インターンシップとは?定義・種類・目的・成功する運営方法も解説

インターンシップは、企業のことを学生に知ってもらうために効果的な活動です。

しかし、ポイントを理解していなければ、負担のわりに成果が現れないことにもなりかねません。

本記事では、2025年度から変更があった三省合意を含む、インターンシップの定義について文部科学省や経団連のホームページを参考に解説します。

また、実施の方法や企業の成功事例、おさえておきたいポイントも紹介します。

最後までチェックして、自社に合ったインターンシップの実施にお役立てください。

インターンシップとは?三省合意の見直しはいつから?

インターンシップ 定義

文部科学省・厚生労働省・経済産業省の三省合意による「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」に基づいて、大学生等におけるインターンシップが実施されています。

この三省合意が見直され、2025年3月卒の学生参加のインターンシップから定義改正が適用されました。

三省合意の内容をもとにインターンシップの定義や目的についてわかりやすくまとめたので、チェックしていきましょう。

インターンシップの定義

インターンシップの定義は、経団連(一般社団法人日本経済団体連合会)と大学関係団体等の代表者で構成されている産学協議会(採用と大学教育の未来に関する産学協議会)によって、以下のように記されています。

『学生がその仕事に就く能力が自らに備わっているかどうかを見極めることを目的に、自らの専攻を含む関心分野や将来のキャリアに関連した就業体験を行う活動』

三省合意による考え方では、就業体験を行わない場合、インターンシップとは定義されていません。

インターンシップの目的と注目される背景

インターンシップ注目の背景には、「売り手市場での選考」や「就職活動の早期化」があると考えられます。

企業は、優秀な人材を確保するためにも、インターンシップを通して学生と少しでも早く接触しておくのが得策です。

インターンシップを実施することで、学生に企業の魅力を発信し、実践的な人材の育成が可能になります。

さらに、就労経験のない学生が業界や業務内容の理解を深めることで、就業希望の促進やミスマッチによる早期離職の予防にもつながるでしょう。

インターンシップの種類とそれぞれの特徴

ここからは、インターンシップの種類別に特徴を見ていきましょう。

産学協議会の4つの類型に基づくインターンシップの分類

三省合意の改正に伴い、産学協議会によって、インターンシップなどの学生のキャリア支援に関わる取り組みが以下の4つに分類されました。

インターンシップ 定義

それぞれについて詳しく解説していきます。

タイプ1:オープン・カンパニー(超短期型)

タイプ1で想定されているのは、企業や就職情報会社などが主催のイベントや説明会のことです。参加する学生の年次は問わず、所要日数が短いという特徴があります。

関連記事

2023年度から、インターンシップの定義が変わり、今まで扱ってきたプログラムが4つに分類されます。(2025年卒業予定の学生から適用) そのひとつである「オープン・カンパニー」は、学生に対して企業の情報を届けられる大切な機会です。しか[…]

オープンカンパニー

タイプ2:キャリア教育

タイプ2では、社会的責任として企業が実施および、大学が主導した授業や産学協働のプログラムが想定されています。

タイプ1同様、参加する学生の年次は問いません。企業主催の場合、学業と両立できるよう配慮が必要です。

タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ

適正や汎用的能力、専門性を重視した内容のインターンシップを想定しているのが、タイプ3の特徴です。学生と企業の双方の理解を深めることが目的で、就業体験が必要です。

また、以下の5つの要件をおさえることで、取得した学生情報を、採用活動に使用できます。

  • 汎用的能力活用型の場合は5日以上・専門活用型は2週間以上の期間で開催
  • 所要日数のうち、就業体験の日数が半分を超えていること
  • 就業体験では、社員が学生を指導し終了後にはフィードバックを行う
  • 学部3・4年や修士1・2年の長期休暇中に開催(大学正課や博士課程の場合は開催時期不問)
  • 募集要項などで、学生情報を活用する旨などの必要な情報開示

タイプ4:高度専門型インターンシップ

タイプ4は、「高度な専門性を重視した修士課程学生向けインターンシップ」や文部科学省や経団連が共同で試行している「ジョブ型研究インターンシップ」が該当します。

企業は採用の評価材料を取得、学生は専門性に対する実践力の向上することを目的としており、採用活動へ学生情報の使用が可能です。

2025年2月現在、先行的・試行的な取り組みの段階です。実施状況に応じて柔軟に見直される予定なので、最新情報は文部科学省のホームページなどでチェックしましょう。

期間別のインターンシップの特徴(超短期・短期・長期)

