優秀な人材を確保するため、人事ポリシーの導入を考える企業も多いでしょう。企業の考え方やビジョン、企業の求める人物像を明らかにするために、人事ポリシーの策定は重要となります。
しかし、実際は「作り方が分からない」「作る時のポイントは?」など、人事ポリシーの策定方法に悩まれている方もいるでしょう。
この記事では、人事ポリシーの作り方や策定のポイントなどを解説します。実際に導入している企業も紹介するので、参考にしてみてください。
人事ポリシーとは
人事ポリシーとは、企業組織の方針やその組織に属する従業員の評価基準を定めるものです。
人材に対する経営者の考え方を示したものなので、企業の目標などを実現するために必要不可欠といえるでしょう。
人事ポリシーは、企業のホームページに記載されている場合が多く、求職者など誰でも閲覧が可能です。
人事制度の中枢を担うルールのようなもので、「効率的に目標を達成するために企業が社員に求めていること」「評価や昇給に繋げるために何をすべきか」などを示しています。
人事ポリシーを作るメリット
人事に関する仕組みを構築していくのに重要な人事ポリシーですが、具体的にはどのようなことに役立つのでしょうか。ここでは、企業が人事ポリシーを作るメリットについて解説します。
人事制度や社員育成の方向性が曖昧にならない
企業は人事ポリシーを作ることで、人事制度や社内育成の方向性を明確にできるメリットがあります。
一貫した人事制度が整うと、採用や社員育成がよりスムーズになるでしょう。また、一貫性のある人事制度設計は、社員に浸透しやすくなるため、受け入れてもらえる可能性が高まります。
さらに、何をすればキャリアアップできるのかという目標も明確になるため、社員のモチベーションアップにも繋がるでしょう。
企業の求める人材の獲得に繋がる
人事ポリシーは、企業ホームページなどを活用し、社外へ公表するケースがほとんどです。そのため、人事制度にキャリアアップの機会を明らかに示すことが、求職者へのアピールにもなります。
求職者が自社に関心を持つきっかけ作りになるので、優秀な人材を求める企業にとって、人事ポリシーは必須ともいえます。
人事ポリシーを作り公表することで、企業の求める人材を明確化し、欲しい人材を集められるため、採用のミスマッチを防ぐことにも繋がるでしょう。
社員への公平な評価が可能になる
人事ポリシーを作ると社内の評価基準が明確になり、一貫した評価基準が、社員の公平な評価を可能にします。
明確な基準がなく、評価担当者の主観で評価してしまうと、不平等さを感じてしまい社員が不満を抱く原因になりやすくなります。
その結果、社員の離職を招きかねません。社員のモチベーションアップにも繋がるため、評価基準の明確化は重要といえます。
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人事ポリシー策定における必要項目
人事ポリシーは、必要項目が決まっているわけではありません。しかし、人事ポリシーの項目が曖昧なままでは、企業にとって有益となる人事制度の構築は難しいでしょう。
- 一般的に必要とされる項目の一つに、「企業方針」があります。
企業方針は、組織で働く人材が仕事へ取り組むための柱となるものです。求職者が入社後に働く姿を想像しやすいよう、内容をシンプルにまとめて記載すると良いでしょう。
企業方針に沿って働いてもらうために、スキルや仕事に対する考え方など、欲しい人材に求める要件を提示する項目も重要です。
さらに、その要件を満たすために、意識してほしいことを具体化する行動方針もあるとベストでしょう。
最後に、福利厚生や社員研修など、企業が社員に対してどのような環境や機会を用意できるのかを示す項目も必要です。
人事ポリシーの作り方3つのステップ
ここでは、人事ポリシーの作り方を紹介していきます。
企業理念や組織成立のための心構え
まずは、企業理念や組織成立のための心構えなどを洗い出していきましょう。初めに必要事項を洗い出し、「企業が目指していることは何か」を考えることが、人事ポリシーを作るうえで最も大切といえます。
ここでの重要なポイントが、将来を見越したビジョンを固められるかという点でしょう。短期的な目標では、一貫性のある人事ポリシーを作れないため注意が必要です。
企業の求める人物像を明らかにする
次に、明確化した企業理念などをもとに、企業の求める人物像を明らかにしていきます。
「どのような能力のある人材を求めるのか」「将来どのような人材に成長してほしいのか」など、企業が求める人材として欠かせない項目を洗い出していきます。
そうすることで、人事ポリシーの策定をスムーズに進められるでしょう。
社員を評価する時の基準を明確にする
社員のモチベーションを大きく左右することの一つに、評価制度があります。企業が社員のどのような行動や成果に対して評価するのか明確にします。
