採用業務は、人材の採用や育成によって、会社を維持・成長させていくために欠かせない業務の1つです。
昨今では、採用方法の多様化や労働人口の減少などを理由に、採用担当者の負担が増えています。こうした状況下で、自社に合った人材の確保を成功させるには、採用業務のフローや必要なスキルの再確認、フローの効率化などが必要です。
そこでこの記事では、採用業務のフローや採用担当者に必要なスキル、採用業務を効率化する手法やツールまで徹底解説していきます。
採用業務に関して課題がある、採用業務を効率化させたい、という方はぜひ参考にしてください。
採用業務とは
採用業務とは、自社に合った新たな人材を雇用するために行う業務のことです。採用される人材によって会社の将来が左右されるため、採用業務は企業にとって重要な業務の1つと言えるでしょう。
また、どの部署に、どのような人材を、どれくらいの人数が必要なのかを把握した上で業務を進める必要があります。
採用業務のフロー
ここでは、採用業務のフローについて紹介していきます。
採用計画の立案
まずは、どのように採用を進めていくか、事業計画や経営方針をもとに採用計画を立てましょう。
内容としては、採用する人数や採用する時期、採用した人材を配置する部署などです。
そのような事態となれば、会社全体へ影響が及ぶため、採用計画の立案は欠かせない採用業務の1つと言えます。
採用戦略の決定
採用計画を立てたら、その計画をどのように実行していくのか採用戦略を立てましょう。
採用戦略を立てる上で大切なのが、会社が抱えている課題や事業計画をもとに、自社が必要としている人材を明確にすることです。
自社が求めるペルソナを明らかにしてから採用活動を進めることで、採用のミスマッチや早期退職を防ぐことにも繋がります。
また、市場や競合他社の情報を踏まえた上で、他社との差別化を図りながら自社の魅力をアピールできる募集方法や面接方法などを探ることも、採用戦略を決定する上で重要なポイントです。
母集団形成の確保
母集団とは、自社に興味を持って応募してくれる求職者の集団のことです。少子高齢化による労働人口の減少や採用におけるミスマッチの増加などの要因から、母集団形成は欠かせない採用業務の1つとなっています。
母集団形成の主な方法は、求人サイトやSNS、企業説明会、セミナーなどです。母集団を形成することで、採用活動の進捗を把握しやすくなり、計画的に採用活動が進められるでしょう。
評価基準の設定
選考を開始する前に、適切な評価基準の設定を行いましょう。応募者を評価する基準がない、またはあいまいであると、面接官によって評価にズレが生じ、合否を出すまでに時間がかかってしまいます。
評価基準を設定する際は、面接官や採用担当者に関係なく評価できるよう、客観性を重視して項目を決めるのがおすすめです。
また、経験やスキルについては、数値化すると評価しやすいでしょう。
書類選考、適性検査、採用面接のように、企業が行う採用活動は多岐にわたります。 多大な時間や労力をかけておこなう採用活動では、雇用後のミスマッチや早期退職といったトラブルは避けたいものです。採用活動を始める前に、自社の採用基準を設定する[…]
採用選考の実施
採用選考には、面談・面接、実技試験・筆記試験、適性検査などの方法があります。
採用選考のプロセスは、自社に合った応募者の見極めはもちろん、自社の魅力をアピールして応募者の入社意欲を高められる絶好の機会です。
内定~入社までの内定者フォロー
無事に採用できたとしても、内定辞退の恐れがあるため、安心しきってはいけません。内定から入社までの間で内定者フォローを行い、内定辞退の防止やポジティブな状態での入社を実現しましょう。
具体的には、内定式や内定者研修の実施、内定者同士でコミュニケーションを取れる場の設置、定期的な連絡などが挙げられます。
入社手続き
ここまできたらいよいよ入社です。入社後に困らないように、いつくかの手続きや準備をしておく必要があります。
雇用形態によって異なりますが、税金関係の手続きや「法定三帳簿」の作成などに加え、備品の準備なども入社前に済ませておきましょう。
採用に必要なスキル
ここでは、採用業務を行う担当者にとって必要なスキルを紹介していきます。
コミュニケーションスキル
