タイパ就活とは?企業必見!Z世代の採用ポイント

タイパ就活

採用活動を行う中で「学生に自社の魅力が伝わっていないのでは」と悩む人事担当者は少なくありません。

志望度の低下や内定辞退の増加に直面し、Z世代の価値観や行動の変化に対応しきれていないことに不安を感じる方も多いでしょう。

近年注目されている「タイパ就活」は、効率を重視する学生の就職活動のあり方を表す言葉です。

本記事では、タイパ就活の背景や学生の動向を解説するとともに、採用広報や選考フローで取り入れられる具体的な改善策を紹介します。

読み終えたときには、タイパ志向の学生にも選ばれる採用活動の土台を築き、効率と成果を両立させるための実践イメージを持つことができるでしょう。

– タイパ就活とは何か、Z世代の価値観とともにその背景を理解できる
タイパ志向の学生に響く採用広報や選考フローの工夫方法がわかる
– 中小企業でも実践できる具体的な改善事例やチェックリストを知ることができる
– 最近の学生の就活傾向がわからず、採用活動に不安を感じている人事担当者
– 内定辞退や応募数減少など、採用の成果に課題を感じている中小企業の人事担当者
– タイパ就活に対応した実践的な採用改善策を探している現場寄りの人事担当者
目次

タイパ就活とは?

タイパとは時間対効果のことで、物事に費やした時間とその間で得られた効果や満足度を表す言葉です。正式名は「タイムパフォーマンス」といい、略して「タイパ」と呼ばれています。

短い時間の中で高い効果を十分に得られた場合「タイパが良い(高い)」となるのです。

三省堂が発表した「今年の新語2022」でも大賞に選ばれ注目を浴びたタイパですが、10~20代のZ世代と呼ばれる年代が、特にタイパを意識する傾向にあります。

就活は限られた期間で行う必要があり、いかに効率化できるかがカギとなります。

そのため、学生にとってタイパ就活は、効率的に内定を得るためにも重要なポイントになるのでしょう。

就活でタイパが重要視されるようになった背景

株式会社学情が学生を対象に実施した「普段の生活でタイパや効率を意識しているか」というアンケート調査のデータによると、半数以上の約6割の学生が意識していると回答しています。

タイパ就活

画像引用:株式会社学情

このアンケートでも分かるように、タイパ就活は学生にとって意識するポイントといえます。では、なぜZ世代の間でタイパが重視されるようになったのでしょう。就活でタイパが重要視されるようになった背景について解説していきます。

デジタルツールの発達

まず、タイパが重要視されるようになった理由の一つに、急激にデジタルツールやIT技術が発達したことが挙げられるでしょう。Z世代はデジタルネイティブ・スマホネイティブ・SNSネイティブといった表現をされるほど、特にデジタルツールとの関わりが深くなっています。

倍速視聴やながら見など、Z世代が情報を手に入れる時の価値観には独特な傾向がみられます。
デジタルツールの発達により多くの情報を一瞬で集められるようになりました。しかし、1日の時間の進み方は今までと変わることがないため、1人の人が情報収集にかけられる時間は変わらないのです。

そのため、就活する学生たちは、限られた時間で多くの情報の中から自分にとって有益となる情報を集めなくてはいけません。そのような経緯も就活でタイパが重要視されるようになった理由の一つといえるでしょう。

就職活動の効率化

就職活動はここ10年ほどで大きく様変わりしています。

株式会社ヒューマネージが2023年卒業の大学生と大学院生を調査対象として行った「2023 年卒 就職活動に関するアンケート」によると、学生のエントリー社数が10年前の約半分という結果になっています。

タイパ就活

画像引用:株式会社ヒューマネージ

エントリー社数が減るということは、かつて100社が当たり前だった頃に比べると、1社1社にかける準備の時間は多くなっているように感じるでしょう。
しかし、授業や研究、バイト、サークルなど就活以外にやらなくてはいけない、もしくはやりたいことがたくさんある学生が多くいます。

そんな中で学生たちは「就活の時間がない」と悩み、就活が本格化する3年後期からそのための時間をどうにかして確保しようとしているのが現状です。限られた時間の中で、効率よく就活を進めたいと考える学生がタイパを重要視するようになっています。

