「せっかく出した内定を辞退されてしまった…」そんな経験に落ち込んだことはありませんか?
特に中小企業では、一人の内定辞退が採用計画に大きな影響を与えるため、担当者の悩みは深刻です。
けれど、それは決してあなたの努力が足りないからではありません。実は多くの企業が同じ課題に直面しており、少しの工夫で状況を好転させることが可能です。
本記事では、内定辞退が起きる背景とその構造、自社の課題を可視化するチェックリスト、そして実際に辞退を減らした企業の取り組みを紹介します。
読後には、「次はきっと辞退されない採用」が実現できるヒントが見つかるはずです。
– 中小企業が実践できる内定辞退を防ぐための具体的な対策がわかる
– 実際に辞退率を改善した企業の事例から効果的な取り組みがわかる
– 中小企業でも実行可能な内定辞退防止策を知りたい人
– 採用改善のために他社の事例や具体的な成功施策を参考にしたい人
内定辞退が多い企業に見られる共通の原因
内定辞退率の高い企業には、共通する構造的な課題があります。それは単に「条件が合わなかった」だけでなく、採用の過程で候補者との信頼づくりや情報提供に“すれ違い”が生じているケースが多いのです。
企業理解を深めるための情報提供が不十分
説明会や面接などの場で、会社の理念や事業内容を十分に伝えきれていないと、候補者は入社後のイメージを描けず「本当にこの会社でいいのだろうか……」と不安になりがちです。
特に中小企業の場合、働く姿をリアルに想像できる情報が少ないままだと、他社と比較した時に不利になることもあります。
仕事のやりがいや現場社員の声、成長できる環境などを具体的に発信し、候補者が“自分ごと”として感じられる情報発信が欠かせません。
内定後のフォロー体制に課題がある
内定を出した後のコミュニケーションが途切れると、候補者の心は不安になります。
特に中小企業では内定者へのフォロー体制が体系化されておらず、採用担当個人頼りになりがちで、内定者に「放置されている」と感じられてしまうことがあります。
内定者との定期的な接触をし。近況共有や雑談の時間をつくることで、“内定後も見守られている””入社後もサポートしてもらえそう”という安心感を与えることができます。
フォロー担当を決め、関係づくりを計画的に進めることがポイントです。
候補者との信頼関係が構築できていない
候補者が「この会社なら大丈夫」と思えるかどうかは、選考中のコミュニケーションの質に大きく左右されます。
面接や説明会で形式的な対応になってしまうと、信頼よりも距離感が生まれてしまうケースもあります。
小さな企業こそ、人の温かさを活かした発信や対話で候補者の心をつかむチャンスがあります。誠実な回答、タイムリーな返信、共感をもった対応が信頼関係の基盤になります。
選考プロセスに一貫性や納得感が欠けている
選考の基準や進め方が担当者ごとに異なると、候補者の中に「何を重視されているのか分からない」という不信感が生まれます。
また、選考のスピードが遅かったり、評価の理由が不明瞭だったりすると、入社意欲が低下し、他社へと気持ちが傾いてしまうことも。
一貫したメッセージと透明性のあるプロセスを意識すると、候補者は「自分を丁寧に見てくれている」と感じ、企業への信頼感が高まります。
自社の魅力が適切に伝わっていない
中小企業の多くが、「自社の良さはあるのに伝えきれていない」という課題を抱えています。たとえば、社員の人柄や職場の雰囲気、成長機会など、学生にとって魅力的な価値が言語化されていないケースです。
大企業のようなブランド力がなくても、人と人のつながりや挑戦できる風土は立派な強みです。
自社の特徴を掘り下げ、それを候補者へ言葉で伝える工夫が、内定辞退を防ぐ大きな一歩になります。
中小企業の内定辞退率は高い?業種別・規模別の傾向
就活生・転職者の価値観が多様化する中で、「内定辞退率」は企業の採用力を示すひとつの指標になっています。特に中小企業では、大手に比べて辞退が起きやすい傾向も指摘されています。
ここでは、最新の調査データをもとに現状を整理し、採用活動のヒントを探ります。
平均的な内定辞退率の目安
一般的に、民間企業全体での内定承諾後の辞退率は20〜30%前後が目安といわれています。
画像引用:WEB労政時報2025年1月号
新卒採用
