企業で採用担当をしていると、内定承諾率が気になる方も多いでしょう。内定承諾率は、採用活動の効果を確認するために重要な指標にもなります。
自社の内定承諾率を把握していないと、採用プロセスが効果的に行われているか判断できません。そこで今回は、内定承諾率について解説します。
内定承諾率の計算方法や平均値、下がる原因、対策方法まで詳しく見ていきましょう。
また、採用プロセスを効率化する方法も紹介するので、最後までチェックしてください。
そもそも内定承諾率とは?
企業が内定を出した中から、実際に内定者が入社を承諾した比率を示した数値です。
内定承諾率の平均値を把握しておくと、効率よく採用活動の戦略を立てられます。
内定承諾率が高いほど、採用活動がスムーズに行えていると言えるでしょう。
内定辞退率との違い
内定辞退率とは、内定を承諾した内定者が入社までに辞退した人数の比率です。
内定者は、内定承諾をしても実際に入社するとはかぎりません。それは、内定承諾の段階ではまだ雇用の契約を行っていないためです。
内定辞退率は、承諾率とは違い低く抑えるよう対策しなければなりません。
内定承諾率の算出方法
内定承諾率は、(内定承諾者数÷内定者数)×100で算出できます。
例えば、50人の学生に内定を出し、そのうち35人が内定を承諾した場合、次のように計算します。
- (35÷50)×100=70%
この場合、内定承諾率は「70%」です。内定承諾率が高いほど、学生や求職者にとって魅力的な企業であり、採用活動が成功していると言えます。
内定承諾率の平均値はどれくらいか
自社の内定承諾率は、過去のデータから算出すればすぐにわかります。
では、他社の内定承諾率はどれくらいなのでしょうか。データをもとに見ていきましょう。
新卒採用の内定承諾率の平均
2024年新卒の3月卒業時点における内定承諾率の平均は、おおよそ36%です。
実に3分の2の内定者が内定を辞退していることになります。
引用元:MatcherScout【最新版】新卒の内定承諾率の平均は?上げる方法まで詳しく解説!
参考:株式会社リクルート 就職プロセス調査(2024年卒)2024年3月度(卒業時点)内定状況
中途採用の内定承諾率の平均
2023年の中途採用における内定承諾率は91%で、近年は80~90%台で推移しています。
これは、中途採用者がすでに入りたい会社が決まっていることが影響していると考えられます。
引用元:MatcherScout【最新版】新卒の内定承諾率の平均は?上げる方法まで詳しく解説!
参考:株式会社マイナビ 中途採用状況調査2024年版(2023年実績)
新卒の内定辞退が起こるタイミング
ここでは、新卒の内定辞退の背景や、各データを参考に、辞退者の多い時期などを紹介します。
内定辞退が増える背景
新卒の内定辞退率が高い原因として、少子化などの影響で売り手市場の採用活動になっていることなどが考えられます。
また、Web募集の導入による応募者の増加や、就活時期の早期化も挙げられます。
学生はオンラインで求人の検索をしたり選考に進んだりするため、気軽に多くの企業の採用試験に応募が可能になりました。
これらの結果、複数の内定を得る学生が増えており、内定を辞退する割合が高まっているのです。
内定辞退が多い時期
株式会社リクルートの就職みらい研究所が行った『就職プロセス調査(2024年卒)「2024年3月度(卒業時点) 内定状況」』のデータを見ると、3~7月にかけて内定辞退率が6割ほどまで増加し、8月以降はほぼ横ばいに推移しています。
これは、3~6月にかけてが企業が内定を出すピークのため、その時期に学生が希望順位の低い企業へ辞退の申し出をしたためと考えられます。
画像引用:株式会社リクルート 就職プロセス調査(2024年卒)2024年3月度(卒業時点)内定状況
内定承諾後の辞退率
前述の『就職プロセス調査(2024年卒)「2024年3月度(卒業時点) 内定状況」』によると、2024年卒の3月卒業時点での内定辞退率は63.6%、2023年卒は65.8%、2022年卒は61.1%でした。
一方で中途採用の場合、株式会社マイナビが行った『中途採用状況調査2024年版(2023年実績)』のデータを見ると、2023年の内定辞退率は9%、2022年は7.9%、2021年11.1%でした。
