採用力がある企業とない企業は何が違う?高める方法・成功させるポイント

採用力が上がらないのはなぜ?

企業ができるだけ優秀で自社に合った人材を確保したいときに重要なのが、「採用力」ですが、なかなか、思うように採用活動が進まないと感じている人事担当者も多いでしょう。

理想とする人材が集まらない理由は、どこにあるのでしょうか。実は企業の規模や知名度だけが、採用力と関係しているわけではありません

今回は、採用力の重要性や採用力が高い企業の特徴などとともに、

  • 採用を成功させるための採用力とは?
  • 採用力を高める方法

を紹介していきます。

現在の採用業界は、売り手市場で、特に中小企業にとっては人材確保が厳しい状況ですが、様の条件でも採用力に違いによって優秀な人材を確保できるケースは多く、採用力は「採用成功の鍵」なのです。

採用力とは?

採用力とは、一般社団法人日本採用力検定協会の定義では、「組織および社会に有益な採用活動を設計・実行する力」とされています。採用力を構成するのは、以下の5つの要素です。

【採用力を構成する5つの要素】

  1. パースペクティブ:採用に対する広い視座
  2. マインド:採用に向き合う姿勢
  3. ナレッジ:採用を良くするための知見
  4. スキル:採用を良くするための技能
  5. アクション:採用における意思決定

つまり、採用力には採用に関する技術や知識、さらに採用に向き合う姿勢や適切に判断する能力が重要です。

採用力を左右する3つの要素

採用力は、「企業力」「採用活動力」「労働条件」の3つの要素により左右されます。このうち1つでも欠けたり劣っていたりすると採用力が低下してしまうと言われ、下記公式で表されます。

採用力 企業力 × 労働条件 × 採用活動力

これらの3つの要素はそれぞれ性質が異なっており、改善するためのアプローチも異なります。「企業力」と「労働条件」はすぐに変えることは難しいですが、「採用活動力」を向上させることで、採用力向上に繋がるとされています。それぞれの詳細を見ていきましょう。

企業力がある

企業力は、企業の知名度やイメージ、資本力などを総合させたものです。有名な企業で働きたい、企業のイメージが良いから入社したいと考える人は多く、企業力がある企業にはたくさんの人が集まります。たくさんの人が集まると優秀な人材を選びやすくなります。

労働条件が良い

労働条件とは、雇用形態や給与、福利厚生などです。働き方が多様化し、働き方改革を進めている企業が多い近年では、求職者も労働条件を重要視しています。他の企業と比べて労働条件が悪いと判断されれば、自社の内定を得ていても辞退し、他の企業を選んでしまう可能性があります。

採用活動力がある

採用活動とは、募集を周知させる広報活動や採用に関する実務作業です。

企業がどんなに良い労働条件を提示しても、周知させられなければ採用候補者に伝わらず、人は集まりません。そのため積極的に広報活動をし、人材の募集を知らせることが大切です。また応募があっても優秀な人材を見極められないと、自社にとって必要な人材を確保できません。優秀な人材を見極めるのも、採用活動力に含まれます。

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採用力が高い企業の特徴

では、採用力を高める方法とは一体なんでしょうか。まずは採用力が高い企業の特徴から自社と比較してみてください。

自社の魅力を発信できている

求職活動をするときは、自社の魅力を言語化して求職者にしっかり伝えることが重要です。仕事内容や給与、福利厚生などだけではなく、競合他社にはない自社の魅力は何なのか考えましょう。

さらに、自社の魅力が求める人材にとっても魅力なのかどうかも考えることが大切です。自社の魅力を上手にアピールできれば、応募する求職者が増え、求める人材を採用できる可能性が高まるでしょう。

採用に関する目標や目的がはっきりしている

採用力が高い企業は、採用に関して目標や目的がはっきりしています。

例えば、「来年度までに6名採用する」「広告掲載媒体を増やし、初期応募人数を1.3倍にする」などです。目標や目的を決めるときは、できるだけ数字を使用し、行動を起こしやすい明確な内容を設定しましょう。

