今回のテーマは、「サマーインターンシップの今後の展望」についてです。
現在はちょうど26卒の本選考対応に追われている企業様も多いかと思いますが、一方で、2027年卒向けのインターンシップ施策はすでに動き始めています。
「まだ早いのでは」「例年どおり夏以降に検討すれば十分」と感じている方もいるかもしれませんが、採用市場は確実に早期化と複雑化が進んでおり、従来のスケジュール感では機会を逃すリスクが高まりつつあります。
本記事では、25卒・26卒のインターンシップに関する最新データや市場動向を踏まえながら、27卒採用におけるサマーインターンの役割と今後の展望について、わかりやすく整理・予測します。
今後の計画立案に向けて、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
27卒インターンシップ開始前に把握すること
まずは、27卒インターンシップが始まる前に、把握しておくべきことを記載していきます。
25卒から変わったこと
2022年4月、インターンシップの推進に当たっての基本的考え方(通称:三省合意)が改正され、25卒のインターンシップから、以下の要件を満たした場合においてインターンシップで取得した学生情報を採用・選考活動に活用できることになりました。
- 就業体験要件:学生の参加期間の半分を超える日数を職場での就業体験に充てること
- 指導要件:就業体験では、職場の社員が学生を指導し、インターンシップ終了後、学生に対しフィードバックを行うこと
- 実施期間要件:
・汎用的能力活用型は短期(5日間以上)
・専門活用型は長期(2週間以上)
採用と大学教育の未来に関する産学協議会「産学で変えるこれからのインターンシップー学生のキャリア形成支援活動の推進ー」より
マイナビにおいては企業・大学が実施するプログラムが上記の基準を満たす場合、以下のことが可能であるとしています。
- 当該プログラムを通じて取得した学生情報について、採用活動開始後に活用すること
- 募集要項等に、「インターンシップ」と称して「産学協議会基準準拠マーク」を記載すること
オープン時期と掲載スケジュール
マイナビでは、2025年4月1日より、2027年卒業予定の学生を対象としたインターンシップ・仕事体験のエントリー受付が順次スタートしています。これにより、企業によってはプレエントリーや説明会予約なども段階的に進んでいる状況です。
一方、リクナビにおいても4月から「インターンシップ&1day仕事体験」の予約が開始されています。特に2027年卒向けのリクナビ2027では、「Indeed Plus」との連携が行われており、従来の2026年版と比べて仕様が大きく変更されています。この連携により、求人検索や応募の導線がより一層オンライン上でシームレスになっているのが特徴です。
今後の広報活動や採用計画においては、これらのプラットフォームの仕様変更を踏まえた対応が求められます。
引用:マイナビ2027サイト
マイナビ2027インターンシップサイトの掲載についてもっと知りたい方はこちら
2026年卒採用は「超」早期化
リクルートの調査によると、2026年卒の学生における2025年5月1日時点の内々定率は75.8%に達しており、前年同時期(2025年卒)と比べて3.4ポイント高い結果となりました。本サイトが正式にグランドオープンする前にもかかわらず、すでに4人に3人以上の学生が1社以上の内定を獲得している状況です。
こうした傾向から、採用活動のさらなる早期化が進行していることが明らかであり、企業側には早期広報や母集団形成の戦略見直しが求められます。今後は、学生との接点をいかに早く、効果的に持つかが採用成功の鍵となるでしょう。
引用:就職プロセス調査(2026年卒)「2025年5月1日時点 内定状況」
この流れを受けて、27卒ではエントリーや内定獲得の時期がさらに前倒しとなり、3年生の夏~秋の段階で選考が本格化する可能性も高まっています。
2026年卒インターンシップはどうだった?
