新卒・中途採用の戦略の立て方における基本や、改善点がわからないという採用担当者の方はいらっしゃいませんか。
場当たり的な採用では、うまくいくときと失敗するときの差が大きく、悩むこともあるでしょう。
今回は、採用戦略の立て方、実践的なフレームワーク、失敗しないためのポイントまで解説します。中小企業の採用戦略の成功事例を交えて説明するため、社内の課題に合わせた採用活動の改善のヒントが得られるでしょう。
この記事から効果的な採用戦略とフレームワークを知り、よりよい人材確保にお役立てください。採用担当者がひとり・少人数である場合も参考にしていただける内容です。
– 自社の採用課題に合ったフレームワークの使い方や選び方がわかります
– 採用戦略の立て方や成功事例を通じて、具体的な実践方法が学べます
– これから採用戦略を立てたいが、何から始めればよいかわからない方
– 他社の成功事例を参考に、自社の採用活動を見直したい中小企業の方
採用戦略とは?企業が人材確保を成功させるための基本知識
まずは、人材採用戦略の基礎知識をお伝えします。目的や、企業の規模感による差を把握しておきましょう。
そもそも採用戦略とは?意味と目的をわかりやすく解説
採用戦略とは、企業が求める人材確保のために行う手法をまとめたものです。企業が目標を達成するためには、人材の確保が欠かせません。従って、採用戦略は経営戦略の中でも特に肝となる要素です。
採用戦略は本来、事業計画を進めるべく、どのような採用活動をすればよいのか設定し、必要な人材を採用することが目的です。採用活動は採用戦略の一部であり、求人情報の掲載や面接などの具体的な行動を指します。
とはいえ、単に採用タイミングや人数の目標を定めるだけが採用戦略ではありません。「どのような経験や資格を持った人材が必要なのか」「ターゲットに合わせてどの採用チャネルを使うか」など、採用活動の指針も決めます。
採用課題や事業戦略から、自社に合った採用の目的・方法の検討が重要です。
なぜ今「戦略的な採用」が求められているのか
昨今、場当たり的な採用では人材の確保が難しくなり、他社と差別化した採用戦略が重要視されています。その要因を見ていきましょう。
生産年齢人口の減少と続く売り手市場
労働の主力となる世代が減り、売り手市場が続いているため、採用市場は厳しさを増しています。
総務省が2022年に発表したデータによると、1995年以降、15~64歳の生産年齢人口は減少し続けている状況です。
他にも、厚生労働省の2025年5月発表による有効求人倍率は、2013年を境に、2025年まで1倍を上回る状況が続いています。

画像引用:総務省 生産年齢人口の減少

画像引用:厚生労働省 一般職業紹介状況(令和7年5月分)について
採用チャネルの広がり
人材サービスや求人広告が多角化したため、目的に応じた選択や運用が必要です。
昨今、ハローワークや紙面広告などの募集型求人の他、企業が能動的に働きかける求人方法やSNS採用なども増加しました。対象に特化したサービスもあり、企業は複数のチャネル運営が必要となる場合もあるでしょう。
働き方の多様化
昨今、働き方や価値観が変化しており、求職者のニーズが多様化しています。若い世代は新しいキャリア観を持っており、給与面だけではなく働きやすさを重視する場合もあるでしょう。
2024年度の国土交通省によるテレワーク人口実態調査では、雇用型テレワーカーが就業者数全体の約25%と、2016年の約13%から増加しています。

画像引用:国土交通省 令和6年度テレワーク人口実態調査-調査結果-
大企業と中小企業で採用戦略はどう違う?
採用戦略は、会社の規模や職種により大きく異なります。
人的リソースや予算をかけられる大企業の採用戦略では、新卒採用で旧帝大・早慶上クラスをターゲットにすることも可能です。
知名度や安定性が感じられる点も求職者にメリットとなり、応募者数の悩みもありません。しかし、その反面でミスマッチが発生しやすいため、質の高い人材確保に向けた戦略が必要です。
一方、中小企業では、採用に関するリソースが基本的に限られていることが多いものです。大々的にプロモーションを打てず、多数の応募者が見込めない場合もあるでしょう。
その場合、戦略の策定により、応募が来ない、内定辞退が多いといったケースが防げます。母集団形成に苦戦しがちな中小企業こそ、採用ターゲットの明確化が重要なのです。
採用戦略を立てる前に整理すべき3つのポイント

ここからは、採用戦略策定で後悔しないように、確認しておくべきポイントを3点お伝えします。
採用活動の現状を把握するためのチェックリスト
採用戦略を立てる前に、まず自社の採用活動の現状を整理して課題を見つけることが必要不可欠です。採用フローに沿って、チェックしたい主な項目をまとめました。
| 募集 | ・自社や採用サイトにおける求人情報の閲覧数は?
