採用ピッチ資料とは?記載する項目・作り方

採用ピッチ資料

企業の基本的な情報や魅力を伝えるために作られる採用ピッチ資料は、さまざまな採用場面において汎用性が高く、求職者の応募意欲を高めるツールとして注目を集めています。

いざ、採用ピッチ資料を作ろうと思っても、どのような項目や内容を記載するのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、採用ピッチ資料に記載するべき項目や資料作成のステップなどを解説します。

また、資料作成時にすぐ参考にできる、他社の採用ピッチ資料の事例についてもチェックしていきましょう。

採用ピッチ資料とは

採用ピッチ資料とは、新卒や中途採用など企業に応募する求職者に向けた資料のことです。

「ピッチ」とは、短いプレゼンテーションを意味します。
採用ピッチ資料には、求職者が「この企業に応募したい」という動機となる情報や、企業からのメッセージなどが体系的かつ気軽に読めるよう掲載します。

よく、一般的な企業のWebサイトに掲載される会社紹介の資料と混同されることがありますが、資料の読み手となるターゲットが異なるのです。

一般的な企業のWebサイトに掲載される会社紹介資料は、株主・投資家、クライアント向けに作られたものですが、採用ピッチ資料は企業に応募する求職者向けに作られています。

求職者に自社で働くイメージをより膨らませてもらうため、事業内容、社風、職場環境など、あらゆる企業情報を紹介するものが、採用ピッチ資料です。

採用ピッチ資料作成のメリットや活用法

採用ピッチ資料

はじめに、採用ピッチ資料を作るメリットや活用法について3つご紹介します。

企業の認知度が高まる

採用ピッチ資料を作成するメリットのひとつに、企業の認知度が高まるということが挙げられます。採用ピッチ資料を求職者に公開することで、より多くの方に企業を認知してもらい、興味を高める効果が期待できるでしょう。

また、採用ピッチ資料は、採用活動のあらゆる場面において幅広く活用できるのも特徴的です。例えば、企業の採用Webサイトで公開したり、転職情報が掲載される求人媒体Webサイトやスカウトメールに添付したりすることもできます。

面接の事前メールに添付するなど、転職活動イベントや説明会での使用も可能です。活用の仕方やアレンジ次第で、汎用性が高いことも採用ピッチ資料の大きなメリットと言えるでしょう。

求職者とのミスマッチが防止できる

採用ピッチ資料を作成することで、求職者とのミスマッチを防止することにもつながるでしょう。採用ピッチ資料には、自社の魅力だけではなく、自社や事業全体における課題なども記載しておくのがおすすめです。

自社や業界の長所・短所も載せておくと、求職者の企業に対する理解がより深まり、企業との相性や応募するか否かを判断しやすくなります。そのため、ミスマッチ防止にも有効でしょう。

応募する人数が絞られて採用コストが削減できる

採用ピッチ資料を作成したことにより、自社へ応募する人数が絞られ、結果的に採用コストが削減できるというメリットがあります。

従来の面接や会社説明会においては、基本的な企業紹介などに時間がかかることも多かったでしょう。しかし、事前に採用ピッチ資料に目を通してもらうことで、面接時の会社説明にかかる時間を短くできます。

求職者が事前に採用ピッチ資料を読み込み、より企業の理解度を高めたうえで面接をスタートできるため、企業側にとってはより効率良く採用活動を進められるでしょう。

関連記事

多くの企業が、自社の業務にふさわしい人材を確保するためにさまざまな採用条件を設定しています。 とはいえ、どのような採用条件を設定すれば良いのかわからない企業も多いでしょう。 そこで今回は、採用条件に必要な項目や具体的な条件の決め[…]

採用条件とは

採用ピッチ資料で記載する項目とは

ここからは、具体的に採用ピッチ資料に記載するべき3つの項目をご紹介します。

会社概要

まずは、会社概要を紹介しましょう。会社概要として自社の基本情報をまとめます。自社の事業内容、これまで歩んできた歴史である企業の沿革、企業理念を記載するのが一般的です。

事業内容

事業内容では、自社のサービスや事業内容について記載します。事業が複数ある場合は、事業の一覧を紹介した後、各事業の詳細を紹介する流れが読み手にとって理解しやすいでしょう。

企業の沿革

企業の沿革では、創業から現在までの企業の歩みをまとめましょう。簡潔な図にまとめておくと、見やすくておすすめです。

また、時系列で企業の沿革を一覧としてまとめ、その後にターニングポイントとなった出来事や実績をピックアップし、詳細を記載するとより分かりやすいでしょう。

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)

