話題の人工知能(AI)である「ChatGPT」はユーザーの質問に回答したり、プログラミングをしたりとさまざまなタスクをこなすことができます。
そんなChatGPTが、人材採用に活用できることをご存知でしょうか。ChatGPTを採用活動に活用することで、企業にも人事担当者にもうれしいメリットが得られます。
今回はChatGPTを人材採用に活用するメリットや方法、ポイントをご紹介しましょう。ChatGPTを用いて採用活動のコストや手間を軽減したい、自社の求人に採用ブランディングを取り入れたいと考えている方は、ぜひ参考にしみてください。
ChatGPTとは
ChatGPT(チャットジーピーティー)とは、OpenAIによって開発された人工知能(AI)の一種でブラウザ、もしくはスマートフォンのアプリで、誰でも無料で利用することが可能です。GPTは「Generative Pre-trained Transformer」の略で、人間が意思疎通したり情報を伝達したりする際に使っている言語を生成することに特化しています。
そのため、ChatGPTは人間と対話しているような自然なやりとりを行うことが可能です。数百万のウェブページや書籍からデータを収集し、単語や文章の意味や文脈を築き上げることで意味のある会話が成り立っているのです。
2023年3月に、より高性能になった有料プラン「GPT-4」もリリースしています。こちらは、従来型のモデルに比べ、出力精度が向上したため、さまざまな企業が活用するようになりました。
ChatGPTは会話ができるだけではありません。その能力を活かし、さまざまな用途で活躍しています。採用プロセスにおいて、候補者との面接時に、ChatGPTを介して質問や応答を行うことで、候補者のスキル評価や経歴のスクリーニングが可能です。
リアルタイムのフィードバックや柔軟な質問形式も可能であり、効率的かつ客観的な採用判断ができます。採用プロセスにChatGPTを用いて手間やコスト削減ができるのは、企業にとって非常に魅力的といえるでしょう。
ChatGPTの能力とは
ChatGPTは、その高度な自然言語処理能力によって、さまざまなタスクをこなすことができます。ここではChatGPTの主な能力についてご紹介しましょう。
質問に回答する
ChatGPTは、ユーザーからの質問に対して、文脈や意味を理解して適切な回答を提供してくれます。
たとえば「日本の首都はどこですか?」という質問には、「東京」と回答することができます。さらに「東京でおすすめの観光地を教えてください」と質問すれば、浅草やスカイツリーなど、観光スポットに関しても詳しく回答してくれるのです。
幅広い知識を背景に持ち、包括的でより的確な回答を提供してくれるので、情報の検索に手間をかける必要がなくなります。
質問者に提案する
ChatGPTは、質問応答だけでなく、質問者に対して提案を行うことも可能です。ユーザーが特定の質問をすると、ChatGPTは関連する情報やアイデアを提供し、さらなる探求の手助けをします。
たとえば、「最新の映画は何ですか?」と質問すると、ChatGPTは人気のある映画や新作情報を提案してくれるでしょう。これにより、ユーザーはより豊かな情報を得ることができます。
情報収集に活用する
ChatGPTは、膨大な量の情報を処理し、要約・整理する能力にも優れています。
それにより、情報収集のプロセスを迅速かつ効率的に行うことが可能です。手作業で調べると時間がかかりがちな競合他社や市場規模などの情報整理にも役立ちます。これにより、情報の選別や整理にかける時間を大幅に節約することが可能です。
また、最新のGPT-4ではWebサイトから最新情報を収集したり、集めた情報を要約したりすることもできるようになりました。(2023年6月現在)
プログラミングができる
ChatGPTは、プログラミングに関する質問やタスクにも対応できます。
GoogleスプレッドシートやExcelなどの関数はもちろん、PythonやHTMLなどのプログラミングも可能です。何がしたいのかをChatGPTに入力するだけで、自動的にコードを構築してくれるので、誰でもプログラミングが使用できるようになります。
また、既存のプログラミングにエラーが出る場合、ChatGPTにそのまま入力すれば、エラーの原因を突き止め、改善方法を聞くことも可能です。そのため、いちいち人の手でエラー箇所を探したり、修正するために悩んだりする必要もありません。
採用にChatGPTを使うメリット
ChatGPTを人材採用プロセスに導入することで、以下のメリットが得られるでしょう。
- 書類選考が効率よくできる
- 手間やコストの削減が期待できる
- 候補者と深い関係性が持てる可能性がある
- 採用ブランディングの効果が期待できる
では、詳しくみてみましょう。
書類選考が効率よくできる
ChatGPTを活用することで、候補者の書類選考の効率化が可能です。
AIが履歴書や職務経歴書の内容を自動的に分析し、そのなかから求人条件に適した候補者を選定することができます。人が作業するのと違い、見落としやミスの少ないChatGPTであれば、適切な人材をスムーズに選定しやすいでしょう。
手間やコストを削減できる
また、採用に関する人員や時間の短縮ができて、採用にかかるコストを抑えることも期待できます。
ChatGPTで自動化することにより、本来なら人事担当者が行うはずの書類選考や面接の準備、候補者との日程の連絡調整などの時間と労力が削減できるでしょう。その分、人事担当者は他の業務に集中できるようになるため、採用プロセスの効率化が図れます。
