新卒採用も中途採用も、これからの世代に合わせて採用手法を変えていく必要があり、これから就職・転職活動を行うのは「Z世代」と呼ばれる若者たちです。
インターネットなどを巧みに使うデジタルネイティブ世代であり、またソーシャルネイティブ世代でもあることから、採用にはデジタルコンテンツの活用が欠かせません。
今回はそんな「Z世代の採用トレンドについて」紹介します。
そもそも、Z世代とは?
Z世代とは主に1996年以降生まれのこと指し、1981年~1995年生まれのY世代、いわゆるミレニアル世代に次ぐ世代です。
このZ世代という表現は、2025年の未来の私たちの働き方や生活を、多角的な要素から紐解いた著書、『ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』(プレジデント社、2012)の中で出てきたものです。
Generation Y(Y 世代) = 1980年代~95年ごろに生まれた世代
Generation Z(Z 世代) = 1995年以降に生まれた世代
Z世代とミレニアル世代(Y世代)との違い
ミレニアル世代(Y世代)は、1981年~1995年の間に生まれた世代のことを指し、デジタル技術・インターネットの発展と共に成長してきた世代です。1995年のWindows95発売はインターネットが大きく普及する転機となりました。ミレニアル世代は、幼少よりデジタルデバイスに親しむ環境にあり、他の世代と比較すると嗜好や価値観が大きく異なる点が特徴です。
Y世代と一括りにいっても80年代と90年代生まれでは多少の差があります。80年代生まれの学生時代の連絡手段はPHSや携帯メールでのやりとりが主流で、90年代生まれの学生時代はちょうどスマホが普及し始めたころになります。
一方Z世代は、いわゆるガラケーというものを触ったことがない世代であり、主なやりとりツールはSNSです。個別のやりとりでさえもSNSのDMを通して連絡を取り合ったりするのが当たり前の世代となっています。
Z世代の特徴
ミレニアル世代(Y世代)をデジタルパイオニアと呼ぶとしたら、Z世代は、生まれたときからインターネットが利用できる環境で育った真のデジタルネイティブ世代でもあります。音楽や動画などを大量消費し、インターネットやSNSを使いこなし、リアルタイムで人とコミュニケーションをとることに長けており、ミレニアル世代(Y世代)よりもはるかにデジタルツールを使いこなし、独自の文化を作り上げている点が大きな特徴です。
Z世代の消費行動や思考は、常にデジタルと共存しています。
- インターネットを駆使した情報収集力が極めて高く、仲間・オーディエンス集めも得意
- インフルエンサーが多い
- インターネット、SNSを利用してリアルタイムで人とコミュニケーションをとることに慣れている
- 9.11や大型台風、大洪水やコロナを経験しているため社会課題への意識が高い
- 音楽や動画を大量に消費する
- ネットいじめ、社会問題への関心も強い
SNSやインターネットメディアを通じて自己表現をしているZ世代は、お気に入りのタレント、アパレルブランド、行きつけの飲食店や美容院などと、SNSやメディアを通じて情報交換を行い、実店舗でのリアル体験と掛け合わせで消費行動をとる傾向が強いです。
画像引用:join the dots
また、子供のころからSNSを通して世界中の様々な情報を得ることが多く、国境を越えて様々な価値観に触れることで、グローバル意識や社会問題への意識も高く、Z世代は、ミレニアル世代よりも社会問題について、友人や仲間と意見交換をすることが多いと言われています。
多様性と個性を尊重する価値観を持ち、性別や人種などあらゆる不平等さに敏感で、プライバシーを守る意識も高いのが特徴です。
そして、親世代が就職氷河期やリーマンショック、リストラなど不況下で働くのを見てきたため、就職にあたっては低リスクで安定を求める傾向があります。
Z世代の4つのタイプ
Z世代には大きく分けて4つのタイプがあります。
参照:Z世代=「若者」とひと括りにしていませんか? 4タイプの特性とソーシャル利用を解説
人生ガチ勢
このタイプは、人生を楽観的にとらえる前向きな若者が多く、リーダー気質を持ち、交友関係を大事にする人に多く見られるタイプです。しかしながら、伝統的な仕事観や、上下関係を重視するなどの保守的な面も持ち合わせている傾向があります。