インターンシップの期間は、主に超短期・短期・長期の3つです。それぞれの特徴や実際にインターンシップを行っている企業を紹介します。

超短期(5日間以下):情報収集型プログラム

超短期は、タイプ1のオープン・カンパニーやタイプ2のキャリア教育が該当します。

説明会の延長になることが多く、就業体験がないケースも少なくありません。そのため、実際は、インターンシップとしての定義からは外れている日数になり、学生の企業情報の収集が主な目的です。

超短期のオープン・カンパニーを開催している企業に、スーパーゼネコンのうちの1社である鹿島建設が挙げられます。

鹿島建設のオープン・カンパニーは、社員が実際に働く姿を見学できたり、座談会と実体験が合わさった学びの場を設けたりするなどの内容です。

超短期間ながらも、建築技術系社員の役割を体感できる工夫がされています。

短期(5日~2週間):実務体験の初歩の伝達

短期のインターンシップは、超短期よりも期間があるため、グループディスカッションなど課題に取り組んでもらうケースも少なくありません。

また、就業体験をしてもらうことで、実務や職場への適応能力の育成にもつながります。

東急リバブルでは、5日間の汎用的能力・専門活用型インターンシップを2023年から行っています。

前半は模擬営業や事業の理解を深める内容、3日目以降は現場を体験するプログラムです。

現場体験の時間をより長く確保することで、不動産流通業界への理解と学生自身の成長を促すことを目的としています。

長期(3か月以上):スキルアップを重視したプログラム

長期インターンシップでは、学生に社員同等の仕事を任せるケースも少なくありません。実際に就業してもらうため、給料の支給が必要になる場合もあります。

ソニーは、技術の研究や開発などを行うエンジニア志望の学生向けに長期有給インターンシップを実施する企業のひとつです。

「開発や技術の社会実装過程に興味がある」「大学で培った専門性を試したい」という学生が、プロフェッショナルな現場を体験できる機会を設けています。

時期ごとのインターンシップとその活用方法

つづいて、時期ごとのインターンシップの特徴と活用方法を紹介します。

サマーインターンシップ

6~9月の夏期に実施するのがサマーインターンシップです。多くの学生を受け入れ、説明会やグループワークがメインとなります。

大学3年生の夏の時点で、就活の方向性がはっきり決まっている学生はそう多くありません。優秀な人材確保のためにも、学生に企業の魅力を伝える機会として活用しましょう。

オータムインターンシップ

10~12月ごろに実施されるオータムインターンシップは、超短期から長期までさまざまです。

夏に参加した学生が課題を定め直して再度参加するなど、より自社に興味のある人材に出会えるでしょう。採用につなげられるよう、実践的なプログラムを設定するのがおすすめです。

ウインターインターンシップ

ウインターインターンシップの実施時期は、1~3月です。いよいよ就活の本番という時期に開催することで、選考を意識した本気度の高い学生が集まります。

本格的な選考が始まる前に、自社への志望度を高めてもらえるような工夫が必要です。少人数かつ1~3日程度と短い期間で行い、採用選考で優遇する企業もあります。

企業・学生それぞれのインターンシップ開催メリット

インターンシップ 定義

インターンシップは、企業・学生の両者にメリットがあります。それぞれの立場のメリットを見ていきましょう。

企業にとってのインターンシップ実施のメリット

インターンシップの実施によるメリットは以下の通りです。

  • 参加者の中から求める能力や自社に合った人材を発掘できる
  • 職場の雰囲気を事前に知ってもらうことで採用ミスマッチを防ぐ
  • 入社前に必要なスキルを習得する機会を設けることで人材を育てられる
  • 自社の知名度を上げられる