・説明会などのイベント参加者数、出席率は? ・イベント後の応募移行率は? ・チャネル別の応募者数は? ・応募後、初回連絡までにかかる時間は? ・応募者のデータ管理とセキュリティ対策は? |
| 書類選考 | ・選考基準は明確で、全体に共有されているか?
・エントリーシートの項目は適切か? ・書類選考の通過者数、通過率は? ・選考結果の連絡方法は? ・結果通知までにかかる期間は? |
| 筆記試験
適性検査 |
・求める人材像に合った内容か?
・場所や時間、監督体制は適切か? ・評価基準や通過ラインは? ・選考結果の連絡方法と内容は? ・結果通知までにかかる期間は? |
| 面接 | ・面接の通過者数、通過率、辞退率は?
・面接の評価基準は明確か? ・1回の面接にかける時間は? ・面接官による平均点は? ・記録はどのように取っているか? ・選考結果の連絡方法は? ・結果通知までにかかる期間は? |
| 内定 | ・内定率は?
・内定承諾の意志確認の方法と期限は? ・内定後の問い合わせ窓口は? ・内定承諾率、辞退率は? ・内定者へのフォロー方法は? ・入社後定着率は? |
欲しい人材像と採用ターゲットを明確にする
理想の人材について言語化を行い、採用ターゲットの明確化が大切です。その過程の中で、年齢や経験、人柄といったペルソナや、スキル要件まで設定しましょう。
エンジニアなどの技術職、営業職、販売職など、職種によっても戦略設定は変わってきます。
採用戦略立案には、候補者のニーズに沿ったアプローチの設計も必要となります。そのためには、求める人材像の確立が必須です。ターゲットが明確になると、自社の強みやメリットを訴求し、応募につながる戦略が立てられます。
また、経営層・面接官との認識共有で選考基準が一定になり、入社後のミスマッチ防止につながります。人事部や採用担当者は、採用活動の根本を固めるべく、情報共有体制を作っておきましょう。
採用に使えるリソース(人・予算・ツール)を見える化
採用戦略では、何を使い、どのように採用活動を展開するかという計画が不可欠です。戦略を立てる前に、自社のリソースを把握しておきましょう。
採用に使うリソースは、主に「人」「予算」「ツール」の3つです。過去のデータから、ピックアップしてまとめる、定量化するなどして可視化しましょう。
採用に割けるリソースを知ると、担当者の配置や予算配分、使用チャネルの選定などの際に根拠を持って設定できます。逆に、リソースを把握せずに戦略設計を進めると、採用スピード・質の低下を招き、社員の負担が増加する恐れがあります。
大手企業に比べ、中小企業では、採用担当者が業務を兼任していたり、予算が割きにくかったりする事情もあるでしょう。
適切なリソースの使い方や、費用対効果のよい外部サービス・ツールの導入検討も、よりよい採用の一助になります。
採用戦略に使える代表的なフレームワークとは?
