連鎖退職とは?起きやすい職場の4つの特徴と防止策

連鎖退職とは?発生する原因や誘発しやすい職場の特徴&防止策を解説

連鎖退職とは、近年、企業や人事担当者の間で問題視されている現象のことです。連鎖退職により、会社が損失を受けるだけでなく、職場崩壊を招く恐れもあることから、未然に対策をとる必要があります。

今回は、そもそも連鎖退職とは何なのかをはじめ、発生の原因や誘発しやすい職場の特徴、連鎖退職が続いた会社の末路などを詳しく解説していきます。

連鎖退職とは

連鎖退職とは、社員が続々と会社を退職していく現象のことです。多くのケースでは、1人目の退職者が引き金となり、まるで連鎖したかのように他の社員まで立て続けに退職していきます。特に、エース級の影響力が大きい社員や優秀な人材の退職は、会社にとっても大きな損失です。残された社員にも、会社や組織に対する不安・不信感を抱かせてしまいます。

また、コストのかかる採用活動を経て獲得した新入社員や若手の連鎖退職も、人事担当者が危惧するべき問題といえます。このような観点から、会社のトップや経営層は連鎖退職が発生しないように、対策をとりながら組織運営を行う必要があるのです。

退職の連鎖が起きる原因

連鎖退職が発生する原因には、どのようなものがあるのでしょうか。若手社員・中堅社員それぞれの原因を解説していきます。

若手社員の場合

若手社員や新入社員でよく見られるのは、入社後のミスマッチです。これは、入社していざ働いてみると実際の社風や仕事内容が、入社前にイメージしていたものとではギャップがある状態を指します。

実際に、独立行政法人 労働政策研究・研修機構が平成28年に行なった調査よる若手社員の退職理由は、「労働時間・休日・休暇の条件」や「仕事内容」、「人間関係」が上位を占めています。若手社員は、会社に違和感を持ったまま働き続けるよりも、帰属意識が芽生える前に退職してしまおうと考える傾向にあります。

出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構

また、「第二新卒」といった言葉もあるように、転職市場からのニーズが高い若手は、退職に対する心理的ハードルが低いのが現状です。これらの要因が、若手社員や新入社員の連鎖退職に拍車をかけていることが考えられます。

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中堅社員の場合

中堅職員は、若手社員と比べ会社の重役と接したり、責任ある仕事を任されたりする機会も多くなってきます。したがって、会社のこれからの方針や数年後のビジョン、経営状況などの内情を肌で感じるポジションといえます。

そのような中で、会社に対して将来性を感じられないと判断し、退職に至るケースもあるようです。また、中堅社員は結婚・出産などによりライフスタイルが変化しやすい年齢層に当たります。

残業や休日出勤が多くワークライフバランスの実現が困難となると、退職をせざるを得ないと考える社員は少なくありません。その他には、中堅社員の今後のキャリア形成や会社からの評価に対する不信や不満も連鎖退職の要因としてスルーしてはならないポイントです。中堅社員のモチベーションを下げず、活躍し続けられる組織づくりが求められています。

こんな職場は連鎖退職が起きやすい!4つの特徴

連鎖退職が発生しやすい職場の特徴を紹介していきます。

職場環境が良くない

職場環境が良くない会社は、連鎖退職が起こりやすい傾向にあります。

社員が生き生きと働くことのできる職場環境であれば、退職者が続出する事態に陥ることは少ないです。長時間労働やハラスメントの横行、良好な人間関係の構築ができていないなど該当している部分がないか見直しを行いましょう。

社員の帰属意識が低い

帰属意識の低い社員が多数在籍する会社においても、連鎖退職が起きやすいです。職場や仕事に対して、愛着や責任を感じていない状態で何か問題が起こった場合、躊躇いなく退職を選択する可能性が高いと考えて良いでしょう。

現状で会社への不満や文句が社員たちから多く出ている場合には、注意が必要です。誰かが不満を理由に退職したことをきっかけに、共感した社員が次々と後に続いて退職してしまうリスクがあります。

