近年ではVRの技術が発展し、採用活動においても活用される場面が増えています。コロナ禍で以前のように人を集めて行う採用活動が難しくなった今、VRは注目すべき採用方法の一つです。
そこで今回は、VR採用のメリットや活用方法、コスト、他社事例について詳しく解説していきます。VRを採用に取り入れてみたいという採用担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
そもそもVRとは
VR採用で使われるVRとは、英語の「Virtual Reality(バーチャルリアリティ)」の略で、日本では「仮想現実」、「人工現実感」ともいわれています。
VRは、コンピューターなどで作られた仮想的な世界が、あたかも現実世界で起きているかのように感じられる技術が特徴です。VRと聞くと、ゲームやエンターテインメントのイメージが強い方も多いと思いますが、実は採用の現場でも活用されています。
専用ゴーグルで視界を360度覆うような映像を映すことで、まるでその世界に自分がいるような感覚を味わえるのがVRです。近年では技術がさらに発展し、映像の中を自由に移動したり、ものを動かしたりと、没入感の高い体験ができるようにもなってきています。
VRを採用に取り入れるメリット
VRを採用に取り入れるとどのような効果が期待できるのでしょうか。ここでは、メリットについて詳しく紹介していきます。
現場にいるようなリアルさを伝えられる
VRの最大の特徴は「リアルさ」です。求職者にその場にいるような感覚を体験してもらえます。画像や動画では、会社の一面しか見せられません。
しかし、VRの技術を使うと空間を360度見渡せるので、空間世界をリアルに感じることができます。社員が働いているオフィスはもちろん、あまり公開しないような休憩スペースや食堂、売店、なかなか出入りできない工場内など、通常では見せない会社の裏側なども伝えられるのも魅力です。
VR採用では、求職者に現場にいるようなリアルさを伝えることで、そこで働くイメージを届けられるでしょう。
ミスマッチの減少に期待できる
求職者に現場の雰囲気をイメージしてもらうことで、入社後のミスマッチの減少にも期待できます。早期退職する人の中には、「会社の雰囲気が想像と違った」「入社してみたら説明会で聞いていた内容と違う」という話はよくあることです。
例えば製薬会社の場合、安全管理の難しさや衛生面の問題で直接現場を見てもらうことは難しく、入社後にミスマッチが起こる場合もあるでしょう。
しかしVRを導入することで、見られない現場も臨場感をもって伝えられるため、入社前に理解を深めることが可能です。ほかにも、工場や建設業界でなどで活用すると、天候や季節によって起こるイレギュラーな出来事を臨場感もって伝えられるので、ミスマッチの減少に繋がります。
場所や時間にしばられずに企業の魅力を知ってもらえる
VR採用はネット環境が整っていれば、日本国内のみならず世界中どこからでも現場にいるような感覚を体験できます。
そのため、場所や時間にしばられず好きなときに好きな場所で、その企業の雰囲気や空気感といった魅力を感じられるのもメリットです。VR採用では、地方や海外にいる人がわざわざお金と時間をかけて企業に足を運ぶ必要がなくなります。
また遠く離れた工場などを見学するとなると、さまざまなスケジュール調整が必要となりますが、VRを使うと好きなタイミングでのぞけます。このように求職者にも採用者にも大きなメリットになるのです。
ブランディングに活用できる
企業の雰囲気や魅力を求職者に伝えるために作られたVR動画を、ブランディングに活用する方法も一つです。
例えば、企業の公式ホームページやSNSなどに載せることで、誰でも自由に閲覧できるようになります。また、YouTubeなどに投稿すると、多くの人に見えもらえるきっかけにもなるでしょう。
企業についてわかりやすく伝えるためのVR動画だからこそ、一般の人の心にも残るものになります。多くの人に見てもらうことで、会社の知名度アップやPR効果にも繋がるでしょう。
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採用のどの場面でVRを活用するのか