ここからは、採用戦略策定のために活用できるフレームワーク5つをご紹介します。
3C分析:競合・市場・自社を整理して戦略を立てる
3C分析は、「候補者」「競合」「自社」という3つの視点から分析していくフレームワークです。候補者の立場になり、求められるニーズや価値観を分析していきます。
また、競合他社と比べて自社にどのような強み・弱みがあるか客観的に分析しましょう。
下記の表は、3C分析における着眼点の一例です。
| 候補者 | ・企業選びで重視している点
・利用しているチャネル(SNS、ウェブサイトなど) |
| 競合 | ・求人における給与待遇や福利厚生
・採用活動の方法 |
| 自社 | ・独自性のあるサービスや商品
・社員が働く上でのやりがい |
他にも、採用戦略策定において3C分析を活用する際は、以下の3点に留意が必要です。
- 客観性のある統計結果や公的な情報、アンケート結果などのデータを収集する
- 分析結果を社内で共有して経営陣とも共通認識を持つ
- 常に変化する状況を考慮し、継続的に見直しを行う
SWOT分析:強み・弱みから自社の課題を把握する
SWOT分析は、要因を「強み」「弱み」「機会」「脅威」という4つのカテゴリーで分析するフレームワークです。採用戦略を立てる際は、自社の強みに加え、弱みも把握するとよいでしょう。
活かせる機会やリスク管理のための脅威の把握も必要です。SWOT分析における各項目の例を、表にまとめました。
| 強み | ・独自の技術やノウハウの保持
・有名企業との取引実績 |
| 弱み | ・ブランドの認知度の低さ
・単一事業による先行きの不安 |
| 機会 | ・技術革新によるニーズ拡大
・海外市場のトレンド成長 |
| 脅威 | ・法規制の強化
・海外企業との価格競争の激化 |
SWOT分析を行う際は、以下の2つを心がけましょう。
- 強みと弱みが主観に偏らないよう、社内外の客観的な声を集めて評価する
- 結果の精度を保てるよう定期的に分析を行い、都度改善策を見直す
ペルソナ設計:理想の人材像を言語化する方法
ペルソナ設計とは、「自社が求める人材像」を具体的にイメージするためのフレームワークです。ペルソナはターゲットと違い、ひとりの人材像の設定を詳細に設定します。
ペルソナに合う要件や採用方法を取り入れることで採用活動の精度が向上し、入社後のミスマッチや早期退職の防止にも役立ちます。
以下が、ペルソナの設計に必要な項目の例です。
- 年齢
- 学歴
- 経験や資格
- 性格や価値観
- 企業に求める条件
ペルソナはただ設計するだけでなく、現在の採用市場に合っているか、自社が求める人材像がイメージできるかというポイントを押さえましょう。
また、ペルソナ設計の際には、以下の2点が重要です。
- ペルソナは求めている最低限の条件を盛り込み、作りこみ過ぎない
- 入社後のギャップを避けるため、ペルソナは社内ですり合わせ、共有する
カスタマージャーニー:候補者の心理と行動を理解する
採用活動のカスタマージャーニー設計では、候補者が自社を認知してから応募や入社に至るまでの行動プロセスや、ニーズが可視化できます。ペルソナがたどる道筋の分析から、採用活動の流れや情報提供のタイミングを練ることが可能です。
カスタマージャーニーの横軸には、採用活動のフローをフェーズごとに設定します。縦軸には「ニーズ」「タッチポイント」「課題点」「戦略」など、そのフェーズを深堀りする要素をピックアップしましょう。
認知フェーズで分析したい項目の一例は、以下の通りです。
| ニーズ | ・今の会社を辞めたい
・有名企業に入りたい |
| タッチポイント | ・求人サイト
・SNS |
| 課題点 | ・自社の認知度
・他社と差別化できるポイント |
| 戦略 | ・各メディアにおける露出拡大
・自社サービスの紹介記事作成 |
カスタマージャーニーを設計する際の注意点は2つあります。
- ペルソナ目線を忘れない
- 市場の変化に合わせてブラッシュアップする
6W2H:採用計画を具体化・実行可能にする整理法
戦略を作る前の段階において、方向性を決めるために役立つのが6W2Hフレームワークです。
「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(だれが)」「Whom(だれに)」「What(何を)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」「How much(どのくらいで)」の8つの要素から、採用活動の具体的なアクションが考えられます。
どのような点をフォーカスするべきか、要素ごとのポイントを表にまとめました。
| When(いつ) | ・人材や戦力が必要となるタイミングを見極める
・候補者側の時間軸も考慮する |
| Where(どこで) | ・候補者と接点が持てる採用チャネルや媒体を検討する |
| Who(だれが) | ・人事部や採用担当者の役割分担を明確にする |
| Whom(だれに) | ・求める人材像や要件を設定する |
| What(何を) | ・採用の達成目標を定める |
| Why(なぜ) | ・採用に関わる背景や目的を整理する |
| How(どのように) | ・採用活動のプロセスを具体的にする |
