採用プロセスとは?作り方やメリット、改善方法【課題別の対策付き】

採用プロセス

採用プロセスとは、採用全体の流れを表したものです。採用プロセスは採用活動を成功させるために重要な項目です。

ただし新卒採用と中途採用では、求める人材や実施する内容が異なります。そこで今回は、一般的な採用プロセスの流れやよくある課題などをご紹介します。

自社の採用プロセスに不安がある方は、解決策や採用活動を最適化するポイントもチェックしましょう。

この記事を参考に自社の採用プロセスを見直し、採用活動を成功へ導いてください。

採用プロセスとは?

採用プロセス

採用プロセスとは、何を指しているのでしょうか。新卒採用と中途採用での違いも一緒にチェックしましょう。

採用プロセスの基本概要

採用プロセスとは、新卒採用でも中途採用においても、採用計画を立てるところから内定後のフォローまで、採用活動全体の流れを表したものです。

企業が必要としている人材を見極め、内定に至るまでの流れをフロー化したもののため、採用フローと呼ばれる場合もあります。

採用プロセスには、採用計画の策定から入社手続きまでの幅広い業務が含まれています。

新卒採用と中途採用の違い

採用プロセスにおけるスケジュールは、新卒採用と中途採用で内容が異なります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

〈新卒採用〉
新卒採用は政府によって活動が制限されており、採用活動の開始や入社の時期はどの企業もほぼ同じです。2025年度卒の場合は、大学3年の3月に広報活動が解禁、大学4年の6月から採用活動が解禁されました。

とはいえ、大学3年の6月からインターンシップを始める企業もあり、採用活動の早期化が進んでいます。

新卒生に向けた採用プロセスを組む際には、政府から発表される次年度の採用スケジュールを守りつつ、前もって学生へのアプローチを行う必要があります。

〈中途採用〉
一方で、中途採用の採用プロセスには決まりがありません。事業の拡大や欠員補充を目的に中途採用を行うため、時期に縛られることなく自由に採用プロセスを策定できます。

また中途採用は、主に即戦力になる人材を求めているため、退職者が増えやすい年度末などに採用活動が活発になる傾向です。

一般的な採用プロセスの流れ

採用プロセス

次に、一般的な採用プロセスの流れをご紹介します。

採用プロセスには決まりがないため、自社の目的に合わせて内容を調整してください。ステップ5まで順番にチェックしていきましょう。

ステップ1|採用計画の策定

まずは、採用計画の策定を行います。自社にはどのような人材が必要なのか、何人募集するのか、いつまでに入社してもらう必要があるのかなど、採用の目的を明確にします。

この計画によっては採用方法が異なるため、具体的な数字を用いて決めると良いでしょう。

採用計画が固まってきたら、自社がターゲットとする人物像を明確にします。

入社後のミスマッチを引き起こさないためにも、必要な経験やスキル、価値観などを担当者の間でまとめておきましょう。

ステップ2|求人募集・母集団形成

自社が求める人材や採用方法が明確になったら、求人募集をします。

母集団形成のため、求人媒体への掲載やインターンシップ・企業説明会の実施などを行うのが一般的です。

ただし、確保したい人材によって適した手法を選ぶ必要があります。

例えば、専門的なスキルを必要とするエンジニアやデザイナーを募集する場合、求人を掲載して募集を待っているだけでは求めている人材を採用できる可能性は低いでしょう。

その理由としては、優秀な人材はダイレクトスカウトで企業に引き抜かれ、そもそも求人に応募していない場合が多いからです。

経験やスキルだけでなく、人柄や価値観を重視して採用したい場合には、ビジネスSNSでブランディングに力を入れ、気になる候補者を直接スカウトする方法があります。

このように、求める人材に合わせて募集方法を変えることが大切です。

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ステップ3|企業説明会・カジュアル面談

自社の認知を広め、興味を持ってもらうための手段として、説明会を行う企業は多いでしょう。

説明会では企業や仕事内容について紹介するのはもちろん、既存社員との交流の場を設け、会社の雰囲気や仕事のやりがいなどを伝えてもらうのが効果的です。

最近では、求人情報サイトの合同説明会などに参加し、オンライン開催する企業も増加しています。

また、カジュアル面談を実施する企業も増えています。カジュアル面談とは、気さくな雰囲気の中で情報交換ができる場です。

選考とは関係のない気軽なイベントのため、多くの候補者に参加してもらいやすいでしょう。

ステップ4|書類選考・面接

応募者が集まったら、採用に向けて書類選考や面接に進めていきます。

書類選考では、新卒採用なら履歴書やエントリーシート、中途採用では履歴書・職務経歴書の提出してもらいます。

経験やスキルを必要とするクリエイティブ職では、ポートフォリオの提出を求める場合もあるでしょう。書類選考後は1~3回ほど面接を行い、仕事に対する価値観や経験・スキルを見極めます。

このとき、採用担当者だけでなく配属予定部署の社員にも参加してもらい、候補者を判断すると良いでしょう。

新卒一括採用の場合には、集団面接やグループワークを実施している企業もあります。

近年では、オンラインで面接を行う企業も増えてきています。時代の変化に合わせて多様な採用方法を検討すると良いでしょう。

ステップ5|内定・入社フォロー

採用活動は、入社に向けての候補者フォローまでがセットです。内定を出しても、内定辞退や早期退職されてしまっては、これまで努力してきたのが水の泡となってしまいます。

内定を出した後も内定者と連絡を取ったり、面談を実施したりして、フォローをしていきましょう。

また、内定者同士や社員との交流会や内定者アルバイトの機会を設けるのもおすすめです。入社後はメンター制度を構築し、新入社員へのヒアリングをするなど、企業内の体制を見直しましょう。