評価のため、やるべきことが明確になることで、入社後の社員の行動にも主体性が生まれることに繋がるでしょう。
人事ポリシー策定のポイント2つ
人事ポリシー策定のポイントを2つ紹介していきます。
内容は簡潔に記載する
人事ポリシーは、企業のホームページに記載します。そのため、ずらずらと書き示すのではなく、最後まで読んでもらえるよう誰でも読めるシンプルな文面を意識することが大切です。
さらに、グローバル人材を求めている場合、人事ポリシーを日本語だけで表示させるのではなく、英語のページも用意するなど多言語対応にすることも大切です。
評価や報酬についての記載は必須
上記でも述べたように、評価や報酬に関することは、社員のモチベーションアップにも大きく関わってきます。さらに、求職者が注目しているポイントともいえます。
そういった部分に対して、不明瞭な点が多いと、社員から不信感を抱かれる原因にもなるため、注意が必要でしょう。
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人事ポリシーに関する他社事例5選
ここでは、実際に人事ポリシーを導入している企業事例を紹介していきます。
ソフトバンク株式会社
「情報革命で人々を幸せに」という企業理念を掲げるソフトバンク株式会社は、300年成長し続ける企業になるため、「No.1・挑戦・逆算・スピード・執念」と、5つのバリューを示しています。
そんなソフトバンクがホームページに記載している人事ポリシーは、分かりやすく簡潔にまとめられているのが特徴です。
どのような企業でどのような人材が欲しいのか、そのために与えられる環境について、分かりやすい言葉で書かれています。
チャレンジする人の可能性をサポートすることが、全面的に伝わるような人事ポリシーとなっています。
Amazon.com, Inc
1995年に創業したAmazon.com, Incは、世界的に有名なリーディングカンパニーです。そんなAmazonでは、求める人物像として「チームを持つマネージャーであるかどうかにかかわらず、Amazonでは全員がリーダーである」という考えを主張しています。
そして、「Our Leadership Principles」と呼ばれる社員一人ひとりに意識してほしい16項目の行動方針を掲げているのも特徴です。
「Our Leadership Principles」への共感、そして大切にできる人材を求める企業であることが伝わる人事ポリシーといえます。
伊藤忠商事株式会社
「伊藤忠商事株式会社」は、世界61ヶ国に90ほどの拠点を抱える大手総合商社で、幅広くビジネスを展開しています。
伊藤忠商事では、優秀な人材の確保のため、「厳しくとも働きがいのある会社」の実現を約束する内容を詳細に開示しています。
また、「多様な働き方を推奨する施策」や「安心して働き続けるための環境整備」「人材育成」「評価・報酬」などを詳しく記載しているのも伊藤忠商事が掲げる人事ポリシーの特徴です。
企業理念に共感する人材を確保すべく、採用活動に注力していることもあり、就職人気企業ランキングでトップを獲得するほどの企業となっています。
株式会社電算
1966年設立の「株式会社電算」は、甲信越地方を基盤に全国各地へデジタル技術活用のソリューションを提供している会社です。
そんな電算でも企業を知るうえで重要な指針の一つとなる人事ポリシーを設定しています。
「企業としての想い」や「求める人物像」などについて、明記されています。さらに、「なぜ、人事ポリシーを設定するのか」という人事ポリシーの位置づけと意味を分かりやすく説明してくれているのも特徴です。
ニデック株式会社
1973年に設立した「ニデック株式会社」は、IT・OAだけでなく家電製品や自動車、環境エネルギーなど、あらゆる分野で貢献を続けている総合電機メーカーです。
ニデック株式会社では、「100年を超えて成⻑し続けるグローバル企業」「⼈類が抱える多くの課題を解決する世界No.1のソリューション企業集団」という企業ビジョンを掲げています。
そして、ビジョン実現のため、NIDECグローバル人事ポリシーを設定しています。
キャリア支援や幹部育成のほか、評価や報酬、給与などについて、丁寧な言葉を用いて企業のホームページへ開示されています。
まとめ
人事ポリシーは、企業のホームページに開示されている場合が多く、人材に対する企業側の考えやビジョンを示したものであり、企業目標を実現するために必要不可欠といえます。
人事ポリシーの導入は、採用面だけでなく、社員のモチベーションにも大きな影響を与えるでしょう。
今回解説した内容を参考に、自社が求める人材を確保できるような人事ポリシーを策定してみてください。
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