採用担当者は面接において、応募者の情報や本音、価値観などを引き出しつつ、自社の情報も伝え、信頼関係を構築することが求められます。
採用担当者は自社の代表として求職者と関わるため、誠実で相手を肯定・尊重でき、傾聴力やコミュニケーションスキルが備わっていることが必要です。
調整・交渉スキル
多くの人が関わる採用業務では、日程の調整や他部署との交渉などが日々発生します。
そのため、業務を円滑に進められるように、物事を調整・交渉できる力が求められます。
人材見極めのスキル
面接を担当する人にとって欠かせないのが、人材を見極めるスキルです。
決めつけや思い込み、先入観などを排除し、「自社にマッチする人材かどうか」「自社で活躍できる人材かどうか」を見極めます。
採用業務の繁忙期は何月か
- 新卒採用は、3月に広報活動、6月に選考活動、10月に内定出しといったスケジュールで動きます。
そのため、新卒採用における採用業務の繁忙期は、3〜10月と言えるでしょう。10月以降は業務が落ち着き、内定者フォローなどを行います。
- 中途採用は、欠員補充や事業拡大に伴う増員が目的で実施されるため、特に決まった繁忙期はありません。
そのため、「転職活動が盛んな時期」が中途採用の繁忙期と考えられるでしょう。
- 転職活動が盛んな時期は、4月から新しい環境でスタートできるよう転職活動を始める1〜2月
- 夏のボーナスを受け取ってから転職活動を始める6〜7月
- 下期から新しい環境でスタートできるよう転職活動を始める9〜10月
とされています。
採用業務における課題
多くの企業で抱えている採用業務の課題について見ていきましょう。
採用手法の多様化が招く採用担当者の負担増加
かつての採用は、求人広告を掲載し、それを見た求職者と面接をして採用という流れが一般的で、採用者を見極めることに多くの時間を費やしてきました。
しかし昨今では、SNSや採用サイト、リファラル採用、アルムナイ採用など様々な採用手法があり、「採用者の選定」よりも「戦略が必要なマーケティング要素の強い活動」になりつつあるのです。
人手不足による採用業務の非効率化
人手不足によって、採用担当者が採用業務と他の業務を兼任している会社もあるでしょう。
そのような場合、どちらもが疎かになり、採用活動がうまく進められなくなるような事態が予想できます。
採用業務は幅広く多岐に渡るため、採用を始める前に人手不足や業務の分担における見直しが必要でしょう。
人材の見極めが困難
採用業務で最も重要なのが、人材の見極めです。人材の見極めがうまくいかないと、ミスマッチが起こり早期退職にも繋がります。
人材の見極めが困難な場合は、採用基準を見直して、できるだけ客観的な視点で評価することが大切です。
採用業務を効率化させる重要性
採用業務を少ない工程で行うことで、人材の選定に時間をかけることができ、入社後のミスマッチや早期退職を防ぐことにも繋がります。
また、採用担当者の負担の軽減や採用コストの削減にも効果的です。
採用業務を効率化する5つの方法
ここでは、採用業務を効率化するための手法を5つ紹介していきます。
採用フローの見直し
採用業務の効率化には、採用フローの見直しが効果的です。
採用フローの中で、工数や時間がかかっていたり、極端に人員が取られていたりする部分を洗い出し、本当に必要な工程かどうかチェックして見ましょう。
不要な工程が減らせれば、それだけ早く内定が出せたり、採用担当者の負担を軽減できたりします。
採用管理システムの導入
幅広く多岐にわたる採用業務を全て手作業で行っていると手間や時間がかかり、非効率なケースもあります。そのような場合は、採用管理システムの導入を検討してみましょう。
採用管理システム(ATS)とは、候補者情報の管理や面接日程の調整、選考結果の通知など、採用業務を同一システム上で行えるツールのことです。
利用するには予算が必要ですが、採用管理システムによって人員や時間が削減できることで、効率的に採用活動が進められるでしょう。
採用代行の利用
採用代行とは、会社に変わって採用業務を行ってくれるサービスのことです。一部の業務を代行することで、採用に直接関わる重要な工程に時間を割くことができ、ミスマッチによる内定辞退や早期退職などを防げるでしょう。