株式会社インディードリクルートパートナーズが発表した「就職プロセス調査(2026年卒)」(2025年10月発表)によると、内定出しからの辞退率は65.7%と前年並みとなっています。
企業側の「魅力訴求」や「内定後フォロー」の重要性が一層高まっていることがうかがえます。
中小企業では人材数が限られているため、ひとつの辞退が採用計画に大きく響くこともしばしば。逆にいえば、採用活動中や内定期間中の丁寧な関係構築で、辞退防止の成果を上げる余地が大きいとも言えます。
画像引用:株式会社インディードリクルートパートナーズ 就職プロセス調査(2026年卒)(2025年10月発表)
中途採用
マイナビ「中途採用状況調査2025年版(2024年実績)」によると、2024年度の中途採用における内定辞退率は9.3%でした。
新卒に比べると約50ポイント以上低く、転職市場では「応募段階での企業理解が進んでいる」「条件が合致してから選考を進める」傾向が要因と考えられます。
ただし、内定辞退が起こる理由は「年収・待遇のミスマッチ」や「他社からのオファー上書き」などが挙げられます。特に中途採用ではスピード感や内定通知後のフォローも、辞退防止につながる重要なポイントです。
画像引用:マイナビ「中途採用状況調査2025年版(2024年実績)」
業界・企業規模でどれくらい違いがあるの?
| 企業規模(従業員数) | 平均内定辞退率 | 傾向・コメント |
| 5,000名以上 | 約26.7% | ブランド力・情報発信の強さで比較的低水準 |
| 1,000〜4,999名 | 約31.0% | 業界によって差が開く領域 |
| 300〜999名 | 約35.8% | 辞退率上昇、内定後フォローが鍵 |
| 300名未満 | 約41.2% | 関係構築やリアルな魅力発信が決め手 |
リクルート「就職白書2025」の企業調査では、企業規模が小さいほど内定辞退率が高まる傾向が明確に示されています。
中小企業では、学生とのコミュニケーションの濃さや安心感が辞退率の差に直結しています。大手のように大量募集ができないからこそ、「一人ひとりへの信頼関係づくり」が成果を左右するといえるでしょう。
また、 overflow HRメディア「中途採用の内定辞退率の実態」 によると、エンジニア・IT業界など特定分野における中途採用の内定辞退率は約20%~30%と、一般的な中途採用の内定辞退率の市況よりも10ポイント以上高くなっています。
辞退理由としては「他社オファー」「条件ズレ」「面接対応の印象差」 等が挙げられ、業界内での採用競争激化により辞退率は30%前後まで上昇しています。
内定辞退の主な理由ランキング
採用担当者の努力とは裏腹に、内定辞退はほとんどの企業で起きています。ここでは、学生が内定を辞退する主な理由を上位5つに分けて、その背景を解説します。
第1位:第一志望企業ではない/別の志望業界の内定が決まった
「内定を出した=承諾される」とは限らない。これは採用担当者にとって最もよくあるジレンマです。
学生は複数の企業に応募し、最終的に「自分のキャリアや価値観により合う」企業を選ぶ傾向があります。特に第一志望の業界や企業から内定を得た場合、他社への辞退は自然な流れといえます。
企業側にできるのは、内定を出したあとも志望度を高める努力を続けること。
たとえば「あなたと一緒に働きたい」というメッセージを伝える、内定者が将来像を描けるイベントを開催するなど、“内定後のエンゲージメント強化”が鍵です。
第2位:口コミで悪い評判を聞いた
現代の就活生は、Google・OpenWork・SNSなどを通じて企業のリアルな評判を調べています。
面接前に「社内の雰囲気が悪そう」「長時間労働、残業が多そう」「働きづらそう」と感じてしまうと、選考や内定を辞退する大きな要因になります。
これは言語化された事実よりも、就活生個人の「感じ方」に左右されやすい部分です。
だからこそ企業は、自社の強みや取り組みを積極的に発信し、なんとなくで生じてしまった誤解やネガティブなイメージを更新していくことが大切です。
社員インタビューや社内日常風景のSNS発信など、内側からの会社のリアルな温度感を伝える工夫が効果的です。
第3位:内定後の対応が悪かった
内定後時間が経つにつれ、学生にとって「この会社で本当に大丈夫かな?」という不安がもっとも高まる時期です。
