深刻な採用難が続く中、「求人を出しても応募が集まらない」と悩む人事担当者は少なくないでしょう。
履歴書や面接といった従来の選考方法だけでは、他者との差別化が難しく、自社に合った優秀な人材の獲得が大きな課題となっています。
そこで、注目されている選考方法が、「面白い選考方法」です。本記事では、人狼や麻雀、SNSの活用など、話題を集めたユニークな採用事例15選を紹介します。
単なる話題作りで終わらせず、ミスマッチを防いで採用を成功させるための具体的なノウハウも解説します。
企業の個性を活かして、自社の求める人材と出会うためのヒントとして参考にしてみてください。
– 中小企業でも無理なく実施できる選考方法の選び方と考え方が分かる
– 面白い選考方法のメリット・デメリットや、失敗しないための注意点が分かる
– 上司から採用改善を求められ、他社事例をもとに具体的な施策を検討したい人
– ユニークな選考に興味はあるが、炎上やミスマッチのリスクを避けて導入したい人事担当者
面白い選考方法が注目されている理由
従来の選考方法だけでは、他社との差別化ができず、欲しい人材の確保が難しくなっています。また、型通りの選考方法では求職者の本質を見極めることが困難です。
そんな中、なぜ今「面白い選考方法」が注目されているのか、その理由を解説します。
応募が集まりにくくなっている採用市場の変化
現在の採用市場は、少子高齢化に伴う労働人口不足を背景に深刻な売り手市場が続いています。また、Z世代やそれに続く世代が今後働き手の主軸になるにつれ、働き方への価値観は大きく変わっています。
求職者は単なる給与条件だけでなく、企業文化や自身のワークライフバランスを重視する傾向が強まっており、応募が集まりにくい状況になっているのです。
特に中小企業は、従来の待ちの姿勢では、大手企業の知名度や資本力に対して真っ向から太刀打ちするのは困難です。
採用市場の変化に対応し、数ある企業の中から自社を選んでもらうためには、入り口となる選考方法を見直して、求職者の興味を惹く工夫が不可欠といえるでしょう。
他社と同じ選考では差別化できない背景
多くの企業が同じような求人内容を提示し、マニュアル通りの面接を行う中で、求職者側も内定を獲得するための対策を徹底しています。
マニュアル通りの選考は、一貫性を保つメリットを持つ一方で、候補者の本質などを見抜けず入社後のミスマッチを招きます。
他社と同じ選考ではなく独自の方法を取り入れることで、「他の企業とは違う」という強いインパクトを与え、自社にマッチする人材を惹きつけましょう。
自社に興味を持ってもらうためのユニークな採用戦略は、求職者に対して有効なアプローチとなるでしょう。
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面白い選考方法とはどんな選考か
面白い選考方法と聞くと、インパクト重視のイベントのようなものを想像されるかもしれません。しかし、本質は「自社に合う人材を、いかに自然体で引き出すか」という明確な戦略に基づいています。
単に話題作りのためのパフォーマンスではなく、採用ミスマッチなどを防ぐための真剣な取り組みであることを、正しく理解しておくことが大切です。
一般的な選考との違い
一般的な選考は、履歴書を確認し対面で人材と会う方法です。
対して面白い選考とは、候補者の本質や企業とのマッチング度合いを見極めるため、企業独自の工夫やアイデアを取り入れる採用プロセスのことです。
これまでの常識を打破するアプローチによって、マニュアル通りの選考では見えてこない、候補者の適性や人間性をダイレクトに判断することができます。
ユニークさだけを重視すると失敗する理由
面白い選考方法において、ユニークさだけを重視するあまり、失敗に終わるケースもあるでしょう。
自社の求める人材と選考内容がリンクしていない場合、ただ「面白い会社」というだけで適性のない応募者が集まってしまうリスクがあります。