まずは、コロナ禍の影響を受けながらも、2026年卒の学生がどの程度インターンシップに応募・参加しているのかを見ていきましょう。
2026年卒インターンシップ応募率・参加率
2026年卒の学生は、高校1年生の春にコロナ禍を経験し、修学旅行や文化祭といった学校行事の多くが制限される中で高校生活を送りました。大学進学後も制約のある学生生活が続いたため、インターンシップは社会を体験する貴重な機会として強く意識されています。
その一方で、2026年卒のインターンシップ・仕事体験の参加率は85.6%と、前年の2025年卒(89.5%)から3.9ポイント減少しました。平均参加社数も2025年卒の6.0社から、2026年卒では5.1社へと減少しています。応募率においても2024年12月時点で93.1%で、2025年卒学生は94.7%でしたので、応募率・参加率ともに、2026年卒ではやや落ち着きの傾向と言えます。
データ画像引用:マイナビキャリアリサーチ
2025年卒は、コロナによる行動制限が大きく緩和された初の世代であり、学生の間では「対面での経験を取り戻したい」という意識が強く、インターンシップ参加への積極性が高まりました。それにより、参加率・参加社数ともに過去最高水準となっています。
それに対して2026年卒は、インターンシップが“当たり前”の選択肢として定着する一方で、「数より質」や「経験の目的・納得感」を重視する傾向が見られるようになっています。企業にとっては、学生の価値観の変化をふまえたコンテンツ設計やコミュニケーションの再構築が求められるフェーズに入っていると言えるでしょう。
そして、すでにインターンシップ情報の公開・予約が始まっている2027年卒では、この傾向がさらに強まることが予想されます。情報収集や応募タイミングの早期化が進む一方で、学生はより「自分らしさ」や「将来像への接続」を意識した参加を重視するようになるため、企業側には一貫したメッセージ設計と、双方向性のある体験機会の提供がより重要になると考えられます。
初めてインターンシップに応募申込をした時期
次に、2026年卒の学生が初めてインターンシップに応募・申し込みをした時期について、25卒と比較しながら見ていきましょう。
データ参照:マイナビキャリアリサーチ
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3月以前に応募した学生の割合は、25卒で9.0%、26卒で7.2%とやや減少傾向
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4月の応募率は、25卒が5.1%、26卒が4.0%でこちらも微減
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5月に初めて応募した学生の割合は、25卒で15.0%、26卒で14.3%とほぼ横ばい
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ピークは6月で、26卒ではやや早期化の勢いが落ち着く
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全体として約5割以上の学生が6月までに応募を終えているという傾向は変わらず
一方、8月以降に初めて応募した学生の割合は26卒で20%弱(8月:11.8%、9月:5.1%、10月:2.6%)となっており、25卒と同様に一定数の学生が夏本番以降に動き出しています。
このデータからは、6月を中心としたインターンシップ応募の集中傾向が見られるものの、26卒ではやや分散傾向にあり、全体的にエントリータイミングの幅が広がっていることが読み取れます。企業側としては、ピーク前後の情報発信を強化しつつ、7〜8月にも接点を持てる導線設計が重要になると考えられます。しっかり準備をしていきましょう。
ここ数年の新卒採用市場は「超」早期化傾向ですので、間違いなく、27卒の採用成功のカギは、このインターンシップです。 本日は、ここ数年のインターンシップ動向を振り返り、そして「勝ち組になる2027卒インターンシップ」の学生からの満足度・[…]
サマーインターンシップ→本選考は当たり前
2027年卒採用の成功には、やはりサマーインターンシップが鍵となります。
約半数の企業がインターンシップと採用を連携を検討
2026年卒採用において、企業の多くがインターンシップと本選考との連携を強めていることが、株式会社学情の調査から明らかになっています。
データ参照:株式会社学情
具体的には、「インターンシップ参加者に対し、3年生の3月を待たずに選考案内を行っている」と回答した企業は45.1%で、さらに、「インターンシップ参加者を選考上で優遇している」と答えた企業も含めると、全体の過半数がインターンシップと採用活動を連動させている実態が浮き彫りになりました。
このように、企業側ではインターンシップを通じて学生の志向や人柄、適性を早期に把握し、本選考への橋渡しとして活用する動きが広がっています。学生側もその傾向を理解し、採用直結を見据えた上で参加を検討するケースが増加しています。
今後は、こうした“インターン=採用の入り口”という前提のもとで、企業がどのように学生と関係構築を図るかが重要になります。具体的には、
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採用ターゲットに即した母集団形成
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学びと動機づけを促すコンテンツ設計
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選考フローと自然につながる体験設計
といった視点が求められ、サマーインターンシップはもはや“単なる体験の場”ではなく、企業と学生が早期につながるための戦略的な採用導線として、その重要性を増しています。
内々定者がインターンシップに参加してる企業割合
また、「内々定者のうち、自社インターンシップに参加した学生の割合は?」という質問に対して、「いない」と回答した企業が、わずか23.2%だったこともわかっています。つまり、ほとんどの企業において、インターンシップに参加した学生の中から内々定者を選出しているということになります。
データ引用:2026年卒 大学生キャリア意向調査3月<就職活動・進路決定>
これは、前年の2025年卒と比較しても増加傾向にあり、インターンシップが採用活動において重要な役割を果たしていることを示しており、今後の採用活動において、インターンシップを戦略的に活用することが、優秀な人材の確保につながると考えられます。
インターンシップと志望度の関係