| How much(どのくらいで) | ・予算や工数の配分を確認する
・採用後の給与などの条件面も整える |
また、6W2Hのフレームワークを使う際には、以下の2点に注意しましょう。
- あらかじめ、自社における人材、資金、時間などのリソースを把握しておく
- 不確かな根拠や主観的なイメージから判断しないよう、社内において情報収集をする
採用戦略の立て方とは?実務で役立つ6つのステップ

ここからは、6つのステップごとの行動やポイントをお伝えします。フレームワークが使えるものは合わせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ステップ1:採用課題を定量的に把握する
まずは、採用課題を明確に知ることから始めましょう。
具体的な行動とポイント
採用活動おける現状の振り返りから、どのフェーズでどのような課題があるかを整理します。採用課題を把握できると、目的・目標の設定が滞りなく行えます。
わかりやすく数値で把握するためには、過去の採用データの使用も有効です。選考プロセスの歩留まり率や採用単価、使用しているチャネルの費用対効果における課題点を分析しましょう。
使えるフレームワーク
採用における課題がそもそもどのようにして生まれたのかを知るためには、3C分析やSWOT分析のフレームワークが役立ちます。
市場のトレンドが関係しているなど、新たな発見から原因がつかめる場合もあるでしょう。自社や競合他社の特徴を知り、強み・弱みを的確に発見できます。
失敗しないための注意点
課題把握のステップでは、以下の点に留意しておきましょう。
- 自社が重視すべき課題は何か見極める
- 解決に向けて、社内、経営層などに課題点を共有する準備をしておく
ステップ2:採用ターゲットを設計する
見つかった課題を元に、適切な採用ターゲットの設定に移ります。
具体的な行動とポイント
まず、各部署とすり合わせをしたり、市場調査を行ったりしながら、どのような経験・スキルを持っていると望ましいかといった大まかな採用ターゲットを決めます。
今後の経営目標を確認し、それらを実現するために必要なスキルは何かを考えることで、条件が定まるでしょう。その後、年齢や経験、人柄といった具体的なペルソナの設計を行います。
使えるフレームワーク
ターゲット選定・ペルソナ設計には、3C分析が役立ちます。3つのニーズが重なり合った部分に、理想の人材像が位置するように検討しましょう。
そして、ペルソナ設計で年齢、経験、資格、性格、価値観、企業に求める条件などを設定します。
失敗しないための注意点
採用ターゲットの設計における注意点は、以下の2つです。
- 理想像を追い求めず、リアルさを重視する
- 条件は必須なものとあると望ましいものをわけて考え、細かくしすぎない
ステップ3:採用目標とKPIを設定する
ターゲットを設定したら、目標とする採用人数やKPIを具体的に決めていきます。
具体的な行動とポイント
最初に、採用における最終目標を決定します。採用人数や、人材の質、その比重について考えましょう。
次に、最終的な採用目標の達成のために必要な、中間目標であるKPIを定めます。各フェーズでの応募者数や選考通過率、内定率、採用単価、定着率を検討しましょう。ステップ1で出た課題も、目標・KPIにつながります。
使えるフレームワーク
KPIの設定に使えるフレームワークは、KPIツリー、SMARTの法則です。
まずは歩留まり率などを参考に、最終目標からKPIを設定し、そのKPIを達成するため必要なKPIをフェーズごとに設定し、ツリー式にします。
その後、SMARTの法則に則り、設定したKPIが現実的か確かめます。
「Specific(具体性があるか)」「Measurable(測定できるか)」「Achievable(達成できるか)」「Relevant(自社の事業計画と関連するか)」「Time-bound(期限はいつか)」の5つの観点から検証しましょう。
失敗しないための注意点
採用の目標・KPIの設定においては、以下の3点を意識します。
- 数値の設定だけではなく、質についても考える
- 自社の事業計画と合っているか考慮する
- 経営側にもヒアリングを行う
ステップ4:適切なチャネルと手法を選定する
目標とKPIを設定したら、具体的なチャネルと手法の選定に進みましょう。
具体的な行動とポイント
求人広告や就職・転職イベント、ダイレクトリクルーティング、SNS採用など、多様化しているのが採用チャネルの現状です。
初めに、それぞれ予算の目安を知り、メリット・デメリットを考えましょう。中には、無料で利用できるものもあります。
そして、フレームワークを使い、どのような求人方法であれば、設定したターゲットやペルソナに合う人材を集められるか比較検討します。
使えるフレームワーク
3C分析から、ターゲットがよく使うチャネルを選びましょう。応募率を高めるべく、ニーズに合った応募フローの採用が重要です。
他に、カスタマージャーニーも、各フローで効果的なタッチポイントとなるチャネルを選定する手段として使えます。
失敗しないための注意点
自社に合った目的やKPIを設定するための注意点は、以下の2つです。
