要があります。
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活用する際のメリット・デメリット
メリット
- スマホやPCを活用できるので、思い立った時に転職者は活動を始めることができる
- 圧倒的に登録者数が多いため、即戦力人材を採用できる可能性が高い
- スカウトメールやDMなど企業側から求職者に対して直接アプローチすることも可能
デメリット
- 基本的に有料掲載
- コストをかけたからと言って、採用成功するとは限らない
- 運用フローが複雑化する傾向にある
ハローワークの特徴とメリット・デメリット
上記のデータをご覧いただければ、ハローワークに求人を出す意味はあるのか?と疑問に思うかもしれませんが、ハローワークにはハローワークなりの良い部分がありますのでご紹介していきます。
ハローワークの特徴
ハローワーク(公共職業安定所)は、国が運営する職業紹介機関です。
転職サイトや人材紹介などとは異なり、営利団体ではなく、企業側は無料で利用できます。全国各地に拠点があり、その地域の安定した雇用を維持存続させるための公共の就職支援サービスと言えます。
ハローワーク活用のメリット・デメリット
メリット
- 無料で掲載が可能
- 長期的に求人を募集したい場合のコスト削減
- 無料なので、失敗リスクを恐れずに気軽に掲載ができる
- 管轄する地域内で募集をかけたい場合、求職者に求人を見てもらえる
- ハローワークインターネットサービスで求人を掲載した場合、「indeed」にも連携掲載される場合がある
デメリット
- 無料掲載ゆえ、求人の質に期待できない
- 管轄する地域の情報しか求人を掲載しないので、母集団を稼ぐことが困難
- 企業概要や業務内容が、情報転職サイトなどと比較して少ない
ハローワークで求人を出す方法
ハローワークで求人を出すためには、以下の2つのやり方が存在します。
- 事業所住所を管轄するハローワークに出向き、求人申込書に必要事項を記入し提出する
- ハローワークインターネットサービスを利用して仮申し込み後、7日以内にハローワークへ行き、申し込み手続きを行う
両者の違いは、入り口の手続きがアナログかデジタルかというところ。最終的には直接ハローワークへ出向いて手続きを行います。
ハローワークに向いている属性は?
地域密着型の傾向があるので、地元、特に地方の求人情報が集まりやすいハローワークは、やはり地元での転職を検討している人が利用するイメージです。
転職サイトではカバーしきれてない部分をハローワークで出すという企業が多く、また、比較的「未経験者歓迎」の求人も多いため、異業種・職種に挑戦したい人を受け入れたい場合は、ハローワークに求人を出してみるのも良いのではないでしょうか。
Indeedに無料掲載される場合がある
ハローワークインターネットサービスで求人を掲載した場合、「Indeed」にも無料で掲載されることがあります。Indeedは求人情報の検索エンジンサイトと呼ばれていて、非常に高い確率で、検索した際、検索結果の上位に表示されるようになっています。
▼Indeedについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
「仕事探しはIndeed」、「いい未来は探せる、Indeed」など、CMでおなじみのIndeed。 いざIndeedに求人を掲載したいと考えても、実際どのような仕組みになっているのか、どのような方法で掲載できるのか、どのくらいの料金が[…]
ハローワーク、転職サイトが向いている業界とは?
前述した通り、ハローワークの求人は、他の民間の媒体と異なり、無料で活用できるところが特徴です。一方で、往々にして中小規模の求人割合が高く、求職者としては大企業の仕事や専門的な職種を探すには不向きな面もあります。
重要なことは、他の媒体とハローワークを目的に応じて使い分けることです。
ここで、ビッグデータ事業を展開するゴーリストの、業界別×求人媒体別のデータ(2015年)を見てみましょう。
これによると、「医療/医薬/福祉」、「営業/事務/企画/管理」、「製造/工場/化学/食品」、「販売/接客/サービス」、「運輸/物流/配送/警備/作業」などの職種は特にハローワークでの掲載が多いのが分かります。こういった業界は、未経験でもチャレンジできる仕事も多く、ハローワークとの相関性が高いと言えるでしょう。
医療福祉系・製造・食品業はハロワへの依存度が高い
また、求人ポイントが多い職種のうち、特にハローワークへの依存度が高いのが「医療/医薬/福祉」と「製造/工場/化学/食品」の2業界です。
街にある小さな医療機関や介護施設、工場など、小規模の事業を展開する企業では、採用にあまり予算をかけられないのが実情で、結果として、無料で求人を掲載できるハローワークに頼る、という構造になるものと思われます。
結論・まとめ
「ハローワークに求人を出すべきか?」という質問に対する答えは「YES」。
管轄するハローワークに直接出向かなければならないという手間はありますが、無料で掲載ができ、なおかつインターネットサービスで求人を掲載すれば、SEO効果の高い「indeed」にも無料で掲載が可能になります。
これまで活用したことのない企業様は、一度試してみても良いかもしれませんね。