さまざまな分野で利用されるメタバースは、主にゲームの世界でのコミュニケーション方法として活用されていました。近年では、ビジネスの場でもメタバースを採用活動に利用する企業が増えています。
しかし、アメリカなどに比べ、日本での理解度は十分とはいえないでしょう。
今回は、メタバース採用を企業が取り入れるメリットをはじめ、効果的な活用方法、利用してみるべき企業の特徴などを解説します。新しい採用活動に興味のある採用担当者は、ぜひご一読ください。
メタバース採用とは?
メタバース採用とは、仮想空間での採用活動を意味します。
「メタ」はmeta(超越)、「バース」はuniverse(世界)、この2つの言葉を合わせて作られた造語です。インターネット上でアバターを使い、他者と繋がる仮想空間のことを「メタバース」といいます。
メタバース採用の具体的な内容は、従来行われる採用活動とほぼ変わらず、会社説明会や就活イベント、面接などがメタバースで実施されます。
メタバース採用 企業側のメリット
メタバース採用を企業側が行うメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
遠方の人材に自社をアピールできる
メタバース採用の場合、企業や面接会場で行われる一般的な採用活動に比べ、場所の制限がありません。そのため、遠方にいる人材にも自社のアピールが可能となります。
全国各地にいる人材に対して、採用活動を進めていけるので、効率的に求職者を集められるようになるでしょう。
コミュニケーションが活性化する
メタバース採用では、採用担当者と求職者がアバターを介してコミュニケーションを取るため、リアルで行われる面接よりも心理的なハードルが下がります。
結果、求職者は自分の気持ちや意見を伝えやすくなり、コミュニケーションが活性化します。また、お互いの理解を高めることにも繋がるでしょう。
他企業と差別化できる
日本でもメタバース採用を取り入れている企業の事例は増えつつあり、採用活動専門のメタバースツールの提供も開始されています。しかし、アメリカの企業に比べると、メタバース採用を導入する日本企業はまだ少ないのが現状です。
参入企業が少ないからこそ、メタバース採用を取り入れることで他企業との差別化に繋がり、求職者に対する企業の先進性アピールとなるでしょう。
メタバース採用 求職者側のメリット
メタバース採用は、求職者側にもメリットがあります。
採用活動による負担が軽減できる
リアルで行われる会社説明会や面接などに参加する場合、求職者は現地まで行く必要があります。金銭面や体力面で負担となる場合があり、遠方からの参加であればなおさらでしょう。
その点、メタバース採用であれば、採用活動で発生する負担を軽減できます。
心理的な負担が少ない
アバターを介して行うメタバース採用は、心理的負担が少なくなる傾向にあります。求職者は容姿などの外的要因に左右されることなく、自己アピールできるようになるでしょう。
また、メタバースを取り入れた採用活動は、求職者がメタバースそのものを楽しみながら就職活動を行えます。そういった部分も心的負担の軽減に繋がるのでしょう。
ミスマッチが軽減できる
メタバース採用では、「働き始めたらイメージと違った」というミスマッチが軽減できます。
メタバース採用を取り入れることで、会社の雰囲気をリアルに再現できます。
さらに、実際働いている社員に参加してもらえば、会社のイメージがよりリアルになり、就職後の働く姿を求職者にイメージしてもらいやすくなるでしょう。
メタバース採用の効果的な活用法
メタバース採用の効果的な活用法について解説してきます。
メタバース採用合同説明会
「メタバース採用合同説明会」は、ジャンルの異なるさまざまな企業が一つの会場に集まり、ブースを設けて会社の概要や事業内容について説明するイベントを仮想空間で行います。
通常、リアルで行われる合同説明会では、場所や時間などに制限があるため、遠方の学生や求職者は参加しにくくなる問題が発生するでしょう。
しかし、メタバース空間で行われる合同説明会であれば、場所に関係なく参加が可能で、より多くの求職者にアピールできます。
メタバース会社説明会
会社説明会とは、企業が自社のことを知ってもらうために行います。企業の会社概要や業務の内容を伝えるために、とても大切なイベントです。
従来の会社説明会では、遠方の学生や求職者は現地まで来る必要があり、体力面や精神面、金銭面を考えても大きな負担となります。
