採用活動を行ううえで、求職者に自社について興味を持ってもらい、理解を深めてもらうことは重要です。企業のリアルな情報を伝えられる「スカウト動画」を使えば、採用活動をより効率的かつ効果的に行えるのをご存知ですか?
今回はスカウト動画を制作するメリットや作成方法と費用などについて解説します。スカウト動画の効果的な活用方法や実際に活用している他社事例もご紹介しますので、ぜひ参考にして取り入れてみてはいかがでしょうか。
スカウト動画とは?
「スカウト動画」とは、スカウトメールに添付して送る動画のことです。企業側が自社にマッチする人材を探し、第三者を介さずに直接採用活動を行うダイレクトリクルーティングの際に使います。
また、スカウト動画に似たもので「採用動画」があります。採用動画は、企業の情報を紹介する動画全体を指す総称であり、その中でもダイレクトリクルーティングで活用するものをスカウト動画と呼びます。
スカウト動画にはさまざまなコンテンツがあり、代表的なものとしては、
- 会社概要
- 企業理念
- 事業内容
- 企業の魅力を伝える「会社紹介動画」
が挙げられます。
その他、会社についてリアルな声を伝える社長・社員の「インタビュー動画」や、入社を疑似的に体験できる「オフィスツアー動画」も一般的です。
スカウト動画で得られる4つの効果
スカウト動画はダイレクトリクルーティングに役立つツールです。では、求職者にスカウト動画を届けることには、どのような効果があるのでしょうか?ここでは4つのメリットについて詳しく解説します。
会社の雰囲気が伝わりやすい
テキストだけでは伝えきれない情報を届けやすいのが動画の魅力です。特に、会社の雰囲気を知りたいと感じている求職者は多いでしょう。
エン・ジャパン株式会社が転職活動を行う女性を対象に実施した意識調査によると、9割が「会社の雰囲気を重視する」と回答しています。
オフィスツアー動画や社員のインタビュー動画などを使えば、実際に会社を訪問できない場合も、社風や企業の雰囲気を伝えやすいでしょう。
スカウト動画はテキストや画像と比較して伝えられる情報量がはるかに多いため、より正確な会社情報を求職者に伝えるのに役立ちます。求職者側にとっても企業の情報をより詳細に捉えられるため、重要なツールです。
画像引用:エン・ジャパン株式会社
求職者の印象に残りやすい
視覚的にも聴覚的にもアプローチできるスカウト動画は、求職者にとっても強く印象に残るでしょう。アメリカ国立訓練研究所発表の、学習の定着率についての興味深い研究結果があります。その研究では、一方的な講義形式の場合は5%、読書形式だと10%、動画を用いた視聴覚学習では20%の学習定着率という結果が得られたそうです。
採用活動でも同様に、資料配布よりもスカウト動画によるアプローチの方が、より自社のことを覚えてもらいやすくなり、採用効果の向上にもつながります。
画像引用:みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
採用活動のコスト削減
会社説明会や企業見学といった採用活動には、準備の段階から人件費や作業時間といった労力を伴うため、企業にとって大きな負担となるでしょう。
スカウト動画は、制作する際に一時的な負担は発生するものの、一度動画を制作しておけばその後説明会だけでなく、就活イベントなどあらゆる場面で活用できます。その結果、作業時間や人件費の大幅な削減につながるでしょう。
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ミスマッチ防止
入社後、仕事内容に対してギャップを感じ早期離職してしまうケースは少なくありません。早期離職は企業側と求職者側の両方にとって大きな損失となります。
複雑な業務内容をわかりやすく可視化できるスカウト動画は、事業内容を深く理解してもらうためにも有効なコンテンツです。求職者としてもよりリアルな情報をもとに企業を選べるため、ミスマッチ防止につながります。
スカウト動画はこんな企業におすすめ!
スカウト動画は採用活動において即効性があるツールと言えます。ここでは、特に効果が発揮されやすい企業の特徴をご紹介します。自社の特徴に合うかどうかチェックしてみてください。
目で見える商材・サービスを扱っている企業
視覚的により詳しい情報を伝えられるのが、情報伝達に動画を用いるメリットです。そのため、目で見える商材を製造したり、有形商材を販売するサービスを扱ったりしている企業では、求職者に仕事内容をイメージしてもらいやすくなるでしょう。
例えば、ハウスメーカーや製薬会社なら、自社製品が出来上がる過程を動画にすることで、より求職者が仕事内容を理解し、実際に働くイメージを持つことにつながります。
BtoBの企業
具体的な事業内容をイメージしにくい企業は、求職者にもなかなか興味を持ってもらえないかもしれません。
そのため、企業に対してサービスや商品を提供しているBtoBのビジネスモデル下にあり、一般的にあまり知られていない商品やサービスを扱っている企業は、採用活動で苦労している場合も多いのではないでしょうか。
そのような、テキストや画像だけでは事業内容が理解されづらい場合にも、スカウト動画は効果的です。
ハイクラス(役員・部長クラス)の採用をしている企業
通常のスカウトメールではなかなかリアクションが返ってこない役員や部長といったハイクラスの人材を採用したい場合にも、スカウト動画がおすすめです。動画の方が、相手に向けて採用に対する本気度や熱意をよりリアルに伝えられるでしょう。
実際に、CTOなどの役員クラスの採用でスカウト動画を活用しているヘッドハンティング企業もあります。
スカウト動画を効果的に活用するには?