面白い選考方法を導入する際は、「企業の成長に不可欠な人材を採用する」という本来の目的がブレないことが極めて重要です。
また、選考意図の不明確さや企業文化に合わない奇抜な方法などは、応募者に不信感を与える可能性があるため注意が必要です。
商社の事例

まずは面白い選考方法の手法として、商社が取り入れている事例について紹介します。
麻雀採用
ある商社では、説明会や懇親会と同時に、学生29名、プロ雀士5名、自社社員5名の計39名で麻雀大会を行う「麻雀採用」を実施しました。
1位を獲得した学生には「いきなり最終面接」という特典が付きます。対局を通じて、どういった戦略を立ててゲームを進めていくかといった地頭の良さや、勝負所で見せる素の性格などを深く知ることができます。
選考であることを忘れて純粋に楽しみながら、相互理解を深められるのが魅力です。
WEB完結採用
WEB完結採用とは、一度も面接を行わずに内定を出す驚きの採用方法のことです。
主に海外展開する企業で導入されており、常識にとらわれない柔軟な発想が特徴です。つまらない面接をいかに楽しく、参加したくなるような選考にするのか、そういったエンターテイメントの精神が基盤となっています。
応募者の目線に立ち、様々な活動を取り入れて楽しく採用を進めたいと考える担当者にとって、非常に刺激的な採用方法といえます。
食品系会社の事例
食品系会社の事例を紹介します。
日本一短いエントリーシート
日本一短いエントリーシートとは、ある製菓会社が行った「おせんべいは好き?」などの自社に関するとても簡単な質問と、メールアドレスを入力するだけのエントリーシートです。
個人のプロフィールは一切記載させない、極めてインパクトの強い手法として話題になりました。
「初期段階であるエントリーで志望動機を聞くのはナンセンス」という考え方から生まれたアイデアで、エントリーシートに時間がかかるといった学生目線の配慮がされています。
忙しい学生の気持ちをくみ取ることができる面白いチャレンジです。
制作・ゲーム系会社の事例
続いて、制作・ゲーム系会社の事例です。
人狼採用
人狼採用は、選考の場で学生と既存社員が一緒にゲームをプレイするスタイルの選考方法です。コミュニケーションを取るとともに、リラックスして臨んでもらう意図があります。
ゲームを通じて、学生の洞察力やコミュニケーション能力を見極められることが特徴です。人間性を重視したい企業にとって、有効な選考方法といえます。
ラブレター採用
ラブレター採用は、書類選考や筆記テスト、面接という基本的な選考を一切無くし、企業宛ての「ラブレター」だけで判断をして内定を出す驚きの採用方法です。
「この会社で働きたい!」「この会社が好きだ!」という気持ちが、一緒に働くうえで重要な資質と判断しています。
企業への愛がどれくらいあるかを手紙で判断する手法は、他ではなかなか見ない特殊な内容といえるでしょう。
就活×リアル脱出ゲーム
「就職活動」と「インターネットの世界」を、先が見えない迷宮のダンジョンに見立てた体験型の採用選考です。
「未来におこることは謎だらけで、だからこそ面白い」というワクワクする世界を学生に感じてもらうことや、インターネットの世界で働く楽しさを知ってもらうことを目的としています。
ゲーム好きの学生が、興味を持ちそうな内容として注目されました。
広告系会社の事例
広告系会社の事例を紹介します。
スタートアップボーディング
従来の新卒採用とは異なる採用コースとして企業が設定した事例です。
セミナーに参加した後、書類選考から面接を突破した学生には、グループ会社の創業メンバーの一員として参画する権利や、資本金3,000万円が提供されます。
さらに、サービス企画や開発ノウハウのフィードバック、ゲーム会社新卒入社の権利など、格別の環境が用意されている点が特徴です。
相棒採用
相棒採用は、「この人と働きたい」と思う社員を学生が指名して、選考が受けられる内容の選考スタイルです。
広報から採用までを一貫した採用プロセスとし、応募者が社員と継続した接点を持つことで、お互いに理解を深める機会をつくり、自社のことを知ってもらいロイヤリティを形成します。
