内定辞退代行とは?拒否できる?人事が気になるポイントを解説

内定辞退代行

最近では新卒採用で内定を出した学生が、「内定辞退代行サービス」を利用するケースもあります。「内定辞退代行とはどのような内容か知りたい」「内定辞退代行から連絡がきたら、どのように対応すれば良いのか知りたい」という人事担当者もいるでしょう。

本記事では、内定辞退代行のサービス内容や対応方法、どのような学生が利用するのかについて紹介していきます。

内定辞退代行とは

内定辞退代行

内定辞退代行とは言葉の通り、内定をもらった企業に対して本人の代わりに内定辞退の電話をするサービスです。内定辞退代行を専門に行っている代行業者だけでなく、電話代行会社や弁護士なども内定辞退サービスを提供しているケースもあります。

なぜ内定辞退代行サービスが普及している?

内定辞退代行サービスが普及している一因として、学生の企業への言い出しづらさが挙げられます。内定をもらうまでに企業と良好な関係を築いている場合や、「御社が第一希望です。」と面接時に伝えていた場合、気まずさから辞退の電話がしにくいことも…。

また、内定辞退を伝えようとすると担当者から高圧的な態度を取られるケースが稀にあります。「怒られたらどうしよう」「責められたら嫌だな」という恐怖心から、内定辞退代行を利用する学生も少なくありません。

内定辞退を代行して連絡しようとする学生の心理

内定辞退 心理

最近の学生は、相手の期待にそぐわない意思表示やネガティブな内容を伝えるのが苦手な傾向があり、NOと言えなくなっているのです。内定辞退の電話も相手の意に反する意思表明をする行為のため、学生にとって心理的なハードルが高くなります。

それに加えて、インターネット上では「内定辞退の電話をしたらしつこく引き止められた」「家にまで担当者が来た」などの情報が出回っており、さらに学生に不安を抱かせます。採用担当者がどんな反応をとるのか怖いという理由から、NOと言えない繊細な学生が増え、内定辞退代行サービスは利用されているのです。

どんな学生が利用するのか

近年、内定辞退代行を利用する学生が増えており、内定辞退代行サービス大手のリクセルでは、2019年時点で月間利用者数が10名を超えています。

公式ホームページでも3月の依頼が多く、対応できる件数に限りがあり早めの検討を呼びかけていることから、数多くの学生が利用しているのがわかるでしょう。

ここからは、どんな学生が内定辞退代行サービスを利用するのか紹介していきます。

教授の推薦で内定した場合や企業にお世話になった学生

教授の推薦で内定をもらった場合や選考の間お世話になった企業ほど、内定辞退は言い出しにくくなるでしょう。自分に良くしてくれたにも関わらず裏切るような形になってしまう、という申し訳なさから自分では伝えられずに内定辞退代行サービスを利用する学生もいます。

内定承諾書に記入した学生

内定承諾書を企業に提出すると、内定契約が結ばれたことになります。内定承諾書提出後でも、内定者から辞退の意思表示をするだけで契約破棄は可能ですが、「内定承諾書を提出したから辞退はできない」と思い込んでいる学生も中にはいるのです。

また、内定承諾書を提出してからの辞退は企業に大きな迷惑であると考え、内定辞退を言い出しにくい学生もいます。内定辞退代行サービスは、内定承諾書提出後でもプロにより内定辞退をしてもらえるため、会社と直接トラブルを避けたい学生が利用することも多いです。

内定辞退を申し出たら引き止められた学生

そもそも内定辞退を企業に伝えることが、学生にとっては強いストレスです。それにも関わらず「考え直してくれ」「会って話をしよう」などと引き止められてしまうと、辞退できなかった、今後も連絡を取らなければならない、とさらにストレスを感じるでしょう。

強い引き止めに精神をすり減らすよりも、プロに任せてスムーズに辞退したいと考え、内定辞退代行サービスを利用するのです。

入社式・内定式直前の学生

入社前や内定式直前であれば、内定辞退の連絡がより一層しづらくなります。さすがにギリギリになって連絡をするのが怖い、言い出しづらい、という感情から自分では連絡できずに内定辞退代行サービスに申し込む学生もいます。

実際の内定辞退代行の流れ

内定辞退代行 流れ

ここでは内定辞退代行の流れを、内定辞退代行サービスの大手である「リクセル」を例に挙げながら紹介していきます。

LINEで友達追加

リクセルを友達追加して、担当者とのやりとりがスタート。ここで学生は質問や不安に感じていることを伝えます。

支払い

料金を振り込むかクレジットカードで支払いをします。学生証を提示すれば通常料金よりも安くなるサービスを実施しているので、学生にとっては利用しやすいサービスとなっています。

内定辞退実行

内定辞退代行サービスの担当者が企業へ内定辞退の連絡をして交渉に入ります。学生が依頼してから平均で1〜2日で内定辞退の手続きができます。

代行会社から本人に代わって辞退連絡が来た場合の対応

代行会社から本人に代わって辞退連絡してきた場合、どのように対応すればよいのか見ていきましょう。

どこの内定辞退代行かを確認

内定辞退代行サービスから連絡が来たら、まずはどこからの内定辞退代行なのか確認しましょう。弁護士以外からの連絡の場合、違法業者ではないのか、どこまで権限があるのか確認する必要があります。

本人の意思であるのか確認

内定辞退代行業者からの連絡であっても、必ず内定者本人の意思なのかを確認しましょう。中には嫌がらせのために、内定者になりすまして辞退の電話をするといった被害も少なくありません。

トラブルにならないためにも、委任状などを活用してやり取りを行うと良いでしょう。

内定承諾前と後では対応は異なる?