ここからは、より効果的にスカウト動画を活用するための方法を3つご紹介します。制作したスカウト動画の効果的な活用方法をチェックして、成果につなげてください。
伝えたいメッセージ・目的を明確にして作成する
動画を制作するにあたり、メッセージや情報の内容と伝える目的を明確にしましょう。
特に、動画を複数制作する場合は、内容や構成は多少違えども伝えたいメッセージは一貫性を持たせることが重要です。メッセージの軸がぶれると、求職者の印象に残らず終わってしまう可能性もあるでしょう。
求職者のターゲット像を明確にし、会社として達成したい目的を整理してから動画を制作することで、よりスカウト動画の効果が高まります。
自社の採用サイトでも動画が見られるようにする
制作したスカウト動画を、採用サイトやホームページといった自社サイトでも見られるようにしておくのがおすすめです。
自社サイトを閲覧している求職者がスカウト動画を見ることで、会社により興味を持ったり理解を深めたりして、求人に応募する可能性が高くなるでしょう。
逆に、サイトから得られる情報が少ないと、なかなか応募するまでのリアクションにはつながらず、そのまま離脱してしまうかもしれません。
SNSで動画を拡散する
動画をより多くの人に見てもらうためにSNSを活用することも重要です。制作した動画はダイレクトリクルーティング以外にも利用できます。
YouTubeやX、InstagramといったSNSを媒体として動画を配信しチャンネル登録やフォローを促しましょう。SNS上で話題になれば、多くの人にシェアされるため、会社の知名度アップも期待できます。
SNSによって動画のフォーマットや拡散されやすい特徴は異なります。そのため、SNSを利用する場合は、各メディアに合わせて動画を編集し直すことで、さらに大きな効果につながるでしょう。
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スカウト動画はどうやって作成する?
スカウト動画の作成方法には、外注するか社内で作成するかの2パターンがあります。それぞれの方法について、メリットとデメリットをチェックしていきましょう。
外注依頼
動画制作会社に依頼することのメリットは、なんといっても社内制作と比較して短期間で圧倒的に高品質の動画を制作できることです。また、社内で動画制作するための労力が不要なこともメリットといえるでしょう。
社内作成
スカウト動画の社内作成も難しいことではありません。自社でスカウト動画を制作するメリットはコストを抑えられる点です。スマートフォンなどのカメラとパソコンがあれば無料で制作することも可能でしょう。また、自分たちが伝えたい内容を思うように企画し、制作・配信しやすいことも社内作成の利点といえます。
スカウト動画の作成費用・制作期間は?
スカウト動画の作成費用や制作期間は動画の内容によって異なります。費用相場や制作期間の目安をチェックし、動画が必要になる時期や予算をもとに制作する動画のタイプを検討するのがいいでしょう。
費用相場
スカウト動画の内容としては、
- 事業紹介・社員のインタビュー動画
- 社員密着取材ドキュメント動画
- 企業ブランディング目的ドラマ仕立て動画
などがあり、
事業紹介や社員のインタビュー動画が一般的なものの費用相場は30~100万円程です。会社の雰囲気をリアルに伝えやすく、採用以外のシーンでも使えるため、制作しておきたい動画といえます。
社員に密着取材するようなドキュメント動画は、事業紹介やインタビューに比べ、費用相場が上がり、50~200万円程になります。実際に働くイメージを具体化できるため、求職者が入社後の生活をイメージするのにも役立つでしょう。
企業のブランディングなどを目的としたドラマ仕立ての動画に関しては、キャスティングが必要になるなどスケールも大きくなるため、200万円以上が相場です。ハイクオリティな動画でブランドイメージを高めることができます。
制作期間の目安
外注依頼で制作する場合、
- 事業紹介や社員のインタビュー動画は撮影期間が1日程度、完成期間も1~2ヵ月と短期間で仕上がります。
- ドキュメント動画は、内容によって撮影期間が1~3日間、完成には2ヵ月前後かかるでしょう。
- ドラマ仕立てのブランディング動画は、撮影期間3日以上、完成までも3ヵ月以上とスカウト動画の中では長期の制作期間が必要になります。
スカウト動画の他社事例
最後に、実際にスカウト動画を採用活動に活用している企業をご紹介します。スカウト動画制作についてのリアルな声をぜひ参考にしてください。
東京鐵鋼株式会社
2013年に経済産業省から「グローバルニッチトップ企業100選」に選定された東京鐵鋼株式会社では、学生が動画で情報収集することや、記事の文字をあまり読まないという話から、スカウト動画の制作を始めました。
一般的に馴染みのない自社製品を多く扱っているため、製品がどのように作られて何に使われているかなど、画像ではわかりにくい情報を伝えるためにスカウト動画を効果的に取り入れています。動画は何度も見返すことができるという機能から、学生にとっても企業への理解を深めるための重要なツールといえるでしょう。
JCOM株式会社
テレビ放送や通信サービス事業を展開するJCOM株式会社では、学生の間でYouTubeやTikTokといったショート動画が人気であることに注目し、採用活動に動画を積極的に取り入れています。
テキストだけでは伝わらない会社の雰囲気を求職者に届けるために、スカウト動画を役立てています。実際の説明会や面接でも「動画を観た」という学生の声が多く、動画の効果が応募につながっていると感じているそうです。
まとめ
視覚と聴覚から情報を伝えられる「スカウト動画」は、求職者に企業理念や商材・サービスについてより理解を深めてもらうための重要なツールです。スカウト動画を制作し、有効活用することで、より効率的かつ効果的な採用を目指していきましょう。
また、スカウト動画は作って終わりではなく、配信してきちんと開封して見てもらうところがゴールです。その配信にはとても労力を使います。配信する手間がない、人手不足だから全員一括送信しかできない…といった場合には、スカウト配信代行を検討してみるのもおすすめです。
スカウトメールの配信は、欲しい人材にメッセージがピンポイントで送れるけど、文面の作成やターゲットの抽出作業に時間がかかってしまって大変・・・。 と、マンパワー不足で思うようにスカウトメールを配信できていない…という[…]