今回のテーマは、「中途採用の採用スケジュール」についてお伝えします。
現在、中小企業の慢性的な人手不足が問題となっています。この問題を解決するためには、現在の市場に合わせた採用手法に変えることが必要です。今回はその中から中途採用の選考期間をピックアップしました。これらを見直すことで採用活動に有利になる体制を整えましょう。
中途採用の平均選考日数
マイナビ「中途採用状況調査(2024年版)2023年実績」の調査資料データを基に前年のデータ「中途採用状況調査2023年版(2022年実績)」と比較しながら、企業規模別・業種別・地域別に平均選考日数を見ていきたいと思います。
選考の平均日数が伸びている傾向
中途採用における一次面接から内定までの平均日数は、WEB面接と対面面接で異なります。
WEB面接の平均日数は13.0日、対面の場合は11.8日となり、対面で面接を行った場合には、WEB面接・対面ともに、6~7割の企業が1週間~2週間未満で選考を行っていることがわかりました。
前年の平均日数はWEB面接が9.0日、対面面接が8.7日であったため、選考期間は前年より長くなる傾向が見られます。
2019年の調査では、「2週間未満」で選考を行う企業の割合は約6割だったため、選考期間はコロナ前の水準に戻っていると言えます。
コロナ禍では人手不足への対応が急務だったため、短期間で採用を決める企業が多かったと考えられます。特に、医療・物流・IT業界などでは需要の急増により、迅速な採用が求められました。また、オンライン面接の普及によりスケジュール調整がしやすくなったことも、短期決戦の要因の一つと考えられます。
しかし現在は市場が落ち着き、企業が慎重に採用を進める余裕ができたことで、選考スピードはコロナ前の水準に戻りつつあります。
さらに、遡ってみると、2016年次から毎年、平均選考日数が減少していることがわかります。
画像引用:マイナビ中途採用状況調査2018版
企業規模別 平均選考期間
企業規模別の平均日数を見ていくと、企業規模が大きくなるほど長い日数を要する傾向があり、こちらもWEBと対面で比べると、企業規模に関係なく、対面で面接した方が1週間未満で内定出しをする割合が多い結果となっています。企業規模別選考期間の傾向は、コロナ以前の2018年調査時と比べても変わりありませんでした。
業種別 平均選考期間
業種別に見ると、それぞれ選考スピードは異なり、流通、医療、不動産などは、選考期間が早い傾向にあり、特に医療・福祉・介護業界では競争が激しく、迅速な採用が必要です。
一方、金融・保険・コンサルティング、サービス・レジャー、環境・エネルギーなどは、スキルや適性を慎重に判断するため選考が長期化しやすいです。
選考スピードの違いは、各業界の人材ニーズや採用方針によるものです。適切な人材を確保するためには、自社の業界特性を理解し、柔軟な採用戦略を検討することが重要です。
※サンプル数が30s未満は参考値でグレーアウト
地域別 平均選考期間
最も選考日数が短かった地域は、WEB面接・対面面接の両者において「甲信越・北陸」となっており、WEBの場合は平均6.8日、対面の場合は平均7.9日で、対面実施の方が1.1日長い期間で開催していました。
反対に、選考期間が最も長かった地域は、「中国・四国地方」で、WEB面接で16.0日、対面面接で13.3日となっています。
応募者1人あたりの平均面接回数
また、応募者1人あたりの平均面接回数も前年より増加しており、WEB面接は2.7回から3.0回に、対面面接は2.5回から2.8回に増えています。
やはり、WEB面接ではいまいち応募者の人物像を把握することが難しく、気軽に日程調整をできることもあって、対面面接より選考期間が長くなってしまう傾向にあるようです。
中小企業の選考期間は10日前後を目安に
中途採用の選考期間は、1週間~2週間未満を目安に設定すると良いでしょう。
データを見ると、全体の6~7割の企業がこの期間内で選考を実施しており、スムーズな採用活動を進めるための一般的な基準となっています。
具体的には、
- WEB面接の場合:平均13.0日(約2週間)
- 対面面接の場合:平均11.8日(約1.5週間)
となっており、WEB面接の方がやや長くなる傾向があります。
また、面接回数が増加(WEB:3.0回、対面:2.8回)しているため、各面接の間隔を適切に調整し、長期化しすぎないようにすることが重要です。選考期間が長すぎると、候補者の離脱リスクが高まるため、2週間以内を目標にスケジュールを組むことを推奨します。
選考期間を調整する工夫とは
それではどのように選考期間を調整すればよいのでしょうか。現在、多くの企業で導入している2つの手法をご紹介します。
Webと対面のハイブリッドな面接形式の導入