就職活動のオンライン化

新型コロナウイルスなどの影響により、就活のオンライン化が進んだこともあり就活のスピード化が進んでいます。学生は就活に関する情報収集から企業とのメールのやり取りに至るまで、様々な場面でいつどこにいても就活への対応が可能になりました。

このような変化が「時間をより有効に活用したい」と考える学生の、就活におけるタイパへの意識に繋がっていると考えられます。

タイパ就活の事例

ここでは、Z世代が実際に行っているタイパ就活の事例を紹介します。

動画の視聴方法が倍速

2022年、現代社会で動画を倍速視聴で視聴する人が増えている背景などをつづった書籍が話題になりました。この書籍からも分かるように倍速視聴、つまり映画や動画を1.25~2倍速で視聴する、タイパ重視の人が増えているのです。

こういった背景もあり、Z世代の就活では会社説明会の録画を倍速で見る人が多い傾向にあります。得られる情報量が同じなのであれば、より短い時間で情報収集したいという点にタイパを重視していることがうかがえます。

リモートの活用

コロナ禍で社会のオンライン化が進んだこともあり、Z世代はオンライン授業に慣れているといえます。そのため、就活の一つでもある面接がオンラインで行われるとしても、Z世代にとっては「タイパがいい」と、受け入れられやすくなります。
オンラインでの活動は移動時間を削減できます。よって、デジタルで得られる情報のために、労力をかけて現地に行くことがZ世代には「タイパが悪い」となってしまうのでしょう。

エントリーシートは手書きでなくwebで提出

就活の過程で学生が企業側に提出するエントリーシートは、これまで手書きが基本でした。しかし、面接同様にエントリーシートについても、オンラインを活用して提出できる企業が増えています。

エントリーシートをオンラインで提出できる仕組みに、学生はタイパの良さを感じているのでしょう。さらに、共通で聞かれる内容に関してテンプレート化するなど、作成の時の工数を減らして効率を上げる学生もいます。

タイパ就活が企業にもたらすメリット

タイパ就活

ここでは、タイパ就活が企業にもたらすメリットについて解説していきます。

採用活動にかかる工数が減らせる

ほとんどの企業で新卒採用に特化した人事担当者を配置しているケースは少ないでしょう。新卒採用のほかに人事や労務、総務といった他業務と兼任している場合が多い傾向にあります。
そのため、録画による会社説明やエントリーシートのオンライン提出など、企業側もタイパ就活を意識することで、採用活動にかかる工数を減らすことに繋がります。

効率的に業務を遂行できる人材を獲得できる

タイパや効率を重視して行動できる人材は、入社後の働き方などに、そういった部分を活かせる可能性が高いと考えることができます。時間効率を意識した考えは、組織の生産性を上げるという点において非常に重要な要素です。

タイパを意識して就活を行う学生は、将来的に会社にもたらす利益も高いと考えることができ、企業がタイパ就活を意識すればそういった人材を確保することにも繋がります。

オンライン選考を活用することで全国の学生にアプローチ

オンラインでの選考を導入することで、地理的な制約を受けず全国の学生にアプローチできるようになります。

従来は地方在住の学生にとって、都心部で行われる会社説明会や面接への参加は移動や費用の負担が大きな課題でした。

オンライン選考であれば、学生は自宅や大学から気軽に参加でき、企業側も広範囲から効率的に母集団を形成できます。

また、説明会や面接を録画配信することで、学生の都合に合わせた柔軟な対応が可能となり、結果的に志望度向上や辞退防止にもつながります。

タイパ就活が企業に与えるデメリット

次に、タイパ就活が企業に与えるデメリットについても解説していきます。

与えられる情報が表面的になる

学生がタイパ就活を重視することで、学生が受け取る企業の情報が表面的になるケースがあります。

時間を意識するあまり志望する企業にも関わらず、知りたかった情報を学生側が取りこぼしてしまう可能性が考えられます。

ミスマッチが起きる

企業と学生ともにミスマッチを防ぐためには「採用までに時間をかけたほうが良い」とされています。企業自体の雰囲気を感じ取るためには、オンラインではなく企業に足を運び説明会などに参加することが一番の近道といえます。

