学生が自社の業界に対してどのようなイメージを持っているのか気になる方も多いのではないでしょうか。ターゲット学生を確保するためにも、学生からの見られ方を事前に把握し、魅力的な訴求につなげていきましょう。
そこでこの記事では、学生が企業選びで重視するポイントや業界のイメージ、活用ポイントを紹介します。
学生が業界・企業選びで重視するポイント
新卒採用において、自社の業界が学生からどのようなイメージを持たれているかを把握することは大切です。そこで、学生の志向や業界・企業選びで、どのような点を重視しているのか確認しましょう。
画像引用:マイナビ
上記のデータには学生が企業を選ぶときのポイントが載っており、さまざまなポイントの中でも特に「安定している会社」や「自分のやりたい仕事ができる会社」を重視している傾向が見て取れます。
業界選びという点では、上記のポイントに当てはまるものを多く持っている業界・企業に魅力を感じやすくなるといえるでしょう。
安定・安心、福利厚生、成長環境を求める傾向に
Z世代と呼ばれる今の就活生は、志望企業を選ぶ際に以下のポイントを求める傾向にあることがわかっています。
- 安定・安心
- 福利厚生
- 成長環境
それぞれ見ていきましょう。
安定・安心
上記のマイナビが行った大学生の実態に関する調査では、企業に対して安定性を感じるポイントの上位に、「安定して働ける環境」「福利厚生の充実」「業界大手」が挙げられています。
「安心して働ける環境」といっても抽象的ですが、下記のグラフを見ることで訴求すべきポイントが見えてきます。
画像引用:マイナビ
上記のデータを見ると、社風の相性や福利厚生の充実度、社員同士の仲の良さから「安定・安心」を感じる傾向にあり、上記のポイントの中から自社が持ち合わせている点をアピールすることで学生をうまく惹きつけられるでしょう。
福利厚生
また、学生が企業選びの際に、福利厚生も重要視されるポイントになります。
上記のグラフから見て取れるように、福利厚生の充実度によって志望度が変わると答えた人は、文系で92%、理系で93%という結果になっています。
福利厚生といっても様々あるなかで、学生から重視されているものが以下のデータになります。
画像引用:マイナビ
- 土日以外の休暇制度
- 子育て支援制度
- 住宅手当
- 資格取得などの自己啓発補助
福利厚生といってもさまざまある中で、上記の4つは10%を超えており、志望度に大きく影響すると言えます。
成長環境
安定や福利厚生とともに、成長環境も学生が強く求めるものの一つです。
企業選びにおいて自分が成長できる環境かどうかを重視すると答えた人は、文系で73%、理系で79%と多くの学生が成長できる環境を求めていることがわかります。
画像引用:マイナビ
上記のデータから成長できる環境といっても、研修・資格取得支援制度が整っているか、スキルが身に付くか、挑戦的な社風かといった点を指していると考えられます。
このように、成長環境を希望する学生の中にも、しっかりとサポートしてくれる環境を望んでいることが伺えます。
インターンシップに応募したことのある業界ベスト5
インターンシップへの応募が多かった人気業界トップ5が、こちらです。
- 食品・農林・水産業界 26.3%
- ソフトウエア・情報処理・ネット関連業界 24.8%
- 銀行・証券業界 19.4%
- 住宅・インテリア 16.3%
- 繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック業界 14.8%
食品業界やネット関連業界を含むIT業界、金融業界の人気は依然として根強く、例年通りインターンシップへの応募も多い傾向にあります。
また、繊維やガラス、セラミックなどの素材系業界も毎年インターンシップへの応募が多い傾向にあり、プラスイメージを持つ学生が多いようです。
就職先として検討したことのある業界ベスト5
就職先として検討した学生が多かった、人気業界トップ5を紹介します。
- 食品・農林・水産業界 28.8%
- ソフトウエア・情報処理・ネット関連業界 27.7%
- 官公庁・公社・団体業界 20.0%
- 銀行・証券業界 19.5%
- 繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック業界 18.4%
就職先トップ5にランクインしている業界は、インターンシップに応募したことのある業界とほぼ変わらないことがわかりました。
この結果から、インターンシップ時に参加した業界を就職先として意識する学生が多いことが、見て取れます。
また上記トップ5に、インターンシップに応募したことのある業界で22位だった官公庁・公社・団体業界がランクインし、インターンシップに応募したことのある業界で4位だった住宅・インテリア業界は13位に順位を落としていました。
住宅・インテリア業界については、インターンシップに参加したが、志望度が下がった学生が比較的多かったと考えられます。
