少子高齢化による労働人口減少が、日本企業の採用難を加速させているといえます。
そんな採用難の中、採用手法の一つである『運用型求人広告』を活用したいと考える人事担当者も多いのではないでしょうか。
この記事では、そもそも運用型求人広告とは何かをはじめ、その仕組みや取り入れるメリットなどについて解説していきます。
すでに行っている採用手法に運用型求人広告を取り入れ、効果的な採用活動が行えるよう、ぜひチェックしてみてください。
運用型求人広告とは
運用型求人広告とは、運用型広告のなかでも求人を目的に運用されるWeb広告のことです。そもそも運用型広告とは、Web上で表示される広告の総称を指します。
一般的な求人広告は、契約の際に掲載する記事の内容、料金や期間を決定すると、掲載後にプランの変更は行えません。
そのため、契約時にどのような内容で掲載するのかを決める必要があり、初期の段階がとても重要となります。
掲載後も内容を含め、料金や期間の調整・変更ができます。
インターネットの技術が発展するとともに、効果的な求人や採用活動を行える方法として、運用型広告を採用する企業が増えているのでしょう。
運用型求人広告の仕組み
運用型求人広告で採用されているのは、「オークション形式」です。オークション形式とは、いくつかある広告の中で、順位の高いものから順に表示される仕組みのことをいいます。
オークション形式では、広告を出したい企業が広告の内容と予算を決定し、広告枠に入札する希望を提示します。
広告枠のあるWebページにユーザーがアクセスするたびに入札が行われ、入札額や広告の品質などを総合的に比較検討したうえで、表示広告が決まる仕組みです。
運用型求人広告の課金形式
運用型求人広告の課金形式には、いくつかのパターンがあります。一般的な課金形式には、以下の3つが挙げられます。
クリック課金型(CPC)
クリック課金型(CPC)は、ユーザー(求職者)が気になる会社の広告をクリックした回数に応じて料金が発生します。
そのため、クリックが一度もされない場合は、料金は発生しません。広告を見て自社に興味を持ったユーザーを集めやすいのが特徴です。
インプレッション課金型(CPM)
インプレッション課金型(CPM)は、広告が表示される回数によって課金が発生します。ユーザーがクリックしなくても、画面の表示回数が料金算出の基準となり、基本的には1,000回表示されるごとに課金されます。
企業の認知度や見てもらう頻度を高めるための目的として適しているでしょう。
広告視聴課金型(CPV)
広告視聴課金型(CPV)は、ユーザーが動画広告の視聴をした場合に料金が発生します。
媒体によって、「視聴された」と判断されるタイミングが異なるため、その点を覚えておくと良いでしょう。文章だけでは、企業の魅力が伝わりにくいケースなどで適しています。
求人に使える運用型広告の種類
ここでは、求人に使える運用型広告の種類を紹介していきましょう。
求人検索エンジン
求人検索エンジンは、最も一般的とされる運用型広告です。
求人検索エンジンには、多数のサービスがあり、有名なところでいうと「indeed(インディード)」があります。
求人に関する膨大な情報がWeb上に集約されるため、ユーザーがキーワードを検索窓に入力して検索をかけるだけで、求める情報をまとめて確認することが可能です。
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リスティング広告
リスティング広告は、「検索連動型広告」とも呼ばれ、Yahoo!やGoogleといった検索エンジンで、入力された検索キーワードに応じて、検索結果と一緒に表示される広告のことです。
「営業 求人」や「経理 求人」など、特定のキーワードに焦点を当てて、ターゲットに向けた企業の求人広告を配信できます。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告は、動画や画像、テキスト形式でWebサイトの広告枠に表示される広告を指します。
ユーザーに対して伝えられる情報量も多く、閲覧している人に対して印象を残しやすい点がメリットといえます。
視覚的な要素が強めのディスプレイ広告は、顕在層だけでなく潜在層へのアプローチも可能な広告です。
SNS広告
SNS広告は、X(旧Twitter)・InstagramなどのSNSを活用して発信する広告です。
SNSの画像や動画などを活かした広告は、ユーザーの注目を集めやすく、企業の認知を高める方法としてもおすすめです。
ただし、SNSの場合、年齢層の低いユーザーが利用する頻度が多いため、若年層を採用したい企業の活用に向いているでしょう。
動画広告
動画広告は、ユーザーがYouTubeを視聴した際に表示されるものです。
動画の場合、視聴している人の視覚と聴覚に直接働きかけることができるため、記憶に残りやすく情報も多く提供できます。X(旧Twitter)やInstagramでも配信が可能です。
社員へのインタビューや実際に働く社員の姿など、動画ならではの内容にすることで、企業の魅力をダイレクトに伝えられるでしょう。