たとえば連絡が遅い、フォローがない、内定式が事務的、そんな小さな違和感が「辞退」という行動に結びつくことがあります。
内定者の多くは、入社を前提に生活の変化を考えているため、その不安を減らせるような安心感のあるコミュニケーションが大切です。
定期的な連絡や、先輩社員との交流機会、職場見学や懇親イベントなど、誠実な対応は必ず信頼につながります。
第4位:オフィスが古く居心地が悪そうだった
辞退理由のひとつには、「オフィスや職場の印象が良くなかった」という声もあります。物理的な設備だけでなく、社員の表情や挨拶、受付対応も会社の印象を大きく左右します。
学生は会社を訪れた瞬間に、「ここで働く自分」を想像します。照明が明るく、整理整頓された職場、笑顔で迎えてくれる社員がいるだけで、入社への期待は高まります。
大がかりなリニューアルでなくとも、空間づくりや雰囲気づくりの意識ひとつで印象は大きく変わります。スタッフ全員で「気持ちのよい会社」をつくる意識を持つことが大切です。
第5位:親の反対
特に新卒採用では、“親の承諾=オヤカク”が入社の最終決定に大きく影響します。学生の保護者が企業の安定性や労働環境に不安を感じた場合、学生の決意が揺らぐケースも少なくありません。
パーソル総合研究所の調査によると、ほとんどの学生が「親などの保護者」に内定に関する相談をしており、内定辞退企業に関して「親などの保護者」に入社を否定されたと答えた学生が27.1%でした。
反対に内定承諾企業への入社を「親などの保護者」に反対されたと答えた学生の割合は7.7%で、他の相談相手の項目に比べても低く、内定辞退企業とのポイント差も大きいことから、家族からの影響は大きいと言えます。
画像引用:新卒者の内定辞退に関する定量調査
内定辞退を決める学生の心理とタイミング
学生が内定辞退を決める瞬間は、ある日突然やってくるものではありません。選考の各フェーズで少しずつ積み重なる印象や感情が、最終的な決断につながります。
ここでは、フェーズごとの学生心理を理解し、早い段階で信頼関係を築くヒントを探ります。
【エントリーから初回接触】会社の印象が弱く、興味関心が薄れやすい
この段階の学生は、まだ企業に対する理解が浅く、「なんとなく応募した」というケースも多いです。企業との最初の接点で得られる印象がすべてといっても過言ではありません。
メールの文面や説明会での雰囲気、担当者の言葉遣いひとつが、「この会社は感じがいい」と思えるかどうかを左右します。
温かみのあるメッセージや共感のこもった言葉を届けることで、学生の興味をつなぎとめることができます。
【選考初期】企業理解が浅く、不安や疑念を感じやすい
書類選考や初回面接の段階では、学生は「どんな会社だろう」「自分に合うだろうか」という不安を抱いています。
この時期に伝える情報が不足していると、理解が深まらず辞退につながりやすくなります。仕事内容や社内文化を丁寧に説明し、学生の質問に前向きに答える姿勢が大切です。
採用担当者が一方的に評価する場ではなく、双方向の理解を深める場として関われると、学生の信頼を得やすくなります。
【面接中】対応やフィードバックから志望度が上下する
面接の時間は、学生が「この会社は自分のことをいち就活生ではなく、個人として見てくれているか」を最も強く感じとる瞬間です。
質問の仕方や面接官の態度、話の引き出し方ひとつで志望度が大きく変わります。
質問は一方的に投げかける一問一答方式のものではなく、会話ベースで学生の話を引き出し、「あなたに興味があります」という態度で臨むことが重要です。
また、面接後のフィードバックや次回の案内を早めに行うことで、「大切に扱われている」との安心感を与えることができます。
学生の強みや可能性に目を向け、温かい言葉で応援する姿勢が、心に残る体験につながります。
【内定通知直後】期待と不安が入り混じる意思決定の揺れ
内定を受け取る瞬間、学生は大きな喜びとともに、「本当にここでいいのだろうか」という迷いも抱きます。
また、複数社から内定を取得している学生は「どの企業の内定を承諾しようか」といった、人生を大きく決定づける問題に直面します。
家族や友人の意見、他社の選考状況など、友人の選考状況等、多数の要素が学生の心を動かします。