自社に適した採用手法を選んでいる

採用方法には、求人サイトの利用やSNS、自社のホームページなどさまざまな方法があります。

特定の業界や職種に特化している人材紹介会社や、20代などの若手登録者が多い転職サイトなど、特徴もいろいろです。採用人数や予算などを含め、自社の実状に合った手段を選ぶことが採用力アップに繋がります。

面接官の判断基準が揃っている

選考時、何人もの求職者の面接を行うため、複数の面接担当者がいるでしょう。このときに大事なのは、面接官の判断基準が揃っており、採用候補者を同じポイントで見極められるかどうかです。

面接官の判断基準が揃っていないと、別の面接官が担当していたら採用していたかもしれない人材を不合格にしてしまう可能性も考えられます。求人者に対し、スキルや経験、考え方など、具体的な判断基準を設けて、面接官は同じ基準で判断できるようにしておきましょう。

自社の採用シーンをチェックしてみよう

それでは、自社の採用シーンの現状をチェックしてみましょう。

  1. 求職者に対するハードルが高くないか
  2. 自社のホームページは定期的に更新しているか
  3. 採用現場はマンパワー不足になっていないか
  4. 内定者へのフォローができているか
  5. 新入社員への教育(研修)体制は整っているか

求職者に対するハードルは高すぎないか

採用力が低い企業は、適性検査や書類選考の合格基準が高すぎる傾向にあります。合格基準を満たすような人材は、どの企業でも必要とされる人材なので、採用が難しくなります。求職者の基準を設定する際は、理想とする要件と最低限必要な要件を決め、その間から人材を選択してみましょう。

自社のホームページは更新しているか

求職者は、求人サイトを介して募集を知った際にも、企業のホームページを確認しています。求人サイトと自社のホームページの情報が合っていなかったり、古い情報だったりするようなミスは、採用活動では致命的です。

企業の信頼を失う可能性もあるため、定期的にホームページをチェックし、求人サイトと照らし合わせたり、情報を更新したりしていきましょう。特に求人者が注目する仕事内容や給与、雇用形態などは正確な情報を掲載しておくことが大切です。

採用現場の人材は十分か

採用活動には、広報や募集作業、求人者の対応、内定者のフォローなどさまざまな業務があります。また、採用戦略の方針を決めたり、どのような採用方法を選択したりするかを決めることも重要な業務になります。

採用活動はスピード感も大事な現場なので、採用現場の人材が十分に確保できているかどうかも確認しておきましょう。

内定者へのフォローができているか

理想の人材が見つかり内定を出したら、その時点で安心してしまいがちです。しかし採用の候補に挙げられた人は、大抵の場合他の企業の選考を受けています。そのため、内定を出した後にしっかりフォローしなければ、自社よりも魅力を感じる企業から内定を出された場合に、辞退されてしまう可能性があります。

自社への入社意欲を維持したり高めたりしてもらうために、入社するまで頻繁に連絡を取ったり、フォローしたりすることが大切です。

新人社員への教育体制は整っているか

せっかく希望の人材を採用できたとしても、すぐに退社されてしまうと採用活動は成功したとは言えません。そのため、採用活動は入社するまでではなく、自社に定着し活躍してもらえるところまで見据える必要があります。

入社後の早期離職の原因には、「Gap(ギャップ)」「Relation(リレーション)」「Capacity(キャパシティ)」が関係しています。ギャップとは、入社前に企業に対して抱いていた期待と現実の間に生じるズレ、リレーションは上司との関係性です。キャパシティは、仕事の多さ・少なさです。

新入社員を自社に定着させ活躍してもらうためには、ギャップを生まないよう自社の良い点だけを強調しすぎないように気を付けましょう。また、入社後には上司との関係性や仕事量においても注意を払うことが大切です。

採用力を向上させるためのポイント

最後に採用力を上げるためのポイントについて紹介します。

  1. 自社のターゲット人材を言語化する
  2. 求人情報を正しく提示する
  3. 労働環境を整える
  4. 採用担当者のスキルアップを図る
  5. 事業戦力および関係者とのすり合わせ
  6. 市場における標準賃金の遵守
  7. 従業員の定着率を上げる価値提案
  8. 自社の魅力を外部に伝える力