就職先として考えたときにイメージの変わった業界
就職先として真剣に考えたときに、業界へのイメージが変わる学生も多くいます。
そこで、就職先として考えたときにイメージアップした業界とイメージダウンしてしまった業界について、それぞれ紹介していきます。
イメージアップした業界ベスト5
就職先として考えたときに、イメージアップした業界のトップ5が以下になります。
- ソフトウエア・情報処理・ネット関連業界 19.0%
- 食品・農林・水産業界 13.3%
- 繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック業界 11.4%
- 電子・電気機器業界 11.2%
- 官公庁・公社・団体業界 11.0%
トップ3内にランクインしているIT・ネット関連業界や食品業界、ゴムやガラスを含む素材業界は、就職先として検討したことのある業界でもトップ5に入っております。
上記にランクインしている業界は、説明会や選考などを通して、新しい発見があったり、良い意味でギャップを感じたりして、業界へのイメージが上がった学生が多いと考えられます。
上記トップ5にランクインしている業界の中で、2つピックアップして詳しく解説していきましょう。
ソフトウエア・情報処理・ネット関連業界
ソフトウエア・情報処理・ネット関連業界で、プラスイメージの中で学生からの評価が高かった項目には、将来性や技術力、人の役に立つといったものが挙げられています。
またイメージアップした理由については、以下のものが多くありました。
- スキルが身に付く
- 成長産業である
- 在宅勤務などの制度の充実
また、「文系でも活躍できる業界だとわかった」という声もあり、「文系でも大丈夫なのか?」といった懸念点をうまく解消できたことも大きな要因となっています。
ただ、仕事自体の魅力や、休日・休暇・労働時間などの労働環境にマイナスイメージを持っている傾向にあり、イメージを払拭するのが課題と言えます。
説明会などでは、仕事内容、職場環境について細かく解説することが重要です。
また、女性が活躍しているイメージが少ない点もマイナスイメージとして挙げられており、活躍している女性のロールモデルを紹介することで、イメージを払拭しやすくなるでしょう。
素材・電子系業界
素材・電子系業界で、プラスイメージの中で評価が高かった項目には、安定性や技術力、社会への貢献性・影響力がありました。
また、イメージアップした理由では、以下のものが多くありました。
- 日常に根ざしていてニーズが常にある
- 社会貢献性が高く、社会情勢に影響されにくい
- 中小企業でも世界を相手にしている企業が多い
このように、安定性や社会貢献性の高さ、影響力をうまくアピールできれば、学生を惹きつけやすくなるでしょう。
こちらも先述のソフトウエア・情報処理・ネット関連業界と同じく、仕事自体の魅力や休日、労働時間などの労働環境にマイナスイメージを持っている傾向にあり、イメージを払拭することが課題として挙げられます。
また、近頃の半導体不足による影響で将来性を危惧する学生もおり、その点についての不安も払拭する必要があるでしょう。
イメージダウンした業界ベスト5
就職先として考えたときに、イメージダウンした業界のトップ5が以下になります。
- 銀行・証券業界 8.6%
- 不動産業界 8.0%
- 人材サービス(派遣・紹介)業界 7.3%
- 生保・損保業界 6.9%
- 住宅・インテリア 6.7%
大きく分けて銀行や保険などの金融業界や、住宅・インテリアを含む不動産業界は、就活生からのイメージが悪くなる傾向にあるといえそうです。
1位の銀行・証券業界は、インターンシップへの応募や就職先として検討した学生が多い業界でした。しかし、いざ就職先として考えたときにイメージダウンしてしまった学生が多くいることがわかりました。
イメージダウンした業界の中で、1位と2位だった不動産業界、人材サービス業界について詳しく見ていきましょう。
不動産業界
不動産業界でマイナスイメージの中で大きかった項目には、仕事の魅力や休日・休暇・労働時間などが挙げられていました。
また、イメージが悪い方向へ変わった理由として挙げられていたものはこちらです。
- ワークライフバランスの確保が難しそう
- 体力が必要であり、人の移り変わりが激しそうと感じた
- 営業業務が多い
悪い方向へ変わった理由からは、営業への抵抗感や労働環境への不安が大きく表れていることが見て取れます。
また、「職場の人間関係」や「明るさ・楽しさ」「女性の活躍」にもマイナスイメージがありました。
したがって、女性のロールモデルの紹介や直接話す機会を設けたり、職場環境改善のために工夫している点を伝えたりするなどして、イメージアップを図ることが他社との差別化にもなるでしょう。
他にも女性採用で成功するポイントや、企業が女性を採用するメリットを知りたい方はこちらの記事を、参考にしてください。