企業側からは、内定通知後にすぐフォローの連絡を入れ、感謝と期待の気持ちを伝えることが大切です。「あなたを歓迎しています」という一言が、決意を後押しする力になります。
【内定承諾後から入社前】内定ブルー・家族の反対・他社との比較
入社が近づくにつれ、学生は環境の変化への不安や、他社との比較による迷いを感じやすくなります。
また、家族の意見が影響するケースもさらに増えます。いわゆる“内定ブルー”の時期です。この段階では、定期的なコミュニケーションや交流会、先輩社員の声を届けることで不安を和らげることが効果的です。
「入社を心待ちにしています」という姿勢を丁寧に伝えることで、信頼と安心が生まれ、辞退防止につながります。
あなたの会社も当てはまる?辞退を招くチェックリスト
内定辞退の原因は、特定の場面だけでなく採用フロー全体に潜んでいます。以下のチェックリストで「選考前」「選考中」「内定後」の各フェーズを振り返り、自社の課題を可視化してみましょう。
選考前
この段階では、学生との“最初の出会い方”が印象を大きく左右します。情報発信や応募対応の質を見直すことが、辞退防止の第一歩です。
- 採用サイト・求人原稿は月1回以上更新し、3か月以内の情報を掲載している
- ナビサイトや自社採用HP、パンフレット等で社員の写真・コメント・動画など“人が見える情報”を3件以上掲載している
- 応募から返信までの平均対応時間が24時間以内である
- SNSや口コミサイトでの評価スコア(例:OpenWorkなど)を四半期ごとに調査・改善検討している
- 採用広報内で「自社が選ばれる理由」を3項目以上、学生の声などを基に明確化して提示している
チェック後は、学生目線で「初めて見る企業サイトとして魅力的か」をチーム内で再確認し、過去の情報から形式的な表現がないかを見直しましょう。
社内で更新担当・頻度を決めてスケジュール化することで、発信品質を継続的に高めることができます。
選考中
選考中は、学生が「自分を大切にしてもらえているか」を実感する場面です。
面接官や担当者の対応ひとつで、志望度が大きく変わります。誠実で丁寧な対応を心がけることで、学生に安心と信頼を与えることができます。
- 書類選考結果や日程調整の返信は2営業日以内を基準としている
- 面接官向け研修を年2回以上実施し、評価基準や質問トーンを統一している
- 面接後にお礼メールまたはフィードバックを「全員に翌営業日まで」に送付している
- 合否連絡を面接から平均3営業日以内に行っている
- 面接官同士の対応トーンや評価基準を確認するためのレビュー会を定期開催している
チェック後は、実際の対応履歴をスプレッドシートで集計し、平均対応日数・返信率を数値化してみましょう。
さらに メール内容・面接態度などの“トーンのばらつき”を洗い出し、チームで共有し、理想の対応事例をテンプレート化することで、全体の印象を高められます。
内定通知後~承諾
このフェーズは、学生が最も迷いを感じやすい時期です。フォローのタイミングと量を定量的に管理することで、辞退リスクを早期に軽減できます。
- 内定通知後、24時間以内にフォロー連絡を送付している
- 内定期間中の接触回数を月1回以上確保している(電話・メール・面談など)
- 内定者アンケートで「会社への安心感」評価が80%以上である
- 家族向け資料・動画等の情報を提供している
- 内定辞退理由のヒアリングを100%実施し、データ化している
チェック後は、フォロー回数・参加率・感想アンケートの平均スコアなどを管理しましょう。
スプレッドシートなどに「対応済/未対応」「連絡日」「反応内容」を記録すると、入社前フォローの抜け漏れを防げます。
管理表で〇×を入力し、改善したい項目を明確にすることで、次の採用活動にすぐ活かせます。チームミーティングで共有し、「誰が・いつ・どのように」改善するかを決めると効果的です。
分析と活用のポイント
チェックリストを実施したら、数値(定量)と感情(定性)の両方から振り返ることが大切です。
例えば、レスポンス時間やフィードバック率などの“行動データ”と、学生のリアルな声や面接後コメントなどの“印象データ”を組み合わせれば、辞退リスクをより正確に把握できます。