また、経験豊富なプロによる採用業務を間近で見られることは、将来的に役立つ新たな知識やノウハウを吸収するチャンスでもあります。
このようなお悩みをお持ちの方におすすめの記事です。 採用活動がうまくいっていない 採用業務を外注に依頼したい 採用アウトソーシングを導入したいが費用相場がわからない 本記事では、「採用代行(RPO)・採用アウトソ[…]
人材紹介サービスの利用
人材紹介サービスは、自社が求める人材により近い人材を紹介してくれるため、工数をかけずとも自社にマッチした人材を確保できます。
また、人材の紹介だけでなく、求人情報の作成や面接日の調整、内定者フォローなどのサポートも依頼できるため、効率的な採用活動が叶うでしょう。
会社全体で採用への理解を高める
競合他社との競争が激化している昨今の採用市場では、スピードが求められます。
候補者への連絡が遅くなれば、他社に流れていってしまうことも考えられるため、ある程度スピード感を持って採用を進めることが大切です。
社内業務は後回しにされがちですが、「なぜ今でなくてはならないのか」「なぜスピード感が大事なのか」などの理解を会社全体で持って採用業務に関わることが必要です。
採用業務の効率化に役立つ自動化システム&ツール
ここでは、採用業務の効率化に役立つ自動化システムやツールを紹介していきます。
キャリアマートの採用ロボット(RPA)
株式会社キャリアマートのRPAは、20年間で19,000社以上を支援してきた実績があるサービスです。
約600体の採用ロボットが休みなく働き、品質・スピードの向上とコストの削減を目指し、日々稼働しています。
対応可能な作業項目は、自社のターゲット層の自動振り分け、説明会・面接予約者リストの提出、新規エントリー者のお知らせなどです。
採用一括かんりくん
HRクラウド株式会社が運営する「採用一括かんりくん」は、導入社数800社以上を誇る採用管理システムです。応募者の一元管理や進捗確認業務の自動化などによって、業務の工数が大幅に削減できます。
また、求職者とLINEを使ったやり取りができるため、従来のメールよりも確認や返信をしてもらいやすくなるでしょう。さらに、月額2万円からという利用金額も魅力の1つです。
設定や運用に関して不明点があればカスタマーサクセスが対応してくれるので、安心して利用できます。
HRMOS(ハーモス)採用
株式会社ビズリーチが運営するHRMOS採用は、採用業務の効率化から分析・改善までを実現する採用管理システムです。
日程調整やレポート作成などの業務効率化につながる機能や、採用活動の進捗やコストなどを分析する機能などを有しています。また、ビズリーチやマイナビ転職などの求人媒体とも連携しています。
会社ごとに専属の担当者がつき、導入から活用までサポートしたり、採用活動の傾向から導き出した課題に対する解決策の発見を支援したりするので、不明点があっても安心です。
株式会社ネオキャリアの採用代行サービス
株式会社ネオキャリアの採用代行サービスは、累計10,000社以上の導入実績があります。
サービス内容は、説明会代行や面接業務代行、電話・メール対応などで、自社の状況に合わせ、予算や費用対効果を考慮しながら、あらゆる業務の代行を依頼可能です。
株式会社マイナビの採用代行サービス
株式会社マイナビの採用代行サービスは、採用担当者との密なコミュニケーションによって信頼関係を構築し、円滑な求職活動への寄与を行っています。
採用戦略・計画の立案から、採用プロセスの設計、応募者管理、面接代行まで幅広く業務を依頼することが可能です。
まとめ
採用業務は自社の将来を左右する重要な業務の1つです。やるべき業務は多岐に渡る上に、様々なスキルを求められる担当者は多忙を極めることも多いでしょう。
しかし、円滑で効率的、スピード感のある採用業務は、競合他社との競争に勝ち、自社にマッチした人材を確保して将来的な会社の発展に役立ちます。
採用フローの見直しや採用管理システム・採用代行システム・RPAの利用などで、効率的な採用業務の実施を目指しましょう。
「人手が足りない…」「もっと業務の効率化ができないだろうか…」そんな企業必見!外部に委託することで自社の業務を効率化できるBPOを取り入れてみませんか? 本記事では、 多くの企業が課題と感じている「人材不足」から脱却するためのサービス[…]