内定承諾書には法的な効力はないため、学生が内定承諾書を企業に提出した後でも内定辞退は可能です。

内定承諾書にサインをすることは労働契約を締結したものと扱われ、内定辞退は労働契約を解約するという意味を持ちます。

民法では労働者がいつでも解約を申し入れることができるとされており、解約の申し入れをしてから2週間以内で契約の解消が可能です。そのため、内定承諾書提出後でも辞退を受け入れなければいけません。

しかし、企業が内定辞退に対して選考費用や機会損失について損害賠償請求で裁判を起こした例もあります。内容は、内定者が内定辞退を速やかに行わず、合理的な理由なく入社直前に内定辞退を申し出たというものでした。

内定辞退者が著しく会社との信頼関係を損ねたとみなされた場合、損害賠償請求できるケースもあります。

辞退連絡が本人じゃないとわかったら拒否できるのか

結論から先に言うと、辞退連絡が本人でなくても内定辞退は拒否できません。これは、本人から直接口頭で内定辞退を伝えなければいけないという決まりがないからです。

いくら会社の規定があっても、「解約の申し出から2週間以内に契約の解消ができる」という法律が優先され、引き止めたくても内定辞退を拒否できません。

内定辞退連絡が来る前にやるべき新卒採用のポイント

ここからは、内定辞退連絡が来る前に企業がやるべき新卒採用のポイントを4つ紹介します。

内定を出してからも顔合わせをする

内定を出してから入社までに、学生と顔を合わせるのは1、2度という企業がほとんどです。内定者に対して集まる機会を設けるのは企画や準備の手間もあるので、なかなか難しいでしょう。

しかし、全社員向けのイベントや企画、飲み会など、内定者が参加しても差し支えのないものを選べば顔合わせをする頻度も高くなります。イベントや飲み会の場で、人事だけでなく社員とのコミュニケーションをとることで、内定者に会社をより身近に感じてもらえ、早くここで働きたいという気持ちを高められるでしょう。

コロナ禍でイベントや飲み会の開催を自粛している場合、内定者SNSを用意して、学生たちの交流の場だけでなく、人事担当者や社員にも参加してもらうと関係が密になるのでおすすめです。

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企業のトップに会う機会をつくる

内定者が企業のトップと会う機会をつくりましょう。これは費用があまりかからないためおすすめの施策です。

社長から内定者に対して直々に言葉をかける企業は珍しく、社長から個別に期待をかけられたら内定者に大きな印象を与えられます。社長も忙しいため、内定者と会う機会を設けるのは難しいかもしれません。それ故、内定者が集まる場で儀式のように挨拶をするだけになっている企業がほとんどでしょう。

内定者が多い場合、一人ひとりに時間を割くのは難しくても、少人数で社長と話す機会を設けることをおすすめします。内定者も期待の言葉をかけられることで、必要とされている人材であることがわかり、会社から気持ちが離れる可能性は低くなるでしょう。

メンターをつくる

内定者が、入社までの間に不安に抱えていることや疑問点に感じていることを相談できるメンターをつくると良いでしょう。

良好な関係が築ければ、内定者から「実は他社からも内定をもらい迷っている」と相談をしてくれる場合もあるかもしれません。仕事の域を超えて相談に乗ってくれる社員がいることは、社会経験の少ない学生にとって安心材料となるでしょう。

将来の会社像を共有する

内定者には、会社の将来像を話してあげましょう。

話すときは抽象的な説明ではなく、話している社員の意見や個人の視点で語ると学生の心に響きやすくなります。学生から社会人になることに不安はつきものです。その不安を払拭するためにも、自社は明るく希望があり、活気に満ちていると伝えてあげれば、内定者も今後の会社の担い手としてがんばろうと意欲が湧いてくるでしょう。

その他の内定フォロー事例集

内定フォロー事例

せっかく出会えた魅力的な人材は途中で逃がすことなく入社まで確保したいもの。どんな内定フォローをしたら内定辞退を防げるのか。内定フォローをおろそかにすればするほど、内定辞退は増えていきます。他社は一体どんな内定者フォローをしているのか、参考にしてみて下さい!

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まとめ

内定辞退代行サービスを利用する学生が増えている原因として、相手の意にそぐわない意思表示を苦手とする学生が増えていることが挙げられます。

内定辞退を防ぐためには、内定後も学生との関係を構築していくことが必要不可欠です。内定辞退を防ぐ対策をとりつつ、内定辞退代行サービスからの連絡にも備えるようにしましょう。

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