しかし、「メタバース会社説明会」は、合同説明会同様に場所に関係なく参加が可能です。
さらに、24時間参加可能なメタバース会社説明会であれば、時間の制限もなくなります。
メタバース面接
新型コロナウィルスの影響もあり、オンライン面接が浸透していますが、オンライン面接の場合、企業の職場環境が伝えきれないなど情報量に制限があります。また、対面での面接だと遠方の求職者が参加しにくい問題も発生します。
メタバース面接の場合、場所の制限がなくなることはもちろん、仮想空間内でよりリアルな形での面接が行えるため、会社の雰囲気も伝えやすくなるでしょう。
メタバース採用個別面談
採用個別面談は、主に企業と求職者が情報を共有する場であり、相互理解を深めることを目的に行われます。
- その採用個別面談を仮想空間で行うのが「メタバース採用個別面談」です。
企業の担当者と求職者は、アバターを通してコミュニケーションを取ります。そのため、よりリラックスした状態で面談を行えます。
メタバース会社見学
会社見学は、企業の仕事内容や雰囲気を求職者に知ってもらうためにとても重要です。通常の会社見学の場合、求職者は企業側の予定に合わせて参加する必要があります。
また、企業側も案内役の社員の確保や、準備・片付け要員など、社員を割り当てる必要があり、通常業務との兼ね合いを考えなくてはいけません。
「メタバース会社見学」を導入して仮想空間内にオフィスを再現することで、社員も参加者も時間や場所に制限されず、参加が可能となります。
メタバース採用仕事体験
企業のリアルな仕事内容を体験してもらうため、仕事体験は求職者と企業の双方にとって、とても大切な機会といえます。
しかしながら、仕事体験も日程調整や対応社員の確保などさまざまなコストが発生し、企業にとって手間と労力が必要という側面もあるのです。
- 「メタバース採用仕事体験」では、そのようなデメリットを解決しながら仕事体験を開催することができます。
仮想空間内に体験場所となるオフィスや現場が再現されるため、参加した求職者はその場にいるような臨場感を味わえ、仕事内容や企業への理解を深めることができるでしょう。
メタバース採用イベントの紹介
メタバース採用は、企業側と求職者側、双方にかかる採用活動の負担を軽減できるので、実際導入に踏み切った企業もあります。
例えば、
その際、参加した学生の満足度は95%となっています。
企業側が求職者から事前に得る情報は、メールアドレスとニックネームのみという斬新な方法を取り入れ、質問を重ねて人柄を深掘りしていく形で行われました。
固定概念にとらわれず、これまでになかったようなユニークな方法で、求職者を評価することが可能になっています。
新卒の学生をターゲットとした採用活動の場では、採用イベントの活用を検討する企業も多いのではないでしょうか。 採用イベントにはさまざまな種類が存在するため、自社の目的や求める人物像に合わせたサービスを導入することが採用成功の鍵です。 […]
メタバース採用の効果的な企業ブランディング
メタバースを採用にうまく活用することで、効果的に企業ブランディングを進めていけます。
メタバースを活用した採用アプローチ
メタバースを活用して多くの求職者にアプローチするためには、仮想空間内での業務体験など、参加する求職者が積極的に関われる内容であることが大切です。
アバターを介して会話やチャットができるメタバース本来の機能を活かす他、求職者に参加してもらうための自社ホームページの作成も必要となります。
企業は、先進性をアピールできるメタバースを取り入れることで、他社との差別化が狙えるでしょう。
メタバース活用による人材確保の方法
メタバースは人材確保においても重要なツールです。いつでも仮想空間にアクセスできる状態を確保できれば、求職者は常に企業について知ることができます。
さらに、タイミングが合えば早急に面接を行うことも可能です。メタバースを活用して、自社をアピールすることが、全国各地の優秀な人材の確保にも繋がるでしょう。
メタバース採用でのコスト削減手法
従来型の採用にかかるコストには、採用担当者の人件費や交通費、会場費など多くありますが、メタバース採用では人件費や交通費の削減が可能です。
- 自社独自のメタバース空間を構築する場合、開発や運用には膨大なコストがかかります。