- 予算など、自社のリソースを考えながら進める
- チャネルや手法のトレンド、最新情報の動向を把握しておく
ステップ5:面接・選考プロセスを設計する
実際に応募者を選考するプロセスの設計も再考しましょう。
具体的な行動とポイント
選考には、面接以外にも書類選考、筆記・適性試験の他、グループディスカッションといったプロセスが含まれます。
設計したターゲットやペルソナを参照し、自社が求める条件をどのプロセスで見極めるか検討しましょう。選考ごとの形式・時間を考慮し、効果的に評価できる設計が肝になります。
各プロセスでの評価基準を明確にしたら、面接官や担当者全員と評価基準を共有しておきましょう。
失敗しないための注意点
以下の2点が、選考を設計通りに進めるために重要な点です。
- 選考における評価項目の数を適切に設定し、基準を明確にしておく
- 各プロセスに関わる担当者の役割分担を設定しておく
ステップ6:振り返りと改善サイクル(PDCA)を回す
PDCAとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」による業務改善のためのサイクルです。採用戦略に則った採用活動を行った後は必ず振り返りを行い、改善につなげましょう。
具体的な行動とポイント
ここまでのステップを元に戦略を立て、実際に採用活動を行いますが、それで終わりではありません。
PDCAのサイクルに基づき、採用活動の過程や結果について、「Check(評価)」「Action(改善)」まで行うことが重要です。
選考の各プロセスにおいて、応募者数や歩留まり率、設定したKPIは達成できたかなど、データを分析しましょう。客観性のある定量的なデータを活用するのがポイントです。
加えて、入社後の仕事ぶりや定着率についても検討する必要があります。新たな課題を発見したら、採用戦略を立てる際の各ステップに戻り、改善していきましょう。
失敗しないための注意点
PDCAを回す際にも、以下のような気を付けたいポイントがあります。
- 目標に対してどうだったか、定量的なデータを使って分析する
- 数値に対しての評価だけではなく、その結果になった要因を見極める
中小企業の成功事例に学ぶ!採用戦略の実践例
採用戦略は机上の理論だけではなく、実際の企業でどのように活用されているかを見ることが実務へのヒントになります。ここでは、実際に成果を出した中小企業の事例を4つ紹介します。
事例1:IT企業がSNS採用戦略で応募数3倍を実現
社員数50名のIT企業A社では、求人媒体の応募が減少し、母集団形成に課題を感じていました。
そこで、採用ターゲットに合わせたSNSを活用した採用戦略に切り替え。自社の社風や働くメンバーの様子をInstagramやX(旧Twitter)で発信し、カジュアル面談への導線を設計しました。
さらに、ペルソナ設計により「どんな人に刺さる情報か」を明確にしたことで、発信内容の質も向上。
その結果、応募数は従来の3倍に増加し、エントリーから面接までの歩留まりも改善。SNS採用とペルソナの組み合わせは、コストを抑えつつも大きな効果を上げた好例です。
事例2:製造業が3C分析で採用課題を可視化し改善
地方で展開する従業員120名の製造業B社では、「応募はあるがミスマッチが多い」ことが課題でした。
人材要件の見直しに取り組む中で、3C分析(自社・競合・市場)を採用。自社の強み・弱みを棚卸し、競合他社の求人条件や打ち出し方を比較しながら、自社ならではの訴求ポイントを再定義しました。
結果として、「家族との時間が取りやすい勤務体制」「若手でも早くから活躍できる風土」といった魅力が浮かび上がり、採用サイトや求人票にも反映。半年後には離職率が大幅に改善し、「マッチした人材が来るようになった」と実感できる採用活動に変化しました。
事例3:地方企業がペルソナ設計でマッチング率を向上
社員数80名の不動産会社C社では、採用してもすぐに辞めてしまう“早期離職”が課題となっていました。
そこで取り入れたのがペルソナ設計とカスタマージャーニーの活用です。まず、現場で活躍している社員をモデルに理想的な人材像を明確化し、どのような思考・価値観を持っているかを深掘り。
そのうえで、候補者が求人と出会ってから応募・面接・入社に至るまでのプロセスを設計し、「どのタイミングで何を伝えるべきか」を整理しました。
結果、ミスマッチによる早期離職がほぼゼロに。ターゲットに刺さるメッセージ設計が採用の質を左右することを実感できた事例です。
事例4:自社でSWOTとカスタマージャーニーを活用した実践記録
当社自身も、かつては「採用が属人化していて再現性がない」という悩みを抱えていました。そこで導入したのがSWOT分析とカスタマージャーニーのフレームワークです。
自社の採用における強み・弱み、外部環境をSWOTで棚卸しし、ターゲットとなる人材の情報接触の流れをジャーニーで可視化。
例えば、応募前に「社内の雰囲気をもっと知りたい」というニーズを発見し、採用ページに社員インタビューや1日密着記事を追加。
結果として、応募者の質が向上し、一次選考通過率と内定承諾率が改善。属人化していた採用を“戦略”に落とし込めた成功体験となりました。
他社と差がつく採用戦略の改善ポイントとは?