省エネペシミスト
このタイプは⼈づきあいが苦⼿で、努⼒などが必要なことはやりたくない、⽬⽴ちたくない、などがんばりたくない若者が多く、無駄なものは持たないなどミニマリストの傾向も強い。⾃分⾃⾝を真⾯⽬な性格だと考えているが、声をあげても世の中は変わらない、努⼒しても報われないことが多い、など⼈⽣を悲観的に捉えており、この点では「人生ガチ勢」と対照的なタイプになります。
ソーシャルよいこ
新しいものが大好きで、トレンドに敏感なSNSの使い⽅が極めて特徴的な若者に多いタイプで、他⼈の⽬を気にして悪目立ちを嫌う傾向があります。
様子見フォロワー
大きな特徴の見出しにくいタイプで男性に多い傾向があり、他のタイプと比較して、価値観のばらつきが多いことが特徴です。また、自己主張せず、空気を読むことが多いのもこのタイプに多い傾向があります。
Z世代の就転職活動の手法
デジタルネイティブであり、常に大量のデジタルコンテンツを消費するZ世代の就職・転職活動は、常にデジタルとともにあるといってよいでしょう。
情報取集ツールは?
Z世代の主な情報収集は、主にインターネットを通じて行われます。企業の採用ホームページはもちろん、ネット上の口コミなどもチェックしていることが多いです。
また、SNSの活用に長けているZ世代は、目的別にツールを使い分けている傾向があります。たとえば、友人との連絡は「LINE」、情報収集には「Twitter」といった具合です。就職活動においては、Twitterをリアルタイムの情報収集用として使用している人も多く、「インターン」や「エントリーシート 締め切り」など、欲しい情報をタグで絞り込んでピンポイントで検索する方法などを駆使しています。
Twitterに限らず、タグ検索できるサービスは多岐にわたります。企業公式アカウントを運用している場合は、タグを設定するなど必要な情報に辿り着きやすい工夫をすると、就活生の目に触れる機会を増やせます。
人事との連絡手段はスマホで
「マイナビ大学生のライフスタイル調査」によると、スマートフォンの保有率は99.7%です。就職活動でスマートフォンがどのような場面で活躍すると思うか、の回答として「企業セミナーの予約、確認」や「企業からのメッセージの確認」などが上位にランクインしました。
2011年にLINEが登場し、メールよりLINEで連絡をとる若者が増えている状況からも、就職活動もスマホで手軽に行える方法が好まれる傾向があります。説明会応募者とLINEアカウントを交換して、その後の選考日程などはLINEで連絡をするという企業もあるようです。就活生としては人事との距離感が近くなり、人事としては、メッセージの開封・返信率が高くなるといったメリットがあります。
「読むより観る」方がイメージが湧く
日頃から動画に親しんでいるZ世代は、情報収集にYouTubeを活用する人が増えています。同じ企業紹介でも、文字の羅列より映像で見る方がよりリアルな情報を得られるためです。
また、企業側のメリットとしては、採用動画を作成しYouTubeにアップすることで、自社の主張や魅力が伝わりやすく、SNSなどで拡散すれば就活生の目に触れる機会を増やすことができます。
Z世代の理想的な働き方ランキング
Z世代は自分たちの正しい価値観によって行動するため、会社や組織にも正しさを求めます。
かつては会社のいう事は絶対といった風潮の時代もありましたが、これからはその常識は通用しないため、Z世代が信用できると感じられるような環境を作ることが重要です。
Z世代はミレニアム世代(Y世代)よりも勤務エリアを重視
オープンワークが実施したアンケート結果によると、Z世代はミレニアム世代(Y世代)に比べ、転職活動する際に「勤務地」を重視することが明らかになりました。
他世代と比べてZ世代の多くが重視していることは勤務地の他に、「収入が安定している」「福利厚生などの待遇がよい」が会社を選ぶときの条件として挙げられています。
出典:プレスリリースOpenWork Z世代&ミレニアル世代の転職活動に関する意識調査
他にも
- 社会貢献をやりがいに感じる
- 仕事に対して堅実な傾向
- オープンなコミュニケーションを求める
- プライバシーを重視
- 平等性・合理性を求める
などの理想的な働き方を持っていることも知る必要があるでしょう。
Z世代の採用トレンドは?