効率重視のタイパ就活を優先しすぎてしまうと、企業のリサーチや自己分析などが十分にできず、適性の低い学生からの応募が増える可能性も高まるでしょう。

企業が希望する仕事への取組み方が違う

効率重視のタイパ就活により、時間のかかる業務習得に対する経験が少ない人材・耐性の低い人材が集まる可能性も考えられます。企業側は就活に取り組む学生の姿を見て、入社後の業務に対する姿勢が前向きかなどをシミュレーションできます。

そのため、学生がタイパ就活を重視しすぎることで、そういった部分を企業側がチェックしづらくなることも考えられるでしょう。

タイパ重視の学生に向けて企業が意識するポイント

タイパ就活

ここでは、タイパ重視の学生に向けて企業が意識するポイントについて解説していきます。

オンラインの導入

タイパを意識する学生を集めたいと考える場合、「この企業はタイパ良く就活ができる」と学生に認識してもらうことが大切です。そのため、企業側は説明会やエントリーシートに対してオンラインを導入するなど、柔軟に対応していく必要があるでしょう。

ただし、柔軟に対応する反面、情報の取りこぼしを防ぐためにも伝えたい情報はできる限り分かりやすく伝える工夫をする必要があります。

SNSの強化

情報が溢れる社会で育ったZ世代は、確かでリアルな情報を好む人が多く、そういった情報を取得するのに活用するのがSNSやYouTubeです。そのため、仕事や企業の情報収集もまずはSNSで検索することから始める傾向にあります。

Z世代にダイレクトに情報を提供するには、企業で働く雰囲気や社風が伝わる動画が有効です。SNSを強化して、現在企業で働いている社員の情報を提供することで、学生が興味を持つようになるでしょう。

面接時のコミュニケーション

タイパ就活を重視するためには、面接時のコミュニケーションも大きなポイントといえます。オンライン化が進んだことにより、対面での面接を「タイパが悪い」と考える学生も多くいます。

また、情報がありふれている中で生活するZ世代は、手元に情報がないことを不安視する傾向もあります。情報が少ないことによる途中離脱を防ぐためにも、面接の予定などの事前連絡は密に行う必要があるでしょう。

そして、企業側は面接を対面で行う場合、その理由も明確に学生へ伝えることが大切です。

タイパ就活対応で注意すべき3つの落とし穴

タイパ重視の就活に対応することは大切ですが、やり方を誤ると逆効果になってしまう可能性もあります。ここでは企業が注意すべき3つの落とし穴について解説します。

選考スピードを優先しすぎて学生にプレッシャーを与えてしまう

効率化を意識しすぎるあまり、選考のスピードを早めすぎると学生に過度なプレッシャーを与えてしまう可能性があります。

学生は情報収集や自己分析に時間をかけたいと考えている場合も多く、スケジュールがタイトすぎると「十分に準備できなかった」と不安を抱かせる要因となります。

その結果、志望度の低下や辞退につながる恐れもあるため、スピード感と学生の安心感のバランスを意識することが重要です。

オンライン施策に偏り過ぎて学生との接点が希薄になる

オンライン説明会やWeb面接は効率的ですが、活用しすぎると学生が企業の雰囲気を実感しにくくなります。

画面越しだけのやり取りでは、オフィスの空気感や社員同士の関わりといった「リアルな魅力」が伝わりにくいのです。

そのため、オンラインと対面を組み合わせたハイブリッド型の採用活動を行い、学生が直接企業文化に触れられる機会を設けることが大切です。バランスを取ることで志望度の向上にもつながります。

情報を簡略化しすぎて企業の魅力が伝わらない

タイパ就活に対応するために情報を簡潔にまとめることは効果的ですが、簡略化しすぎると企業の魅力や強みが十分に伝わらなくなる危険があります。

特に仕事内容やキャリアパス、職場環境といった詳細は、学生が将来をイメージするうえで欠かせない情報です。

短時間で伝えられる工夫をしつつ、補足資料や動画、社員インタビューなどを活用することで、学生が理解を深められるような情報提供を心がけましょう。

タイパ重視のZ世代に有効な採用方法

最後に、Z世代に有効な採用方法について解説していきます。

人材紹介

人材紹介は人材を募集している企業に対して、人材紹介会社に登録している中から適した人材を紹介する方法です。

人材会社の中にはZ世代の年齢層を専門に集客している場合もあるため、この採用手法を活用すれば、タイパを重視する学生の採用を考えている企業は効率よく人材確保が行えます。

ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングは、人材紹介会社や求人媒体を利用せず企業が直接学生にアプローチする方法です。採用難が起きている現代において、企業側が採用を成功させるためには積極的な攻めの採用を行う必要があります。
ダイレクトリクルーティングを活用することで、興味のある学生に直接オファーすることが可能になります。

リファラル採用

リファラル採用は、すでに企業で働いている社員から知人や友人などを紹介してもらう方法です。Z世代の情報源はSNSなどのツールほかに、家族や身近な人からの口コミも多い傾向にあります。

そのほか、説明会や複数回の面接を省けるリファラル採用は、採用プロセスが簡略化できることもあり、タイパ重視のZ世代には非常に有効な手段といえます。

SNS

SNSを活用した採用方法もZ世代には有効です。SNSが生活の一部化しているZ世代にとって、SNS採用はより効果的に情報を提供できます。

また、SNSは内定後のフォローに活用することも可能なため、採用以外の活用を検討することも企業にとってプラスといえるでしょう。

事例で学ぶ!タイパ就活に対応した企業の工夫

ここでは、実際にタイパ就活を意識した施策を導入し、成果を上げた事例をご紹介します。各企業が行った工夫を知ることで、自社の採用活動に取り入れるヒントが得られるでしょう。

メタバース上での会社説明会で400名の応募を獲得

中京テレビ放送は、メタバース空間を活用した会社説明会を実施しました。仮想空間でのイベントは移動時間が不要なため、全国から学生が気軽に参加できるのが大きなメリットです。

結果として400名もの応募を集めることに成功し、企業の魅力を効率的に発信できました。リアルに近い体験ができるメタバースは、タイパを意識する学生にとっても新しい価値を感じられる方法といえるでしょう。

AI面接ツール導入により一次面接の工数50%削減

デジタルマーケティング事業を展開するフルスピードは、AI面接ツールを導入し一次面接の効率化を実現しました。

AIが応募者の受け答えや表情を解析することで、短時間で候補者を選定できるようになり、従来の面接工数を約50%削減できました。

これにより、採用担当者は面接の質を高めることに注力でき、学生側にとってもスピーディかつ公平な選考を受けられる環境が整いました。

学生とのやり取りをLINEに変え、母集団150%増加に寄与

インサイド・アウトグループは、採用管理にLINEを活用する仕組みを導入しました。

メールよりも学生が日常的に利用しているLINEを採用プロセスに組み込むことで、レスポンス率が向上し、結果的に母集団形成数が150%増加しました。

学生にとっても気軽に質問や相談ができる環境となり、企業と学生双方のタイパを高める有効な手段となっています。

タイパ就活についてよくある質問

ここでは、採用担当者からよく寄せられる質問にお答えします。

タイパを重視しない学生も一定数いるのでしょうか?

はい、います。すべての学生がタイパを最優先しているわけではなく、じっくり検討して企業選びを行いたい層も一定数存在します。

そのため採用活動では両方のニーズに対応できる工夫が必要です。

タイパ就活は新卒だけでなく中途採用にも関係しているのでしょうか?

はい、関係しています。中途採用市場でも効率性を重視する傾向は強まっており、オンライン面接や短縮化したフローを導入する企業が増えています。

タイパの意識は新卒・中途問わず広がっています。

タイパ就活対応に社内の理解が得られない場合、どうすればよいですか?

まずはデータや事例をもとに効果を共有しましょう。具体的な成功事例や採用効率の向上数値を提示することで、経営層や現場の理解を得やすくなります。

小さな取り組みから始めるのも有効です。

まとめ

タイパ就活は学生の価値観を反映した新しい就職活動のスタイルです。企業にとっては効率的な採用活動を実現する一方で、情報不足やミスマッチといったリスクも伴います。

そのため、オンラインと対面のバランスを取りながら、学生に安心感を与える工夫が求められます。

また、事例で紹介したようにメタバースやAIツール、LINEなど新しい仕組みを取り入れることで、学生の期待に応えつつ採用の質を高めることが可能です。

採用市場は日々変化しています。自社のリソースやターゲット学生に合わせた柔軟な対応を行い、タイパ就活をチャンスに変えていきましょう。

さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。