会社の顔であり資産である社員が前面に立つことで、応募者に自社のリアルな姿を知ってもらうことを目的としています。採用課題と採用ページを密接にリンクさせていることも大きな特徴です。
留年採用
留年採用とは、「留年は、財産だ。」というキャッチコピーで打ち出した、画期的かつ、誰も想像していなかった視点の採用手法です。
一般的に留年はネガティブに捉えられがちですが、留年をした人の中には「何かをやり切った人」も多く、回り道でも挑戦した結果だと肯定的に評価しています。
「卒業後すぐに就職をする以外の選択肢を選べる、幅広い人生プランを支援できれば」という考え方から生まれたアイデアで、多様な人材を受け入れたい企業にとって、よく考えられた採用方法といえます。
IT系会社の事例
IT系会社の事例を紹介します。
寿司の早食い選手権
「寿司の早食い」といっても、実際に寿司を食べるのではなく、Flashタイピングゲームの「寿司打」を使ってタイピング技術を競うユニークな選考方法です。
見事「早食い王」となった1人は、数々の選考を短縮していきなり最終選考へ参加することができます。なお、この手法を導入する企業の社員には「200点以上」を取ることが義務づけられています。
スクショ採用
スクショ採用とは、中途採用において履歴書のかわりに「スクショ(キャプチャ)」画面を提出してもらう手法です。
スマホのホーム画面を見て、「流行りのアプリをおさえているか」「世の中のトレンドに敏感であるか」といった「個性」を判断します。デジタルネイティブ世代ならではの手法といえます。
サービス業の事例
最後に、サービス業の事例を紹介します。
禁煙採用
旅館や温泉施設などを運営する企業が、10年程前から掲げている「タバコを吸わないこと」を採用条件とした手法です。タバコを吸う有能な社員を肺がんで失ったことをきっかけに誕生しました。
禁煙は「作業効率」「施設効率」「職場環境」の向上に直結し、企業競争力を高めるという考えのもと、喫煙者の採用を行わないことを徹底しています。
候補者が喫煙者の場合は、入社時にタバコを断つことを誓約する必要があります。
バラエティ採用
「バラエティ」といっても、お笑いの要素を求めているわけではありません。
「世界1周の経験がある」「Xのフォロワー数が〇〇人以上いる」「バイリンガルである」など、バラエティに富んだ基準を用いた採用方法で、一般的に求められる誠実や優秀といった項目とは別の評価基準を設けていることが特徴です。
じゃんけん採用
じゃんけん採用は、説明会参加者を対象にじゃんけん大会を開催し、一番になった参加者はいきなり役員面接に進めるという採用方法です。
少し疑ってしまいそうな手法ですが、「運の良い人を採用したい」という社長の思いによるもので、新しい取り組みや事業を進めていく中で、多様な人材を獲得するために始められました。
こうした新しい採用方法や取り組みは、非常に面白く斬新なアイデアといえます。
大学1年生採用
大学1年生採用は、多くのアパレル店舗を持つ企業が導入している事例で、年間を通して、大学1年生~4年生、第2新卒、経験を問わず募集する採用方法です。
他の企業で同じことをすると様々なデメリットが生まれそうなこの採用方法ですが、2013年度から行われている成功事例の一つです。
中小企業が面白い選考方法を選ぶときの考え方

ここでは、中小企業が面白い選考方法を選ぶときの考え方について解説します。
採用目的から選考方法を考える
面白い選考方法によって成果を出すためには、「なぜ、この方法を取り入れるのか」という目的を明確にすることが大切です。
例えば、認知度不足が課題の企業の場合、SNSで話題になりやすい「斬新」「革新的」な選考など、面白いと思ってもらえる選考を用意するのも一つのアイデアです。
中小企業でも実施しやすい選考の特徴
中小企業が面白い選考方法を導入する際は、大規模なものを企画する必要はなく、既存の面接を少しアレンジした選考が実施しやすいでしょう。