企業のミッション、理念に共感しているかどうかは、採用において重要なポイントです。採用ピッチ資料にミッション・ビジョン・バリューを掲載して、ミスマッチ防止につなげましょう。

また、「今後どのように自社を成長させていきたいのか」など、事業戦略・将来像を入れると、より求職者の企業理解が深まります。

組織概要

会社紹介の後は、組織概要に触れていきます。自社には「どんな人」がいるのか、「どのような働き方をしているのか」が分かりやすく記載されているのがポイントです。

メンバー紹介(年齢層・男女比など)

メンバー紹介では、パッと見て数字やメンバー構成が理解しやすいように、円グラフを活用するのがおすすめです。年齢層や男女比、部署の配属、リモートワーク率など、求職者が知りたいであろう企業のデータや内容を記載すると良いでしょう。
ここでは、社員一人ひとりの働きぶりを紹介するのではなく、自社にはどんな人が働いているのかを大まかに説明していきます。

社風やカルチャー

自社の雰囲気を理解してもらうために、社風やカルチャーについても記載していきましょう。実際に働く社員や社内の様子をイメージできると、ミスマッチ防止に効果的です。

例えば、自社のイベントや社員の声・インタビューなどを紹介すると、求職者がより企業理解を深めやすいでしょう。

働き方や福利厚生

雇用形態、働き方の特徴、募集する職種、業務の進め方について記載しましょう。実際に働く社員が「入社後、苦労したこと」「仕事のやりがい」を記載するのもおすすめです。
また、福利厚生についても記載してください。休日・休暇、交通費、家賃補助などを一覧にして紹介するのが良いでしょう。

評価制度・賞与

求職者にとって重要な項目のひとつが、評価制度・賞与についてです。自社における、昇格・昇給の仕組み、要件を説明して求職者の理解を促します。
年間の賞与回数、モデル年収などを記載しておくと、求職者も分かりやすくて満足感を得られる内容になるでしょう。

採用情報・選考

採用ピッチ資料の終わりには、求職者向けに求める人材像や採用情報、今後の選考について記載しておきましょう。今後の選考におけるミスマッチ防止、応募意欲を高めるためにも、分かりやすく丁寧に記載するのがポイントです。

求める人材像

ここでは今一度、自社の求める人物像を明確に記載しましょう。自社の強み、業界の魅力を説明した上で、どのような思考や経験を持った人材に、入社後どのような活躍を求めているのか、抽象的な言葉ではなく具体的に伝えるのが重要です。

今後の選考フロー

応募から採用までの選考フローを分かりやすく記載します。応募方法、書類選考、面接など、どのようなスケジュール感で進められているいくのかが視覚的に分かるようにしましょう。
例えば、図を活用したり、「最終面接は〇月頃~」など具体的なスケジュールを記載したりするのもおすすめです。

今後のスケジュールを共有しておくことで、求職者の不安感も払拭されるでしょう。

求職者に対するメッセージ

最後に、代表取締役社長から求職者に対するメッセージを記載するケースも多くなっています。

今後の企業目標を伝えたり、求職者の心に火をつけるような言葉や期待することを伝えたりすることで、より応募意欲が高まる効果が期待できます。

【中途採用向け】採用ピッチ資料の作り方5ステップ

採用ピッチ資料

ここからは、採用ピッチ資料の作り方を5つのステップで説明していきます。

採用ピッチ資料を作成する目的を明確にする

まずは、採用ピッチ資料を作成する目的を明確にしましょう。中途採用向けの採用ピッチ資料であれば、「同業界からの応募数を増やす」など目的を明確化し、目的に合った資料を作ることを目指します。

目的が曖昧な状態で資料作成をスタートしてしまうと、ターゲットがブレてしまい、何を伝えたいのか分からない資料なってしまう可能性があるので要注意です。

自社の魅力やターゲットとなるペルソナを明確にする

自社の魅力を整理し、ターゲットとなるペルソナを明確にしていきましょう。経営層や人事だけでなく、現場の意見を取り入れて、具体的なペルソナを設計します。

ペルソナを明確にすることで「どのような内容を採用ピッチ資料に盛り込むのか」が明確になるでしょう。

コンセプトを設計し、構成作り

採用ピッチ資料を作成するには、資料のコンセプト設計が重要です。
ペルソナに向けて最終的に伝えたいメッセージは何か、自社に対してどのようなイメージを持ってほしいのかなどを考えて、コンセプトを設計していきましょう。
コンセプト設定ができると、おのずとデザインや言葉選びも変わっていきます。

