中途採用の人事が抱える悩みとは?課題解決のためのポイントを解説

中途採用 悩み

「労働人口の減少」「売り手市場」「多様化する採用ツール」など、今までの採用手法や知識・経験だけでは難しくなる未来が、すぐそこまで来ており、中途採用で優秀な人材を確保するの段々と難しくなりつつあります。

この記事では、そもそもの中途採用市場の現状や自社の採用課題の見つけ方から改善事例まで、中途採用の人事が抱える悩みの種を解消するためのポイントを一気に紹介します。

中途採用市場の現状

近年では売り手市場と言われるほど、労働人口は減少傾向にあります。

2030年には644万人の人でが不足すると言われ、推計の結果2030年には、7,073万人の労働需要に対し、6,429万人の労働供給しか見込めず、「644万人の人手不足」となる見通しが立っています。

日本の将来人口

参考:日本の将来推計人口(平成29年推計)報告書を元に作成

労働供給

画像引用:パーソル総合研究所

また世界と比較しても、日本企業の89%もの企業が人材不足を感じており、世界平均45%の倍近くある日本のGDP成長率が193か国中、167位(IMF2018年統計)という実態を踏まえると人口減少が労働市場にも影響を与えています。

日本 GDP成長率

参考:マンパワーグループの「2018年人材不足に関する調査」を元に作成

その中で大手企業と中小企業の採用状況はどのように違うのか見ていきましょう。

大手企業の採用状況

最近の大手企業は、その知名度や人気を活用したオウンドメディアでの採用が増えつつあります。

すでに市場で知られている企業であれば、「社名 中途採用」などと言ったように直検索からの流入も期待できます。

そのため、自社で採用ページや採用ブログを作り、コンテンツを充実させてページを訪れた求職者が更に興味を持ち、実際に応募をして選考に進むまでの流れを作る企業もあります。

中小企業の採用状況

中小企業やベンチャー企業の場合、キャンペーンやチケットを活用した求人広告を打つことで、効果的に母集団を形成を行う企業が多いです。

また大手企業とは異なり、中小企業だと知名度が低いため、ダイレクトリクルーティングを利用した採用も増えつつあります。人広告の待ちのスタイルと、ダイレクトリクルーティングのプッシュ施策を平行しながら母集団形成に務める企業がここ数年で増加傾向にあります。

中途採用だからこそ生まれる悩み

中途採用ならではの悩みや課題を説明する前に、そもそも新卒採用と何が違うのか確認してみましょう。中途採用と新卒採用で大きく違う点は、求める人物が即戦力かポテンシャルかです。

新卒採用で重視される部分は、今後の活躍や成長意欲を見越したポテンシャルです。基本新卒採用者は社会人経験がないため、業務経験や即戦力人物として求められていません。

素直さや人間性、価値観や考え方など、今後その企業でどれだけ活躍できるか、どれだけ成長意欲があるかなどのポテンシャルを重視します。

一方、中途採用ではそれまでの業務経験や知識、スキル、実績を重視するため、その企業で即戦力として活躍できる人材かどうかを判断しています。新卒採用との違いについて理解したうえで、中途採用だからこそ生まれる悩みを3点にまとめました。

求める人物に出会えない

中途採用では専門の知識や経験が必要な人材がターゲットとなるため、母集団形成が難しいケースが多々あります。〇〇の経験が何年以上、▲▲の資格が必須など、その業界・職種に特化した人材を採用するため、そもそも母集団形成が難しい採用市場です。

社風に合わない

せっかく求めるスキルや経験を持った人物に会えたとしても、社風に合わないケースが多々あります。

新卒採用であれば会社説明会から採用パンフレット、動画説明など自社の魅力を伝えた上で選考に進めて行きますが、中途採用では応募者との接触タイミングが少ないため、相互理解できないまま選考に進まれ、結果的に社風に合わなかったとなることもあります。

採用単価が高い

新卒採用に比べて、これまでの経験・スキルがある人物をターゲットとするため、採用単価が上がってしまいます。

採用単価とは、一人当たり採用するために掛かった費用のことで、求人広告への掲載費用はもちろん、紹介会社であれば成功報酬費、また採用に携わる人事関係者の人件費も採用単価にあたります。

