採用活動のスクリーニングにおいて「基準や項目設定が感覚的で、判断に自信が持てない」「自社に合う人材を見抜けず、ミスマッチや早期離職に悩まされている」といった課題を抱えている企業は少なくありません。
しかし、応募者の多い採用活動などの場合、求める人材を効率的に探すためには採用スクリーニングの活用が不可欠です。
この記事では、採用スクリーニングの概要をはじめ、導入のメリット・デメリット、主な手法の選び方や、効果的に機能させるための運用方法について解説します。
自社に最適なスクリーニング方法を見つけて、選考の質と効率を両立させ、採用活動を成功に導きましょう。
– 主なスクリーニング手法の特徴と、企業規模や職種に応じた選び方がわかります
– 自社でスクリーニングを運用する際に押さえるべきステップと注意点が明確になります
– スクリーニングの基準や手法を見直し、採用の精度を高めたいと考えている方
– 現場との評価基準のズレをなくし、採用プロセスを効率化したいと感じている方
採用スクリーニングとは?
採用スクリーニングとは、多数いる応募者の中から面接など次の選考ステップに進んでもらう候補者を効率的に絞り込むための選考プロセスです。
採用活動ではあらかじめ採用基準を定めます。採用基準とは、「求める人物像の定義(目標)」のことです。
これに対し、採用スクリーニングは「その定義に基づいて候補者を選別する行為(手段)」を指します。つまり、自社の採用基準に満たない応募者を振り分けるのがスクリーニングです。
具体的には、職務経歴書や履歴書、エントリーシートの内容確認、適性検査、スキルテストなどを通じて、自社の基本的な要件を満たしている人材かどうかを見極めます。
このプロセスは、採用活動の無駄をなくす上で非常に重要です。面接に入る前の早い段階でスクリーニングを行うことで、企業は採用確率の高い候補者にのみ選考リソースを集中させられます。
これにより、採用担当者の負担が軽減され、より戦略的な採用活動が可能になるでしょう。
採用スクリーニングで得られる3つのメリット

ここでは、採用スクリーニングの導入で企業が得られるメリットについて解説します。
採用効率の向上と工数削減
まず、採用スクリーニングのメリットとして挙げられるのは、採用効率の向上と工数削減です。
大量の応募があった場合でも、採用スクリーニングの導入によって募集要件を満たさない候補者を早期にふるいにかけられます。
そのため、面接官などの採用担当者は、本当に会うべき候補者に時間を割くことができます。結果、採用までにかける時間やコストの削減に繋がるでしょう。
ミスマッチや早期離職の予防
採用においてスクリーニングを導入することで、応募者のスキルや経験、働き方への適性などが、自社の文化や業務内容とどれだけ合致しているのかを事前に評価できます。
これにより入社後のミスマッチや、不一致による早期離職のリスクを減らして定着率の高い採用を実現します。
面接の精度が上がる仕組みとは
スクリーニングによって選ばれた候補者は、すでに一定の基準を満たしています。
そのため、面接担当者は、限られた時間の中でより詳細な資質や入社意欲などを深く掘り下げられます。面接担当者は、質の高い面接に集中でき、その結果、面接の精度向上に繋がるでしょう。
採用スクリーニングの注意点とデメリット
採用スクリーニングには、いくつかメリットがありますが、運用方法によってはデメリットが生じるケースもあります。運用する上での注意点とデメリットについて解説します。
優秀な人材を取りこぼすリスク
採用において有効な手段の採用スクリーニングですが、応募者のすべての要素を書類だけで完璧に判断するのは難しいものです。
スクリーニングの基準が画一的すぎる場合など、潜在的な能力やスキルといった書類上では判断しにくい応募者のポテンシャルを見落とし、優秀な人材を取りこぼすリスクがあります。
そのため、多角的に応募者を評価する仕組みが必要です。
担当者の主観が評価に影響する懸念
スクリーニングは人が行うため、担当者の主観が評価に影響を与える可能性があるでしょう。
特に、明確な評価基準が曖昧な場合や、担当者間で評価の認識にズレが生じる場合に、公平性に欠ける判断が下される恐れがあります。
担当者の主観に左右されないよう、他の担当者や上司によるダブルチェックを入れるなど、複数の目で候補者を公平に評価する仕組みが必要でしょう。
採用基準に満たないと判断してしまう曖昧な理由とは?
