ゆるブラック企業とは?特徴と対策方法

ゆるブラック企業

近年「ゆるブラック企業」という言葉が、メディアなどでも取り上げられ話題になっているのはご存じでしょうか。

ゆるブラック企業が生まれた背景には、働き方改革の推進やパワハラ防止法などが大きく関わっているとされています。

この記事では、そんなゆるブラック企業の概要や特徴のほか、ならないために企業側が心得ておくことなどを詳しく紹介していきます。

ゆるブラック企業とは?

ゆるブラック企業とは、長時間労働やパワハラといった過酷な環境はない一方で、スキルアップや昇給が期待できず、将来性に乏しい企業のことを指します。

ブラック企業の特徴には、
「長時間労働」「サービス残業」「パワハラが多い」「離職率が高い」が主に挙げられます。月に80時間を超えるほどの残業や年間の休日数が少ないというのは、ブラック企業あるあるの特徴といえるでしょう。
対してホワイト企業の特徴は、
「残業が少ない」「福利厚生の充実」「さまざまなハラスメントがない」「離職率が低い」などです。ホワイト企業には、福利厚生や研修制度の充実といった特徴を持つ企業が多くあります。

ゆるブラック企業とは、「ブラック」というワードが入るものの、上記で紹介したブラック企業とは異なる特徴があります。それは、長時間労働やパワハラがないこと、職場内の居心地の良さという部分です。

その反面、昇給が少ない、スキルが身に付かず成長が見込めないといった特徴を持つため、ホワイト企業という言葉は使わず、「ゆるブラック企業」と表現されているのです。

ゆるブラック企業の特徴

ゆるブラック企業は一見すると働きやすい職場に見えますが、実際にはさまざまな問題点を抱えています。ここでは、ゆるブラック企業によく見られる具体的な特徴を6つの視点から解説します。

残業がほとんどない

ゆるブラック企業では、労働時間が適正に管理されている場合が多く、残業はほとんど発生しません。定時での退社が基本となっており、プライベートの時間をしっかり確保できることから、表面的には「働きやすい職場」と見られがちです。

ただし、残業がないからといって、必ずしも健全な職場環境であるとは限りません。成果や成長への意欲が評価されにくく、仕事に対するモチベーションを持ちづらいケースもあります。

仕事内容がきつくない

ゆるブラック企業では、与えられる業務内容が比較的シンプルで、難易度の高いタスクや責任の重いプロジェクトを任されることはあまりありません。プレッシャーも少なく、精神的なストレスを感じにくい点が特徴です。

一方で、挑戦や成長の機会が少ないため、仕事を通して得られる達成感や自己成長の実感に乏しく、「やりがいのなさ」を感じる人も少なくありません。

離職率が低い

人間関係が穏やかで、業務負荷も軽いため、ゆるブラック企業は離職率が低い傾向にあります。社員同士のトラブルも少なく、職場の雰囲気が良好なことから、長く在籍する人も多いのが実情です。

しかし、それは必ずしも職場に満足しているという意味ではなく、「転職するほどでもない」「現状に大きな不満はない」といった“消極的安定”によるものです。結果として、組織の活力が低下し、変化や革新が起きにくいという弊害もあります。

給料が上がらない

ゆるブラック企業では、社員の努力や成果が昇給や賞与に反映されにくいという特徴があります。毎年の給与がほぼ横ばいで、年功序列や固定給が中心の評価制度となっていることも珍しくありません。

そのため、頑張っても評価されないと感じる社員が増え、結果的にモチベーションの低下や惰性で働く人材の増加につながる可能性があります。将来的な収入への期待が持てないことから、キャリアの選択肢としても不安が残ります。

スキルアップが難しい

日々の業務がルーティンワーク中心で、新たな知識や技術を学ぶ機会が少ないのも、ゆるブラック企業の特徴です。社員に対して教育や研修の機会がほとんど提供されず、成長を求める人にとっては物足りない環境となります。

業界の変化や新しいツールへの対応も遅れがちで、スキルが停滞したまま年月が経過してしまうリスクもあります。キャリアの先行きを考えると、自分の市場価値が上がらないことに不安を感じる人も少なくありません。

将来性を感じにくい

働きやすさは確保されているものの、企業としてのビジョンや方向性が不透明な場合、社員は将来性に不安を感じるようになります。個人としても、仕事を通じてキャリアの目標が見出せず、惰性で業務をこなす日々になってしまいがちです。