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リターゲティング広告
「リマーケティング広告」とも呼ばれるリターゲティング広告は、企業のホームページなどへ以前アクセスしたことのあるユーザーに対して配信する広告のことをいいます。
リターゲティング広告は、Webサイトを閲覧したものの、なんのアクションも起こさずに離脱したユーザーへのアプローチとして有効でしょう。
運用型の求人検索エンジン 具体例
ここでは、運用型の求人検索エンジンについての具体例を紹介していきます。
求人ボックス
求人ボックスは、株式会社カカクコムが運営する求人検索エンジンであり、近年ユーザーの数が増加傾向にあります。
求人の無料掲載が可能で、投稿するのにかかる時間は最短5分ほどで、求人募集を簡単に開始できる点が特徴として挙げられます。
また、求人ボックス以外にも「価格.com」・「食べログ」といったサービスを長きにわたり運営してきた実績があり、信頼性も高いといえるでしょう。
求人ボックスの月間訪問者数は、約800万人となっており、若年層からシニア層まで、幅広い世代のユーザーを確保しているのも特徴といえます。
求人ボックスは株式会社カカクコムが運営する求人検索エンジンです。 コスト効率、データ活用、多様性、柔軟性、ブランディングを軸に、企業の採用をサポートする求人ボックスは、多くの求職者から注目を集めており、年々利用者数が増加しています。 […]
indeed(インディード)
indeedは、業界内でもとくに高い知名度を誇る求人検索エンジンであり、検索結果で上位に表示されやすく、多くのユーザーに閲覧されています。
一般的な求人広告と比べても、圧倒的な訪問数を記録するindeedは、月間訪問数が約3,700万以上です。プランも無料で求人を掲載できるものから有料のものまであります。
スタンバイ
スタンバイは、約1,000万人をこえるユーザーが利用している求人検索エンジンです。Yahoo! JAPANと連携しており、全国の幅広い層へのアプローチが可能なため新たな母集団形成が望めます。
クリック課金型を採用しており、効率良く求職者へリーチできるのもポイントです。
自社の採用ページとの連携が可能なため、求人票の作成や応募者の管理に新たな手間がかからない点も魅力といえるでしょう。
運用型求人広告のメリット
運用型求人広告は一般的な求人広告と違い、広告の内容や予算の変更がいつでも可能で臨機応変に柔軟な運用が行える点が大きなメリットといえるでしょう。
また、検索結果の上位に表示されるには、一般的な求人広告の場合、料金の高いプランを選んでいる企業になるケースが多い傾向にあります。
しかし、運用型求人広告は、広告の品質によっては広告を上位表示させられるため、採用予算に限りのある企業でも十分求職者へアピールすることが可能となります。
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運用型求人広告の注意点・デメリット
企業が運用型求人広告を取り入れる場合、運用するにあたり手間をかける必要があります。
運用型求人広告では、掲載開始された後も常に分析を行い、分析結果によっては、予算などを調整する必要があります。
一般的な求人広告では、掲載したら「応募者を待つのみ」のパターンがほとんどですが、運用型求人広告の場合は、常にデータ分析などを行う手間が発生することを覚えておきましょう。
また、データ分析などをリアルタイムで行い、適切に運用していくためには、専門的なノウハウが必要となります。
運用型求人広告の運用方法(始め方)
運用型求人広告を採用活動に取り入れる際の運用方法は「自社で運用」「広告代理店に委託」の2つがあります。以下でそれぞれ解説していきます。
自社で運用する場合
自社で運用する場合、広告プラットフォームを活用し、自社のアカウントを作成してから広告運用を開始します。
求人広告を自社で運用できれば、コストを大幅に抑えることが可能です。ただし、運用には手間と専門的なノウハウが必要となる点は、覚えておく必要があるでしょう。
広告代理店に委託する場合
広告代理店に委託する場合、運用型求人広告のノウハウを持つ広告代理店を探し、運用を依頼します。
企画内容やデータ分析など、広告運用に必要な過程全般の作業を自社で行う必要がありません。
費用はかかるものの、運用のための手間を省けるため、社内リソースの節約が可能になります。また、専門的なノウハウを活かした運用ができるのも広告代理店に委託するメリットといえます。
まとめ
企業が求める人材を集める手段として、「運用型求人広告」の活用はメリットの大きい手法といえます。
自社で運用する場合コストは抑えられる一方で、「企業負担が大きい」「ノウハウがなく、うまく進められない」といった問題が発生しやすいという側面もあります。
そのため、広告代理店に委託することも視野にいれつつ、運用を開始するのも一つの方法です。
ぜひ、紹介した内容を参考にしながら、採用活動の工数削減にお役立てください。
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