デジタルコンテンツに対して感度の高いZ世代には、どのような採用方法やツールが有効なのでしょうか。Z世代向け採用のトレンドを4つ紹介します。
就職サイト(マイナビ)
やはり「就活と言えば就職サイト」というように、Z世代においてもその利用者数は圧倒的です。しかしながら、どの就職サイトでも良いというわけではありません。
利用すべきは「マイナビ」です。HR総研の「2022年卒学生の就職活動動向調査」の結果を見ればわかる通り、就活の全期間において利用率No.1はマイナビでした。
2023年卒学生の学生登録者数(3月オープン時※キャリアマート調べ)を見ても、
- マイナビ:619,918名
- リクナビ:487,246名
と、マイナビの方が圧倒的に利用者が多く、その分自社を見つけてもらえるチャンスの数も増えるというわけです。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとはその名の通り、自社に合う人材を見つけたら直接アプローチをかけられる採用方法です。
SNSを使いこなすZ世代は、InstagramやTwitterなどで自己アピールすることを好みます。
SNSや人材バンクなどで掲載されている経歴やスキルが自社の求める人材とマッチする場合は、積極的にアプローチをかけましょう。
求人サイトや人材紹介のエージェントなどを利用しても「応募は集まるけど企業に適した人材がみつからない…」という人事の方も少なくないはず。 そこでおすすめしたいのが、企業が自社にマッチした人材を直接スカウトできるダイレクトリクルーティング[…]
SNS(採用オウンドメディア)
採用オウンドメディアは、企業が自分で運営・管理する採用用のメディアです。たとえば、社員の声や社内の写真を掲載することで、企業の雰囲気を伝えることができるため、入社後のイメージがしやすいでしょう。
AIチャットボット
AIチャットボットを使用すれば、質問に対して自動でメッセージを返信できます。
就活生は企業の受付時間を気にせず質問のメッセージ送ることができ、即座に回答を得ることができます。人事側は採用業務に関係する工数を削減でき、質問内容をログとして保存・蓄積することで、就活生のニーズを分析し今後の採用活動に活かせます。
近年、企業などで続々と導入されているAI型チャットボットというコミュニケーションツールをご存知でしょうか。 利用者側が電話やメールなどを利用せずとも簡単に知りたい情報を得ることができるものです。そんなAI型チャットボットは採用シーンに[…]
Web説明会・セミナー・Web選考
新卒採用の場合、Web説明会やセミナーが開催は、遠方の学生も参加がしやすく、会場の収容人数を気にする必要がないため、多くの就活生に企業の魅力を伝えることができます。
中途採用においても、すでに学生時代にオンライン授業を受けていたため、WEBでの選考にまったく抵抗のない世代となります。
また、チャットや音声をオンにして双方から発言できるツールを使用すれば、参加者とリアルタイムでやりとりが可能です。
Z世代に適した採用手法を取り入れよう!