従来は一次面接から最終面接まで面接官を手配して、求職者と面接官が直接顔を合わせて面接を行っていました。しかし、この方法は日程調整や場所の確保など手間と時間がかかります。
この課題を解決するために、現在では多くの企業が一次面接でWeb面接を導入しています。Web面接では物理的な距離は関係ないため求職者と面接官の日程調整も行いやすく、また場所を確保する必要もありません。極端なことを言ってしまえば、沖縄在住の求職者と北海道に出張中の面接官が面接を実現することもできます。
しかしながら、前述した調査データにもあるように、対面面接の方が、WEBに比べて人となりが判断しやすいため、選考期間を短縮できるメリットがあります。したがって、一次はWEB、二次・最終面接は対面形式といったハイブリッドな選考対応を行うことがポイントになってくるでしょう。
採用管理システムを導入する
選考期間が長くなってしまう要因の一つに、求職者管理がうまくいっていないことが挙げられます。
- 誰がどの選考段階にいるのか把握できていない
- 多数媒体に求人広告を出したがために、管理が煩雑になっている
というような場合、求職者対応をする以外の業務が手一杯で、結果的に選考結果連絡が遅くなり、選考期間が長くなってしまいがちです。
求職者管理や複数媒体管理をスマートに行いたい場合には、採用管理システムの導入がおすすめです。応募から内定承諾までを一元管理し、さらには内定フォローまでできるツールもあります。
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エンジニア向けコーディングテスト
これはプログラマなどエンジニア職を採用する際に導入されている方法です。
従来は求職者が作成した職務経歴書を元に面接官が面接でスキルを確認していました。しかし、中には過剰にスキルをPRする求職者がいて入社後のミスマッチが生じるケースがありました。
このミスマッチを解決するために職務経歴書の代わりにオンライン上でのコーディングテストを導入します。画面上で課題を与え、実際にプログラミングしてもらい、その結果を元に評価します。そうすることで求職者のスキルレベルが分かり、入社後のミスマッチが減ります。
また、選考初期にテストを導入することで無駄な面接を減らし、結果的に早い段階で内定を出すことが可能になります。
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採用ノウハウセミナーに参加してみる
人事担当者向けの採用ノウハウセミナーに参加し、イマドキの採用手法や採用計画の計画方法・見直し方などの情報を入手することも適切な選考期間で採用するための重要な手段のうちの一つになります。
すべてではないですが、多くの採用支援会社でそういった採用に関するノウハウセミナーを月に数回開催しています。
キャリアマートでも中途採用向けの無料セミナーを毎月1回テーマを変えて開催しているので、ぜひ一度参加してみてください。
採用アウトソーシング(RPO)採用代行を検討する
市場に合わせて選考期間を短縮化する必要性はご理解いただけたと思います。しかし、現行の選考方法を見直すことで採用担当者の負担が重くなるという課題も発生します。
現行の選考方法の場合は採用担当者の都合に合わせて柔軟に対応することが可能だったのですが、選考の短縮化を前提にスケジュール調整を行うと業務が過密になり従来よりも心身ともにストレスフルになります。特に中小企業の採用担当者は本業を抱えているケースが多く、その負担は大きなものになるではないでしょうか。
この課題を解決するためには採用担当者の人数を増やすことが求められますが、ただでさえ人が足りない中小企業では対応が難しいでしょう。
そこでオススメなのが「採用業務のアウトソーシング」です。面接の日程調整や求職者への連絡など煩雑な業務を外部に委託することで採用担当者の負担を大幅に減らすことができます。
【無料DL】採用アウトソーシングサービス概要
まとめ
中途採用の選考期間は1週間~2週間未満を目安にするのが適切です。データによると、WEB面接の平均選考日数は13.0日、対面面接は11.8日で、WEB面接の方がやや長くなる傾向があります。また、面接回数も増加し、WEBは3.0回、対面は2.8回となっており、慎重な選考が進んでいます。
選考期間を短縮するには、WEBと対面のハイブリッド面接の導入、採用管理システムの活用、エンジニア向けコーディングテストの実施、採用ノウハウセミナーへの参加、採用アウトソーシングの検討などの工夫が有効です。
市場の変化に適応し、スムーズな採用プロセスを構築することで、優秀な人材の確保につながります。自社の業界特性を踏まえ、最適な採用戦略を検討しましょう。