外国人雇用のメリット・デメリット&絶対に注意するべき点

外国人雇用

2020年の外国人雇用状況によると、国内で働く外国人労働者は172万人を超えています。2020年ごろから新型コロナウイルスの影響で外国人の新規入国が鈍化しているとはいえ、2015年の外国人労働省数90,8万人と比較すると労働者数は右肩上がりとなっています。

今回は、これから外国人雇用を始めたい方に向けて、外国人雇用の基本的な進め方や採用フロー、注意点などを解説します。

日本の外国人雇用の現状

日本は急速な勢いで少子高齢化が進んでおり、労働人口が減少し続けています。

今の推移で労働人口減少が進むと、2030年には労働供給が追い付かず644万人の人手不足になると言われています。

パーソル総合研究所 労働市場の未来推測2030

画像引用:パーソル総合研究所 労働市場の未来推測2030

深刻な労働人口減の対策として、政府は働き方改革の中で多様な働き方の推奨をしており、同時に外国人の労働力活用にも着目をしています。

外国人労働者数の推移を見てみると、2010年には65万人、2015年には90,8万人、そして2020年には172万人へと、10年で3.5倍強の増加数となっています。

外国人労働者数の推移

画像引用:厚生労働省「外国人雇用の状況について」

外国人労働者の受け入れ制度とは

外国人労働者を受け入れる制度の考え方についてご紹介します。

過去の外国人労働者の受け入れ制度

日本で外国人を受け入れる際は、「専門的な技能・知識を保有している人」と「日本人と婚姻・血縁関係にある人」「留学生」に加えて、日本の技能を教育する国際貢献制度の「技能実習制度」などに大別して、受入れの選別を行ってきた歴史があります。

来日した外国人には在留資格(通常名称:ビザ)を個別に付与して、彼らの保有する知識や技能を分類し、在留資格ごとに働ける業種職種や在留期間を限定して雇用を受け入れてきました。

現在の外国人労働者の受け入れ制度

今までのように、複雑な在留資格の制度のもとで単純労働を禁止しすぎてしまうと、日本でもっとも人手不足と言われる業種職種にて雇用が進まない課題がありました。

そこで政府は、2019年4月に「特定技能」という在留資格を新設し、いわゆる単純労働と呼ばれる14の分野にて新たに外国人を受け入れることを認めています。

単純労働 14の分野

画像引用:毎日新聞「基本方針閣議決定 14業種、外国人受け入れ」

以後、外国人の受入れ制度は、従来の「専門的な技能・知識を保有している人」「日本人と婚姻・血縁関係にある人」「留学生」「技能実習生」「特定技能」などに分けた、新たな運用が開始されたのです。

外国人雇用のメリット

外国人雇用は、人手不足を解消してくれる点以外にも複数あります。ここでは2つのメリットをご紹介します。

インバウンド対策になる

2022年現在はコロナ禍のため、海外旅行者の受入れが厳しい状況となっていますが、今後海外旅行者の受入れ再開となった際には、外国人雇用がインバウンドの後押しになるのは間違いありません。

ホテル、旅行会社をはじめとする観光事業や、飲食店、小売店など幅広い業種で外国人労働者は重宝されています。

文化や言葉の違いを理解したうえで、さまざまな国と日本企業をつなぐ役割を担ってくれる外国人労働者は、事業売上を下支えしてくれるでしょう。

柔軟な発想・気付きを得られる

どの外国人を受け入れる場合でも、必ず文化や言葉の違いによる摩擦は起きるものです。しかし、外国人と日本の考え方や風習の違いをきっかけに、日本人だけでは生み出せなかったアイデアが生まれるメリットも大きいです。

日本では現在、国籍問わず「多様な価値観」「多様な働き方」が注目されています。年功序列、終身雇用の男性社会から、性別・国籍・雇用形態問わず誰もが柔軟に活躍する場の提供が急務となっているのです。

外国人とともに働くことで、ビジネス上の気付きにとどまらず、多様な生き方を後押しする柔軟な発想を手に入れられることは大きな魅力といえるでしょう。

外国人雇用のデメリット

外国人雇用を行う上でのデメリットについても、採用の前に確認しておきましょう。

手続きが煩雑

先にご紹介した通り、外国人の受入れ制度は複雑で、手続きに手間がかかるのはデメリットといえます。外国人を雇用する際は、まず在留資格の確認が必要になりますが、在留資格の種類によって関われる業務内容や働く期間は異なります。

また、1度手続きしたら終わりではなく、雇用後も在留資格の期限が切れていないか確認したり、労働時間の管理を厳しく行ったりする手間が発生します。

外国人の社会保険は、基本的には日本人と同様に適用していきますが、母国の社会保険制度に加入している人に対する特例や、途中で帰国した場合の脱退一時金などの制度案内など、その都度専門的な知識が必要になるので注意が必要です。

文化の違いからトラブルが起きやすい

受け入れる外国人の母国にもよりますが、外国人は日本人よりも転職をしやすい傾向にあります。「年収アップするなら転職する」「家から近い職場を見つけたので転職する」などと、面接で堂々と伝えてくる人も少なくありません。

仕事に対する意識が低いとか、適当な性格というわけではなく、文化の違いから離職が起きやすいのは事実です。

その他にも、「言われていない仕事はしない」という外国人もいます。これは、海外で主流となっているジョブ型雇用と、日本に長年浸透している新卒一括採用の違いから起こることです。

