ダイレクトソーシングとは、採用担当者が能動的に求職者を探しだし、アプローチを仕掛ける採用手法です。
本記事では、ダイレクトソーシングが流行した背景や、メリット・デメリットなど基本情報を解説します。
ダイレクトソーシングとは
ダイレクトソーシングとは、採用担当自らが自社にマッチした人材を探し、能動的にスカウトメールを送ったり声掛けしたりして採用する手法を指します。類似した言葉にダイレクトリクルーティングがありますが、どちらも同じ意味で使われる場合が多いです。それぞれの単語を分解して訳すと、次の通りです。
ソーシング…資源利用
リクルーティング…採用活動
ダイレクトソーシングは、会社の資源として活用できる人材を直接探すこと、ダイレクトリクルーティングは候補者に直接声掛けする能動的な採用活動と読み取れます。なお縁故採用も、身近な人に直接声掛けする側面から、ダイレクトソーシングの一種とも言えるでしょう。
ダイレクトソーシングが増加した背景
従来の採用活動は、求人広告やハローワークなど求人媒体に募集要項を載せて、求職者からの応募を待つスタイルが主流でした。今までの採用活動では、求人媒体社の営業担当や制作スタッフと相談して自社のPR要素を洗い出したり、人材紹介会社に求職者の集客を任せっきりだったりするケースも多くありました。
しかし、有効求人倍率が上昇し売り手市場が続く近年では、待っているだけでは応募が集まらない採用難となっています。そこで、企業が自ら手足を動かし「求職者を探しに行く」スタイルの、ダイレクトソーシングが流行したのです。
ダイレクトソーシングの手法
ダイレクトソーシングには、次のような手法があります。
1.ダイレクトスカウトサービスの活用
企業から直接スカウトを受ける前提で登録した転職者に絞ってアプローチできるのが、ダイレクトスカウトサービスです。
2.SNSの活用
SNSを通して求職者とつながり、応募につなげていく方法です。
幅広い年代層にアプローチができるTwitterやFacebook、アパレル・旅行・グルメ・観光などと相性の良いInstagram、外国籍の人材や外資系も狙えるLinkedinなどが代表的です。
いずれも企業アカウントや採用担当者のアカウントを運用して、日々の投稿やリプライ(相手の投稿に対するコメント)やいいねなどのコミュニケーションを重ねるか、直接DMで声掛けするのが一般的でしょう。
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3.街中の声掛け、社員紹介
生命保険や不動産会社など営業系の企業は、街中で歩いている人に声掛けする、いわゆるキャッチ手法でダイレクトソーシングを行う場合もあります。また、社員の知人紹介などリファラル採用も、ダイレクトソーシングの一種と言えるでしょう。
ダイレクトソーシングのメリット
ダイレクトソーシングのメリットは、次の4つが挙げられます。
潜在的な求職者に出会える
ダイレクトソーシングを行うことで、「今すぐには転職、就職を考えていない」潜在層にもアプローチが可能です。企業が出稿した求人広告に応募してくる顕在層だけでなく、採用可能性のある人材を幅広く狙えるメリットがあります。
一人ひとりに動機づけができる
求人広告や人材紹介、会社説明会などを通して求職者と接する場合、求職者と接する時間が限られているため動機づけが難しいケースもあるでしょう。ダイレクトソーシングであれば、狙った人材一人ひとりに対して個別に会社説明をしたり、複数回接点をもって動機づけを重ねることができます。
採用コストをおさえられる
求人広告や人材紹介など外部の採用サービスを利用しないことで採用コストを抑えられるメリットがあります。
ダイレクトソーシングにかかる費用は、求職者に声かけをする採用担当のリソースがメインです。ダイレクトスカウトのサービス利用費がかかる場合もありますが、 一人当たり100万円~200万円といった高額の費用がかかる人材紹介に比較すると採用コストを抑えられるでしょう。
自社の採用力が高まりノウハウが蓄積される
ダイレクトソーシングを継続していけば、自社の採用力が高まり採用ノウハウが蓄積されるメリットもあります。紹介会社や求人媒体など外部サービスにたよりっぱなしでは、採用担当のスキルは高まりづらいでしょう。