学生にとってのインターンシップ参加のメリット

つづいて、学生にとってのメリットを紹介します。

  • 企業へ自分をアピールでき、内定獲得につながる
  • 業界や職種への理解が深まる
  • 企業や職業への適性の有無がわかる

インターンシップの成功を目指した企画・運営のコツ

ここからは、インターンシップを成功させるコツをチェックしましょう。

インターンシップの企画から実施までの流れ

企画から実施までの流れは以下の通りです。

目的の明確化と業務内容の決定

まずは、インターンシップで行う業務を決め、目的を明確にしましょう。インターンシップで行う業務は、会社の課題解決に向けた取り組みを採用するのがおすすめです。

いくつかリストアップした中から重要度は高く緊急度は低いものを選ぶと、学生は取り組みやすいでしょう。

応募方法や参加学生の選考基準の設定

学生募集の方法は、以下の3種類が主流です。

  1. 大学と連携する
  2. 自社が中心となる
  3. コーディネート機関を活用する

インターンシップに参加する学生を選考する際には、価値観や考え方、行動特性を中心に、自社に適した人材の選考基準を定めましょう。

選考面接の前にエントリーシートを確認して、学生への質問内容を考えておくのがポイントです。

受け入れ体制と事前説明の準備

学生と信頼関係を築くためにも、受け入れ体制を整えておきましょう。

具体的には、学生のインターンシップ参加の動機や目的の共有や、指導担当者の決定、使用するパソコンやICカードなどの準備です。

また、実際のインターンシップ期間に入る前に学生へ確認事項の共有などを行うオリエンテーションを開き、事前説明を行うのがおすすめです。

学生満足度を高めるための工夫

学生の満足度を高めて、志望度アップにつなげる工夫をしましょう。

実務体験と社員交流のバランスを取る

実際の仕事体験に近い内容の方が、学生の満足度が高まる傾向があります。また、社員と接点を持つことで、学生は仕事への姿勢やキャリアについてなどを知ることが可能です。

将来のイメージを持ちやすいことから、満足度の高い時間になるでしょう。

柔軟な日程や参加条件の提供

意欲のある学生ほど、さまざまな企業でインターンシップをしたいと考えているでしょう。

日程や条件は選択できるようにすると、「都合がつかなくて参加できなかった」という学生が少なくなります。

インターンシップ運営で注意したいポイント

ここでは、インターンシップ運営上の注意点を紹介します。

情報漏洩や賃金設定で守るべきルールを知る

とくに長期でインターンシップを行う場合、学生が社外秘文書や顧客情報などを知る可能性があります。情報漏洩を防ぐためにも、秘密保持契約を交わしておきましょう。

また、学生が企業利益を生む活動に関わった場合、有給となるケースもあります。この場合、適正な雇用契約と賃金設定をこころがけましょう。

ハラスメント防止で信頼される企業に

セクハラやパワハラのようなハラスメントは、企業の信頼やイメージを大幅に下げます。

インターンシップ期間に限ったことではありませんが、社員への注意喚起が大切です。

成功するインターンシップの事例と取り組み

最後に、成功するインターンシップについてまとめました。

業界 企業名 特徴・内容
消費財 資生堂 ・希望する職種に合わせたコースの選択が可能

・インターンシップ参加が採用選考につながる

食品 ロッテ ・営業・ITC・研究の職種ごとにプログラムを用意

・ワークショップや社員との交流会を開催

・複数の日程提案

電機 パナソニック ・幅広い事業領域とニーズに合わせたコースから選択可能

・大学1年生から参加可能

・障がいのある方向けプログラムあり

これらの事例から、学生のニーズに合わせたさまざまなメニューや日程の提供が、インターンシップ成功のカギと言えるでしょう。

また、インターンシップへの参加が採用選考に直結する仕組みも、学生を惹きつけているようです。

大企業と中小企業の成功事例の違い

大企業に比べて知名度の低い中小企業では、応募者がなかなか集まらないのが現状です。中小企業がインターンシップを成功させるポイントは、他社との差別化にあります。

  • 社員の能力や役割では足りない部分を学生に任せる
  • 経営者目線で仕事の進め方を学べるよう、経営者の右腕となってもらう

上記を参考にして進めてみてください。

インターンシップ企画代行を利用する

インターンシップから本選考を含めて、総合的に採用アウトソーシングを行ってくれるサービス会社を利用するのもおすすめです

学生を惹きつけるプログラムの実施や、新しい視点での採用活動に役立つでしょう。また、自社の採用担当者の負担軽減にもつながります。

まとめ

インターンシップの定義や実施方法、注意点などを解説しました。学生のインターンシップ参加率や参加社数は年々増加傾向にあります。

成功事例を参考にしたり、アウトソージングサービスを活用したりして、自社の魅力を存分に伝えられるインターンシップを実施しましょう。

関連記事

「インターンシップを実施したいけれど、時間も人手も足りない」「効果的なプログラムをどう設計すればいいかわからない」「優秀な学生を集めたいけど方法がわからない」こんな悩みを抱えていませんか? インターンシップは、学生に企業を知ってもらい[…]

インターンシップ企画代行