それでは実際に採用のどの場面で活用していくのか、VRを活用した採用活動例を見ていきましょう。
VR会社見学(バーチャルツアー)
会社や社員の雰囲気を詳しく知りたいという求職者が多い場合は、VRを活用した会社見学(バーチャルツアー)が効果的です。実際に会社見学を行うとなると、求職者との日程調整や対応する社員の手配や準備など、労力がかかります。
しかし、一度VR動画を制作すると、24時間365日稼働するので、人件費がかかりません。例えば、工場を見学するとなると、安全面に配慮して行わなければいけませんが、VR動画では安心して見ることができます。ほかにも天候に左右されやすい屋外の現場見学などでも、トラブルが発生する可能性は低いです。
VR会社説明会
VRを活用した会社説明会は、オンライン上で行うため、遠方にいる求職者も参加しやすくなります。これまでの会社説明会のやり方だと、遠方にいる希望者が参加しにくかったり、密を回避するために人数制限を設けて開催したりと、いくつか問題がありました。
しかし、VRを活用することでそういった問題は解消され、多くの求職者が参加できるだけでなく、コロナ禍でも安心して会社説明会を開催できるようになります。企業を知ってもらううえで大切なイベントを、雰囲気を感じながら参加してもらえるのがVRを活用した会社説明会です。
VR仕事体験(バーチャルインターンシップ)
VRを活用して仕事体験(インターンシップ)も行えます。インターンシップには、入社後に仕事や会社のイメージに認識のズレが生じないよう、仕事体験を通して会社のことを理解してもらう目的があります。
しかし実際に開催するとなると、日程調整や社員の確保・教育といった、さまざまなコストがかかるのです。VR仕事体験では、手間や時間をかけず行えます。実際にインターンシップを行うと、体験できる業務に制限がありますが、VRを活用すれば臨場感を味わいながら制限なく仕事に取り組めます。
これは求職者にとっても貴重な体験となって、入社後のイメージギャップなども防げるでしょう。
VR採用の導入にかかるコスト
VR採用の導入には、VR機器導入とVR動画の制作コストが発生します。それぞれのコストについて詳しく見ていきましょう。
VR機器の導入コスト
VRを体験するためには、VR機器本体とコントローラーやリモコンといった付属品が必要です。
VR機器は、どの機器を使うかによって機能が異なり、価格も変わってきます。スマホに直接取り付けて使うヘッドセットはコストを抑えられますが、深い没入感を体験できるVRゴーグルやヘッドマウントディスプレイになると、価格が大きく開きます。
機器導入の際は、機能や価格を重視するのはもちろん、どんなメリットがあるのか比較して検討することが大切でしょう。
VR動画の制作コスト
VR採用に使う動画の開発や制作にかかるコストが発生します。制作方法には、自社で制作する方法、外部の制作会社に依頼する方法の2つのパターンがあります。自社で制作するのも可能ですが、VR対応の機器で撮影や編集を行ったり、ノウハウがない状態で制作すると失敗したりする恐れもあります。
そのため、外注するのをおすすめします。ただ、外注の場合はどうしてもコストが高くなってしまう可能性があるでしょう。制作会社によっては、最低限必要な内容を盛り込んだセット販売を行っているところもあるので、見積もりをとってみるのもおすすめです。
VR採用動画制作のコツ
VR採用で効果を発揮するための、動画制作のコツをご紹介します。
自社の採用課題をまとめる
VR採用の動画制作を始める前に、まずは自社における採用活動の課題を整理しましょう。一度しっかり見直すと、効果的な対策を行えます。
例えば、自社の知名度が低いのであれば、迫力のあるVR動画を制作し、合同説明会などでの集客を狙えるはずです。
ほかには、内定辞退や早期退職率が高いことが課題の場合、職場の雰囲気が伝わるVR動画や、社員インタビューなどで働き方がイメージできるようなVR動画にするのもいいでしょう。
課題を見つけて、それに沿った内容で動画制作を進めると課題解決にも繋がるかもしれません。