例えば、趣味や特技など求職者が特定の分野で強みを発揮できる「一芸採用」は、多彩な才能を持つ人材の発掘に役立ちます。コストをかけずに実施できれば、中小企業にとって大きな魅力となるはずです。
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面白い選考方法のメリットとデメリット
ここでは、面白い選考方法のメリットとデメリットについて解説します。
応募数や認知度が上がりやすいメリット
面白い選考方法は、話題性を集めやすくなるためSNS拡散やメディア露出を狙える傾向にあります。
そのため、企業の認知度を高める効果が期待できます。また、他社との差別化もでき、これまで自社を知らなかった層へのアプローチも可能です。
さらに、企業が常に新しいことに挑戦する姿勢を示すことにも繋がります。自由な発想を持つ優秀な人材を惹きつけやすくなることも大きなメリットといえるでしょう。
炎上や不公平感が出るリスク
面白さ・インパクトを重視するあまり、選考内容が企業での業務やイメージとかけ離れてしまうと「ふざけている」といった批判に繋がりかねません。
また、特定のスキルに偏った選考、例えば麻雀選考やゲーム選考などは一部の候補者に有利に働くため、不公平感が出たり、応募する層が偏ったりするリスクが高まります。
そのため、選考内容とは別の評価要素も取り入れる、といった配慮が必要です。
採用支援の現場で見えた成功と失敗の違い
面白い選考方法を導入した結果、ただの話題作りで失敗に終わるか、優秀な人材が確保できるかは、選考の本質を見失わないで採用活動をしているかどうかで決まります。
明確な採用目的と評価基準を持った企業は、ユニークな採用方法で一定の成果を収めています。
うまくいった企業に共通していたポイント
面白い選考方法を取り入れて成功した企業は、選考内容と自社が求める人物像が合致しています。
例えば、論理的思考が必要な企業が、麻雀採用や謎解き選考を導入するなど、採用手法そのものが候補者のスキルを評価する場として機能しているのです。
また、既存社員に理解と協力を得るための社内説明会を実施するほか、候補者に対しても「なぜ、この選考を行うのか」といった意図を丁寧に説明しています。
失敗しやすい企業の共通点
失敗しやすい企業の多くは、採用目的が不透明な場合が多いでしょう。
明確な選考基準を設けず、話題性だけを求めた結果、業務とは無関係な選考で候補者を困惑させてしまい、肝心な実務能力を見極められずに終了するケースもあります。
よくある質問
最後に、面白い選考方法のよくある質問について答えていきましょう。
面白い選考にすると応募の質は下がらないのか
面白い選考方法は、自社の求める人物像や評価軸を明確にできれば、応募の質は向上すると考えられますが、話題性だけに特化した選考では、ミスマッチを招く可能性があります。
企業の個性をうまく表現できれば、求職者の記憶に残りやすく、型通りの選考では届かない層へのアピールが可能です。
オンラインでも実施できる選考はあるのか
面白い選考方法はオンラインでの実施も可能です。例えば、ある企業で行われた「人狼採用」はオンラインで実施されています。
人狼採用は「会社説明会×人狼ゲーム」というユニークな構成で、まず乾杯でスタートし、参加者の自己PRタイム、その後に事業内容を伝えるといった流れをとります。
オンラインゲームを活用するため、通常の採用にありがちな硬い雰囲気がなく、候補者の素に近い人柄や特性を判断できる点がメリットです。
まとめ
面白い選考方法は、単なるイベント・話題性を集めるためのものではなく、深刻な採用難を乗り切るための「戦略的武器」です。
大切なことは、面白い手法を通して自社の魅力や企業文化を学生に伝え、素の人間性を見極めることです。
まずは、自社に合った小さなアイデアを取り入れるところから始めてみてはいかがでしょうか。
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