DODAが行った転職求人倍率調査によると、2020年9月の求人倍率は1.61倍(前月比-0.04pt)。転職希望者数は前月比105.4%、前年同月比111.4%でした。
転職希望者数が増加しているのに、「なぜか”ターゲットとなる人材”を確保できない…」と、多くの時間や労力を費やしてはいませんか?
しかし、たった一つの工夫をするだけで採用成功率を高められるんです。それは…
採用CX(Candidate Experience)に注力すること。
採用CXと言われても良くわからないですよね?
- 色々な形で募集をかけているが、なかなか採用に結びつかない
- 採用しても定着率が悪い
- 相互理解をした上で採用したい
というお悩みの方は、必ずタメになりますので、ぜひ最後までお付き合いください!
そもそも「採用CX」とは?
採用CXとは、『Candidate(=候補者) Experience(=体験)』の略で『候補者体験』のことです。
つまり、採用CXとは、候補者(求職者)が企業を認知してから選考〜採用されるまでに起こる全ての体験(タッチポイント)のことを指します。※タッチポイントについては後程ご説明します。
候補者が企業を認知する時には、HPやSNS・口コミを確認するので、ここにも注力する必要があり、入社する・しないに関わらず、会社の魅力を前面に伝え、候補者(求職者)に少しでも良い体験(タッチポイント)を提供していこうというのが採用CXの概念です。
採用CX(候補者体験)が重要な理由
なぜ今、採用活動においてCXが必要なのでしょう?その背景には以下が挙げられます。
1、「優秀な人材が確保しづらい」
2、「少子化(若手人材不足)による終身雇用制度の崩壊」
3、「インターネットの普及で採用・選考情報がオープン化」
1、優秀な人材が確保しづらい
新型コロナウイルスの影響を受ける以前、有効求人倍率は上昇し続けていました。そのため、複数社で1人の求職者を奪い合うことになり、採用CXをしっかりと決めて採用活動をしていくことが重要視されていました。
現在、下降気味の有効求人倍率をみて「買い手市場に移行しつつあるんじゃないの?」と思うかもしれませんが、依然として倍率は1倍以上を保っています。
データ参照:厚生労働省(一般職業紹介状況)
つまり、コロナウイルスの影響を受けたからと言って「優秀な人材を採用することが難しい状況」は変わらないというわけです。
2、少子化(若手人材不足)による終身雇用制度の崩壊
第二次世界大戦以降、これまで多くの企業が「終身雇用制度」を導入してきました。しかし、2019年経団連が「企業が終身雇用を続けていくのは難しい」と言及します。
その背景には少子化の影響があり、不足している若手人材確保のために「成果主義」を導入し始めている企業が増えていることが挙げられます。
データ参照:厚生労働省
ご存じの通り、人口は年々減少傾向です。厚生労働省による2020年9月の発表では、出生数は過去最少の86万5239人でした。
現在1995年生まれの25歳(新卒3~4年目世代)は約119万人いますが、10年後2030年の25歳は約106万人(-11万人)。さらに10年後の2040年には、約101万人(-18万人)。25年後には、今よりも約32万人第二新卒世代が減少することになります。
不足していく若手人材をより多くの企業で奪い合う。その中で自社を選んでもらうために、様々な方法でアプローチしていく必要性が増しています。
3、SNSによる採用情報の透明化
インターネットが普及したことで、口コミやSNSに誰でも簡単に、思ったことや感じたことを公開できる時代になりました。
求職者が「認知」の段階でマイナスなイメージを持ってしまえば、次の「応募」のフィールドには上がってきません。企業側は求職者に悪い印象を与えることなく、より良いイメージ雰囲気の情報を発信し続けていく必要が出てきています。
採用CXを立案・改善するために
自社における採用CXを決める・改善するためには、以下が重要になってきます。
1、採用CX(候補者体験)のフェーズにおいて、どのようなタッチポイントがあるのかを整理する
2、ペルソナ設定をする・見直す
採用CXのタッチポイント
採用CXには、「認知・応募・選考(面接、面談等)・内定入社(採用)」という4つのフェーズが存在します。その4つのフェーズの中で候補者(求職者)に対して、どのようなタッチポイント(体験)があるのかを洗い出して、整理していきます。
1、認知
認知の段階では、いかに自社が魅力的であるかを伝える必要があります。そのためにはHP(採用サイト)やSNS、youtubeなどを駆使し、求職者に「面白そう」「働いてみたい」と思ってもらえるような対策を施していきます。
タッチポイント例
・インタビュー記事(人、組織、事業、待遇)
・求人票
・プレスリリース
・ウェブメディアへの露出
・社員SNS
・SEO
・Youtube
・コーポレートサイト
・採用サイト
・自社イベント・交流会
2、応募