求職者によりメッセージが伝わりやすい構成作りを意識することが大切です。

ストーリー性を持たせながら資料制作

採用ピッチ資料の内容に飽きが来ないよう、ストーリー性を持たせながら資料制作することを心がけましょう。
採用に必要な情報を記載するだけでなく、求職者の応募意欲を高める内容を盛り込みながら作る必要があります。

求職者の目線になって、構成を考えていくのが重要です。会社概要や組織についての基本的な情報だけでなく、要所に社員の想いやメッセージを記載し、求職者の心に残るような工夫を凝らすのも良いでしょう。

どのような順序立てが効果的なのか、各項目の関連性を検討して作り込むのがポイントです

求職者が「応募したい」と気持ちの高まる設計を意識しながら作成してください。

効果検証し、定期的に資料をアップデート

採用ピッチ資料は完成したら終わりではありません。企業情報や自社の置かれている立場は、日々変化するものです。定期的に資料をアップデートして、常にブラッシュアップしていきましょう。

また、採用ピッチ資料について、社員や求職者から質問・フィードバックを受けた場合には、積極的に修正を加えていきましょう。

すぐ参考にできる!採用ピッチ資料の事例3選

採用ピッチ資料

最後に、採用ピッチ資料を作る時、すぐ参考にできる企業を3つピックアップしてご紹介します。

株式会社SmartHR

出典:SmartHR会社紹介資料

自社のカルチャーを上手に伝え、マッチ度の高い人材を採用したいという意図が感じられるのが、株式会社SmartHRの会社紹介資料です。
創始者のブログには、採用ピッチ資料を公開したことで求職者が‍5.3倍増加し、採用ピッチ資料の閲覧数は40万回を超えるなど大きな反響と効果が得られたと書かれています。

株式会社SmartHRのWebサイト上の採用情報にある、会社紹介資料で閲覧可能です。

株式会社ミラティブ

出典:株式会社ミラティブ会社紹介資料

「採用候補者さまへの手紙」という、キャッチーな採用ピッチ資料のネーミングが印象的なのが、株式会社ミラティブの会社説明資料です。
企業が大事にする価値観、ミッションなどの想いを重視する内容で、企業の魅力が溢れる資料となっています。株式会社ミラティブ社では、この資料以外にもエンジニアやデザイナーなど、職種別の会社説明資料も公開中です。

株式会社ミラティブの採用特設Webサイト上、会社説明資料で閲覧できます。

株式会社HRBrain

出典:株式会社HRBrain会社紹介資料

企業情報がバランス良く網羅して説明されているため、最もスタンダードな会社説明の参考例とするなら、株式会社HRBrainの採用ピッチ資料がおすすめです。
会社概要や事業概要、組織、働く環境や制度、社員インタビューなど、全てが簡潔に分かりやすく説明してあります。

株式会社HRBrainの採用ピッチ資料は、採用情報の中途採用ページの会社説明資料が閲覧可能です。

デザイナーなどの専門職の採用には、コチラの記事で採用手法と成功事例をご紹介しています。

関連記事

近年インターネットにおけるビジネスが主流となり、WebやUI/UXデザイナーの需要が高まっています。それに伴いデザイナーの採用に苦戦する企業が多くなっているのが現状です。 「デザイナーを採用したいけれど、求人サイトなどでは採用が厳しい[…]

デザイナー採用

まとめ

企業の魅力を伝えて求職者の応募意欲が高めるだけでなく、採用コスト削減やミスマッチ防止にもつながるなど、企業の採用ピッチ資料作成にはメリットがとても多いことが分かりました。

今回紹介した企業の具体的な資料を参考に、中途採用向けの採用ピッチ資料を作ってみませんか。

資料制作の目的やターゲットを明確化させ、自社の魅力をたっぷり伝えられる資料作りに、ぜひチャレンジしてみてください。

関連記事

新型コロナウィルスの流行によって、人材採用を取り巻く環境は大きく変わりました。変化が激しい現在、採用活動をどう進めればいいのか不安に思っている採用担当の方も多いのではないでしょうか? 採用活動を改めて理解するために、採用活動の基本から[…]

採用活動とは?失敗しないために知っておくべき基本とポイントを説明!

OSCTA

採用ピッチ資料
フォローして毎日記事をチェック!