「採用基準に満たない」という曖昧な理由で不合格とするのは、応募者にはもちろん企業にとっても望ましくありません。
具体性に欠ける曖昧な理由では、応募者は不合格の理由を理解できず、企業への不信感に繋がり、企業イメージの低下にも繋がりかねません。
曖昧になる背景としては、企業側の採用基準が明確に設定されていない点が考えられます。
採用基準が明確でないと、「なんとなく自社に合わない」といった感覚的な判断や、「この書類ではやる気が判断できない」といった担当者の個人的な価値観に左右される可能性があるのです。
主な採用スクリーニング方法
採用スクリーニングにはいくつかの方法があり、それぞれの特徴を理解して自社の採用要件などに合わせて選ぶことが重要です。
ここでは、主な採用スクリーニングの特徴に加え、使い分けの判断軸や活用におすすめのシーンについて解説します。
書類選考(履歴書・職務経歴書)
書類選考(履歴書・職務経歴書)は、採用活動において以前から広く用いられているスクリーニング方法です。
特に応募者数の多い大企業では、応募者が企業の求める基本的な要件を満たしているか、応募職種とのミスマッチがないかなどを効率的に確認できるため、初期段階での活用が多くみられます。
応募者数が多く迅速に一次選考を進めたい場合や、即戦力を求める職種やスキル重視の職種などの場合、書類の内容が重要な判断材料となるでしょう。
適性検査・スキルテスト
性格や行動特性、知的能力などを客観的に測定する適性検査や、ある特定のスキルや能力を評価・測定するスキルテストも、大企業をはじめ多くの企業がスクリーニングに活用しています。
担当者の主観に左右されず、客観的な評価が必要な場合や、具体的なスキルレベルを確認したい場合に用いられます。
特に、経験の少ない新卒採用や応募者数が多く効率的な選考が求められる職種での採用で有効といえるでしょう。
これらの検査を効果的に活用するには、ただ実施するのではなく、検査内容を自社の採用要件や基準と関連づけることが大切です。
高得点であることだけに目を向けるのではなく、結果をどう用いるかの判断軸を持つ必要があります。
バックグラウンドチェック
バックグラウンドチェックは、信頼性や信用の確認、リスク回避などを目的としたスクリーニングに用いられる方法です。
応募者が申告する学歴や職歴のほか、犯罪など過去の経歴に虚偽や問題がないか、第三者機関を通じて調査します。
これは信頼性が特に求められる職種などに限定して、実施されることが一般的です。例えば、金融機関など信用性が重視される業界や、役員候補など組織の中核を担う重要なポジションの採用シーンで活用されます。
リファレンスチェック
リファレンスチェックは、多角的な人物評価やミスマッチの防止を目的に用いられるスクリーニング方法です。応募者のことをよく知る第三者から、人物像やスキル、対人能力などについて情報を得て、自社との適性を客観的に判断します。
人物像や対人スキルを重視する職種や、チームワークが求められる職種などに有効な方法です。中途採用での活用が適しているでしょう。
採用スクリーニングを機能させるための運用

採用スクリーニングをより効果的な採用ツールとして機能させるためには、適切な運用と現場との連携が不可欠です。
はじめにやるべき準備は?運用プロセスの基本
スクリーニングを開始するにあたり、まずは明確な採用基準の策定が必要です。企業がどのような人物を求めているのか、必須のスキルや経験、人物像を具体的にしましょう。
また、採用スクリーニングで何を評価するのか、評価基準を明確に定めておくことが重要です。
現場と評価基準を合わせるためのチェック項目
採用担当者と現場の間で、求める人物像や評価基準に食い違いがないよう、事前にすり合わせをしておくことも、ミスマッチを防ぐ上で重要です。
現場が求める人物像(コミュニケーション能力、主体性など)はどういうものか、入社後に期待する役割などはあるか、評価基準を合わせるためのチェック項目を明確にしましょう。
担当者間でズレを防ぐコミュニケーションの工夫
採用活動には、複数の担当者が関わることも多く、評価について担当者間でのズレを防ぐためのコミュニケーションが必要不可欠です。
例えば、現在の採用市場感や応募・選考状況を共有するための定例ミーティングの実施、面接時の注意点についてフィードバックを行うことも有効です。
さらに、共有の評価シートやプラットフォームを用いることも有効です。評価項目が統一されたシートやオンラインの採用管理システムなどを活用すれば、採用担当者間での基準や評価を統一でき、質の高い採用活動を行えるでしょう。
採用担当者の負担軽減に繋がるのもメリットです。
スクリーニングを行う上での注意点
効果的なスクリーニングを行うためには、いくつかの注意点を押さえる必要があります。最後に、効果的なスクリーニングを行う上での注意点について解説します。
厳しすぎる基準が優秀な人材を逃すリスク
採用におけるスクリーニングは、基準を厳しくしすぎてしまうと、書類上では判断しにくい潜在能力を持つ優秀な人材を逃すリスクが高まります。
あくまでもスクリーニングは、採用の早い段階で、応募者を効率的に絞り込むために実施するものです。そのため、柔軟な視点を持ち、画一的な評価にならないよう注意する必要があります。
主観評価に偏らないためのチェック体制
担当者の主観が評価に影響することがないよう、公平で客観的な評価を徹底するには、採用担当者間で評価基準を統一し、共有することが不可欠です。
採用におけるスクリーニングでは、主観的な評価に偏らないためのチェックリストを作成するなど、どの担当者が評価しても同じ基準で判断できる体制を整える必要があります。
スクリーニング基準と採用基準は別モノと認識しよう
採用プロセスの初期段階で活用するスクリーニング基準は、最終的な採用基準とは異なるため、注意が必要です。
たとえ、スクリーニングによる結果が高スコアであったとしても、自社が求める条件を満たす人材であるとは限りません。
スクリーニングで判断しにくい応募者の人柄や潜在能力などは、面接など次の工程で詳しく評価することを前提に、スクリーニング基準を明確にすることが重要です。
まとめ
採用におけるスクリーニングは、採用活動を効率化し、ミスマッチを防止するための重要なプロセスです。基準の明確化や適した方法の選択、そして現場との連携を通じて、効果的なスクリーニングを実施できます。
担当者による主観的な評価や優秀な人材を逃すリスクといったデメリットを理解し、回避するための工夫を行うことで、自社の採用力向上に大きく貢献できるのではないでしょうか。