いつ、どう始まった?採用アウトソーシング(RPO)の歴史

採用アウトソーシングRPOの歴史

現在の新卒採用は、一朝一夕には成功できず、細かな採用戦略・計画を練り、多くの工数をかけて採用活動を行う必要があります。

また、各社、優秀な人材を採用するために、ありとあらゆる手段・取り組みを行うため、「工数」に関しては、年々増加傾向にあるのです。

この「工数」に頭を抱えている人事担当者も多く、最近では、「採用アウトソーシング(RPO)」を検討する企業が増え、採用アウトソーシング(RPO)が盛り上がりを示してきました。

採用アウトソーシング(RPO)とは…
採用アウトソーシング=Recruitment Process Outsourcing(RPO)。いわゆる、採用代行サービスを指します。企業の採用活動の一部、または全てを業務委託され、求めるターゲット人材の採用成功を担うものです。

さて、弊社もサービスを提供している、この「採用アウトソーシング(RPO)」。

サービス内容や事業者については既知の方も多いと思いますが、採用アウトソーシング(RPO)にはどのような歴史があるのでしょうか。

今回は、採用アウトソーシング(RPO)の発祥はもちろん、どのような歴史があるのかを時代背景とともに解説していきたいと思います。

世界規模で見る採用アウトソーシング(RPO)の歴史

まずは、世界規模においての採用アウトソーシングの歴史について紹介します。

採用アウトソーシング(RPO)の発祥は1970年代アメリカ

所説ありますが、この世に採用代行サービスが生まれたのは、1970年代と言われています。

アメリカで、金融機関の事務代行サービスを利用していた企業のニーズが発展し、福利厚生事務や給与計算事務の代行など、間接部門のアウトソーシングが普及していく流れで、採用アウトソーシングサービスが生まれました。

アメリカ国内での採用アウトソーシング(RPO)の普及

当初は一般事務や会計事務のアウトソーシングが主流だったため、あまり利用している企業はありませんでしたが、1980年代に入り、それが一気に加速することとなります。

アメリカ経済は1979年以降鈍化傾向にあり、1980年4月~6月期に戦後最大の落ち込みを記録するなど、経済状況としては非常に厳しい時代でした。

そこで、グローバルに展開している大企業を中心に、経営の効率性を求めて、間接部門の合理化を検討する動きが盛んになり、その一環として人事業務・採用業務のアウトソースが一気に普及していったのです。

アメリカにおける採用アウトソーシング(RPO)の特徴

日本では、「就社」をベースに採用を行うのに対し、アメリカの採用事情は「プロジェクト」をベースに採用するのが主流のため、その結果として、転職を繰り返す文化、すなわち人材の流動が激しいという特徴があります。

また、採用業務は人事部の仕事というよりは、組織としてプロジェクトや職務の成果を上げる為に管理職自らが行う仕事であると考えられています。

そのため、アメリカの採用アウトソーシングサービスは、

  • 採用広告作成
  • 母集団形成
  • 面接代行
  • 職務経歴調査(リファレンスチェック)

のようなコンサルティングサービスが中心となっており、日本のように「候補者とのコミュニケーションを通して入社意欲を高めさせる」といった、採用コミュニケーションスキルはあまり求められないようです。

日本における採用アウトソーシング(RPO)の歴史

ここでは、日本における採用アウトソーシングの歴史を紹介します。

【1990年代初頭】 日本における採用アウトソーシング(RPO)の誕生

日本における採用アウトソーシングの歴史は、それほど古いものではなく、1990年頃に誕生したと言われております。

事務代行というアウトソースから派生し、採用アウトソーシングが誕生したアメリカとは異なり、日本では、採用代行に特化した専門会社という型で誕生しました。現在の代表的な採用アウトソーシング会社の多くも、ほぼこの時期に創業しています。

1990年代初頭、学生の就職活動は、就職支援会社から送られる企業情報が掲載された媒体誌を参考に、気になる企業に応募する流れでした。応募方法も現在のWEBエントリーとは異なり、ハガキや電話で選考の申込を行う型です。

当時から日本独特の「新卒一括採用」の文化があったため、一度に大量の応募はがきや電話の処理しなければならなず、この期間だけ大幅なマンパワー不足に陥る企業も数多く見受けられました。

また、同時にバブル経済が崩壊し平成不況に見舞われたため、間接部門、特に新卒採用を担当する人事・採用部門の人員を大きく削減する企業が増え、物理的に採用活動に支障が生じてしまったのです。

その結果として、期間的に採用業務を外部に委託するニーズが発生し、採用アウトソーシングが日本国内でも広がり始めました。

【1990年代中頃】 日本国内での採用アウトソーシング(RPO)の普及

1990年代中頃、バブル経済の崩壊から景気が徐々に回復してきました。

そこで、企業は、それまで絞り込んでいた新卒採用を増やそうとしましたが、大きな課題にぶつかることとなります。バブル崩壊後、新卒採用を担当する人事・採用部門の人員を大きく削減してしまったため、いざ新卒採用を復活させようと思った際に、マンパワーの不足に直面してしまったのです。