新卒採用と比べ、中途採用では内定辞退者が少ないことがわかります。
画像引用:株式会社リクルート 就職プロセス調査(2024年卒)2024年3月度(卒業時点)内定状況
画像引用:株式会社マイナビ 中途採用状況調査2024年版(2023年実績)
辞退する理由
内定者が辞退を申し出る理由として「労働条件や社風が合わない」が多くあげられます。
また、「選考を進める段階で、企業に悪い印象を持った」「第一希望ではなかった」という理由もあるでしょう。
辞退理由を知るのは、対策を行う上で必須事項です。
例えば、上位の労働条件や社風が合わないといった辞退理由は、選考が始まる前段階で企業側が正しく伝えることで抑えられるかもしれません。
今回のテーマは『駆け込み辞退の阻止施策』です! 新入社員が会社に入社してくるまで残り約3ヶ月、この短期間での内定者辞退《駆け込み辞退》も例外ではありません。そうならないために、今回は駆け込み内定辞退を防ぐ施策をお伝えしていければと思い[…]
内定承諾率を下げる原因
ここからは、内定承諾率を下げる原因について、詳しく見ていきましょう。
学生の志望度が低い
まず、学生の志望度が低いという理由が考えられます。自社の魅力を伝えきれていないと、学生の志望度は上がりません。
また、第一希望で応募したとしても選考途中で希望順位が下がってしまうケースもあれば、選考が進むうちに「ここで働きたい」と変わる可能性もあります。
福利厚生や勤務地の不一致
労働条件の不一致も、内定承諾率を下げる原因のひとつです。
選考に参加した段階でイメージしていた勤務地や福利厚生、給与などと実際の条件が異なると、内定辞退へつながってしまいます。
「思っていたより給与が低かった」「希望の勤務地で働けないことがわかった」など、学生が内定後に知ることのないよう、説明会の段階で詳細を提示しておくのが大切です。
仕事のイメージを描けていない
社会人経験のない新卒採用者にとってはとくに、実際にその企業で働いて活躍している自分をイメージするのは難しいでしょう。
最近では、オンライン採用の導入によって、選考段階で企業へ足を運ぶ回数が減少しています。
業務内容や労働環境、入社後にどう活躍できるかなど、具体的に想像できるよう伝え方を工夫しましょう。
内定承諾率を上げるための具体策
内定承諾率を上げるには、具体的な対策の実施とその効果検証が重要です。
本記事では7つの対策を紹介しますが、対策を効果的に活用するには優先度とコスト配分を見極めることがポイントです。
まず、比較的低コストで高い効果が期待できる「内定者フォロー」や「企業の魅力発信」を優先し、次に「採用プロセスのスピード改善」に取り組みましょう。
一方で、コストが発生しやすい「採用アウトソーシング」や「ダイレクトリクルーティング」は、リソースに制約がある場合やターゲットが明確な場合に検討するのが得策です。
- 内定者フォローを徹底する
実施時期: 内定通知後から入社まで(6月~翌年3月) - 企業の魅力をしっかり伝える
実施時期: 選考段階から内定後まで(4月~翌年3月) - 採用プロセスをスピーディーに進める
実施時期: 選考期間中(6月~8月) - ミスマッチを防ぐ採用活動を行う
実施時期: 採用活動開始時から面接段階まで(5月~8月) - 内定後の座談会や説明会を開催する
実施時期: 内定通知後から入社直前まで(9月~翌年2月) - ダイレクトリクルーティングを活用する
実施時期: 採用活動開始直後から内定通知前(4月~8月) - 内定辞退防止のためのタイミングを意識する
実施時期: 内定後から入社直前(12月~翌年3月)
内定者フォローを徹底する
内定者フォローとは、入社の意向を固めてもらうために内定者へ行うアプローチです。
内定通知後から入社までの間に内定者の気持ちが変化しないよう、企業は働きかけなければなりません。
具体的には、メールや電話等での個別対応や、面談、内定者インターンなどがあります。
内定者フォローを行う目的は、内定者の社会人生活への不安解消や入社後のイメージの把握です。
内定者と定期的に連絡を取り合ったり、企業情報を提供したりすることが、内定承諾率の上昇につながります。