どうやってより多くの母集団を獲得するか、いかに優秀な人材を自社へアプローチするか、中途採用において悩まれる企業は多くいます。

自社への魅力付けが難しい

dodaを運営するパーソル社が調査したところ、転職活動を始めてから内定までに応募した求人の平均数は19.4社という数値が明らかとなりました。

20社近くに応募する中で最終決定する1社に残るために、いかに自社に興味を持ってもらうか、優先度を上げさせるかが重要となってきます。

自社はどこで苦戦してる?採用課題の把握方法

中途採用 採用課題の把握

中途採用活動においてどこで苦戦しているか、課題の把握をするためにはKPI(目標を達成するために行う具体的な行動指標)を設定・見直すことで、明確となります。

採用プロセスにおけるKPIとは応募数や面接設定数、面接通過率や入社承諾率などが挙げられます。もし、これからKPIを立てる際は、過去の実績をもとに設定することをおすすめします。

設定したKPIと現状の実績を比較したうえで、自社の中途採用はどこで苦戦しているかの課題を把握しましょう。

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採用現場におけるKPI

中途採用の人事が抱える悩みとその解決策

採用プロセスにおけるKPIを設定した際に見えてきた課題や、実際に中途採用で他社が悩まれるポイントと、その解決策を説明します。

もし自社の中途採用で当てはまる悩みがあれば、参考にしてみてください。

面接中のネガティブな発言

面接時に「ネガティブ」な発言を聞いてしまうと、マイナスな印象ばかりが強くなり不採用通知を送ってしまうこともあるのではないでしょうか。

面接時のネガティブな発言例と、その解決策をお教えします。

1.人間関係の悪さ

自身のコミュニケーション方法に問題があるように捉えがちですが、「雰囲気の良い職場で働きたい」or「周囲と協力しながら仕事をしたい」という気持ちの表れともとれます。

社内環境の相性にもよりますが、人間関係で退職=コミュニケーション能力に問題があるといった認識に偏らず、本来の良さを引き出すことを意識しましょう。

2.プライベートの時間が欲しい

残業が皆無の企業はかなり少ないので、プライベートの時間が欲しいと言われるとネガティブな発言と捉えてしまいますが、「時間を有効活用、業務を効率的にこなして更に成果を上げていきたい」という思いがあるかもしれません。

そのうえで、どうすることで業務が効率化するとお考えなのか、もしくはどんな進め方をしていきたいのかといった求職者への興味に少しでも変わっていくのではないかと思います。

3.自社の商品に魅力を感じず、営業成績が伸ばせなかった

商品のせいにしたネガティブ発言に見えますが、裏を返すと「自社の商品を理解し自信を持って売りたい!」という仕事に対するプライドがあるとも捉えられます。

特に同じ営業職として応募してきている場合は、貴社の商品に興味を持っている、魅力がある、売りたい!と考えている可能性も大いにあります。

なかなか即戦力にならない

せっかく採用できたものの、なかなか即戦力にならない原因はどこにあるのでしょうか。大きくは「前職とのギャップ」と「社風とのミスマッチ」の2つが考えられます。

1.前職とのギャップ

前職での仕事の進め方や管理方法など、これまでのやり方と異なる場合、新たな環境でのやり方に適応するまでに時間がかかってしまい、なかなか能力を発揮することができなくなります。

また過去成功体験がある場合だと過去のやり方に拘りすぎてしまい、結果が出にくいケースもあります。この解決策はズバリ、入社前の選考段階で見極めることです。

これまでのやり方ではなく新しいことを吸収し、自発的に動けるかどうかを見極めることができれば即戦力か、またはいずれ即戦力となる人材かどうかが判断できます。

もちろん面接内で“過去”の実績や経歴についてアピールされることは当然ですが、これからの“未来”では、新しく学ぶことに対してどう感じているか確認する必要があります。

2.社風とのミスマッチ

社風は企業によってかなり異なるため、社内用語やカルチャーに上手く馴染めずに、従来のパフォーマンスを発揮できず、コミュニケーションエラーや生産性が下がってしまう可能性があります。

このミスマッチを防ぐには、採用担当者や面接官の主観のみで自社・社風に合っているか否かを判断するのではなく、適性検査などツールの導入や現場社員とのカジュアル面談による客観的な判断をすることが重要です。

カジュアル面談のほうが費用がかからず、おすすめです。こちらの記事で、カジュアル面談のメリットや質問例、導入事例に紹介しているので、あわせて見てみてください。

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カジュアル面談

採用課題解決のために心掛けるべき4つのこと

企業によって抱える採用課題は千差万別だと思いますが、採用課題の解決のために「やるべきこと、意識するべきこと」をお教えします。

下記を心がけるだけでも、応募者への対応や採用決定率に影響するため、参考にして頂ければと思います。

自社の魅力を整理する

まずは自社の魅力は何か、他社とどう違うのかを整理したうえで言語化できるようにしましょう。応募者に対して「働きたい会社」と思ってもらうためには、まず自社の魅力を整理しましょう。