インターンシップが学生にとって「企業との出会い」にとどまらず、将来のキャリアや志望企業を考える重要な起点となっていることが、最新の調査から見えてきました。
株式会社マイナビが2024年10月に実施した「2026年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(中間総括)」によると、学生はインターンシップや仕事体験を通じて、企業の姿や自分自身のキャリアビジョンの解像度が高まったと感じていることが明らかになっています。これにより、単なる体験ではなく「進路選択に直結するリアルな学びの場」として、インターンシップの価値が再認識されているのです。
さらに、株式会社ワンキャリアの調査では、夏のインターンシップに参加した学生のうち、68.6%が志望度の高まった企業に対し『早期選考の案内を希望する』と回答。この数字は、インターンシップの場が「志望度を高める装置」として強く機能していることを示しています。
画像引用:ONE CAREER【2026年卒 就活実態調査】2024.07.16
つまり、学生はインターンシップを通じて企業への理解を深め、その後の行動意欲や選考参加に直結させているというわけです。企業にとっては、“ただの体験機会”ではなく、採用戦略の中核を担う初期接点としての設計が求められる時代が到来していると言えるでしょう。
インターンシップ設計や母集団形成、早期選考へのつなぎ方など、具体的な施策を検討されたい企業様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
27卒の未来予想!衝撃の予想が続々と・・・
これまで、サマーインターンシップは「企業と学生が出会う場」として位置づけられてきました。しかし、近年の学生動向や採用市場の変化を鑑みると、サマーインターンが“選考の前提”となる時代が到来しつつあります。
【26卒まで】サマーインターン=選考準備の場
これまで(〜26卒)までは、サマーインターンはおおよそ以下のようなスケジュールで行われてきました。
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4〜5月:インターン情報が公開
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6月:エントリー受付が開始(ナビサイトのグランドオープン)
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7月末〜9月中旬:実施
この流れの中で、企業は学生と早期に接点を持ちつつも、本選考には原則として3月以降に誘導するという形式が一般的でした。
しかし、実際には、
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インターン参加者を優遇する企業は5割を超え(学情調査)
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内々定者の76.8%が、その企業のインターンシップに参加していた(マイナビ調査)
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5月1日時点の内々定率が75.8%(リクルート調査)
といった実情からもわかるように、すでに「インターン=採用直結」の構造は26卒で強く進行していました。
【27卒以降】“はじめまして”はインターンの時代へ
27卒に向けた採用の空気感は、さらに一歩進んでいます。
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ナビサイトでの27卒向けインターン情報はすでに4月から続々と公開
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学生の動き出しも早まり、大学2年の夏からインターン参加は当たり前に
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ベンチャー企業では、大学1年からの長期インターン → 早期内定の流れも出現
また、今後はこんな動きも想定されます:
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通年採用・通年内定の普及(大企業含め)
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「大学在学中に正社員雇用」も選択肢に
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面接前に関係構築済みの“囲い込み型採用”の加速
このように27卒採用は、インターンシップが単なる体験ではなく“選考の起点”として完全に位置づけられるフェーズへ突入しています。
26卒までは「インターンで見極める」ことが主流でしたが、27卒以降は“インターンから採用が始まっている”という前提で動くべき時代に入っています。
もはや、“本選考での初接点”では遅い——そうした状況が、すでに現実となりつつある今、企業は早期から学生との関係性を築く戦略的なアクションが求められます。
いまこそ、サマーインターンを起点とした母集団形成や、プレ選考につながる導線設計を見直すタイミングです。
27卒採用を成功に導くために、次の一手を考えていきましょう。
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27卒早期化対策!インターンシップ成功ポイント
2027卒採用の成功に向けたインターンシップ活用のポイントを詳しく解説した資料です。
最新トレンドや学生データをもとに、企業が取るべき具体的な戦略や対策を3つの重要ポイントとしてまとめました。
通年採用化や早期化が進む中、学生に響くインターンシップの設計方法や他社との差別化のヒントを提供します。
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まとめ
以上、『サマーインターンシップの未来予想』をお届けしてきました。
- 「26卒の本採用がこれから始まるのに今から27卒なんて無理…。」
- 「何を決めて、どう進めたらいいか分からなくて混乱する。」
と、マンパワー不足や、採用ノウハウにお困りの場合はお気軽にキャリアマートへご相談ください!スポットで一部分だけでも採用代行や採用アウトソーシングを導入することで、劇的に採用活動がうまくいくようになります。
26卒の本選考対応で慌ただしいとは思いますが、同時進行で27卒のワードを頭に入れておくだけでも、スタートダッシュは随分変わってくると思います!
早すぎるということは決してありません。先手必勝で確実に内定承諾を勝ち取っていきましょう。