自社のホームページや採用サイトで求人情報を掲載しても、そもそも求職者の目に留まらなければ、適した人材の獲得にはつながりません。
そこでおすすめなのが、アグリゲーションサイトです。アグリゲーションサイトのメカニズムを知り、有効活用すれば、自社の集客力がアップし、ニーズにマッチした人材獲得に繋がるでしょう。
本記事では、アグリゲーションサイトの概要やメリット・デメリットを解説します。複数のアグリゲーションサイトにおける料金やシステムも、比較してまとめました。
求人の掲載方法を見直したい方は、ぜひお役立てください。
アグリゲーションサイトとは
アグリゲーションサイトとは、WEB上にある多種多様な情報を特定のトピックに基づいて拾い上げ、1つのサイトに集約したサービスです。
「集合体」や「集団」を意味する「aggregation」に由来し、アグリゲート型サイトとよばれることもあります。
アグリゲーションサイトは、就職や転職にまつわる求人系の他、旅行会社や飲食業の分野など、情報量の多い業界での活用に適しています。
例えば、求人系ならIndeed、旅行関係ならトラベルコなどが有名でしょう。
さらに、アグリゲーションサイトへの掲載は会社の宣伝になるため、集客力アップも期待できるのです。そのため、ユーザーと企業、両方の作業効率化を図れると、注目されています。
アグリゲーションサイトの仕組み
- アグリゲーションサイトでは、「クローリング」という手法を使ってデータを収集するのがメジャーです。
「クローラー」とよばれるコンピュータープログラムが、WEB上を広く巡回しながら情報をピックアップし、アグリゲーションサイト内に集約します。
- 続いて、クローリングで得られたデータをもとに「スクレイピング」をおこなうことで、さらに特定の条件に絞った情報を抽出するのです。
集められた情報は、アグリゲーションサイト内で一定の形式に整えられます。なお、クローリング同様、スクレイピングもコンピュータープログラムによる自動スキルです。
また、求人型アグリゲーションサイトの場合、企業が直接情報を無料で投稿できるサイトもあります。求人情報の掲載方法は、各アグリゲーションサイトの特色といえるでしょう。
アグリゲーションサイトと求人サイトの違い
求人型アグリゲーションサイトと求人サイトには2つの大きな違いがあります。
1.広告費
アグリゲーションサイトは、多くの場合に無料で求人を掲載できるため、広告費を抑えられます。一方、求人サイトの費用は、1つの求人ごとに発生するのが一般的です。
求人情報が職種やエリアごとに細かく分かれている場合には、広告費によるコスト負担が大きくなる傾向があります。
2.求職者から見た情報収集のしやすさ
アグリゲーションサイトは、1つのプラットフォーム上でさまざまなサイトの情報を収集可能です。反対に、一般的な求人サイトの多くでは、個々に掲載されている情報しか閲覧できません。
近年では情報収集をより効率的におこなえるアグリゲーションサイトを利用するユーザーが増えています。
アグリゲーションサイトのメリット・デメリット
求人型アグリゲーションサイトのメリットとデメリットを、企業とユーザーそれぞれの視点で見てみましょう。
企業側が利用するメリット
アグリゲーションサイトを企業側が利用するメリットは以下の2点です。
- 集客力を強化できる
- 広告費を抑えられる
アグリゲーションサイトは、検索エンジン最適化=SEO対策をおこなっています。
また、スクレイピングにより特定のトピックにマッチした情報が押し出されることから、求める人材の関心を引きやすくなるでしょう。
さらに、アグリゲーションサイトでは求人広告を無料掲載できることが多く、広告費削減が実現可能です。
ユーザーのメリット
ユーザーには2点のメリットが考えられます。
- 複数のサイトを回遊し比較する手間が省ける
- 会員登録が必要ない
アグリゲーションサイトにはWEB上のさまざまな求人情報が集約されているため、求職者が情報を探す際、個々の求人サイトを回遊する必要がありません。
また、一定の条件に基づく求人情報が、スクレイピングにより形式の整った状態で表示されることから、希望に合う求人を比較しやくなります。
さらに、アグリゲーションサイトの多くは、ユーザーの会員登録が不要です。求人情報を探し始めるハードルが低いこともメリットといえるでしょう。
企業側で懸念されるデメリット
アグリゲーションサイトに求人広告を掲載するデメリットは2点挙げられます。
- 他の求人情報に埋もれるリスクがある
- 掲載されない可能性がある
アグリゲーションサイトは膨大な数の求人情報を提供しているため、自社の求人が求職者の目に留まらないリスクが考えられます。求人広告を扱う際には、ユーザーニーズを重視し、更新頻度を高めるなどの工夫が重要でしょう。
また、アグリゲーションサイトの基準や条件を満たしていない求人情報は、そもそも掲載されない可能性もあるため注意が必要です。
中途採用で起こりがちな問題の一つに、自社で出した求人に応募が来ないことが挙げられます。新たな人材が確保できないことによる人手不足を解消するには、自社で出した求人に必要数の応募が集まらない原因を正しく把握し、対策を練ることが大切です。 […]
ユーザーのデメリット
ユーザーにとってもデメリットが1点あります。
それは、応募したい求人を見つけた際に、該当する求人サイトに移動する必要があることです。移動した先の応募ページで改めて作業することを、手間に感じるユーザーもいるかもしれません。
求人型アグリゲーションサイト一覧比較
ここからは、求人型アグリゲーションサイトの事例6つにフォーカスして、その特徴を比較します。なお、データは2024年3月時点の情報です。