近年では共働きが当たり前になり、多くの女性が社会に出て活躍をしています。 そして多くの企業がその時代の変化に合わせ、積極的な女性採用や管理職への昇進、男女比率を気にするなど、女性にとってより働きやすい社会に変化しつつあります。 […]
人材サービス(派遣・紹介)業界
人材サービス(派遣・紹介)業界でマイナスイメージが大きかった項目には、給与・待遇や休日・労働時間が挙げられていました。
また、イメージが悪い方向へ変わった理由として挙げられていたものはこちらです。
- 給与や待遇が悪いことがわかった
- 仕事内容を理解すればするほど、厳しい環境だと感じた
- 転職サポートの場合、業務時間が遅いことが慢性化していると知った
このように、給与や労働・職場環境に関して悪いイメージを受け、イメージダウンしてしまった学生が多かったと考えられます。
しかし、「人の役に立つ」「人と人とのマッチングに関わる素敵な仕事」といったプラスイメージが強い傾向にありました。
そのため、仕事のやりがいを全面的にアピールしつつ、給与や福利厚生、職場環境について明示していくことで学生をより惹きつけられるようになるでしょう。
福利厚生や職場環境について工夫している点があれば、他社との差別化も図れるのではないでしょうか。
今後の予想
上記の結果からわかる通り、インターンで人気のある業界はそのまま就職先としての人気も集める業界となっていきそうです。
また、学生は世間の噂に流されやすい部分があるので、今後ロボットに仕事を取られてしまうと言われているような業界や、コロナの影響で業界全体が危ないと報道されているような業界は人気度が下がってしまう傾向にあるでしょう。
反対に、IT業界やソフトウェアなど、よくこれから伸びると言われるような業界はさらに伸びることが予想されます。
学生にとって身近に感じるような食品業界などはしばらく人気を保ち続けるのではないでしょうか。
この業界イメージの結果をどう活用するか
この業界イメージの結果をどのように活用していけばいいのかを紹介していきます。
就職サイトの検索軸に活用
上記の業界イメージの結果から、就職サイトの検索軸に活用できます。
媒体では業界の選択が複数選べるようになっており、学生は「1つや2つしか選択していない」なんてことはあまりありません。
学生が企業を検索する際は、エリア・業界・業種は必須項目になるのではないでしょうか。そのときに業界を1つしか選択していなかったら、学生の検索軸に自社が引っかかりにくくなるのです。
人気業界にランクインをしていない業界も同様です。1つでも多くの検索軸を原稿で作成することが重要となります。
こちらの記事で、就職サイトを最大限活用するための細かい設定や確認すべき点を解説しているので、あわせて参考にしてください。
先日、「2024卒採用準備は万全ですか?就職サイトオープンまでにチェックするべき9つのポイント!」というテーマでWEBセミナーを実施しました。 今回は、そのセミナーで紹介した内容を抜粋して、マイナビ・リクナビを最大限に活用するための設[…]
選考時の「惹きつけ」に活用
イメージと現実のギャップを埋めることで、選考時の惹きつけに活用できます。
学生はイメージで就職活動を進めていることが多いです。良いイメージはもちろん、悪いイメージを持ってしまっている業界もあると思います。
ここで大切なのは、これがあくまで業界全体でのイメージでしかないということです!逆説的に捉えてみましょう。これはチャンスです。
業界全体へのマイナスイメージがあったとしても、「○○業界って悪いように見られがちだけど、当社は実は○○なんだよね。」と同業他社との差異を付けやすいということです。
「この業界は〜だから……」と一言で片づけられてしまうのは、正直もったいないです。
そのため、説明会やHPなどで、業界イメージと貴社のギャップをしっかり伝えるなどして工夫しましょう。イメージがあくまでイメージでしかないことと、その中でも貴社が他社とは違う強みを伝えられるかが大切です。
まとめ
この記事では、学生が企業選びで重視するポイントや業界のイメージ、活用ポイントを紹介しました。
業界に対する学生からのイメージを事前に把握し、魅力的な訴求につなげていきましょう。今回の情報を元に、貴社の採用活動に役立ててもらえれば幸いです。
当社では、説明会でのコンテンツや媒体での打ち出し方、競合他社調査などは常にまとめております。
「情報をもっと知りたい!」と思った方はぜひお気軽にお問い合わせください。
また、学生をうまく惹きつけるためには、Z世代と呼ばれる今の学生のタイプや、その傾向を知っておくことも必要です。
こちらの記事では、そんなZ世代の若者の4つのタイプや有効な採用手法・ツールについて解説しているので、あわせてご覧ください。
新卒採用も中途採用も、これからの世代に合わせて採用手法を変えていく必要があり、これから就職・転職活動を行うのは「Z世代」と呼ばれる若者たちです。 インターネットなどを巧みに使うデジタルネイティブ世代であり、またソーシャルネイティブ世代[…]