企業の魅力をしっかり伝える
内定承諾率を高めるためにも、自社の魅力をしっかり伝える必要があります。選考段階から内定後にかけて、応募者へ自社の魅力を正しく伝えるよう心がけましょう。
自社の魅力を伝えるためには、インターンシップなど内定者と社員が直接話す機会を設けてください。
インターンシップでは、学生が企画提案をする「プロジェクト」型ではなく、社員と意見交換のできる「交流型」を開催するのもポイントです。
採用プロセスをスピーディーに進める
採用試験において、タイミングは非常に大切です。慎重になりすぎて内定を出ししぶっていると、その間に学生は別の企業への内定を承諾しかねません。
また、採用プロセスが長いと、応募者の負担が大きくなります。
「早く就職先を決めたい」と考えている応募者にとって、採用プロセスをスピーディーにすることは、内定承諾率の向上につながるでしょう。
ミスマッチを防ぐ採用活動を行う
ホームページやSNSなどで情報を発信している企業は、内容を見直すことで内定承諾率をアップさせられるかもしれません。
企業が発信している情報と実際の条件にズレがあると内定辞退につながる可能性があるため、正しい情報でない場合は改善が必要です。
採用活動開始時期から面接段階において、採用専門のホームページを作るのもひとつの手です。
自社の魅力を、応募者へ正しく効率よく伝えられるでしょう。
内定後の座談会や説明会を開催する
内定後は、内定者が企業への理解を深め、入社意欲を高めるタイミングです。
採用選考初期の企業説明会とは異なり、内定者からは入社後の具体的なイメージに基づいた質問が出てくることも多いでしょう。
そのため、内定後には座談会や説明会を設け、さまざまな年次の社員(若手・中堅・管理職)から話を聞ける機会を提供することで、内定者が入社後のキャリアを想像しやすくなります。
また、内定通知後は初回面談を設定し、定期的に連絡して不安を解消することも重要です。
メールや電話を使い、個別の相談に応じることが効果的です。
ダイレクトリクルーティングを活用する
ダイレクトリクルーティングは、自社に見合う人材へ企業が直接アプローチする方法です。企業は、データベースやSNSなどから理想の人材を探し、欲しい人材をスカウトします。
ミスマッチが起こりにくい方法のため、内定承諾率の向上につながるでしょう。
従来の「待ち」の姿勢ではなく、「攻め」の採用を行うことで、自社で活躍できる優秀な人材を確保できる可能性があります。
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内定辞退防止のためのタイミングを意識する
内定承諾をもらってから入社までに、辞退率の上がるタイミングを意識した内定者フォローを行うのも大切です。
例えば、内定通知を送る際に採用者が評価している点を伝えたり、フォロー面談で内定者の声をヒアリングしたりするのもいいでしょう。
そのほか、内定者懇談会や内定式など、内定後から入社直前までの各タイミングで最適なアプローチを行えるような施策を考えるのがポイントです。
採用アウトソーシングを利用する
採用アウトソーシングとは、採用活動を外部に委託することで、応募者の受付や日程調整、関係部署との連携などを外部に任せられ、企業の負担を軽減できるサービスです。
採用ニーズや対応可能な領域に応じて柔軟に選べるのも利点です。
内定者フォローや複数の採用プロセスが重なる時期など、負担が増えるタイミングで導入を検討すると効果的です。
キャリアマートの採用アウトソーシングは豊富な実績を持ち、業界や職種を問わず企業のニーズに合わせたサポートを提供しています。
採用アウトソーシングで採用業務の効率化を図り、内定承諾率向上に役立てられます。
まとめ
内定承諾率は、採用活動が効果的に行えているかを確認する指標となります。
自社の内定承諾率を把握して、よりよい人材を集めましょう。承諾率を上げるには、自社の志望度を高めたり内定者フォローを行ったりと、企業の負担が増えることも予想されます。
採用アウトソーシングを導入するなどして、効率のいいオペレーションを行いましょう。
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