また、昇進や新しいポジションのチャンスも少ないため、会社の中で自分がどう成長できるのかが見えづらく、長期的に働くモチベーションが保ちにくい環境となっています。

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ゆるブラック企業が発生した原因

ゆるブラック企業が発生した原因には、働き方改革の推進やパワハラ防止法などが関わっているとされています。

近年、自社がブラック企業と認定されないために、長時間労働を減らすための取り組みやパワハラを抑止するための研修を行うなど、多くの企業が「良い企業」になろうと試行錯誤しています。
しかし、パワハラを意識するあまり、必須である指導やマネジメントができておらず、社員の成長が促進されない問題も浮上しているのです。

こういった現状が、表面上では問題がないようにみえる、ゆるブラック企業が発生した原因といえるでしょう。

また、多様な価値観が存在する現代では、「ゆるブラック企業」でよいという企業もあるでしょう。それなりの収入があれば、そういった企業を求める求職者がいるのも事実です。

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ゆるブラック企業にならないための心得

ゆるブラック企業

ゆるブラック企業は過酷な労働環境ではありませんが、やりがいや成長が感じられないといった面があります。

そもそも、働き方改革とは企業の「働きやすさ」「働きがい」のどちらも高めるための政策だったはずです。
しかし、労働時間削減という、はっきりした数値で表せる部分に引っ張られた「働きやすさ」ばかりがフィーチャーされているのが現状です。

ゆるブラック企業にならないためには、働きやすさと働きがいの違いをしっかり理解する必要があります。

すでにゆるブラック企業の特徴である働きやすさと一緒に、働きがいも高めていくための対策をして、それを実施することが必要になるでしょう。

ゆるブラック企業と働きがいのある企業の違い

ゆるブラック企業と、社員の成長ややりがいを重視する「働きがいのある企業」は、見た目の働きやすさだけでは判断できない違いがあります。

以下の表で、主な違いを項目別に比較してみましょう。

項目 ゆるブラック企業 働きがいのある企業
残業 ほぼない 必要に応じてあり
給与 昇給が少ない 評価により昇給あり
スキルアップ 難しい 成長支援制度あり
社員のやる気 低下しがち 高いモチベーション
将来性 不透明 キャリア展望が描ける

脱ゆるブラック企業!働きがいのある企業にするために

ゆるブラック企業

ゆるブラック企業から抜け出すにためには対策が必要です。

さらに、やりがいや成長を求めている社員は、働きがいの部分に魅力を感じなければ転職という考えに至る可能性もあります。
ここでは、働きがいのある企業にするためのポイントについて紹介するので、チェックしていきましょう。

社員と経営理念を共有する

まずは、社員と経営理念をしっかり共有することが大切です。

企業の理念実現や目標達成のため、社員一人ひとりが組織の一員として、どのように行動すべきなのかという点を企業側は明確にする必要があるでしょう。そのためには、経営理念を社員に浸透させていく必要があります。

また、経営理念への共感を得るタイミングにふさわしいのは採用時といえます。

入社前に経営理念に対してどう思うのか、という部分をすり合わせて確認しておくことが重要です。企業の理念を共有し共感ができていれば、社員自ら理念に合った働き方をしてくれます。

明確な目標を社員に持ってもらう

働きがいのある企業にするポイントとして、明確な目標を社員に持ってもらうことも大切です。

目標やチャンスを与えることが「あなたには期待している」と伝えることに繋がり、社員のモチベーションを上げる材料となります。

そして、社員が「5年、10年先に、自分がどのような働き方をしていたいか」といった、明確な目標を持てるような環境や仕組み作りを行っていきましょう。

社員同士のコミュニケーションを活性化させる

居心地のよい職場環境は、ゆるブラック企業の特徴です。

しかし、ゆるブラック企業から抜け出し働きがいを高めるためには、コミュニケーションを活性化し会社の連帯感を強くしていくことが大切です。会社全体で成長していこう、という意識を高める必要があるでしょう。

評価制度を設ける

適切な評価を設ける・見直すことも働きがいのある企業にするためのポイントです。

「成果を出したのに評価されない」となれば、企業に不満を持つ社員も多くなってしまうでしょう。
社員の成し遂げたことがしっかり評価に反映される環境であれば、社員のやる気が上がり働きがいにも繋がります。

まとめ

ゆるブラック企業の特徴や発生の背景、ならないためのポイントについて紹介しました。

ゆるブラック企業にならないためには、「働きやすさ」と「働きがい」の違いをしっかり理解し、どちらも高めていくための対策が必要になります。
この記事を参考にしながら、ゆるブラック企業といわれない働きがいのある企業を目指してください。

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