エース社員・幹部ポジションの社員が退職する

周囲から期待され、活躍していた社員が退職を選んだことで、残された社員は「この会社には将来性がない」という不安を抱き、自らも続いて退職をしてしまう場合があります。

また、活躍していた社員は周りからの人望が厚く、ムードメーカーのような存在であるケースが多く、残された社員のモチベーションが低下し、最終的には退職へと発展していくなど悪循環に陥る恐れがあるのです。

人手が足りていない

仕事量に対して、明らかに人員不足の状況で無理やり運営している会社においても、連鎖退職が起こりやすくなっています。

一人退職することで、残りの社員が仕事量の負担増に耐えられず、後を追うかのように退職してしまうケースです。会社は、社員数に対して仕事量が適切であるか、定期的に確認しておきましょう。

退職の連鎖が続くと職場は崩壊する?その末路とは

連鎖退職が起こり続けることで、会社にはどのような影響が出てくるのでしょうか?職場環境や会社の業績などさまざまな視点からお伝えしていきます。

職場環境が悪くなる

連鎖退職が発生することで、職場の人員が一気に減少します。人員の補充といっても、採用活動にも時間がかかるため、残された社員で仕事を割り振らなければならず、負担を強いられる場合がほとんどです。まともな引き継ぎも行えないことも多いため、新たに任された慣れない業務にも時間がかかり、残業や休日出勤が増えてしまいます。

さらに、会社の業績によっては、残業代が支払われないケースも多く、労働時間だけが延長されていく可能性も十分にあり得るのです。このような環境に耐えきれず、さらに社員が退職していくという負のスパイラルにはまってしまいます。

会社の業績が悪化する

社員が続々と去っていくことで、職場の環境悪化や負担の増大に耐えられなくなり、さらに社員が辞めていくため、業務遂行がままならない状況となります。

データ入力をはじめとした、起票や請求書発行などといった膨大な基本的業務も滞り、当然会社の業績は悪化する一方です。ビジネスがまともに行えなければ、取引先からの評判が下がり、業績悪化に拍車をかける悪循環から抜け出すことができなくなってしまいます。

会社が倒産する可能性がある

社員が連鎖退職することで、売り上げや生産性が低下し、やがて会社自体が機能しなくなります。

それゆえに業績が悪化の一途をたどり、採用も間に合わないため、組織崩壊や倒産に至る会社も少なくありません。とりわけ、少ない人員で運営している会社の場合、連鎖退職によるダメージは甚大であり、組織崩壊や倒産のリスクがさらに高いです。

連鎖退職の防止策3つ

連鎖退職を防ぐための対策方法をお伝えしていきます。

内部改善の促進

退職者の穴埋めとして、残された社員に業務の分配を行い、過剰業務を強いることで結果、新たな退職者が生まれてしまいます。

そうならないためにも、社員の勤務時間をはじめ、業務内容や生産性などの把握をし、余裕をもった人員確保が可能であるか確認をしましょう。難しい場合は、追加の人員を採用もしくは、業務の外注を検討するのも有効です。

社員同士のコミュニケーション活性化

社員同士で気軽にコミュニケーションがとれる関係性を構築することにより、抱いている仕事の悩みや不満を共有することができます。これにより、員の中で不満や悩みを溜め込まずに済み、心理的な負担の軽減も図れます。

さらに、不満や悩みが分かれば、解決方法の提示など対処も可能です。このように風通しの良い人間関係の構築により、退職の芽を摘むことができます。

優秀な人材の定着

ロールモデルとなるような優秀な人材が長く会社に定着することは、連鎖退職の防止へ繋がります。優秀な社員は、若手や同僚などその他の社員への影響力も強いことから、彼らが生き生きと働ける環境づくりが大切です。

勤続年数を問わない重要なプロジェクトへの抜擢、在宅勤務や副業の承認など社員がチャレンジし続けられる制度の導入が優秀な人材定着への鍵となります。

まとめ

連鎖退職の発生から、社員の多くが会社に対して不満を抱いている可能性が高いということが読み取れます。社員の不満や要望に目を向けず、新たな人員を補充したとしても、会社の問題を根本的に改善しなければ、再び退職者が出るなどイタチごっこです。

まずは、社員の声に耳を傾け、社員の仕事に対するやりがいや、職場環境への満足度を向上させることが、連鎖退職を防ぐ近道であると言えるでしょう。

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