自社のターゲット人材を言語化する

採用活動を成功させるためには、自社が求める人材がどういった人材なのか明確である必要があります。必要とする人材を明らかにするために、まず自社の現状と事業計画を把握しましょう。

そして、2つのギャップを埋めるためにどんなスキルや知識を持つ人材を採用するべきか、言語化することが大切です。求める人物像が曖昧なまま採用活動をしてしまうと、求める人材を採用できず、採用活動をやり直さなくてはならないこともあるでしょう。

求人情報を正しく提示する

求人情報を正しく提示するとは、誤った情報が求職者に伝わってしまわないよう、こまめに求人サイトやホームページを更新することです。

中でもホームページの更新を行うことは、企業のイメージのためにも重要です。求人情報を提示する際には、現場の社員と連携を取り仕事環境や業務内容を正しく理解し、求職者に共有しましょう。古い情報で求人を出してしまうと、入社後に企業と求職者との間にミスマッチが生じ、トラブルになるケースもあります。

労働環境を整える

求職者にとって、休日や待遇、給与、勤務地などの条件は特に大事なポイントです。万が一労働条件や労働環境に課題がある場合は、改善していきましょう。

また最近では、働き方改革によりリモートワークの導入など、柔軟性のある働き方も注目されています。新しい取り組みを取り入れているのは、アピールポイントにもなり、他社との差別化にもなるので、積極的に提示しましょう。

採用担当者のスキルアップを図る

採用担当者のスキルを磨くことも必要です。小規模な企業や設立して間もない企業では、人材採用に関するルールが決められていなかったり、採用力の重要性や採用に関する基礎知識を学ぶ場所が不十分だったりする場合もあります。

研修会社など外部で行っている採用担当者向けの研修を受講し、採用に関する知識を学ぶことも大事でしょう。

事業戦力および関係者とのすり合わせ

人材採用戦略を定める際にはプロセスの開始時点で関係部署、関係者全員の関与を促す必要があります。以下の重要項目をクリアにし進めることが大切です。万が一、問題が浮上しても防止し、成功に近づくことが出来ます。

<< 重要項目 >>

  • 事業上の困難
  • 目標とする事業成果
  • 組織的な課題
  • 要件の詳細

関係各位のニーズを明確化にしておくことが成功の鍵といわれ、満足度も高いです。整合性の確保が出来ない企業と比べ、採用プロセスに満足している企業は3倍近く、また人材獲得に向けたプロセスの競争を自負している企業は6倍近いです。

市場における標準賃金の遵守

現在の売り手市場において、企業は最高の人材に対して賃金の相場を理解しておかなければいけません。経験や、スキル、資格などを要求しておきながら報酬を上げないというのは恒久的な人材不足に見舞われ、採用プロセスを悪化させます。

従業員の定着率を上げる価値提案

企業の多くは正社員に対しては従業員の価値提案をしていますが、契約社員などについては明確に提示を行っていません。よって、有能な人材の獲得チャンスを逃しています。求職者のニーズの優先順位を見極めるのも優秀な人材を獲得するのに必要になります。

自社の魅力を外部に伝える力

求職者の大半は希望する社風や素晴らしい経営者や部下の下で働きたいと考えれいるのが本質的な考えです。求職者が企業に求めるのは報酬(75%)、企業文化や社風(49%)と多くの求職者は企業文化の情報が与えられないと回答していました。

引用:https://www.aerotek.com/ja-jp/insights/5-key-ways-to-jazz-up-your-workforce

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まとめ

働き方改革やリモートワークの普及など、働き方が急速に変化している中、採用する側も採用力を高めていかなければ、求める人材を確保するのは難しいと考えられます。

採用力向上には、労働条件の改善や採用候補者のフォロー、採用現場の人材確保などが必要ですが、採用活動力については人事や採用担当者が行動することですぐに効果が出ます。

新しい働き方の形を取り入れたり、他社にはない魅力をアピールしたりして採用力を高め人材確保、そして企業成長に繋げましょう。

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