採用プロセスを設計するメリット

続いて、採用プロセスを策定するメリットについて解説します。採用プロセスを定めることで企業が得られるメリットは、大きく3つあります。

採用活動の効率化ができる

自社が求める人材像や人数が明確になっていなければ、むやみに募集をかけることになり、採用に時間がかかり過ぎる可能性があります。

採用の目的や具体的な数字を決めれば、理想の人材にアプローチしやすくなり、効率化できるでしょう。また、イベントを通じて十分な母集団を形成することで、必要な人材を採用しやすくなります。

採用コストを最適化できる

企業が求めている人材があまり利用していない求人媒体で募集を続けても、採用ペルソナにマッチする応募応募は見込めません。

適切な求人媒体を利用することで、無駄な出費が抑えられ、その結果採用コストを最適化できます。

ミスマッチを減らし、定着率を向上できる

早期退職者の離職理由として多いのが「思っていた仕事と違う」という内容です。

説明会や面接などの各プロセスの中で社風や仕事内容を正確に伝えておけば、内定前にミスマッチがないかを互いに判断でき、離職率を減らせるでしょう。

採用プロセスにおけるよくある課題とその解決策

採用プロセス

採用プロセスを進めていくにつれ、問題が出てくる可能性も考えられます。ここでは、採用プロセスのよくある課題とその解決策をご紹介します。

応募が集まらない

よくある課題の一つ目は「応募が集まらない」ことです。応募者がいなければ採用にはつながらないため、早急に改善する必要があります。

まず、応募者が少ない原因として考えられるのが、自社の魅力をアピールしきれていない点です。求人媒体に掲載する文章や説明会の内容を考え直さなければなりません。

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求人に応募が来ない

自社に合う人材と出会えない

応募者は一定数いるけれど、求めている人材ではないというケースもあります。

この場合には、適切な採用ペルソナを再度確認し、それにマッチする採用手法や選考基準を整えることが解決策として挙げられます。

内定辞退が多い

内定辞退が多い理由には、内定後のフォローが適切でない可能性があります。

内定後も定期的に連絡をとって不安感を取り除いたり、入社への気持ちを高めるためのイベントを実施したりしましょう。

また、年収などの労働条件を理由に内定辞退されることがあるかもしれません。

この場合、企業の成長性や社風など別の魅力で応募者を引き付けられるよう、各プロセスでアプローチしておくことも大切です。

入社後のミスマッチ・早期離職が多い

入社後に早期退職してしまう理由としては、内定者が思い描いていた社風や仕事内容などと現実とにギャップがあることが挙げられます。

ミスマッチへの対策として、説明会や面談で仕事内容を誠実に伝え、現場の社員との交流を図るなどし、ギャップを減らすよう努めましょう。

また、入社後は人材育成や研修に力を入れるなど、入社してからの対応にも注力が必要です。

採用単価が高騰している

人材不足や採用手法の多様化により、採用にかかるコストは年々高騰する傾向にあります。

採用目的や欲しい人数によって複数の求人媒体を利用する場合、その分の掲載料や広告料がかかり、採用コストもより高くなります。

また、インターンシップや説明会などのイベントを実施する場合、場所の貸出料や冊子の作成なども負担になるでしょう。

説明会や面談はオンラインを活用し、掲載は必要な求人サイトのみに絞るなど、採用単価の見直しが重要です。

採用プロセスを改善する具体的なポイント

最後に、採用プロセスを改善するポイントをご紹介します。自社で採用プロセスを策定しているものの、思うような結果につながらないと悩んでいる採用担当者の方は必見です。

採用ペルソナを明確にする

「応募が少ない」「早期退職が多い」などは、不明確な採用ペルソナによって起こりやすい問題とされています。

求めている人材を明確にするのが難しい場合、優秀な社員の経験やスキル・人柄などをモデルに、採用ペルソナを設定すると良いでしょう。

そして、これに当てはまる人物が応募したくなるような求人情報や説明会の実施、入社後のフォロー体制などに近づけていくのが重要です。

社内で採用プロセスを統一・共有する

採用プロセスの策定や選考などは採用担当者の業務になることが多いでしょう。

しかし、入社後に新入社員の担当を請け負うのは現場の社員です。そのため、採用ペルソナの決定や研修内容には、現場社員の意見も取り入れましょう。

また、採用プロセスを決定したら、社内で共有することが大切です。

採用管理システムを導入する

採用プロセスを進める中で、人員の不足や業務の過多が問題となっている場合には、採用管理システムを導入するのがおすすめです。

面倒な作業をシステム化することで採用活動を効率的に行えます。

また、限られたリソースを面接などのコア業務に専念させられ、ひとりにかかる仕事量を減らしながら質の高い採用活動が目指せるでしょう。

採用代行サービスの活用を検討する

採用プロセスを作ったことがない企業や、採用活動の満足度を上げたい方は、採用代行サービスの活用もおすすめです。

一緒に採用プロセス全体を考えてもらえたり、応募者選定や内定者のフォローなど一部の業務を任せたりと、サービスによって内容は異なります。

自社のみで企画する採用プロセスに限界を感じたら、外部のサービスに頼ってみてはいかがでしょうか。

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まとめ

採用プロセスは、自社が必要とする人材を確保するためのものです。

採用に課題がある場合は、この記事で紹介した解決策やポイントを参考に、採用プロセスを見直してみましょう。

採用プロセスが最適化され、採用活動が成功することを願っています。

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