数値化された結果をチームで共有し、「最も改善効果が高い施策」から取り組むことで、全員が方向性をそろえやすくなります。分析を重ねるほど、学生にも社内にも“選ばれる採用活動”が定着していきます。
内定辞退を防ぐために中小企業が今日からできる対策
限られた採用リソースを最大限に活かすためにも、今こそ「学生との関係づくり」を見直すことが重要です。
候補者との接点を増やし、信頼関係を築く
内定辞退を防ぐためには、応募者と早期から信頼関係を築くことが何より大切です。
エン・ジャパンの調査によると、候補者が企業を辞退する理由として、「他社の選考が通過した」「よくない口コミを見た/聞いた」「求人情報と話が違った」等が多く、その要因は「コミュニケーション不足」です。
SNSの活用やメルマガ配信、社員インタビューの公開など、求職者が企業を身近に感じられる発信を増やしましょう。
特に中小企業は経営者や社員の“人柄”が魅力になることが多いため、日常的な発信を通じて「人の温度」が伝わる工夫が効果的です。
内定通知から承諾までのフォロー体制を整える
内定辞退の多くは、通知から承諾までの“間”に発生します。内定通知後のフォロー遅れは辞退につながるリスクを高めます。
内定通知を出したあとは、できる限り即日〜翌日中にフォローの連絡を入れ、「感謝」と「期待」を伝えることが大切です。
さらに、内定者面談や社内見学など、対面・オンラインを問わず、安心して判断できる環境を整えましょう。
小さな“気配り”が学生の不安を和らげます。
選考段階で企業理解を深める機会をつくる
辞退を防ぐには、「入社前の理解不足」をなくすことが欠かせません。株式会社インタツアーの調査(2023年)では、辞退理由の第5位が「企業理解が進まないまま採用が進んだ」ことでした。
説明会や面接時に、業務内容だけでなく「働く人の想い」「社風」も伝えるようにしましょう。
現場社員や若手が関わる機会を設けることで、学生が入社後の自分をイメージしやすくなります。会社紹介を「プレゼン」から「対話」に変えることが、理解促進と志望度向上につながります。
社員や面接官とのリアルな接点を意図的に設計する
学生が入社を迷うとき、最も影響力を持つのは「そこで働く人の印象」です。面接官や社員との接点を意図的に増やし、社員の印象を向上させることで辞退率を下げることも可能です。
例えば、面接後に短時間の懇談会を設ける、先輩社員を交えたカジュアル面談を行うなど、社員の“素の姿”を伝える工夫が効果的です。
人を通じて企業文化を感じ取ってもらうことで、「この会社なら自分も馴染めそう」と思ってもらいやすくなります。
選考前に「志望度の温度感」を確認する仕組みを入れる
学生の志望度を早い段階で把握しておくことも重要です。選考初期に志望度を確認してフォロー内容を調整する企業ほど、辞退率が低い傾向にあります。
エントリーシート提出時や一次面接時に、「他社との比較ポイント」や「入社に重視する条件」をヒアリングしておくことで、学生とのコミュニケーションをより深く、円滑に行えます。
志望度が高い学生には入社後の期待を、迷っている学生には自社の理解を深めてもらう機会を提供するといった、柔軟な対応が信頼を育てます。
家族・周囲の影響を踏まえた情報提供を行う
特に地方企業や非上場企業では、学生本人だけでなく家族からの理解と安心感が入社の意思決定に大きく影響します。
「企業基盤は安定しているか」「働きやすい環境か」といった視点で親が企業を評価するケースも多く見られます。
そのため、保護者向けの企業パンフレットを用意したり、オンラインでの家族説明会を開催したりする企業が増えています。
また、働き方改革や福利厚生、地域への貢献などを具体的に発信することも効果的です。 周囲の“応援団”からも信頼される企業であることを伝えると、入社への後押しにつながります。
内定辞退率を改善した中小企業の取り組み事例
採用活動において課題となる内定辞退は、工夫次第で大きく改善できます。中小企業でも、「仕組み」「姿勢」「関係性」の見直しによって確実に成果を上げた事例があります。
ここでは、実際に辞退率を下げた企業の取り組みを3つご紹介します。
柔軟な選考と“人の温度”で承諾率を7倍に改善
広島県の業務用食品メーカー・堂本食品株式会社では、かつて内定承諾率が約1割にとどまっていました。