しかし、既存のツールや制作会社を利用すれば、仕様や機能に制限はあるものの、1からシステムを構築するのに比べてコストが抑えられ、中には無料で利用できる場合もあるのです。
他社との差別化を図るのに、メタバース活用にかかるコスト面を考慮していくことも大切です。
メタバース採用イベント実施のポイント
メタバース採用イベント実施で押さえたいポイントについて解説します。
メタバースイベントの設計ポイント
メタバースを活用したイベントは、利用目的の明確化が大切なポイントです。メタバースでは、実際の採用活動とは違い、演出や装飾など内容の自由度が高くなります。
企業認知が目的なのか、仕事内容の理解を目的とするのか、目的に応じてメタバースの使い分けが必要です。
メタバース採用イベントの効果的な企画
メタバース採用イベントでは、企業に関する情報提供に加え、仮想空間ならではのワークショップやゲームを開催するのもポイントです。参加型の企画があることで、参加者はコミュニケーション能力や協調性を自然に発揮できるようになるでしょう。
企業側も求職者の人柄や能力をより深く理解することに繋がります。
メタバース採用イベントのデバイス準備
メタバースを活用した採用イベントは、多くの準備が必要です。メタバース空間にアクセスできるデバイスには、スマホやPC、VRなどがあります。
参加者がどのデバイスを利用しても、スムーズにアクセスできるよう最適化されたシステム設計が重要といえます。
メタバース採用のオンライン活用方法
メタバース採用のオンライン活用方法について解説します。
メタバース採用におけるVRの活用
企業によっては、よりリアルな空間を提供するため、VRをメタバース採用で活用するケースもあります。
視界を覆うように装着するVRゴーグルでは、360°の映像が映し出せます。音の聞こえ方や距離などの制御も可能なため、よりリアルな体験ができるでしょう。
メタバース採用でのアバターの役割
仮想空間内で参加者の代わりとなるキャラクターであり、参加者自身の個性を反映するのがアバターです。メタバース採用では、アバターを通しての作業やコミュニケーションが可能です。
また、多くの求職者が集まる合同説明会などでは、参加者のプライバシーを確保する役割も担います。
メタバース新卒採用の効果的な運用方法
時間と場所の制約がないメタバースを活用した採用活動は、限られた期間内で採用活動を行う必要がある学生からの支持が高い傾向にあります。
そのため24時間365日いつでもアクセス可能なバーチャルオフィスを、自社ホームページで公開する方法がおすすめです。
メタバース採用を利用してみるべき企業の特徴
メタバース採用を利用してみるべき企業の特徴について紹介します。
知名度の低い企業
学生や求職者の集客力は、企業の知名度によって差が出てしまいます。
メタバース採用の場合、知名度の低い企業でもコンテンツ次第で、学生や求職者を集めることが可能です。
ITに強い人材を求める企業
企業の先進性をアピールできるメタバース採用は、新しい技術に興味のある学生や求職者から注目を集めやすくなるでしょう。
そのため、IT人材を獲得したいと考える企業にも、メタバース採用はおすすめです。
IT人材は、その技術やスキルをもって企業のIT化を担う存在であり、多くの企業が優秀な人材の確保を目指しています。 そこで今回は、IT人材の採用状況をはじめ、採用するメリットや優秀なIT人材を確保するポイントをお伝えしていきます。IT人[…]
メタバース採用は新卒向き?中途向き?
メタバース採用は、時間や場所の制限がありません。
しかし、就職活動自体が初めての新卒は、慣れない活動による心的ダメージを考えると、心理的ハードルが下がるメタバース採用は適しているといえるでしょう。
まとめ
メタバース採用は、コスト削減やミスマッチ軽減など、企業側と求職者側の双方にメリットがあります。また、メタバースの活用は今後ますます広がる可能性が高く、就職活動の形も大きく変化するかもしれません。
「メタバースで会社説明会」「新卒の面接でメタバース導入」など、自社に合った方法でメタバースの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
感染症の拡大や働き方が多様になっている現代、社員の教育方法としてオンライン研修が注目を集めています。しかし、オンライン研修の知識が乏しいまま闇雲に導入しても、うまくいかないかもしれません。 そこで今回は、オンライン研修について深掘りし[…]