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新卒一括採用の時代は終わる

ジョブ型雇用のもとで働く外国人にとっては、ジョブディスクリプションに記載してある業務内容を忠実にこなすことが当たり前のため、日本人のように総合職として「気付いたからついでにその仕事もやっておきました」という発想がありません。

このように、文化や働き方制度の違いから、トラブルに発展する可能性があるのはデメリットとして受け入れておく必要があるでしょう。

外国人を採用するための手法

外国人を採用するための手法

外国人の代表的な採用手法をご紹介します。

外国人専門の求人サービスを利用する

日本人を採用する場合と同様に、求人広告や人材紹介、人材派遣といった手法で外国人採用を行えます。日本人向けの求人広告でも外国人募集は可能ですが、外国人専門の求人サービスを利用した方が、母国語表示ができたり、専門スタッフのフォローがあったりするので効果的です。

10数か国語に翻訳してくれる求人広告や、特定のエリア・国に特化した求人サービスがあるので、ネット検索して問合せしてみましょう。

技能実習制度や特定技能ビザを利用する

日本の技術を伝える国際貢献制度である技能実習や、2019年に新設された特定技能ビザを用いて採用する手法もあります。この2つの制度は似て非なるものですが、どちらも複数の専門機関とのやり取りが発生するのが特徴的です。

自社で手続きをすべて行うには難易度が高いため、まずは専門業者に依頼して見積りや、制度説明を受けてから検討するようにしてください。

外国人雇用の採用フロー

外国人雇用の採用フローをご紹介します。今回は、海外在住の外国人ではなく、すでに日本に住んでいる外国人を採用する場合についてご紹介します。

受け入れ可能な在留資格を確認する

まず、自社で受け入れ可能な在留資格の種類を確認します。在留資格ごとに、任せられる業務内容や就業期間、手続き方法などが異なります。

とくに技能実習制度の利用と、特定技能ビザの外国人の受入れに関しては、専門の行政書士や監理団体といった専門機関とのやりとりが発生します。採用したいポジションの業務内容と照らし合わせつつ、適切な在留資格を選んでいきましょう。

募集をかける

在留資格の中でも、留学生アルバイトや日本人と婚姻関係にある身分系の在留資格保有者は、一般的な求人広告で募集をかけやすいです。外国人専用の求人広告も多数あるので、予算に応じて広告掲載をして募集を開始しましょう。

募集の際は、求める人物像設定だけでなく、業務に必要な日本語レベルや任せたい業務内容を細かく設定しておくのがポイントです。また、相手の母国語で面接対応できるか、完全に日本語で対応するかなども事前に決めておくとよいでしょう。

なお、求人広告以外にも、派遣や人材紹介で募集をかけることも可能です。

入社手続きと労働条件の説明を行う

募集をかけて内定通知をしたら、再度在留資格の確認や労働条件のチェックを行います。相手の理解度にあわせて、日本の社会保険や税制度、労働時間や業務内容、出社ルールなどの説明を行いましょう。

相手の母国語で表記した書面を渡しておくのも親切でしょう。

入社手続きの際は、基本的に日本と同じフローで労働保険や社会保険手続きを行いますが、「外国人雇用状況の届出」など外国人にのみ必要な書類もあります。不安な方は、必ず専門機関やハローワーク、行政書士などに問合せして手続きフォローを依頼してください。

外国人雇用を行う上で注意すべきポイント

外国人雇用を行う際に、注意したいポイントを厳選してご紹介します。

法令意識を持つ

外国人雇用のデメリットでもお伝えしたとおり、外国人雇用の際は在留資格の確認や、社会保険・労働保険の手続きが煩雑になります。手続きが難しいからといって、勝手な判断で手続きを怠ってしまうと、入管法や労働基準法違反となり罰則を受ける可能性も高いです。

日本人雇用にも言えることですが、外国人の受入れの際は、法令意識を高く持ち運用していく気持ちが重要です。

偏見を持たない

外国人雇用が進むにしたがって、「中国人はこんな人が多い」「アメリカ人を採用するならここに注意」といった情報も増えてきました。しかし、国籍でひとくくりにして「〇〇人はこう」と決めつけるのは非常に危険です。

どんな国籍の人であっても、それぞれに性格や個性があります。偏見で決めつけずに、目の前にいる外国人と真正面から向き合って、相手に合わせたコミュニケーションをとるよう注意しましょう。

外国人雇用をする際のおすすめ求人媒体2つ

最後に、初めての外国人雇用におすすめの求人媒体を正社員とアルバイト雇用に分けてご紹介します。

Daijob.com

Daijob.com

外国人の正社員募集におすすめのサイトです。

外資系企業、日系グローバル企業、英語を使う企業といったカテゴリ別で集客ができ、一般的な転職サイト同様にスカウトもつけることが可能です。バイリンガル・グローバル人材専門のサイトとして知名度があり、外国人のみならずグローバルスキルをもった日本人も同時に狙うことができます。

WORK JAPAN

WORK JAPAN

WORKJAPANは、10万人の外国人登録者を保有するアルバイト向けの求人媒体です。

サイトは8ヵ国語に対応しており、掲載の際は日本語入力でOKのため、初めての方に使いやすい仕様です。3万円から掲載できるため、コストパフォーマンスも良く、飲食店アルバイトなどを中心に多く活用されています。

まとめ

今回は、初めて外国人雇用を考えている方に向けて、外国人雇用の現状やメリット・デメリット、採用フローについて紹介しました。

今後人材不足の影響により、外国人雇用の需要が高まっていきます。自社で外国人雇用を検討している際は、ぜひこの記事を参考に実施してみてください。

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