採用戦略におけるよくある失敗例や、改善ポイントをお伝えします。
ありがちなミスとその対策チェックリスト
ここからは、よくある失敗例3つをご紹介します。具体的な改善方法も合わせてお伝えするので、次回の参考にしてください。
応募者は集まっているか?
応募者数が集まらない場合、母集団形成における戦略が不十分で、ターゲットに対する適切な手段を取れていないことが考えられます。
改善のためには、ターゲットが使うチャネルの把握が大切です。リソースがあれば、複数のチャネルの活用も効果的です。
担当者の間で評価がぶれていないか?
経営層や採用担当者の間で人材像の認識が合わず、評価がぶれる要因は、ペルソナ設計の不足にあります。
その際は、経験やスキルなどの条件のみならず、自社へのイメージや働き方の価値観まで作りこめているか確認しましょう。主観的な判断を防ぐため、フレームワークを活用した客観的事実の活用が重要です。
内定辞退は増えていないか?
内定辞退が多い場合、選考プロセスで候補者の志望度が計れていない可能性があります。
対策として、面接の中で「自社のどのような点が魅力的か」「入社後どのように活躍したいか」などの設問の導入が挙げられます。合わせて、自社の魅力の発信にも力を入れましょう。
現場と戦略がズレていないか?社内連携を再確認
採用の目標を達成し、よりよい人材を確保するには、経営層や各部署との連携が不可欠です。
ギャップが生じないよう、経営理念や事業計画の認識を統一した上での戦略への落とし込みが肝となります。なお、ミーティングや社内ツールにおける、情報共有の仕組みの整備も大事なポイントです。
実行可能性と優先順位を見える化する方法
採用戦略の実行可能性について判断する際は、社内のリソース確認が欠かせません。その中で、KPIを基に、重要度や緊急度、費用対効果の面からアクションの優先順位を決めましょう。
カスタマージャーニーのフレームワークに落とし込んでおくと、プロセスごとの戦略がわかりやすくなるためおすすめです。
採用戦略を成功に導くための注意点とは?
最後に、採用戦略を策定し、実行する上での注意点を確認しておきましょう。
「戦略があっても動かない」落とし穴に注意
戦略を採用活動で実際に活用できない場合、担当者のスキルや社内連携の不足が考えられます。各プロセスの担当者は普段からスキルを高め、戦略を確実に実行できる体制を構築しなければなりません。
中でも、面接担当者のスキルは、よい人材の確保のためのポイントです。また、情報共有の仕組み・連携体制づくりも、戦略を実行する上で重要です。
定義やフレームワークに縛られすぎないことも大事
採用戦略を考える上で定義やフレームワークは大切ですが、縛られすぎてもよくありません。固執しすぎると、目的がすり替わってしまう可能性もあります。自社に合わせて、効果的に取り入れましょう。
働き方や価値観も変化し、採用チャネルも増えている現代では、柔軟性を持った採用戦略の策定が必要です。
現場の納得感と協力が成功のカギになる
社内に採用戦略を周知し、社員の理解・納得感を深めておきましょう。社員に対し採用戦略についての説明の時間を取ったり、社内ツールで資料の共有をしたりします。
あらかじめ社内の連携を強めておけば、内定者が入社したあとの各部署との体制構築まで不足なく行えます。経営層からのサポートも得やすいでしょう。
まとめ|自社に合った採用戦略で長期的な成果を得よう
今回は、採用戦略について、事前準備からフレームワークの使い方、具体的な戦略の立て方、注意点まで幅広く解説しました。採用戦略の中小企業における具体例も、ヒントとしてお役立てください。
採用戦略の策定においては、フレームワークを活用すると効率的です。リソースが割きにくい中小企業の負担軽減にもなるでしょう。
そして、PDCAを回すことで、長期的な採用活動の改善のシステムが整えられます。
ぜひこの記事の内容を基に、自社に合った採用戦略を立て、よりよい人材の確保につなげてみませんか。