また、人員削減や採用の一時休止によって、新卒採用のノウハウそのものが失われていた企業も多かっただけでなく、バブル崩壊後の教訓から、「必要ならすぐに間接部門を増員する」という発想にはなりませんでした。

間接部門の固定経費は抑えたままで採用にかけるマンパワーは増やしたいと考える企業が増え、より一層採用アウトソーシングのニーズが高まっていったと言えます。

採用アウトソーシング会社は、スタッフに人事経験者などをそろえ、企業に不足していた採用実務を担当するマンパワーとノウハウを提供していたため、時期によって業務量の変動が大きい新卒採用においては、アウトソーシングを導入するメリットが非常に大きかったようです。

【1990年代後半】 IT時代への対応により加速

1990年代後半から、IT技術の発展と通信の自由化により、IT産業が躍進しました。いわゆる「ITバブル」です。

多くの外資系IT企業が日本法人を設立しただけでなく、国内でも多くの新興ITベンチャーが設立され、技術者を中心としたプロフェッショナルな人材を確保すべく、各社が積極的に採用を行いました。

しかし、外資系IT企業は日本の採用市場におけるノウハウが蓄積されておらず、新興ITベンチャーにおいても採用ノウハウが形成されていなかったため、採用のプロフェッショナルである採用アウトソーシングを利用する企業が増え、一気に加速していきました。

更に、インターネットの普及により、代表的な就職メディアが次々と就職サイトへと移行したため、より加速度を増してニーズが高まったのです。特に新卒採用では、インターネットが導入されたことによって1社当たりの学生の応募数が急増し、企業側の業務量の拡大にもつながりました。

また、企業の人事担当者は、メールの細かなやり取りやネットでの情報提供などのノウハウを十分に持っていなかったため、IT業界の採用で力をつけた採用アウトソーシング会社のサービスが、それまで以上に注目されるようになったと言われています。

インターネットを活用して効率のよい採用を行っていく上で、採用アウトソーシング会社の業務パワーとノウハウが有効だと広く知られるようになったのは、まさにこの時期からですね。

【2000年以降】 厳選採用の定着

2000年代に入ると、「ITバブル崩壊→いざなぎ超えの好景気→世界金融危機」と、景気変動の波がより激しくなりました。

新卒採用でも、景気変動に合わせて、採用拡大期と抑制期が数年ごとに入れ替わるような状況になったため、採用担当の人員は最小限に抑え、必要な時にはアウトソーシングで補うという発想がより一般的になってきました。

また、「厳選採用」が定着したことにより、多くの学生の中から優秀な人材を選抜する手法、さらに選抜した人材の内定辞退や入社後の早期退職を防ぐ方法など、「採用の質を高めるノウハウ」「ミスマッチを防ぐノウハウ」がこれまで以上に求められるようになってきました。

それに伴い、限られた社内のリソースでこうした高度なノウハウを保持するのは難しいと考え、現在では、採用アウトソーシング会社が「採用コンサルティング」の領域にまで踏み込んだサービスを行うケースも増えてきているのです。

【現在】 売り手市場に伴う採用アウトソーシングの広がり

2019年現在、求人数が求職者数を上回る、「売り手市場」が続き、一朝一夕では採用成功できない、「採用難の時代」となっています。

そのため、各企業が、優秀な人材を確保すべく、ありとあらゆる手法を使って採用活動を行うようになったほか、新卒採用だけでなく中途採用やアルバイト採用など募集領域を拡大したり、SNSを使った採用やスカウト型の採用など、採用手法も多様化したため、採用担当者の工数がさらに増えている状況にあります。

それに伴い、採用担当者はよりコアな業務に集中するために、採用業務の一部をアウトソースする企業が増え、更に採用アウトソーシングサービスは広がり続けています。

採用アウトソーシング(RPO)の将来

では、現在も更に広がりを示している採用アウトソーシング(RPO)は今後どうなるのでしょうか。

日本能率協会コンサルティングが2015年3月に行った調査によると、人事系アウトソーシングの市場規模は800億円となっています。

この人事系アウトソーシングには採用代行だけでなく、給与計算や社会保険処理、研修や人事管理なども含まれているため、採用代行だけにフォーカスするともう少し市場規模は小さくなるでしょう。

しかし、人材サービス業界の市場規模がここ3年~4年で2倍弱の成長をしていることから、採用アウトソーシング(RPO)の市場規模もこの先拡大していくと予想できます。

また、日本国内ではこの先、大幅な人口減少が予想されており、労働力確保のため、女性・シニア・外国人労働者などの雇用が必要となってきます。つまり、採用活動にはおいてより一層専門性が求められるようになり、それに伴って採用アウトソーシング(RPO)のニーズも増えていくでしょう。

参考:日本能率協会コンサルティング-ビジネス支援サービスに関する調査報告

最後に

歴史をたどってみると、採用アウトソーシング(RPO)のニーズが時代背景とともに年々増していることがお分かり頂けたと思います。

マンパワーが足りていない採用担当者の方はもちろん、採用の生産性を高めたいとお考えの採用担当者におきましては、是非一度、採用のアウトソーシングの導入を検討してみてください。

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