多くの求職者は、一括応募など転職サイトの機能を利用して、複数の企業に応募しています。その中で、次の選考へのステップに進んでもらうためには、やり取りのレスポンスは出来るだけ早く対応し、選考(面談)日程を決める必要があります。
タッチポイント例
・求人票
・スカウトメール
・リファラル
・人材紹介
・SNSのDM
・応募フォーム
・採用担当者からの返信
3、選考(面接・面談)
選考も応募段階と同じく、レスポンスの早さは大切です。またこの段階で初めて顔を合わせることになると思いますので、第一印象も重要です。
面接時の対応次第で入社の意欲が変わってきますので、「和やかな雰囲気で面接ができたか」「応募者の理解欲求を満たせたか」など、いかに応募者に寄り添った対応ができるのかがカギになります。
タッチポイント例
・オフィスに入った時の社員の対応・挨拶
・オフィスの雰囲気・内装
・採用ピッチ資料
・面談時のアイスブレイク
・面接官の質問
・求職者の質問に対する回答
・クロージング
・1日体験入社
・選考中のコミュニケーション
・インタビュー記事(人、組織、事業、待遇)
・ウェブ面接
4、内定/入社(採用)
複数社に応募し、同時にいくつも内定をもらっている応募者も多くいます。内定を出したからと言って必ずしも入社してくれるとは限りません。「内定フォロー」というと新卒のイメージが強いですが、中途採用においても「内定フォロー」は必要になります。
タッチポイント例
・条件交渉
・内定通知
・内定フォロー
・社内イベント参加
・入社前研修 (情報参照:HeaRbook)
ペルソナの設定
自社の魅力をどんな人に(年齢、性別、家族構成、今までの経験、今後の目標)伝えるのかを考えることでより採用CXの立案〜成功までの確率が高くなります。
ペルソナ設定のポイントはこちらの記事でご紹介してます!ぜひご覧ください。
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採用CXの導入・施策事例
「CX=Candidate Experience(候補者体験)」向上支援のHeaR株式会社は、候補者が企業を認知してから選考を終えるまでのタッチポイント108項目とCX向上に向ける事例を公開しています。無料で108項目ものタッチポイントが公開されているようなので、すぐに取り組みたい方は参考にしてみるのもありかもしれません。(情報参照:プレスリリース)
では、BtoBとBtoCに分けて採用CXの導入施策事例から成功ポイントを紐解いていきましょう。
事例BtoB)Salesforce(セールスフォース)社
openwork調査の「働きがいのある企業ランキング2020」で第1位に輝いた、クラウド型の営業支援ツールを提供するSalesforce(株式会社セールスフォース・ドットコム)は、優れた採用CXが行われていることでも有名な企業です。
面接官や採用担当のトレーニングと、適性検査などのアセスメントツールを活用し、潜在的に候補者(求職者)を偏った視点で判断することを防ぐ策を講じています。また、採用専用サイトをしっかりと作りこみ、候補者に対しての採用情報・採用プロセスの概要を明確に説明しています。
事例BtoC)メルカリの成功施策
ここ数年で急成長を遂げている株式会社メルカリでは、2018年、選考の結果たとえ不採用であっても「選考を受けてよかった」と思ってもらえるための施策を行いました。
実施内容は、「候補者アンケート」。選考活動に対するフィードバックを候補者から得ることを目的としました。
企業規模が拡大したことで、応募職種やポジションも増え、採用に関わる人数が100名を超えるようになってしまったことをきっかけに、面接の構造化・面接官トレーニングを試験的に行っていたそうです。
そこで、面接官の質を高めるだけでなく、選考を終えた候補者の方にアンケートを実施し、その内容を踏まえて定期的に施策を見直しています。
このアンケートは2018年11月から始めた新たな取り組みですが、面接や選考前の情報などのフェーズごとに、メルカリの選考に対する満足度を質問する形で実施しています。 (引用元:SELECK)
メルカリのようなBtoC企業は特に、候補者(求職者)がユーザーであることが多いため、良い印象で終わらせることがその後の企業成長に繋がってきます。メルカリが実施したこの採用CX事例、ぜひ、参考にしてみて下さい!
まとめ
採用CXは、今の採用市場では非常に重要な取り組みです。この採用難の時代だからこそ、採用CXの重要性が高まっています。
候補者(求職者)が会社を認知したタイミングで好印象を持ってもらい、実際の社員との面談を通して、働く魅力をよりイメージしてもらいやすい体験を作ることが、優秀な人材を採用する可能性に繋がってきます。
ただ、重要だからといって、採用CXを難しく考えすぎる必要はありません。それぞれの企業によって、大切にしていること・魅力・らしさは異なっています。
だからこそ、ちょっとずつ修正しながら徐々に成長していくことが大切です。何事も始めることが大切なので、ぜひ本日からスタートしてみてください!
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