求める人物像を言語化する

自社の魅力を言語化したら、次は求める人物を言語化しましょう。イメージで人物を捉えると、現場社員間での認識の相違や応募者も入社後のギャップによる早期退職に繋がってしまいます。

求める人物のスキルや経験、人物像の言語化はもちろん、自社内でのハイパフォーマーを元にバックグラウンドを想定し、どんな企業でどんな経験・転職先を探しているかなど整理すると良いでしょう。

求める人物要件に合った採用手法の把握

採用手法においては、「これを使えば間違いない!」といった万能なものはありません。求める人物が使う転職手法は人材紹介でしょうか、転職サイトでしょうか、もしくはSNSを利用しているかもしれません。

どの手法が“使いやすいか”ではなく、どのツールが「求める人物に合っているか」で判断しましょう。もし、どの採用手法が適しているか分からなければ、複数の採用手法を客観視できる採用関連の代理店に問い合わせてみてください。

弊社キャリアマートでは、中途採用コンサルティングも行っており、多角的な視点から貴社に適した採用手法をご案内いたします。

ターゲットの設定から競合他社の分析、運用のサポートまで行っていますので、詳しいサービス内容や料金プランなどは、下記ページをご参考ください。

中途採用コンサルティングサービスの詳細はこちら

スピード勝負

中途採用 スピード

パーソル社によると、転職活動を始めてから内定までに応募した求人の平均数は19.4社。その中の1社に選ばれるためには、自社の選考を優先的にしてもらう必要性があります。

同じくパーソル社の発表した書類選考と採用決定率の関係によると、書類選考から2日経過するだけで採用決定率は30%も下がり5日経過すると40%、8日経過すると半数の50%にまで減少することがわかりました。

慎重な選考も重要ですが、スピーディーな選考は他社選考への決定を阻止し、自社選考の優先度を上げることができます。

中途採用 他社の改善事例

キャリアマートでは年間2000社以上、延べ数では2万社近い企業の採用支援実績があります(新卒採用含む)。

ここではキャリアマートのお客様であった課題と改善事例を紹介します。

業種:不動産開発

中途採用 改善事例1

  • 従業員数:20名
  • 職種:営業職

これまでマイナビ転職にて※上位2位企画を8週間掲載を3回連続で行っていましたが採用数は0。

そこで各媒体の採用ターゲット人数を調べたところ、リクナビNEXTとビズリーチにてターゲット登録者数が多いことが判明しました。

リクナビNEXTの掲載型とビズリーチによるダイレクトリクルーティングを行った結果、5名の採用に繋がりました。

※転職サイトでは求職者が検索した際に、掲載企画によって表示順番が変わります。上位2位企画であれば、検索一覧にて2番目に表示されます。

業種:人材派遣

中途採用 改善事例2

  • 従業員数:1000名
  • 職種:法人営業職

これまでマイナビ転職にて(※)最上位企画を年に2回掲載していましたが、より採用数を伸ばしたいと依頼を頂いたため、利用データベースの変更と掲載企画を見直しました。

するとdodaでは同業他社求人のボリュームゾーンから上位2位企画でも効果的と判明、また掲載期間を6回連続にすることで年間での新規会員登録者の獲得やチケット購入によるコストメリットを可能にし、採用数を5名伸ばすことができました。

※マイナビ転職の最上位企画では、求職者が転職サイトで検索した際に一覧画面で1番目に表示されます。

業種:IT(Sier)

中途採用 改善事例3

  • 従業員数:1000名
  • 職種:約20職種

転職エージェントを10社使って採用を行っていたが、内定承諾率が54%とボトルネックになっていました。そこで面接調整業務をアウトソースすることで、人事部内で戦略強化を行う時間を創出。

手間をかけられず、エージェント任せだった職種の一部を求人媒体募集に切り替えたことで、コストカットにも成功しました。

まとめ

現在、中途採用市場では多様化するツールと人材不足がますます深刻化しています。自社のターゲットに合った採用手法や採用フローを改めて見直すことで、どこに課題があるかをしっかりと把握し、優秀な人材・即戦力の確保に努めてみてはいかがでしょうか。

求職者側での目線に立った採用活動や、スピーディーな選考フローなど、中途採用における基礎的な部分の徹底と、改めて全体的な戦略の見直しをされることをおすすめします。

こちらの記事で、中途採用の特徴や採用手法、一般的な採用フローについて紹介しているので、あわせて見てみてください。

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