課題に合わせた閲覧方法を考える
自社の採用課題がまとまったら、その課題に合わせてVR動画の閲覧方法を考えます。自社の知名度が低い場合は、ただWEBサイトに掲載するだけでは対策は不十分です。合同説明会への参加や広告、PRなど、多くの人の目に留まるところへ掲載する必要があります。
また内定辞退や退職率を下げたいのであれば、多くの人に知ってもらう必要はないので、採用過程の中でVR動画を閲覧できるシステムにするのもいいでしょう。
撮影のシチュエーションを細かく把握する
課題や閲覧方法が決まったら、撮影のシチュエーションを細かく決めていきましょう。現場のリアルさを伝えるためには、企画の段階から細かくシチュエーションを把握するのも大切です。
360度映像に映し出されるVR動画は、どのようなものが映ると雰囲気が伝わるか、どのような設定で映像が進んでいくのか、といった細かく検討することで、よりいいVR動画になります。
もっと臨場感ある、見た人が引き込まれるようなVR動画にしたいのであれば、プロのタレントを起用するのもコツの一つです。
VRを採用に活用している企業事例5選
最後に、採用にVRを活用している企業事例をご紹介します。
株式会社ライフコーポレーション
運営する食品スーパーでの採用活動にVRを活用しています。売り場や物流センター、陳列・加工といった一連の流れをVRでリアルに体験できるシステムです。
求職者からも好評で、合同説明会での動員数も増加となっています。
第一生命グループ株式会社
2021年の大規模合同説明会で初めてVRを導入しました。参加者と企業側がそれぞれアバターを設定し、自由度の高いコミュニケーションを取れるのが特徴です。
コロナ禍でも安心して「リアル」を体験してもらいたいという想いから企画されました。
フェンリル株式会社
企業の価値観や内容についてゲームに挑戦しながら触れていくVR動画を制作しました。
採用活動の課題として、エントリー数の減少や採用費用のコストを抑えるといった理由から、VRの活用を始めました。
フューチャーコンビニエント株式会社
コロナ禍で開催が困難となった合同説明会にVRを活用しました。
参加者と企業側がゆっくり話せる、合同説明会で起こりがちな各企業との時間被りがないといったメリットを生み出しています。
株式会社トモノカイ
インターン体験できるVRを制作し、社内共有しているミーティングを使って、直接仕事を教えてもらう取り組みを行いました。
入社後の雰囲気を実感できるような試みとなっていて、参加者も会社のイメージをもちやすくなる仕組みです。
学生のVRに対する反応は・・・?!
では、実際に採用時にVRを経験した学生の反応はどうなのでしょうか?マイナビが実施した調査では、下記のような意見がありました。
- VRを用いた工場見学会を経験した。そのほか行った工場見学よりも印象という面では非常に強く残っているのでおもしろかった。
- VRを用いた工場見学会などを実施している企業があり、実際の工場を見学しているようで参考になった。
- 動画サイトにアップしてくれたり、画面にタップすると360度どの位置も見れるようになっていて、会社の様子がわかりやすかったです。
- VRなどを利用してくださった企業は、かなりリアルに会社内を体感することができてよかった。
参照:株式会社マイナビ「2022年卒大学生活動実態調査(3月)」
学生の反応からは、オンラインでも実際に企業の中にいるかのように、職場見学・工場見学ができたという意見が多かったです。また、ただ職場の中を歩いて映すのではなく、見せ方を工夫している企業にはさらにいい印象を抱く学生が多いようです。
まとめ
会社説明会や会社見学にVRを活用するVR採用についてご紹介しました。
VRの技術を活用することで、画像や動画では伝えきれない企業や社員の魅力、雰囲気をリアルに伝えられます。入社後のミスマッチは、採用課題の一つでもあるので、ぜひVRを使った新たな採用活動に取り組んでみてください。
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