そこで、一次面接から取締役が参加し、自社の想いや働く魅力を直接伝えるように変更しました。また、履歴書の提出を不要化し、エントリーシートも簡易な形式にするなど、応募のハードルを下げました。
さらに、最終選考では業務体験グループワークを導入し、学生がリアルな職場を感じ取れるよう工夫しました。
その結果、内定承諾率は7割を超えるまで改善し、入社後の定着率も向上しています。
内定者フォロー支援で辞退率ほぼゼロを実現
株式会社ジェイックでは、自社の新卒採用において内定者との関係構築を重視したフォロー体制を整えています。
電話やメールによる定期的な連絡、社内報の配信、懇親会や内定者研修の実施など、多様な接点を通じて内定者の不安を早期に解消し、入社までのエンゲージメントを維持しています。
その結果、10年間で内定辞退はわずか1名にとどまっており、継続的なコミュニケーションの重要性を示す事例です。
一人ひとりにフィードバックし、将来への納得感を醸成
マルホ株式会社では、内定者が自分の成長を具体的に描けるよう、選考時の評価を個別にフィードバックしています。強みと課題を率直に伝えることで、学生が「入社後の成長イメージ」を明確にできるよう工夫しています。
また、内定者専用サイトで不安相談や免許取得に向けた学習支援情報を共有し、1泊2日の合宿形式の懇親会も実施しました。
継続的なフォローで内定者一人一人を大切にする採用姿勢が信頼を生み出しています。
内定辞退に関するよくある質問
採用活動の中で多くの人事担当者が直面する「内定辞退」。ここでは、現場でよくある疑問に対して、一問一答形式でお答えします。
複数の内定を持つ学生に選ばれるためにはどうすればよいですか?
まずは採用担当や現場社員の「人」としての魅力を感じてもらうことが大切です。
待遇や条件だけでなく、社員の人柄や社風、働く姿勢などを伝えることで、「ここで頑張りたい」と思ってもらえます。面接や交流の場で“温かいつながり”を築くことが最も効果的です。
内定辞退を減らすために、学生にはどのような声かけをすべきですか?
「あなたと一緒に働けるのを楽しみにしています」と学生への期待を素直に伝えることが一番のポイントです。
学生は自分を必要としてくれる企業に安心と信頼を感じます。形式的なフォローよりも、個人を尊重した丁寧な声かけを意識することで、辞退の抑制につながります。
内定承諾後に学生が辞退することは、法的に問題はないのでしょうか?
法的には問題ありません。内定は労働契約の前段階であり、学生には進路を自由に選択する権利があります。
反対に、就職活動を早く終えるよう圧力をかける行為は「オワハラ(就活終われハラスメント)」とされ、行き過ぎた場合には強要や脅迫などの罪に問われる可能性もあります。
企業は学生の意思を尊重し、誠実なフォローを行うことが大切です。
内定辞退の理由を学生にどのように聞けばよいですか?
まずは感謝の気持ちを伝えたうえで、穏やかに尋ねることが大切です。
「今回の決定に至った背景を教えていただけますか?」といった柔らかな聞き方にすることで、本音を話してもらいやすくなります。
辞退理由の把握は責めるためではなく、採用活動の改善に生かすための重要な機会です。学生が安心して本音を話せる環境づくりが信頼関係の維持につながります。
辞退した学生から本音を引き出すには、どのように対応すればよいですか?
一方的に理由を問い詰めるのではなく、学生の気持ちに寄り添う姿勢を示すことが大切です。
「率直な意見を今後の参考にしたい」と伝えることで、安心して話してもらえます。
辞退理由の共有は企業の改善に役立つ重要な機会であり、 面談やアンケート形式で丁寧に振り返ることが、本音を引き出す鍵になります。
まとめ
内定辞退はどの企業にも起こり得る課題ですが、学生との信頼関係を築くことで大きく改善できます。
重要なのは、「内定を出せば採用業務は終了」「内定者フォローを行って満足」といった認識を変え、内定を出した後も一方的な連絡で終わらせず、相手の気持ちに寄り添った丁寧なフォローを継続することです。
定期的なコミュニケーションや、成長を支援する取り組みを通じて「この会社で働きたい」と思える環境を整えることが、結果として辞退防止につながります。
以下の資料では、実際に辞退防止に成功した企業の事例やノウハウを紹介しています。自社採用で活かせるヒントが詰まっているので、ぜひご覧ください。