ミレニアル世代よりも社会問題に関心が強く、全世界の多様な人種を受け入れ交流をしていくZ世代に対して、どのような採用戦略を取り入れていくべきでしょうか?採用担当者が意識したいポイントを3つまとめました。
複数のSNS・Webメディアを網羅的に使いZ世代との接点を持つ
Z世代は、ミレニアル世代よりもインターネットを使いこなし、日常的に自分に関する情報をSNSにアップデートしていく傾向があります。ミレニアル世代では「みんなmixiを使っている」「Facebookを使う人が大半」と、使用するSNSがある程度限定されていました。
しかしZ世代は複数のSNSを網羅的に使い、かつ個人アカウント、裏アカウント、仲の良い人のみアカウントなど複数アカウントを使い分ける傾向があります。
そのため、採用アカウントを1つのSNS限定で運用するのではなく、さまざまなSNS・メディアに複数網を張り、情報発信していく必要があるでしょう。
ネットいじめ・社会問題などテーマを儲けて議論できる場をつくる
Z世代は、インターネットを通して世界中の情報をリアルタイムで仕入れるとともに、さまざまなテーマに対して仲間内で議論を交わすことに慣れている世代です。
オンラインのZoomイベントや、Instagramのインスタライブなどを利用して、リアルタイムでディスカッションする場を取り入れてみてはいかがでしょうか。
採用担当者と直接議論の場を提供することで、Z世代の関心を惹きつけることができるでしょう。
動画コンテンツの活用
Z世代は音楽のサブスクサービスやYoutube・TikTok動画の大量消費に慣れた世代です。ビジネス書をタブレットで読むのではなく、ビジネス書を翻訳した動画を5倍速10倍速で流し見することが多いのです。
従来の採用コンテンツはテキストベースがほとんどのため、Z世代にとってはやや受け入れづらい可能性があります。
採用情報を動画に置き換え、発信することで、今まで獲得できていなかったZ世代の母集団形成をしていきましょう。
採用動画の魅力は企業の情報の伝えやすさです。伝えたい情報を明確に届けられるだけでなく、企業のブランド力向上にも繋がります。 学生の記憶に残す内容にするにはどのような構成にするべきか。効果的に活用するため、実際に作成した動画はどこで使用[…]
新入社員のために企業側がすべきこと
彼らが活躍しやすい雰囲気を作るためには、
理にかなったことを理想とするまじめな世代であり、堅実な考え方も持っているため、決して上の世代に遠い存在ではないはずです。理解して仲間意識をもって接することで良好な関係を築くことができ、これからの新入社員にとっても、この会社で働きたいという意識が強まります。
また、一対一のメンターをつけることで、コミュニケーションを取りやすくなるでしょう。メンター制度を取り入れることで、X世代、Y世代(ミレニアル世代)、Z世代それぞれが互いに価値観の違いに気付き、認め合えるようになるはずです。
情報過多の世界に生きているZ世代にとっては、適切なタイミングで必要な情報を伝えていくことが必要になるため、フィードバックを行うことも欠かせません。
まとめ
Z世代はミレニアル世代と同一視されがちですが、全く異なる価値観を持った新しい世代です。
これまでとは異なる価値観を持ったZ世代の入社後のミスマッチや世代間のトラブルを防ぐためにも、Z世代について深く知っておくことが大切となります。
また、Z世代はこれからますます存在感を増していくのは間違ないため、これから台頭してくるZ世代を受けいれるだけの環境を、企業は早い段階から構築していく必要があるでしょう。
デジタルネイティブとなるZ世代の採用には、SNSやYouTube動画などをいかに活用できるかがポイントになってきます。AIチャットボットなど新しい採用ツールもZ世代が相手であれば受け入れてもらいやすいため、採用業務の見直しにもよい機会となるでしょう。ぜひデジタルコンテンツを活用して、新卒採用を成功させましょう!
「学生に日程調整や確認事項の連絡を取りたいのに電話に出ない…」と感じている人事様も少なくないと思います。 そんな方は今回必見!! いま、就職活動中にも関わらず、企業からの電話に出ない学生が急増中です。 「電話が嫌い、恥ずか[…]