Indeed | 求人ボックス | スタンバイ | Careerjet | 仁王 | Yahoo!しごとカタログ | |
月間 訪問数 | 2,960万人 | 880万人 | 710万人 | 5.4万人 | 1.5万人 | 990万人 |
求人 掲載数 | 月間追加求人数約520万件 | 1,000万件以上 | 1,000万件以上 | 780万件以上 | 8.6万件以上 | 1,000万件以上 |
掲載 方法 | ・クローリング ・直接投稿 ・ATS |
・クローリング ・直接投稿 ・XMLフィード |
・クローリング ・直接投稿 ・XMLフィード |
・クローリング ・マニュアル掲載 |
・クローリング ・直接投稿 |
・クローリング ・XMLフィード |
無料 掲載 | 〇 | 〇 | 〇*1 | × | 〇 | 〇 |
料金 形態 | クリック課金型 | クリック課金型 | クリック 課金型 |
クリック課金型/掲載課金型 | 掲載課金型 (広告) |
完全成果報酬型 |
費用 | クリック単価 設定不可 (相場70~700円) |
クリック単価 25円~1,000円 (相場25~500円) |
クリック単価 20円~ (相場100~500円) |
クリック単価 500円~ (相場不明) マニュアル掲載 15,000円/30日間 |
掲載料金 要問合せ |
企業マッチング50万円/採用者1名 |
特徴 | 検索結果で上位表示されやすい | 企業・求職者両社にとって使い勝手がよい | Yahoo! Japan利用者にアプローチできる | 外国語での求人掲載が可能 | 求人掲載は基本無料 | 人材発掘を効率化できる |
※月間訪問者数はsimilarwebより算出
*1:無料掲載のみでの利用は不可
それぞれのサイトの概要を解説します。
Indeed(インディード)
世界有数の求人検索エンジンである「Indeed」は、メディア露出も多く、日本でも圧倒的なユーザー人気を誇ります。
SEO対策に長けており、検索結果で上位表示されやすいのが魅力です。利用した企業は、集客力のアップが期待できるでしょう。
求人ボックス
「求人ボックス」は、価格.comや食べログなどをマネジメントする株式会社カカクコム運営の求人検索エンジンです。
同一会社の全求人情報を1ページに集約する「採用情報ページ」機能など、企業と求職者の使いやすさを考慮した工夫が充実しています。
スタンバイ
「スタンバイ」は、ビズリーチを運営しているビジョナル株式会社とLINEヤフー株式会社がおこなう事業です。
Yahoo! Japanの検索画面にも表示されることから、新たな求職者にアプローチしやすいのが特徴です。なお、現在無料掲載のみでの利用はおこなっていません。
Careerjet(キャリアジェット)
「Careerjet」は、日々5.8万以上のWEBサイトをクローリングすることで、豊富な情報を獲得しています。
90ヵ国以上、28の言語で展開されているため、外国人を対象とした求人を掲載できるのが強みです。利用の際は課金が必要になります。
仁王(ニオウ)
SBヒューマンキャピタル株式会社運営の「仁王」のモットーは、求職者のニーズをくみ取り、ユーザーが素早く天職を見つけられるようサポートすることです。
求人掲載は基本的に無料で、その他に有料で広告を表示できる「仁王ads」があります。
Yahoo!しごとカタログ
「Yahoo!しごとカタログ」は、口コミやQ&Aコーナーなど、社員のリアルな声を知れると人気です。
Yahoo!ユーザーを中心とした集客力の高さに加え、「企業マッチング」サービスにより、人材発掘の効率化に期待できます。
アグリゲーションサイトのSEO対策と活用方法
さいごに、アグリゲーションサイトのSEO対策と効果的な活用方法についてまとめました。
【SEO対策】検索流入数を意識したキーワード選定
アグリゲーションサイトを経由した自社サイトへの訪問数「検索流入数」を意識して、求人ページなどで使用するキーワードを選定しましょう。
アグリゲーションサイトでは、掲載データ内で使用されるキーワードとユーザーニーズをマッチさせて、集客をおこないます。
例えば「業種名・転職・エリア名」「業種名・エリア名・正社員」など、さまざまなキーワードの組み合わせから、検索上位を狙う必要があるのです。
予算を考慮したサービスの使い分け
アグリゲーションサイトによってその特徴は異なります。そのため、自社の求人を上手く運用できるサイトを見極めることが有効活用への一歩です。
また、自社の求人情報を無料掲載することに加え、有料掲載を検討してみるのもよいでしょう。
クリック課金の単価をいくらに設定するかなど、戦略を練ることで、アグリゲーションサイトをより効果的に活用できます。
「採用サイトでのSEO対策って、どこまでやればいいの?」 「そもそもSEO対策って何?」 と、お困りの採用担当者は多いのではないでしょうか。 どんなに見た目が素晴らしい採用サイトを作ったとしても、SEOの基本を[…]
まとめ
求人情報の掲載を見直したい方は、まず自社に合うアグリゲーションサイトを見つけましょう。サイト活用の際は、ぜひSEO対策や課金制度の戦略にも注力してみてください。
アグリゲーションサイトを効果的に活用し、求める人材の獲得と自社の認知度アップにつなげてみませんか?
年々採用が難しくなってきている中で、求人媒体は多様化しています。そこで、「何か導入しないと...と検討しているが、結局どの媒体を使うのが最も効果的なの?」「自社で設けている予算に合った採用手法は?」など人事の悩みは絶えないでしょう。 […]