さらに、ChatGPTによって選定された適切な人材は、研修や教育へのコストが抑えられるため、新人教育や再募集などにかかるコストの削減にもつながると考えられるでしょう。
候補者と深い関係性が持てる
採用プロセスにChatGPTを活用することで、候補者とのエンゲージメントを大幅に向上させることが可能です。ChatGPTは、24時間365日いつでも対応できるAIチャットボットなので、候補者が質問や相談を気軽に行える環境ができます。
そのため、候補者の不安や疑問が解消でき、企業への不信感や不満も少なくなると考えられるでしょう。自然な会話ができることで、企業と候補者のコミュニケーションが円滑になります。
採用ブランディングができる
ChatGPTならブランディングを活かした求人を作ることができます。
採用ブランディングは、企業が優秀な人材を集めるために重要な要素といえるでしょう。求人における採用ブランディングというのは、職場環境や給与、福利厚生などさまざまな要素が考えられます。これらの魅力や価値を求職者に伝えることで、自社への応募数を増やすことが可能です。
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ChatGPTを採用活動で導入している企業も
世界にはすでにChatGPTを採用活動に導入している企業があり、日本でも、ChatGPTを活用した、採用システムを提供している企業もあります。
しかし、ChatGPT自体がサービス開始して間もないため、それぞれの企業で採用活動にChatGPTを導入しているケースはまだ少ないのが現状です。一方で、ChatGPTを採用活動に利用するためのセミナーなどに需要があるようで、企業や人事担当者から注目されているのがわかります。
ChatGPTを採用に活用するためのポイント
ChatGPTを採用に活用するといっても、「採用活動をしてください」と指示を出すだけで理想の採用活動ができるわけではありません。それでは、実際にChatGPTを採用に活用するためのポイントを解説します。
対話の範囲を設定する
ChatGPTは高性能で幅広い知識を持っていますが、普通に会話しても平凡な返答を選択する傾向があり、採用活動向けの返答にならないケースがあります。
そのため、まずは「あなたは人事採用担当者です」や「採用活動の補助をしてもらいます」など、ChatGPTに役割を持たせましょう。こうすることで、対話の範囲が「採用活動をする側」に絞られ、より正確な回答が得られるようになります。
対話形式でやりとりを行う
ChatGPTは対話することでデータを学習し、最適な回答を生成することができます。
ここでは求人票の作成にChatGPTを活用する例を紹介しましょう。
このやりとりから「それらの条件を組み込んで求人票を作ってください」と指示をすると、これらの条件が組み込まれた求人票を作成してくれるのです。
このように会話を続けながら、少しずつ理想の求人票を作りあげることができます。
事前に重要なことを認識させる
ChatGPTは与えられた文脈を基礎に回答をするため、事前に重要な目的や情報を認識させるのがポイントです。重要なことから認識させて対話をはじめれば効率よく対話して、よりよい結果を得られることができます。
また、事前に的確な情報を共有することで、途中で説明や質問をしなければならないシーンを軽減することができるので、結果的に時間短縮にもつながるでしょう。
ChatGPTを採用に活用する際の注意点
ChatGPTを採用に活用すれば、書類選考が抜かりなく行えることや、これまで採用活動にかけていた手間とコストが省けるなどのメリットが得られます。しかし、ChatGPTも完璧ではありません。ここではChatGPTを採用に活用する際に、注意すべき点についてご紹介します。
作成された文章は確認する
ChatGPTを活用すれば、候補者の書類のスクリーニングや面接の手間を削減することができます。しかし、最終的にChatGPTが作成した文章に違和感がないか、間違いないかを人間が確認する必要があります。ChatGPTによる手間やコスト削減を優先して、人的な要素を完全に省くことは避けておくのが無難でしょう。
採用の決定は担当者が行う
文面や書類だけでは、候補者の雰囲気や清潔感などは伝わりません。表情や声の聞き取りやすさ、所作も営業や接客業などの業種にとっては重要な要素です。ChatGPTで効率よく人材をスクリーニングし、候補者を絞れたとしても、採用の決定は人事担当者が行うようにしましょう。
ChatGPT自体の正確性の問題
ChatGPTは高性能なAIですが、まだまだ精度が不十分なシーンもあります。ときには意図しない結果にたどり着いたり、理想とは異なる方向性になったりしてしまうことも考えられるでしょう。ChatGPTに頼りすぎず、上手に利用して採用活動の生産性を向上させることがポイントです。
まとめ
ChatGPTは2022年11月に登場して半年たらずで、すでに1億人以上のユーザーを持つとされているサービスです。まだまだ発展途上ではありますが、機能性に優れ、さまざまなタスクをこなすことができます。
これらの機能を利用し、採用活動に導入することができれば、採用にかかる人材コストや手間を削減でき、より正確なスクリーニングができるでしょう。ただし、ChatGPTに任せっきりにするのではなく、人的要素も必要不可欠です。ChatGPTをうまく使って、採用活動を効率よく行ってみてはいかがでしょうか。
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