自力で人材を探し出しアプローチを続け、求職者を口説いて選考フローに乗せる過程で、独自の採用力が身に付きます。
ダイレクトソーシングのデメリット
ダイレクトソーシングのデメリットについてご紹介します。
採用工数が増える一方で結果が出にくい
ダイレクトソーシングは通常の採用活動をよりも作業工数がかかる点がデメリットになります。自社と相性の良い人材が登録しているダイレクトスカウトサービスを探したり、スカウト対象者をリストアップしたり、魅力的なスカウト文面を考えたりするなど手間がかかります。
また、ダイレクトソーシング経由で選考に進んだ求職者には、一般の応募ルートとは異なる選考内容を準備する場合もあるでしょう。一般の応募ルートと同様に、書類選考や複数回の面接を実施してしまうと、「企業から声掛けしてきたのに、複数選考があり面倒だ」とネガティブにとらえる求職者もいます。
ダイレクトソーシング経由の応募者は、「今すぐ転職を考えていない」「良い会社があれば考えてもいい」といった心境の人も多いです。ダイレクトソーシング経由の求職者にあわせて、適宜、採用フローの見直しが必要な点もデメリットと言えるでしょう。
ダイレクトソーシングで狙える職種
ダイレクトソーシングで採用を行った企業のデータを見てみると、職種の偏りなく採用可能性があることがわかりました。例えば、ダイレクトリクルーティングサービスのdoda ダイレクトの登録社は次の通りです。
doda ダイレクトの場合は、営業や販売系の割合が多くなっていますが、その他職種もまんべんなく分布していることがわかります。ダイレクトソーシングでは、比較的幅広い職種を狙えると言えるでしょう。
ダイレクトソーシングに向いている企業の特徴
ダイレクトソーシングの採用活動が向いている企業には、どういった特徴があるのでしょうか。結論として、ダイレクトソーシングをやってはいけない企業はありません。ダイレクトソーシングをぜひ試して欲しい企業の特徴をまとめたので、確認してみてください。
求人広告や人材紹介をやりつくした
従来型の求人広告、新聞折込、ポスティング、人材紹介など「待つ」スタイルの採用手法をやりつくして困っている企業は、ぜひダイレクトソーシングを試してみるとよいでしょう。
「作業工数がかかりそう」「SNSを使いこなすのが難しそう」といった理由で、ダイレクトソーシングを控えている企業も少なくありませんが、ダイレクトソーシングの大部分は外注することも可能です。
採用コストを抑えたい
ダイレクトソーシングのメリットでお伝えした通り、ダイレクトソーシングが上手く運用できれば、大幅に採用コストを下げられる可能性があります。例えば、紹介会社頼りで1人あたりの採用単価が高かったり、不人気業界で求人広告の応募単価が極端に跳ね上がっている企業は、ダイレクトソーシングを試してみる価値があるでしょう。
しかし、ダイレクトソーシングは作業工数がかかる手法のため、ダイレクトソーシングの専任が必要となる場合があると押さえておくと良いでしょう。
ダイレクトソーシングを行うポイント
ダイレクトソーシングを行う際は、最低でも専任担当を1人置くのがポイントです。ダイレクトソーシングを取り入れている企業の約7割が、担当者1人でダイレクトソーシングを実施しているというデータもあるため、大きなリソースが必要というわけではありません。
ダイレクトソーシングのスカウト対象者の抽出や、スカウト文面の作成、SNS運用など大部分は外注可能です。外注を活用する場合でも、ダイレクトソーシングに対する責任者を置いておくとスムーズに進められるでしょう。
まとめ
ダイレクトソーシングは、従来の待つスタイルではなく、企業から積極的に採用を仕掛けにいく新たな採用手法です。
労働人口の減少から、とくに転職顕在層や優秀な人材の採用難が続いています。一人ひとりに丁寧にアプローチして、潜在層を母集団化することで、今までとは異なる層の採用を行ってみてはいかがでしょうか。
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